ロックマンキラーズ纏め編   作:グルルre

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vol3 王の名を継ぐもの

「押忍!!開発コードネーム『ナイト』WKN(ワイリーキングナンバーズ).005のパッショナーでありまぁぁぁす!!」

テングマンが指揮するエアガッパーより降り立つなり出迎えたナンバーズ達に大声で挨拶をするのは、如何にも騎士然としたロボットであった。

見た目の方はあのキングの後継機なのだから仕方が無いとして、その登場に若干と言うかかなり引いてしまう面々。

さしものバラードも思わずずっこける。

「・・・・・・」

壁にもたれたままのフォルテも面食らった様な顔をしていた。

「なんか・・・イメージと違うッスね」

バラードが額を指で押さえ呻く。

あのキングの後継機と聞いてどれだけプライドの高いロボットが来るのかと思ったのだが。

良い意味でその予想は大きく外れた。

「先輩の皆様方宜しくであります!!あ、そちらはバラード殿にフォルテ殿。噂と言うかお二人の事は電子頭脳にインプットされたデータで知ってるであります!!」

肘を伸ばし敬礼をしたのも一秒も経たずにバラードに駆け寄り話しかけてくる。

因みにと言うかかなり距離が近い。

パッショナーが人間であれば唾が顔に飛んでいたであろう。

「バラード殿は中断を含めた引き分けの七回を除けば一度も勝ちは無しではありますが、公式の戦いを含めロックマンに勝負を挑んだその回数は十二回!!」

至近距離で己にとってかなり痛い事を言われムッとなるバラードだが、恐らくと言うか相手の方は嫌味でも何でもないのだろう。

詳細な数はもう少し多いが街中でばったりと遭遇した時も含めて、何度もロックマンと戦いを繰り広げている。

「十二回も挑んで勝ててねえのかよ」

腕を組むフォルテがほくそ笑むが。

「そしてフォルテ殿は二十三回の戦いを挑み、引き分け三回と記録にはあるであります!!対ロックマンの先輩として尊敬しているでありますよ!!」

「ぶっ・・・俺よりも戦い挑んで勝ててねえのッスか」

「う・・・うるせえ!!」

至近距離で敬礼をするパッショナーを押し退けながら、からかってきたバラードを睨みつけるフォルテ。

「対ロックマン用のロボとして兄にも当たる両者の居る基地で運用試験が出来て自分は幸せでありますよ!!」

頭部の兜の隙間から滝の様な涙を流しながら敬礼をするパッショナーに他のナンバーズが後ずさる。

「ねえねえ・・・本当にあれがキングの後継機なの?」

スパークマンが首を傾げながらテングマンに問う。

「そう言う事になりますな。まあ拙者としてもただ命令通りにこの基地に運んだまでの事。詳細は何も知らないとしか・・・」

伸びた鼻に触れながらテングマンが言う。

「てか005って・・・他にも四人いるのか?」

強面のナンバーズであるジャンクマンが首を傾げる。

パッショナーの番号が彼の言う通りであれば他にも後継機達が居る事になる。

前回の世界征服の作戦が突然のキングの反乱で図らずも人類側に味方する事になると言う不本意な結果となっただけに、ワイリーも今回ばかりは本気なのだろう。

かつてのロックマンキラーズに相当するロボットを一度に大量に投入するつもりの様だ。

「ああ・・・それとまだ居りますぞ。運んできたのはパッショナーだけでは無いんですな」

思い出した様にテングマンが手を叩きニードルマン達が驚く。

ジャイロマン、ウェーブマン、クラウドマン、シェードマンにソードマンら他の面々も同様の顔となる。

「いやあ~スペースの関係上格納庫にしか入りませんでしてな」

機動戦艦エアガッパーの格納庫を端末で開きながらテングマンが言ったのはその一言。

乗務員が乗り込む入り口には入る事ができず結局普段は大型のロボットを入れる格納庫に入れざる得なかったそうだ。

 

ウィーーーーーン!

