ロックマンキラーズ纏め編   作:グルルre

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vol4 問題多き後継機達

「ダルセニョー!!GOオオオォォであります!!」

戦闘シミュレート室に響く暑苦しい声。

ダルセニョーの背に跨り文字通り人馬一体となって突っ込むのはパッショナーである。

そんな彼と相対しフォルテは大きく溜息を吐く。

性能だけで言えば流石はあのキングの後継機。

超高性能ロボットと言えるだけの物は持っているであろう。

だがワイリーが運用試験をすると言った理由がなんとなくだが分かった。

 

ヒョイ・・・。

 

馬鹿正直に突っ込んで来たパッショナーをあっさりと回避するフォルテ。

通り抜けた先でフォルテが光弾を放った事でパッショナーは盛大に吹っ飛び馬上から転げ落ちる。

先程から何度も繰り返してきた光景だ。

「コキュートスランスとイージスの楯が完成していれば・・・であります」

悔し気に呻くパッショナーだがフォルテの方は大きく首を振った。

「武器が完成しても動きが単純じゃあ話にならねえよ」

当初こそその性能の高さを存分に生かしたパッショナーだったが、既に何度も実戦を経験しているフォルテに動きを見切られ先程から一方的な展開となっている。

フォルテ自身がロックマンをモデルに制作された事もあり、仮想敵としては申し分ないだけに仮にロックマンと今の状態で戦っても結果は見えている。

因みにパッショナー自身の言葉通り、今の彼は武装が未完成であり徒手空拳なのだが言い訳にしかならないだろう。

「バーニングゥゥ!!でありますぅぅ!!」

全身を炎で包み込むパッショナー。

あらゆる戦場で高い汎用性を発揮する事を目指して生み出されたパッショナーは、ロックマンやフォルテの武器チェンジシステムの応用で己の属性を変える事が出来るらしいのだが。

「クレッセントキック!!」

 

バキッッ!!

 

一瞬の間に間合いを詰めたフォルテの飛び蹴りを顎先に食らいパッショナーは倒れ伏す。

「・・・続けるか?」

「・・・むううぅぅぅ」

頭上より己を見下ろすフォルテにパッショナーは悔し気に歯を軋ませるのであった。

そしてバラードの方と言えば。

 

ドガンッッ!!

 

「・・・キャッ」

バラードクラッカーの爆風に煽られ僅かに浮かび上がるレントの巨体。

フォルテと同じ様に性能のテストを行っているレントの方だが、やはりというか問題点は多い。

あの後、ニードルマンがワイリーに確認を行った所、アーマーの方に移動用の車輪が内蔵されている事が判明して辛うじて段差以外の場所は動けるようになったのだがとにかく重い。

機動性と言う点ではメットールにすら劣るだろう。

確かにバラードのバラードクラッカーを食らっても無傷でやり過ごせる装甲は凄まじい。

対ロックマン用兵器として開発されているバラードクラッカーは爆発範囲こそ限定的だが、特殊装甲すらも破壊する程の威力を持つ。

言うなれば個の対象を破壊するのに特化した武器と言えよう。

それを受けて無傷で姿を現したレントにバラード自身、思わず声を上げたものだ。

とは言えである。

如何に装甲が厚く自身の武装で有効打が狙えなくても、全く以って付け入る隙が無い訳ではない。

「それでは・・・反撃します」

若干のぎこちなさと共にレントが両足を踏みしめ若干大勢を低くする。

「チェインガトリング!!」

レントの両肩部が開き機関砲が姿を現す。

一呼吸する間も無く放たれる無数の銃弾を前にバラードは慌てなかった。

真横に飛び銃弾の嵐を回避するバラードだが。

 

ガコンッッ!!

 

レントの背部に備え付けられた巨大な筒が三本も競り上がる。

「ディバインミサイル・・・です」

無骨な筒の先に取り付けられたのは六連装のミサイル。

 

シュババババババッッッ!!

