ロックマンキラーズ纏め編   作:グルルre

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vol6 暗雲の中で

「喰らいやがれー!!フォルテブラスター!!」

フォルテのチャージショットが魔獣の頭部目掛けて放たれる。

しかしそれは魔獣が身にまとう風の鎧に阻まれ大きく横にそれる。

「ガアアァァァーーーー!!」

魔獣が腕より猛烈な風を生み出しそれをフォルテへと叩きつける。。

フォルテは難なく避けるがそれは道の脇に停止していた車を吹き飛ばすと車はビルに突っ込んでしまう。

ビルの壁と共に見るも無残にお釈迦になる車にぞっとしない訳が無い。

フォルテは忌々しげに魔獣を見上げる。

見ればカースマンも目から発せられるレーザーで、そしてフェザーマンも短槍の刃先からの衝撃波で攻撃するが魔獣が動じる気配は一向に無い。

「有効ナ手立テ無イカ・・・・・!!」

「チーフ!このままではこちらがやられます!!」

「ちい・・・・このデカブツ野郎が!!」

容赦無く襲い掛かる魔獣に三人が身構えた時であった。

「GOオォォォォ!!ダルセニョー!!」

声を張り上げながら馬型ロボのダルセニョーへと跨ったパッショナーが文字通り飛び出してくる。

フォルテと共に基地を飛び出したパッショナーだったが、彼はサポートメカのダルセニョーを連れて来るのを忘れており彼を迎えに行く為に戻っていた事もあっての到着の遅れとなる。

先も言ったが本来であれば装備される筈の武装が届いておらず徒手空拳の彼。

傍から見れば自殺行為以外の何者でもないのだが、その動きは非常に速い。

「馬鹿野郎・・・何を!?」

フォルテが叫ぶのを聞いてか聞かずかパッショナーはテュポンの眼前を横切る。

 

バチバチバチバチッッ!!

 

自らの小回りが利かない事を熟知しているのかテュポンは周囲に無数の電撃を撃ち放ち、動き回るパッショナーを迎え撃つのだが。

「エレメントチェンジ~!!ライトニングモードォォォ!!」

咄嗟に自身の属性を変えたパッショナーは放たれた電撃をその身で受け止めていた。

ニヤリと笑みを浮かべダルセニョー共々、金色に光り輝くパッショナーがその腕をテュポンへと向ける。

「お礼を言うでありますよぉぉぉ!!出力最大で放つぅぅぅ!!ライトニングゥゥゥ!!アロォォォォォ!!」

正しく雷光の矢と表現する他無い一筋の光がテュポンの頭部へと叩きこまれる。

「グオォォォォォ!!」

苦悶の声を上げるテュポンの姿にフォルテは驚く他無い。

今まで自身が有効打を与えられなかった敵に一撃を決めたパッショナー。

まだまだ動きも単調だが、本来与えられる武装を手にし経験を積めば更に強くなるかも知れない。

正直な所、先の戦闘訓練で拍子抜けしたところもあっただけにフォルテは彼を内心で見直したのだが。

「押忍!!見たでありますかぁぁぁぁ!!自分の力をぉぉぉ!!」

馬上でガッツポーズを決めるパッショナー。

「ヒヒーン!!」

そんな彼に警告する様に声を上げるダルセニョーだがもう遅い。

 

ズサァァァァァァァッッッ!!

 

「なんと!!ダルセニョー!!ブレーキでありますぅぅぅ!!」

自身の眼前を倒壊したビルが塞いでいるのに気づき声を上げるパッショナーであったが、勢いが付き過ぎたダルセニョーはそのまま瓦礫の山に突っ込んでしまう。

 

ズドォォォォンッ!!