 

テングマンが駆るエアガッパーの格納庫の扉が静かに開く。

「さあ!出て来てもいいですぞ!」

その声に反応するかの様に一つの影が飛び出してくる。

「ヒヒーン!!」

巨大な馬型ロボは息を呑む面々を尻目にパッショナーの方に走り出す。

「自分のサポートメカのダルセニョーであります!!ダルセニョー!!挨拶をするでありますよ!!」

大声を上げながらパッショナーがフォルテらを馬型ロボに紹介をするのだが。

「・・・フン」

まるで小馬鹿にした様な声が聞こえたのは気のせいか。

馬型と言うだけあって巨大なダルセニョーに都合見下ろされる形となったフォルテは射殺さんばかりに視線をぶつける。

「あと・・・それともう一人おります。早く来て欲しいですな」

「・・・まだ居るのか」

わざとらしく手を広げ格納庫の奥に居る存在を呼ぶテングマンにニードルマンは頭痛を覚えていた。

ニヤリとどこか自信ありげな笑みを浮かべるこの男に一同は嫌な予感を脳裏に過らせた。

キング事件の際にロックマンに雪辱を果たさんが為にあろう事か敵の軍門に降った男だが、裏切り云々の前にその性格に大いに問題ありな人物である事は言うまでもない。

良くも悪くもこの男は当てにできないと言うのがその場にいる面々が思う所である。

まあ風を操る能力を持ちながら空気を読めない彼が、その思いに気づく事は無いだろう。

 

ドスンッ!ドスンッ!

 

格納庫の奥よりゆっくりと何者かが歩く音が聞こえる。

まるで鉄の塊が歩く様な・・・そんな重厚感ある音がバラード達の耳へと入ってくる。

「フィーネと言う女の子ロボが第一基地に配属されたのを知っておりますかな?」

「ああ・・・確かそんな人畜無害のロボが居るとか聞いたな」

ニヤニヤと笑みを浮かべるテングマンに面倒くさそうにニードルマンが答える。

「・・・フィーネ?誰だそりゃ?」

事情に詳しくないフォルテが首を傾げる。

「なんでもワイリー博士がロックマンの所のロールちゃんみたいなロボを開発したんだって。あ~あ~僕もそっちの基地に配属されたいな~」

スパークマンが心底残念そうに口を開き対照的にフォルテが興味無さげに舌打ちをする。

「あの女みたいなロボをジジイがか?遂にボケやがったか。戦闘の役にも立たないロボなんて生み出しても意味ねえだろ」

フォルテが興味は無いとばかりに話を打ち切り格納庫の奥を見る。

「今回拙者が運んだのはパッショナー殿にダルセニョー殿。そしてそのフィーネ殿に続く女の子ロボなのですぞ~!!」

テングマンが大音響を響かせる中、一同が目を見開く。

「しかもWKN(ワイリーキングナンバーズ)ッッ!!戦闘も出来る色々と至れり尽くせりな我が軍団待望のナンバーズ!!」

「「・・・おおっっ!!」」

力むテングマンの言葉に何人かが目を輝かせた。

悲しいかな男所帯のワイリー軍団は何かと色々な飢えている。

ある者は美味しい料理を作ってもらうなり考えただろう。

またある者はラッキーすぎるハプニングを考えたやも知れない。

多くの者が色々とあれやこれやと考える中。

格納庫の中では鈍い金属音が響き続ける。

思うにテングマンの紹介より数十秒は経ったであろうか。

一向に出てこない存在にニードルマンが目を細めテングマンを見た。

「レント~大丈夫でありますか?」

同じ様に待ち続けていたパッショナーがダルセニョーと共に格納庫に入っていく。

奥から何やらもう一人の声が響くが問題でも発生したのか。

ややあってパッショナーが頭の裏を掻きながら戻って来る。

「申し訳ないでありますが。動けないそうなので出るのを手伝って欲しいであります」

パッショナーの言葉に一同が思わずずっこけたのは言うまでもない。

 

ズゥゥゥゥゥンッッ!!

 

「重ッ・・・!!てかでかっ!!」

ここ第三基地に居る面々全員で格納庫より運び出したそれはロボットと言うよりも戦車なりの機動兵器を連想させる存在であった。

まあナパームマンなりマースなり戦車の様なロボットは居るには居るが、それにしてもそれはでかすぎた。

「俺よりもでかい・・・」

ナンバーズでもかなりの巨体を誇るジャンクマンが思わず呻く。

「皆さん。本当にありがとうございます」

運び出され漸く一息を付いた新入りが申し訳なさそうに頭を下げる。

「WKN.004で開発コードネーム『ルーク』のレントです。よろしくお願いします」

そう言ってペコリと頭を下げる声は紛れも無い少女の物であった。

確かにテングマンの言う通り彼女なのだろう。

彼女なのだろうが。

(なんか思っていたのと違う・・・ッス)

