ロックマンキラーズ纏め編   作:グルルre

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vol2 意外なる才能

「あの糞ジジイ・・・俺は世界最強のロボットだぞ!!」

目の前の火力を全開にしながら少年は朝っぱらから大声で叫んでいた。

ソローとの戦いでメンテナンスも兼ねて強制的に武装を外された今のフォルテの姿を見たら殆どの者が二度見するであろう。

エストに追い掛け回されて漸く眠りについた彼だが、朝からフライパンを握らされ他のナンバーズの朝食を作らされる羽目になっていた。

十八番と言える戦闘行為が出来なくなった事もあるがエンカーに『今は戦えないからって不貞腐れてる暇あったら何かしろよな』と割かし真顔で言われてしまい、プライドを傷つけられたフォルテは挑発に乗る形で料理をする事になったのだが。

そもそもこのフォルテがある程度の家事が出来るなど誰が想像できようか。

彼のモデルとなったライバルたるロックマンであれば元々が家庭用であった事もありまだ分かる。

もしかすればその辺の影響もあってなのか意外にもフォルテは家事全般をそつなくこなせる才能を持っているのだ。

流石にあのロールやロックには負けるだろうが、人間でいう所の自炊が出来る程度の能力は持ち合わせている。

男所帯のワイリー軍団では極めて貴重な才能なのだが、元来のフォルテの性格もありそれが生かされる事はまず無い。

だが今、状況が状況だけに滅多に見られぬ光景に多くの仲間達が目を丸くしていた。

「とっとと食えよ!!」

人数分の目玉焼きを手際よく皿に盛り付けながらフォルテが叫ぶ。

言うまでも無く接客態度としては最悪だが、いちいちそれに突っかかる者は誰も居ない。

「いやあ噂には聞いていたけど・・・本当だったんだな」

「旨いッス。暫くはお世話になるッス」

驚いた顔のまま卵の黄身を口の中に放り込むメタルマン。

その隣でバラードが満面の笑みで頬張っていた。

「あら・・・やっぱりこれはロックマンの影響なのかしら?貴方、意外に家事も出来るのね。流石はスペシャルワイリーナンバーズね~」

今は白衣をエプロンに変えたエストがスープの入った鍋をテーブルに置く。

エストの一応の褒め言葉にフォルテは鼻を鳴らしそっぽを向く。

相変わらず素直ではない。

「さてさて居候の代金代わりと言ってはなんだけど。私特製スープを召し上がれ~」

何度も言うが普段は男所帯のワイリー軍団にとって食事風景と言うのは皆無である。

味気ないエネルギーパックやE缶による食事に慣れきってしまった反動で、彼らはこの手の料理に殆ど耐性が無い。

殆どのナンバーズが喝采を上げながら朝食を己の胃の中に押し込んでいく。

「流石は世界最高峰のワイリー軍団のロボットね。人間と同じ食事が出来るなんて凄いじゃない」

自分が作ったスープを飲み干す面々にエストもまんざらではない顔で微笑む。

エストの言葉通りと言うか普段の食事風景を示した通り、ロボットである彼らは本来人間と同じ食べ物を食べる必要は無くエネルギーパックやE缶などに代表される物でエネルギーを補給している。

言うまでもなくメタルマンら初期のワイリーナンバーズには、当然の事ながら食事をする機能は存在してはいなかった。

その為、唯一の人間であるワイリーがナンバーズが見守る中で独り食事をすると言う異様な光景が繰り広げられていたらしい。

何とも言えない気まずさに耐えかねたのかは不明ではあるが、ワイリーが出所不明のロボット用消化器官をメタルマンらに搭載したのは三度目の世界征服計画が失敗に終わった頃だったらしい。