 

辺りに散乱する瓦礫の中に一人と一頭の姿が消えてしまう。

これはテュポン相手に一撃を決めた事で調子に乗ったパッショナーのミスであるが、サポートメカであるダルセニョーの方ももう少し場数を踏んでいれば今の事故は防げたかも知れない。

「・・・・・・」

カースマンが困惑気に見てくるが、フォルテもどうコメントをすれば良いのか分からない。

勝手な自滅で脱落したパッショナーはさて置きである。

己に一撃を見舞い少なからずの損傷を与えた敵が一瞬で現れ一瞬で消えた事もあり、真下の瓦礫の山を見渡していたテュポンであるがそれの捜索を諦めた再びフォルテ達に視線を向けた時であった。

 

ドオォォーーン!

 

突然起こった爆発に魔獣の体が僅かながら仰け反る。

フォルテが振り向くとそこには慌てて後を追いかけてきたバラードの姿があった。

「フォ・・・フォルテェ・・・!!いくらなんでも走るのが速すぎッス!!」

肩で息をしながらバラードはフォルテに言い放つ。

「遠くから見えていたッスけど・・・どんなに風で攻撃を逸らせても爆風だけは防ぎきれないッス!」

そう言うや否やバラードは宙に浮く魔獣目掛けバラードクラッカーを連発する。

風で遮れ方向こそ反れるものの爆発により確実に魔獣に手傷を与えていく。

嫌らしい事にバラードの放つ炸裂弾は微妙に方物円を描いておりしかも適当に連発したうちの一発が魔獣の頭部に直撃する。

「グォォォーーー!!」

魔獣の体が大きくぐらつくと魔獣の体を覆っていた風が消えてなくなる。

無論それを見逃すフォルテ達ではない。

「今度こそ・・・!!喰らええぇーーーーー!!」

フォルテの渾身のチャージショットが魔獣の頭部に直撃する。

パッショナーの一撃を受けた箇所へと叩きこまれた一撃は更に傷口を広げていく。

「今ダ・・・カースビーム!!」

「行くぞ!ジャベリンシーカー!!」

カースマン、フェザーマンもそれぞれ攻撃を仕掛ける。

立て続けに爆炎が魔獣の体を包み込みこんで行くが。

 

グオオオォォォォーーーーーーンンンンッッッ!!!!

 

辺りに響き渡る魔獣の怒りの咆哮・・・そしてそれに呼応するかの如くますます嵐が激しくなる。

先ほどよりも遥かに強力な風の鎧を纏いながら魔獣は怒りの形相でバラード達を睨みつける。

「本当に・・・化けものッスね」

その言葉にフォルテが突っ込む間も無く巨大な竜巻がバラード達に襲い掛かる。

「うわああーーー!!!」

全員なんとか避けたと思ったのも束の間、フェザーマンが横薙ぎの強風に煽られそのままビルの壁面に体を強かにぶつける。

「フェザーマン・・・!!大丈夫カ・・・・!?」

「チ・・・チーフ・・・」

先ほどの衝突で頭部を打ったのだろう。

朦朧とした様子で口を開くフェザーマンにカースマンは手を挙げそれを制するのだが。

「ち・・・チーフ。俺の事はともかく早くあいつを・・・!」

「アア・・・分カッタ。オ前ハ、一旦サガレ」

仲間の無事を確認しカースマンがテュポンを睨み据える。

フェザーマンとてワイリーナンバーズなどに匹敵する性能を持ってはいる筈だが、気象兵器たるテュポンが巻き起こす嵐はロボットですらも簡単に破壊出来るだけの力がある。

「全く何て性能だ。ジジイが基地の防衛に当たらせてるメカよりも強いんじゃねえか?」

「まあ政府軍が造ったみたいッスから。うちと違って潤沢な資金があるんじゃないッスか。羨ましい限りッス」

フォルテの悪態にバラードが溜息を吐きながら言う。

それを確認すると強風を全身に浴びながらバラードは魔獣の前に仁王立ちの格好で立ちはだかる。

「ケッケッケッス!俺らワイリーナンバーズをなめると痛い目を見るッスよ!!」

ニヤリと笑みを浮かべたバラードの姿は一瞬で消え去る。

 

ドゴォォーーン!

