ロックマンキラーズ纏め編   作:グルルre

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vol.8 平和ゆえの不安

「・・・どう?口に合うかな?」

「・・うむ、おいしい」

お茶を飲む私に遠慮がちに笑みを浮かべるロック。

奥でチョコレートを作り始めたフィーナとロールを横目に、何もする事の無い私はあろう事か宿敵であるロックマンとテ-ブルを挟んでお茶を飲んでいる。

普段ならありえない状況である・・・。

「二度目は無いと思ったがまたしてもここへ来るとはな・・・」

「別に戦いさえなければ僕としては・・・・」

嘆息する私に笑みを浮かべるその姿は私達の野望を打ち破ってきた人類の英雄とはあまりにも想像とかけ離れている。

「・・・であの子は新しいナンバーズなの?」

「・・・ああ。番号順ならばキングの次になるだろうな・・・」

「ワイリーが彼女みたいなロボットを作るなんて驚きだね」

「否定はしない・・・私も驚きだ」

ロックはロールの指導を受けてチョコを頑張って作ろうとするフィーネの姿を目を細めて見る・・・。

彼に見えるのは平和な光景か・・それともかつての自分の姿を重ねているのだろうか?

しかしフィーネには謎が多すぎる。その性格、容姿もそうだが一体何の為に制作されたのやら。

プロトの翁は学習能力かもと言っていたが、それには一理あると私は考えている。

事実、彼女は天真爛漫な姿とは裏腹に一度覚えた事は殆ど忘れる事は無い・・・。

学習能力に関して言えば一を学べば十を知る・・・そんな天才的なものを持っている。

だからこそ私は彼女の底の知れない可能性に不安を覚える・・・はっきり言えば心配なのである。

彼女が私達と同種の存在へなる事に・・・彼女はこのままが一番ではないかと私はそう思い始めていた。

 

「彼女のみたいなロボットを作ったって事はワイリーも平和について・・・」

淡い期待を胸に抱くロック、甘い・・・甘すぎる・・・。

「言っておくがワイリー様は世界征服の為の準備を今、急ピッチでしている所だ・・・。あの御方がそうそう諦める筈が無かろう」

「・・・そうだよね」

私の言葉に顔を俯かせ分かっていた・・・そういう風な表情でロックは呟く。

そんな彼の表情を見て私はまたいたたまれない気持ちになる。

しかしそれでも彼の身の上に同情する気にはなれない。

そもそもが私は目の前の少年を破壊する為に生み出されたのだ。

兄のエンカーら同様に以前までの様にそこまで執拗にはなっていないが。

打倒ロックマンの意思は今も尚、捨てていない。

ワイリー様が世界征服を諦めていないのと同様であろう。

バラードもあのフォルテも同じくだ。

因みにだがフォルテに関してはあまりにもロックマンに対し戦闘を仕掛けるので別基地へと現在は飛ばされてしまっている。

監視役にバラードも付けているがそっちの方で好き勝手やっているらしい。

そう言えば以前の私も街中でたまたま遭遇したロールを拉致してロックマンに戦いを挑んだ事があったか。

脳裏にその時の事を思い浮かべるが、クスリと笑うロックに見透かされた気がして思考を中断する。

まあ全ては過去の事・・・私は顔をパンパンと叩くと目の前に座るロックを見据える。

「ま・・・こういう日もあってもいいだろう。こうしてお茶を飲むのも悪くは無い」

「・・・うん、そうだね」

お茶を飲みながらロックは笑顔で私に返す。

見れば奥でフィーネがはしゃぎながらチョコに飾り付けをしているところであった。

彼女とロールやロックと並べばまるで本当の人間の兄妹のような光景である。それを私は目を細めてみる。

「それにしても、パンクが彼女を・・・フィーネを見る顔・・・とても優しいね」

「フン・・・優しさのレベルではお前には敵わんよ」

そうお互いに言うとどっと笑い出す私とロック。

こんな日が永遠に続けばいい・・・しかしそれは無理な事も理解している。

だからこそ・・・永遠に続かず変わるものだからこそ今が貴重に思えるのだと私は思った。

 

 

その後基地にいるナンバーズ分のチョコを作り終えた私達はライトの研究所を後にしながら歩いている。

私とロックの会話が聞こえていたのだろうか・・・?私の後ろを歩くフィーネは怪訝な顔をしている。

「ねえ・・・おにいちゃん?」

「・・・・・・・・なんだ?」

「もしも戦いになったらロールおねえちゃん達とも戦うの・・?」

ようやく口を開いたフィーネの言葉に私ははっきりと答える。

「ああ・・敵として対峙したのなら容赦はしない・・・敵は倒す。それが我らと彼らの運命だ」

「嫌だよ・・・私、お姉ちゃん達と戦いたくない。だってあんなに優しいのに」

フィーネは肩を震わせながら言葉をつなぐ・・・。

「それに私、おにいちゃん達もおねえちゃん達も・・・どちらも傷ついて欲しくない。どうしたらお互いに傷つけなくていいんだろう?」

私は彼女の頭をなでながら話す。

「それを考えるのは私の仕事ではないだろう・・・それはフィーネ、お前の様な者の仕事だ・・・」

「おにいちゃんじゃなくて、私の仕事・・・?」

「自分の思う事、心を素直に表せる様になったら考えればいい。慌てなくていいぞ、ゆっくりと確実に考えるんだ」

ロック達やフィーネが考える世界が実現すれば私のような者はお払い箱だろう・・・・。

彼女には・・・フィーネには変わって欲しくない、今のままでいて欲しい。

「フィーネ・・・今の気持ちを忘れるんじゃないぞ」

「おにいちゃんの言う事は難しくて分かんないや・・・でも頑張るね」

ああ・・・その意気だ。私はフィーネに笑いかけるとそのまま彼女を背負い歩き出す。

いつしか私にとって彼女はかけがえの無い者となっていた。

彼女の笑顔が永遠に変わらずに続いて欲しい、そう思い始めていた。

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