先程も言ったが巨大な戦車を思わせるフォルムにそれをランドセルの様な形で背負う少女の外見は分厚すぎる装甲に包まれていた。

「キングの要塞にあった戦車に似てやがるな。そういやロックマンの奴も厄介な飛行艇と遭遇したって聞くが」

ぼそりとフォルテが呟く。

因みに彼もレントの運び出しには手伝った。

「あ、ハイ。私はキングタンク及びキングプレーンを参考にダウンサイズを目指して開発されました」

「とどのつまりはそれらが合体したジェットキングロボをロボットサイズで再現したって事か」

「そう言う事になります」

ニコニコと笑みを浮かべるレントにニードルマンが溜息を吐く。

「レントは戦闘ユニットを背負っての歩行システムがまだ未完成なのでありますが。一応ロボとして出来たので自分と一緒に配属となったであります」

どこか誇らしげに説明をするパッショナーにニードルマンは頭を抱えた。

「また出たよ。博士の見切り発車が・・・」

「・・・重すぎて自分で動けないナンバーズなんて前代未聞だろ」

ウェーブマンとソードマンが引き攣った笑みを浮かべレントを見る。

「た・・・確かにこの状態で歩くのは難しいですがアーマーの背部に取り付けたロケットエンジンで動く事が出来ます!!」

 

プシュウウウウッッッ!!

 

どこか失望の色を浮かべる仲間に焦ったのかレントがボディの背より煙を吐き出す。

「ちょ・・・ちょっと待て。ここでロケットエンジンなんか吹かしたら偉い事になるぞ」

ニードルマンが慌ててレントを押し止める。

「エンジンを吹かしたら後ろにあるエアガッパーが吹き飛ぶでありますよ」

パッショナーの指摘にレントが呻く。

「そ・・・それは困る。拙者はこれからプロト殿らを連れて南極に行かねばならないのだぞ」

テングマンとエアガッパー内に居たジョー達が慌てて声を上げる。

「と・・・とりあえず動けるようになります」

 

シュウウウウッッ。

 

今度はボディから煙を噴出したのでテングマンらが声を上げるが、今度はアーマーの各所が外れレントの本体が分離される。

レントの重厚なヘッドギアも取り払われ中から銀髪の少女が出て来たので何人かが思わず声を上げる。

「ボディは基本的な人型か。原形は留めてないが俺やロックマンを参考にしているアーマーシステムだな」

こういう所の観察眼は優れているフォルテがレントを見つめ口を開く。

「アーマーを纏った状態での歩行システムは完成してませんが、コアユニットだけの状態になればこの通り皆さんと同じ様に動く事が出来ます」

若干引き攣る様に笑みを浮かべながら話すレントだが。

額に指を置きながらニードルマンが深々と溜息を吐く。

「それで・・・今の状態のお前は何が出来るんだ?」

「・・・え?」

ニードルマンの指摘に完全に硬直するレント。

「ええと・・・動けま・・・す?」

「ああ・・・動けるな」

ゼンマイ仕掛けの様に首を傾げるレントにニードルマンは思わず明後日の方向を見つめるのであった。

「ちょっと俺はワイリー博士に連絡入れてくる。他の奴らは・・・パッショナー共々、こいつらの面倒見てやってくれ」

クルリと背を向けながらニードルマンはその場を後にする。

端末を弄りながら恐らくワイリーに事の次第を確かめるつもりなのだろう。

その場に残された一同は気まずい雰囲気のまま佇むのであった。




殆ど書き直しと言う事もあって投稿まで時間がかかりました。
オリキャラでもあるWKN(ワイリーキングナンバーズ)ですが旧版ではそれぞれ『パンツァー』ルーフェイ=レント、『ファイター』ランスロット=パッショでしてそれぞれアーサー王の伝説と音楽記号から名前を取っていたのですが、なんか違うなと思い音楽記号で統一しました。開発コードネームもチェスの駒に変更となっております。
それと旧版ではレントが女子である事は後半に明かされる展開だったのですが、隠す意味も無いので今回のであっさりと判明となっております。
パッショナーも先行して登場となっております。
作中でも指摘されている通りレントの方はジェットキングロボをダウンサイズしたロボ。
パッショナーの方はどっちかと言うとキングを軽量化したロボとなっております。
もしもワイリーがキングの後継機を生み出したとしたらと言う事で当時考えたオリキャラな次第です。

旧版からの流用が殆ど出来ない事もあり、次回の投稿の方は遅くなりそうです。
今回はこの辺りで失礼します。
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