 

そして次の瞬間魔獣の頭部が再び爆風に包まれる。

一瞬の間にビルの壁をよじ登ったバラードがバラードクラッカーを放ったのだ。

「台風の目で思い出したッス・・・!その中心には風がない・・・つまり上から攻撃すればッス」

「グォォォーーー!!」

魔獣はビルごとバラードを吹き飛ばそうとするが既にバラードは地上に降り立っている。

「さあ!反撃開始ッス!!」

倒壊するビルを背にバラードがフォルテに叫ぶ。

「うるせえ・・・言われなくても分かってる!」

バラードが意気揚々と言うのにフォルテもまた茶々を入れる。

「よし!!行くぜぇー!!」

「うおりゃあああーーーッス!!」

二人は魔獣に向かって見据えるとそれぞれ一気に動き出した。

・・・のだが。

 

バキッッッッ・・・・・・!!!

 

今まさに魔獣に向かって動かんとしていた二人だったが・・・・。

二人は丁度、鏡合わせの様に横に動いた為にお互いの首にラリアットをかます形で地面に突っ伏す。

「てめえ・・・・!!」

「気をつけろっス!!」

立ち上がったフォルテとバラードは瓦礫が顔に張り付いたまま睨み合う。

こんな状況であっても戦闘でのお互いの相性は最悪だった・・・・・・。

「・・・・・・」

困惑した様にカースマンが振り返って来るのもあってフォルテの顔が真っ赤になる。

「い・・・今のはこいつが悪い」

「ふざけんなッスよ!!悪いのはお前の方ッス!!」

互いに歯を軋ませ先程の様にならないとばかりに距離を取る二人だったが。

バラードが炸裂弾を放てばそれをフォルテのバスターが相殺する形で放たれる。

フォルテがダッシュで回り込もうとすればそこに罠として仕掛けられた(と言うか時限式に爆破して相手に注意をひかせる為に設置した)バラードクラッカーがフォルテを吹き飛ばす。

バラードが動いた際にはフォルテが跳ね上げた瓦礫がその行く手を阻む。

「てめえぇぇーーーーー!!ふざけんなぁぁ!!さっきから俺の邪魔ばっかりしやがって!!」

「それはこっちのセリフッス!!さっきから俺の仕掛けた罠をどうして壊しちゃうッスか!!」

魔獣をそっちのけで睨み合う二人の兄弟。

それはあっと言う間に取っ組み合いの喧嘩へと発展しかける。

「・・・・・・」

再度、彼らを見据えるカースマン。

心なしかテュポンの方も待っていてくれるように思えるのは気のせいだろう。

「いっつもいっつもガキ扱いしやがって!!ちょっとばかし早く生まれたぐらいで調子に乗るなぁ!!」

「ガキにガキって言って何が悪いッスか!!大体お前はもっと年長者に対する礼儀ってもんが・・・・!!」

まるでマンガの様に砂埃を上げながらぐるぐる転がる二人。

「あっ!そういやこの前貸したCD返すッス!!後こないだの五百ゼニーも返せッス!!」

「今はそんな事関係ねえだろうが!!」

両者とも肩で息をしながら兄弟はお互いに一歩も引かずに顔を合わせる。

 

グオオオォォォォーーーー!!!

