・・・・・・・・それから三日後だっただろうか。
ダイムの訃報を聞いたのは・・・・・。
カラーーンッッ・・・・!
その話を工房に来たウォーレンから聞いた私は手に持っていた金鎚を動揺のあまり落としてしまう。
「親父は幸せだったよ・・・・・最後にアンタに自分の技術を伝授できたんだ」
顔を伏せながら私にぼやく様に言うウォーレンを私はただ黙って見ている事しかできなかった。
ウォーレンの話によると私が机を完成させた次の日・・・病室で大きく溜息をつくと意識を失いそのまま帰らぬ人となったのだ。
「親父はロボットに仕事を奪われて、俺がそのロボットを使って家具を扱う商売をするのが気に入らなかった・・・」
「親方は私を認めてくれたのか・・・?」
「さあな・・・・だがこれだけは言えるぜ。アンタのおかげで親父は最後までロボットを恨んだまま死ななかったって事だ」
私は何故、彼が私を自分の工房に働かせようと思ったのか・・・・その理由は今となってはもう知る由もない。
「親父は本当は認めたかったんだと思うぜ。ロボット産業って奴を・・・だけど自分のプライドを捨て切れなかった。・・・そこにあんたが現れた」
「親方は試したかったのか・・?この私をロボットを・・・」
「馬鹿だよな・・・世の中ってのは動き、変わり続けるもんだ。それを知ってながら認めなかったんだからな」
そうウォーレンは自嘲気味に語る。
「いや・・・違うぞ」
「な・・・?」
私の言葉にウォーレンは驚いた様に顔を上げる。
「変わらないものならここにある・・・ここにな」
私はそういうと自分の胸を指差しながらウォーレンを見据える。
「あんたにそう言われると信じたくなるわ!!ハッハッハッハ・・・!」
目から一筋の涙を浮かべながらウォーレンは笑い出す。
それに釣られ私も笑い出す。
工房の中にしばらくの間二人の笑いが木霊していた。
「あんたの腕なら、うちの会社に特別待遇で迎えてやってもいいんだが」
「いや・・・私にはまだやらねばならん事がある。それが終わった時覚えていれば世話になるぞ」
主人がいなくなった工房・・・ここは息子であるウォーレンが引き継ぐ事になる。
ここは老朽化も激しく立地も悪い・・・残念だが一旦建て壊して倉庫にでもするしか使い道がなさそうだ。
そうウォーレンは言う。
残念な事ではあるが私の・・・いやここに関わった者達の記憶には残り続ける事だろう。
「それと親父が世話になった分の礼金だ、受け取ってくれ。・・・・それとあんたが会社に入ってくれるのを首を長くして待っているからな」
私はウォーレンからお金と形見代わりにダイムの道具箱を譲り受けるとそのまま工房を後にする・・・。
私は古ぼけた工房を一度だけ振り返る。何度も何度も見た姿だがそれも私にはなんだか主人がいない事を悲しんでいる様な・・・そんな気がした。
道具箱を背負いながら私はローズの店にも立ち寄る・・・。
注文はいつものストロベリー味のクレープである。
「あの後、うちの親父がさ。ようやくまともに働いてくれるようになってさ」
ローズは嬉しそうに私に話をする。
ドフォーレファミリーを襲撃した際にヒートマンが丁寧に燃やしていた借用書・・・。
その後の警察の調査で法外な金利で金の貸付をしていた事が判明・・・裁判所も不当な貸し付けと判断しまあ簡単に言えば借金がチャラになったのである。
その上シャドーマンがアジトにあったコンピューターからドフォーレファミリーに連なるギャングの金融関係を警察に横流ししたのも理由の一つだと付け加えておく。
表には出ていないがこれで救われた者も何人かいるだろう。
「そうか・・・それはよかったな。今度はフィーネも連れて来よう・・・・」
「あいよ・・・フィーネちゃんには大盛りであげるからまた来なよ」
ローズの声を背に私はクレープを握りながら店を後にした・・・・。
コンッコンッコンッコンッ!
まだ朝だと言うのに基地の内部ではけたたましい音が響き渡る。
「うるせえぞ!!パンク!!・・・・俺は二日酔いなんだ。チンドン屋みたいな事するんじゃねえ!!」
頭を抱えたメタルマンの大声が辺りに響き渡る。
昨日も居酒屋で飲みまくった挙句に基地に帰った後にもストーンマン、シャドーマンらを入れての大宴会をするからである。
正直こちらとしては知った事ではない・・・。
「何作ってんだよ・・・?」
メタルマンは相変わらず頭を抱えながら私の製作している物を覗き込む。
「・・・・椅子だ」
私はまずは小さい物と言う事で椅子を二脚作ることにした。
一つはヒントをくれたロックへのお礼の為である。
そしてもう一つは自分を生み出してくれたワイリー様への贈り物として作っている。
「あ、おにいちゃ~ん!!」
私の姿を見かけるとフィーネは元気良く私に駆け寄る。
「ねえねえ、私のも作って!!」
「今のを作ったらフィーネのも作ってやるからな」
「今すぐがいい!!」
私の言葉にフィーネは頬を膨らませて抗議するが私は笑いながら彼女の頭を撫でる。
「仲がよろしい事で・・・あ~頭イテェ・・・・。もっかい寝~ようと・・・」
メタルマンはぶつぶつ言いながら再び部屋へと帰っていく。
興味津々に私が椅子を作るのを見続けるフィーネを横目に私は作業を再開する。
私は思う・・・時代は常に動き変わっていく。
それは紛れもない事実である。
しかしそれでもたとえ人間や我らが滅んだとしても変わらないものがある。
それは不可能を可能とし運命すらも変える・・・・・。
私はそれを信じたい・・・全ての生命に宿る「心」と言う物を・・・・。
何だかんだでパンク編はこれにて終了となります。
パンクの一人称で話が基本進むのもありますが、話の展開が凄く難産だったのが思い出となっています。
バトルの展開に関してはあっさり目なのですがナンバーズの日常を描く事を重視した結果、こうなった次第です。
オリキャラのフィーネに関しては結果的に息の長いキャラとなった事もあり、初登場こんなんだったのか?と恥ずかしさを覚えながら修正作業をしていた次第です。
誤字脱字の修正作業等をしながらの投稿となりマイペースに進んでいますが。
次回はバラード編となります。色々と異色な小説ですが楽しんでいただければ幸いです。