 

上空へと舞い上がり次々と方向を変えて計十八発のミサイルがバラードに襲い掛かる。

反射的に何発かのミサイルは相殺するが全ての迎撃は無理と判断したバラードは歯を軋ませる。

 

ジャキッ!!

 

不意にバラードの足元に現れるのはローラーブレードである。

「対ロックマン用の追加兵装を試す良い機会ッスね」

メットより出現したバイザーに目元を隠しながら、ニヤリと笑みを浮かべたバラードは足元のローラーを利用し通常の倍以上の速度で地面を駆ける。

それを前にアーマーの一部をビットの様に射出しバラードにぶつけてくるレントだが、それらは瞬時に破壊されてしまう。

高速で移動しているのにも関わらずそれを為したのは、バラードのメットに取り付けられているスーパーサーチャーである。

本人はあくまでも後付けの力として多用はしないが、このスーパーサーチャーなる兵装はあらゆる物体の位置を即座に把握する事を可能とする。

爆弾ではあるも範囲が限定的とされているバラードにとっては、鬼に金棒と言うべき物であった。

ビットを即座に撃ち落され驚くレントにバラードが迫る。

「イ・・・イレイザービーム!!」

レントの胸部が開かれそこに隠された砲門がチャージを開始するがその前にバラードクラッカーが針を縫う様に炸裂する。

「・・・ッッ!!」

驚く間もなく砲門を潰され逆流したエネルギーがレントのボディに亀裂を生じさせる。

 

ドゴンッッ!!ドゴンッッ!!

 

続けざまに足元で爆散するバラードクラッカーによって自身の身が大きく浮き上がる光景にレントは驚く間も与えられない。

元より機動性は皆無でありボディのバランスは非常に悪い事もあって大きくひっくり返った彼女は、裏返しにされた亀の様に転がってしまう。

「わあああぁぁぁぁぁ!!」

驚きの声を上げるレントの眼前にバラードがクラッカーの発射口を突き付ける。

反射的に目を閉じるレントであったが、目の前のバラードが溜息を吐いたのを聞き彼女はガクリと頭を下げる。

「・・・参りました」

自らの負けを認めたレントの言葉を合図にして周囲の風景が無機質な物へと変わる。

戦闘シミュレートが終わりレントのボディに付いた傷なども瞬時に消え去ってしまう。

先程までの光景は極めて本物に近い疑似的な物なのだ。

ワイリー軍団ご自慢の訓練装置だ。

少なくとも政府軍などで使われる物よりも上等な品らしい。

話によればワイリーはホログラムとは言えほぼ忠実なロックマンのコピーを作り出した事もあったそうで、これはそれの技術的な応用に当たる。

「訓練終了・・・おい、お前達。レントの兵装を運び出してくれ」

レントの性能をチェックしていたニードルマンが控えていたスナイパージョー達にレントのアーマーを運ばせ始める。

「重くてスイマセン・・・」

数人がかりのジョーが唸りながら運んでいくのを見てレントが申し訳なさそうにするが、女子の為ならとジョー達もまんざらではなさそうだ。

「いくぞお前ら!!」

「「ヘイッッ!!」」

ジョーだけでは難しいと判断したのかハンマージョーのハンジョーも加わってアーマーが運び出されていく。

それを見送ったバラードとアーマーを脱いだレントはニードルマンの下に向かう。

「ジェットキングロボをダウンサイズしたとは聞いていたが想像以上の性能だな。まあ戦闘経験こそまだ少ないが我らが束になっても勝てないだけの物はある」

端末に示された数値を目にニードルマンが感嘆とした声でレントを褒める。

「だがバラードとの先程の戦い通り、数値での性能差などあっさりと覆される物だ。あまり大きくは言えんがロックマンはもっと強い」

「は・・・はい」

ニードルマンの言葉にオドオドしながらレントが頷く。

機動性が悪いと言う点はあれどその圧倒的な火力で敵を圧倒する事が出来る彼女の性能は、打倒ロックマンに燃えるワイリーの執念すら感じさせるものだ。

(次の戦いでロックマンを倒す。博士も本気ッスね)