 

先程から無視されていた魔獣が上げた咆哮に二人は漸くテュポンの方を見た。

「・・・・・・オ前ラ。喧嘩ハ後デヤレ」

テュポンと同じくすっかり蚊帳の外に置いてかれてしまっていたカースマンも唸りながら、二人に思わず注意をしていた。

「・・・チッ」

「・・・ッス」

それを聞いたかどうか二人はテュポンの方に身構える。。

「そういやこいつと戦ってたんッスねえ・・・・」

思い出した様に口を開くバラードに

仕切り直しとなるが状況は圧倒的に不利としか言い様がない。

バラードらの攻撃である程度ダメージを与えたものの、テュポンは弱るどころか一層勢いを強めて襲い掛かってくる。

上空を飛び全身を覆う風の鎧でもってテュポンは殆どの攻撃を無力化させてしまう。

先程のバラードの様にビルをよじ登り上空から攻撃をする手もあるが気づけば周りの殆どの高層物はなぎ倒されている。

彼ら二人は魔獣に対して有効な手が無い・・・正に手も足も出ない状態なのである。

「ガウッ!ガウッ!」

そんな折、フォルテの目の前に一体の狼が姿を現す。

「ゴ・・・ゴスペル!!今まで何処に行ってやがった!!」

「ゴスペルッ・・・!!その手があったッス!!ゴスペルブーストで空からあいつを攻撃ッス!!」

「うるせえ!!てめえに言われなくても分かってらあ!!」

フォルテはゴスペルと合体すると漆黒の翼を纏いし姿ゴスペルブーストへと姿を変える。

そしてそのまま合体しブーストを全開に魔獣に向かって飛んでいく。

「これでなんとか勝算がありそうッス!!よ~し!!俺は下から援護ッス!!」

そう言うとバラードも弟に追いかける様に魔獣に走り出す。

ゴスペルとの合体により飛行能力を得たフォルテは魔獣の上方へと回り込みチャージショットを浴びせ続ける。

「オラオラッ!落ちやがれ!!」

「グォォーー!」

文字通り翼を得たフォルテからの攻撃に先の勢いはどこへやら防戦一方へと追い込まれる魔獣。

フォルテのスピードに真空波も竜巻も文字通り空を切る。

その上、地上にいるバラードやカースマンによる容赦の無い攻撃が加えられるのだからたまらない。

バラードはフォルテの攻撃により一瞬弱まった風を見切りその間を縫う様にして攻撃を加える。

「ガアアァァァァーーーー!!」

だが魔獣もこれで終わる事は無かった。

魔獣の一対の角が光ったかと思うと次の瞬間稲光となって上空を飛んでいたフォルテに襲い掛かる。

「ぐわあぁぁぁーーーーー!」

フォルテの絶叫が空に響き渡る。

雷の直撃を受けたフォルテはそのまま地面に向けて真っ逆さまに落ちる。

「そう言えばパッショナーに雷を落としていたのを忘れていたッス」

如何に高速で動けようとも光より早く動くのは不可能だ。

バラードは唇を噛み締めると地面に激突したフォルテの元へと走り出す。

「フォ・・・フォルテ!!無事ッスか!?」

「うるせえ・・・!!てめえに心配される筋合いはねえ」

落雷と落下のダメージで立ち上がれる動作さえ緩慢だが減らず口を叩く弟の姿を確認するとひとまず安心するバラード。

バラードは後ろをちらりと見てそしてフォルテにニヤッっと笑みを浮かべる。

そしてその刹那。

 

ドンッッ!!

 

「グッ・・・!!てめえぇ!!」

くぐもった声と共にフォルテの体は数メートル吹き飛ばされる。

バラードはいきなり立ち上がったばかりのフォルテを蹴り上げたのだ。

とっさの事に受身も取れずに再び地面に突っ伏すフォルテ。

怒りの形相でバラードを睨みつけるフォルテだったがその顔はすぐに驚愕の表情に変わる。

「なっ・・・・・!!」

バラードは笑った・・・・いつもの様にしまりの無い下品な笑みで。

 

ゴオオォォォォーーーーーーーー!!!

 

次の瞬間バラードの体が竜巻に一瞬にして飲み込まれる。

バラードの体はコマの様に旋回しながら瓦礫の山の中へと突っ込んでいく。

「バ・・・バラードオォォーーー!!ちくしょう・・・!!」

叫んだその声は魔獣の発する風の音にかき消される。

如何にバラードが並のロボットに比べ頑強な体を有していようともただではすまないのは明白である。

この世界に住まう者が自然現象に勝てる訳が無いフォルテ自身もそれは理解している。

フォルテと言えども竜巻の直撃を受ければ助かる自信は無い・・・それほどまで相手は強力だった。

彼の心に屈辱とも怒りとも取れる感情が渦巻く。

ダメージの差で言えばフォルテよりもバラードの方がダメージも少なくまだ戦えたはずだ。

それなのにバラードはフォルテを庇ったのだ・・・いや庇われた。

その事がフォルテの胸に言葉に表せないような感情が芽生える。

こんな思いを抱くのは思うにあの時以来だ。

 

 

いつもそうだった。

確かに普段から喧嘩もするし仲も決して良いわけでもない。

しかしバラードは何かにつけてフォルテの事の面倒も見るし面倒事を起こせばその尻拭いもしてくれる。

「・・・・クソッ!!クソッ!!」

宿敵であるロックマンに敗れた事でフォルテは苛立ちを隠そうとせずに拳を地面に叩きつける。

圧倒的な敗北感を少年は感じていた。

宇宙より飛来した未知のエネルギー『悪のエネルギー』を巡る一連の事件。

その悪のエネルギーに手を染め絶大なパワーを得たフォルテはロックマンに戦いを挑んだ。

しかし・・・勝てなかった。

その苛立ちは己への不甲斐なさか・・・それとも。

壁を叩くのも疲れたのか・・・その場に手をつきながらフォルテは肩を震わせながら泣いた。

「よー!!負け犬野郎・・・心気くせえッスね!!」

涙で赤くなった目でフォルテは声の主・・・バラードを睨みつけるがすぐにその顔を伏せる。

「あっちに行きやがれ・・・!!」

フォルテの言葉を聞いたもののそのままバラードはフォルテの隣に座り込む。

「男ってのは親が死んだ時かタンスの角に足をぶつけた時にしか泣いちゃ駄目ッスよ・・・・・これはエンカー兄貴の受け売りッスけど」

バラードはなおもケタケタ笑いながら続ける。

「百回負けても百一回目に勝てればそれでいいじゃないッスか・・・・これもパンク兄貴の受け売りッスけど」

ニヤリとしまりの無い笑みをフォルテに向けるとバラードは彼の肩に手を乗せるとその体を引き寄せる。

「大体ワイリー博士なんて何回負けてるか数えられねえっスよ・・・」

「ジジイと一緒にするんじゃねえ気持ち悪い奴だな・・・!!クソッ・・・!!」

「明日一緒に釣りでも行くッスか?気分も晴れるッスよ」

バラードは大きく笑いながらフォルテの肩を叩くとその場から去っていく。

フォルテはその後姿をただ見つめる事しかできなかった。

その後の事である・・・バラードが生まれた当初、自分に勝るとも劣らない問題児だった事を他のナンバーズから聞いたのは。

「出来の悪い奴ほどかわいいってね・・・お前がどう思おうと俺から見たらお前はガキだし弟には変わりねえッス!!」

いつの日かバラードが基地への帰路に言った言葉が脳裏をよぎる・・・・。

 

 

「てめえ!!よくも俺の兄貴を・・・!!許さねえ・・・!!」

フォルテは兄が身代わりになって助かった事への己の不甲斐なさを怒りに変えゴスペルブーストを最大速度で吹かせながら魔獣へと迫る。

そんなフォルテの眼前で魔獣の角が発光し始める・・・。

(チィ・・・またさっきと一緒か!いくら俺でもこればっかりは・・・耐えるしかねえ!!)

顔を苦虫をすり潰したかのようにしかめるフォルテであったが・・・。

 

ドオンッ!!