横目でレントを見つめながらバラードは久しぶりに燃えあがる己の闘志と言うべき物と感じていた。

「いやあ感服であります。スペックで言えば自分の方が上なのに全く手も足も出ないとは。流石はロックマンを倒すのに一番近い御方。このパッショナー、感服したでありますよぉぉぉ!!」

「・・・うるせえ」

耳元で叫ばれうんざりした顔でフォルテがシミュレート室から出て来る。

どうやらそちらの方も終わったようだ。

いずれにせよフォルテの圧勝だったのだろう。

すっかりフォルテに惚れ込んだ様子のパッショナーはまるで舎弟の様に彼を褒め称える。

常日頃、他人に馬鹿にされる事はあれど褒められる事に免疫が無いのか僅かに頬を染めるフォルテはまんざらでもない様子だ。

「ロックマンを倒すのに一番近いって・・・どちらにしろ勝ってから威張れッス」

「・・・んだと」

バラードの一言にフォルテがその顔を険しくする。

因縁を付け合う不良の様に睨み合う両者にニードルマンは『まるで成長していない』と溜息を大きく吐くのであった。

 

 

 

一方、その頃である。

バラード達が居るゼーネルシティの郊外。

当然の事ながらワイリー軍団の支部基地がある場所とは違う裏路地で、一人のロボットは身に纏ったボロを膝の上で丁寧に折りたたむと寝転んでいた場所よりゆっくりと起き上がる。

今は一見すれば人間と変わらぬ姿だが、かつての部下達が自身の姿を見ればどう思うであろうか。

一瞬だがそんな事を考えながら男はゆっくりと立ち上がる。

彼は昨夜、ここで寝ようとした際に絡んで来た不良ロボット達を返り討ちにした際に相手が置いて行ったエネルギーパックを一気に飲み干す。

喧嘩を売って来たのはあちらの方とは言え、他人から奪った物で腹を満たすなど『王』を名乗った者にあるまじき行為であろうか。

行く当ても無く各地を放浪する彼は苦笑を浮かべながら路地裏より、視線の先を行き交う人々の姿を見る。

人間もロボットがそれぞれの表情を浮かべながら歩くのを見て、彼は思わず微笑んでいた。

もしも自分が人間達を滅ぼしていたのであればこの光景は見る事は出来なかったであろう。

未だにロボットを道具扱いする者達は多いがそれが人間の全てではない。

自身もまだ人類に心を許した訳ではないが英雄と呼ばれし少年との間に交わした誓いもある。

一方的にその道を閉ざそうとした己の罪を償うが為に彼はこうして世捨て人同然に日々を過ごしていた。

「まだ全てを見極めるには時間がかかる。再び答えを出すのはまだ先で良い。まずは・・・互いに歩み寄らねば」

ぼそりと己に言い聞かせるようにボロを纏った王は摩天楼の隙間より遥か先に見える空を見る。

徐々にだが迫り来る黒い雲に彼は大きく溜息を吐いた。

「嵐が・・・来るか」

かつてのロボット王キングはそこに渦巻く物を静かに見据えていた。




再びな後書きです。
前回から同様に旧版より展開を変えています。
ハンマージョーのハンジョーなんですがグルルオリジナルの名前ありザコです。
後の作品ではビクトロイドのビクトールとかが出てますが、今回思う所あって出した次第です。ニードルマンの副官と言う設定です。ナンバーズとザコロボの間に居るキャラですね。

最後に登場した王様ですが。
これも旧版と違い文字通りボロを纏った王となっています。
一応と言うか普通に今回の話に関わる予定ですのでお楽しみに?・・・です。
今回のあとがきはこのくらいにしておきます。
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