 

「ガアアアァァァーーーー!!!」

 

爆炎に包み込まれた魔獣の絶叫が響き渡ると動きが一時的に鈍くなる。

(・・・なっ!!)

驚くフォルテの後方で続けて容赦無くミサイルの雨を降らせるレントの姿が見えた。

因みにと言うかハンジョーを始めとするジョー達も一緒だ。

恐らくここまで彼女を運んできたのだろう。

「遅くなりましたフォルテ兄さん!援護は任せてください!!」

レントの外部装甲から突起物が出たかと思うと次々とフォルテにかつて放った物の数倍はあるかと思われる量のミサイルを一気に放つ。

「ゴアァァァーーー!!」

あまりの猛攻に耐えかねた魔獣の体は風の力を失い地上すれすれの場所にまで降下し始める。

「今です・・・!!イレイザービーム!!」

フェイの胸部が開くとそこに砲塔らしき物が現れる。

前にフォルテとの戦闘テストで放とうとしたが結局あまりの出力に出さずじまいであったあれである。

フェイの白い装甲にほのかに光る青い光が集まり始める・・・。

 

・・・・・・・カッ!

 

あまりの熱量にそれは光としてしか認識できない。

フェイの体から放たれる・・・ジェットキングロボの主砲に勝るとも劣らない巨大な光芒が魔獣の体を焼き尽くす。

放たれたビームは肩口から斜め下に引き裂くように魔獣の体をなぞる。

「グオオオオオオオオオォォォォォーーーーー!!!」

光が収まった後フォルテの目の前に現れたのは光に焼かれ苦しむ魔獣の姿だった。

一連の攻撃で何らかの機能が作動しなくなったのだろう魔獣の体から風が発生する事が無くなっていた。

「今だ・・!くたばりやがれぇーーーー!!」

今が好機と空を飛びながら次々とバスターを放っていくフォルテ、しかし未だに魔獣は動きを止めない。

「・・・・・・・・なに!!」

魔獣は一瞬の隙を突きその巨大な腕でフォルテを捉えると明らかに殺意の籠った目を向けてくる。

「ぐおっ・・・・・!」

 

バチバチバチバチッッ!!

 

テュポンの角が稲光を放ち始め眼前のフォルテを真っ直ぐに捉える。

「フォルテさん!!」

「・・・イカン」

レントとカースマンが叫ぶが間に合わない。

先程はレントの攻撃によって妨害された電撃だが、今度はどうあっても防ぐのは不可能とフォルテも腹を括った時であった。

「シャアアァァァ!!ライトニングモード!!」

眼下で叫ぶ声にフォルテはハッと目を見開く。

今の位置からは見えないが何時の間にか姿を現したパッショナーがその腕を天に掲げダルセニョーと共に宙を舞う。

「ゴァッ!?」

突然の乱入に注意が削がれたテュポンの腕が突然爆散する。

「・・・離れるッスよ」

後方より響く声に振り返る事無くフォルテは拘束の力が緩んだ隙を狙いゴスペルブーストの出力を全開にする。

続けざまに放たれるフォルテの光弾とパッショナーの雷撃を逆に頭部に食らい巨大な魔獣は地面へと真っ逆さまに落ちるのであった。

 

ズドォォォォォォォンッッ!!

 

凄まじい地響きと共に地面に倒れ伏すテュポン。

「よっしゃッス!!」

行方不明になっていたクラウドマンに抱えられながら宙に浮かんでいたバラードがガッツポーズを決める。

全身が傷だらけだが少なくとも五体満足で動けているので大丈夫なのだろう。

「てめえ・・・」

死んだと思っていただけに思わずフォルテが声を震わせそうになるが、彼は慌てて明後日の方向を見る。

泣きそうになったのを彼にだけは悟られる訳にはいかないのだ。

「いやあ・・・何だかんだで勝利ッス!!」

ピースサインを作りながら高笑いをするバラードにフォルテはわざとらしく舌打ちをするのであった。

まるで一時でも心配してしまった自分が馬鹿みたいである。

「バラード殿ぉぉぉ!!フォルテ殿ぉぉぉ!!お見事であります!!自分は二人の実力を間近で見れて感動でありまぁぁぁ!!」

ダルセニョーと共に暑苦しくパッショナーが駆け寄ろうとしたので二人が思わず身構えた時であった。

沈黙していたテュポンが上体を起こしたのは。

 

バキッッッ!!

 

無造作に剛腕を振るわれパッショナーがダルセニョー共々、吹き飛ばされる。

「きゃあああぁぁぁぁ!!」

機能停止していたと思っていただけにレントが少女らしい悲鳴を上げる。

大破したも同然のテュポンであったが、不屈の闘志とは裏腹の淡々とした様子で起き上がろうとする。

「お前らレントちゃんを守るぞ!!」

「「イエッサー!!」」

ハンジョーの言葉にジョー達がシールドを持って立ち塞がるも放たれた電撃を食らい一発でノされてしまう。

「・・・無念」

呻き声を上げながら倒れ伏すハンジョー達にレントの顔が恐怖に引き攣る。

冷静になれば既に機能停止寸前の相手なのである。

いくらでも反撃の手段はあったのだが、レントの方はロールアウトしたばかりで経験が圧倒的に足りていなかった。

眼前に迫る巨大な腕を見てその場に縮こまる彼女。

 

ドガァァンッッ!!

 

レントを掴まんとしていた魔獣の巨大な腕が文字通り吹き飛ぶ。

バラードクラッカーによる一撃は厚いはずの装甲を難なく破壊していた。

元より宙に浮かび風の鎧を纏う事で得て来た防御力も既に失われて等しい。

今のテュポンはただ大きいだけの的であった。

「さっさと死んでいろッス!!」

「消し飛べよ!!デカブツッッ!!」

「往生際ガ悪イゾ!!」

バラード、フォルテ、カースマンが放った一撃がテュポンの巨体を大きく後方に吹き飛ばす。

「ゴアアアアァァァァァ!!」

断末魔の咆哮を上げテュポンの全身がバラバラになる。

今度こそ間違い無く動きを止めた魔獣を前にバラードは息を吐くと頭を押さえて蹲るレントの方を見る。

「ううっっ・・・来ないでください!!」

バラードが肩に手を置こうとするも反射的に払われてしまう。

若干の痺れを生じさせる手を見つめバラードは苦笑いを浮かべるしかない。

ややあって漸く落ち着きを取り戻したレントは自分が何をしたのか理解し、その顔を青ざめさせる。

「あの・・・バラードさん。ス、スイマセン」

「いや・・・良いッスよ」

平謝りのレントにバラードは笑顔で首を左右に振る。

フォルテの方はフォルテで鼻を鳴らしていたのだが。

そんな彼らの前にカースマンが近づいて来る。

「・・・なんだよ」

ギロリと鋭い視線を向けてくるフォルテにカースマンは僅かに単眼の光を点滅させる。

「協力感謝スル・・・オ前達ガイナケレバ街ノ被害ハ更ニ大キクナッテイタ」

独特の機械音で自身らに礼を言うカースマンにバラードは頭の裏を掻く。

「ま、たまにはって事ッスね。出来る事なら今度、俺らを見つけてもロボットポリスが出動しない事を祈るッスけど」

「ソレハデキナイ・・・ゾ」

「・・・やっぱり」

自身の言葉にきっぱり断るカースマンにバラードは肩を落とす。

「それにしてもあれ・・・なんでこれ暴れていたんだろう?」

エネルギー切れを起こしたゴスペルにE缶を飲ませつつ、クラウドマンがテュポンの残骸を示し首を傾げる。

結果的に暴走し街を破壊したテュポンだが、政府軍が造った兵器であり本来であればこの様な事をする存在ではない。

「ソモソモ・・・テュポンニアレダケノ長時間動ケルダケノエネルギーハ無イ筈ダ」

クラウドマンの疑問に答える様にカースマンがフルパワーで稼働出来る時間は極めて少ない事を説明する。

「僕やエアーにテング、それに加え軍団のメカを総動員してもあれだけの嵐を起こしての活動は無理だよ」

天候を操る事も条件次第で可能な事もあり、クラウドマンが付け加える。

「じゃあ一体どうやって・・・?」

レントが首を傾げる。

 

「どうやってだぁ・・・?そりゃあこうやってだぁ!!」

 

不意に辺りに響く声。

 

ドスンッッ!!

 

今の今まで気配さえ感じさせずに突如として地面に降り立つは漆黒のローブを身に纏った巨漢のロボット。

バサリとローブの頭の部分を取り去った彼は黒紫色の重厚な装甲に覆われた顔を歪ませる。

「なかなか楽しませてもらったぜ。何とか軍団のガキ共~」

「お・・・お前。一体何者だ!!」

正体不明のロボットにフォルテが声を上げるが相手の方は思い出した様にテュポンの残骸を見る。

「まずは落としモンは回収しねえとな・・・」

 

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッッッ!!

 

ロボットの掌より立ち昇る禍々しいオーラにフォルテが思わず声を上げそうになる。

そしてテュポンの残骸より浮かび上がるのはオーラと同じ色を放つ結晶体であった。

「・・・あれは」

クラウドマンが声を上げる中で水晶体はロボットの腕の中に納まり消失する。

「そこのガキからは俺様と同じ匂いがするがまあ良い。俺様がこの星に来た時、どうやらこれを巡ってひと悶着あったんだろ?」

掌の上で禍々しいオーラを髑髏の形に変えながら巨漢のロボットはほくそ笑む。

「そういや名乗り忘れていたな。俺様の名前はソロー・・・宇宙の破壊者って奴さ」

自らをソローと名乗りしロボットにバラード達が一斉に身構える。

ワイリー軍団の実力者を含む面々に取り囲まれながらもソローの余裕は崩れない。

(この野郎は・・・俺の記憶が正しければ)

歯噛みするフォルテの意図を読んだのかソローが笑みを深くする。

「お前さんの予想通りだよ。ともあれ折角なんだからちょいとばかし付き合えよ」

巨大な腕をわざとらしく振るいながらソローも身構え腰を落とす。

「少しは楽しませろよ。サンゴッドやデューオ程じゃないにしろ・・・この星のロボットと前から戦ってみたかったんでな」

宇宙より舞い降りし暴君はその全身よりテュポンの比ではない圧倒的なエネルギーを辺りに吐き出すのであった。




書いてたら色々と長くなった次第です。
エンカー編、パンク編と続いてきましたがこのバラード編辺りから一話の長さが今回投稿した話分ぐらいの物になってくるんですよね(遠い目

テュポン戦につづいて連戦と言う形でソロー戦に続きます。
旧版だとインターバルがあって後日の事件でとなったのですが、今見るに必要ねえなと思っての連戦です。
ソローに関しては流星のと違いますよ。この時期、ファントムマンもそうですがなんか色々と被ってしまった~なんてこった~な時期でした。本当にたまたまです。
既に台詞の方で色々と正体ばれてますがソローに関しては名前と性格以外は一応オフィシャルの存在でオリキャラとは厳密には違います。
ロックマン8のOPで一緒に地球に落ちて来た方の片割れ・・・です。

雑魚ロボのハンジョー達も頑張ってましたが一発でノされました。
勝手に自爆し過ぎなパッショナーも然り(汗
テュポン撃破は彼らの活躍もあっての事となります。
ともあれ次回はソロー戦、ルーラーズの隊長や悪を感知するあの人も出る・・・筈?
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