ロボット用消化器官・・・簡潔に説明すれば人間を始めとする動物と同じようにロボットが食事が食べられる内蔵装置である。

体内に入った物体を分解する事でエネルギーへと変換するのだが、その効率はエネルギーパックなどに比べ極めて効率が悪い。

だがこれも人間的思考を持つが故なのか効率が悪いと分かっていても癖になった食事は好みとなる訳で。

「毎日料理が出来る程度にウチも潤沢な資金があると良いんだがな」

苦笑いを浮かべるエンカーはインスタントのミソスープを作り始める。

先にエネルギー効率が悪いと言った通り、普段のエネルギーパックと同じだけのエネルギーを確保しようとすると普段の倍以上の食費が掛かってしまうので常に資金不足に苛まれるワイリー軍団には無理な話である。

実際に彼らのテーブルにはフォルテが作った目玉焼きとエストのスープしか料理は置かれていない。

料理と一緒に肩身が狭そうに置かれているエネルギーパックが本来のメインデッシュである。

「今、戦闘行為が出来ないんだったらロックマンの所に行って料理でも習って来たらどうだ?」

「絶対に嫌だ!!てかふざけんな!!なんで俺があいつに料理なんぞ教えてもらわなきゃいけねえんだ!!」

冗談交じりにメタルマンがフォルテに言うが彼は顔を真っ赤に首をブルンブルンと振るう。

「いいよなあ・・・あいつらさ。ロールちゃんに毎日料理作ってもらってんだぞ~」

ナパームマンが遠い目をしながら言う。

そう言えばロックマンを始めとするライトナンバーズも自身らと同じ様に食事をしているのを見た事がある。

出所不明の消化器官だがワイリーはライト博士の研究をパクったのだろうか。

或いは以前にその手の機能を共同開発していた可能性も大いにあると言えよう。

「私が作ったスープを食べられるんだからマシだと思いなさい」

「すいません!!ありがとうございます」

ロールと比べられた事に若干頬を膨らますエストにナパームマンは慌てて頭を下げる。

確かに普段のそれに比べれば今の状況は遥かに良い状態だ。

「ともあれ皆、早く食べなさいな」

エストの声に促される様に一同は目の前の食事を口の中に押し込んでいくのだが。

その中で一人、手にしたスプーンを止め目の前の液体をじっと見つめる存在が居た。

遠目ながら起きてきてからキッチンでせわしなく動くフォルテやエストを凝視していたフィーネである。

「あれ?フィーネちゃん・・・食べないと冷めちゃうわよ」

ニコニコと笑みを浮かべるエストは固まったままのフィーネにそう声を掛けるのだが。

「・・・どうやって」

「え?」

ぼそりと呟いたフィーネにエストとフォルテが首を傾げる。

「どうやってこのスープ作るの?」

少女の言葉に二人は困惑気に互いの顔を見合わせた。

 

 

 

「お主・・・今頃気づいたのか?このワシが普通のロボットを造ると思っていたのか?」

アースの修理を終えた事もあり仮眠を取っていたワイリーは大欠伸をしながらエストらに鼻を鳴らす。

「伯父様・・・あ、あのフィーネちゃんには一体何が搭載されてるのかしら?」

若干早口になりながらフィーネの事を話すのはエストだ。

共に昼食を作る事になり一緒に調理を行ったエストだが、そこで彼女はフィーネの特異性に気づいてしまう。

見た目こそ幼い少女ではある彼女が優秀なのはロボットであるのだからまあ分かる。

だがそれ以上にエストが驚いたのは。

「あれはワシらしからぬロボットじゃろう。お主が察した様にフィーネには学習進化に特化したプログラムが内蔵されておる」

「にしては驚異的よ。多分だけど彼女、一度やった失敗は二度としないぐらいに賢いんじゃなくって?」

「まあ失敗を糧に次の改善を目指すと言うのは他のナンバーズでも出来る事じゃが。あれはそれに特化して製作しておるんじゃ・・・二度目は無いと言う事じゃ

苦笑を浮かべながらワイリーはエストを見る。

ワイリーの言葉通りフィーネの記憶力と他者の動きを参考に自身の物へと取り組む動きはただただ驚愕する他無かった。

当初こそ覚束無い動作で調理器具を手にしていたフィーネであったが、傍らで調理を行うエストの動きを見本にすぐさに己の物へとしていた。

聞けば話題にも挙がったライト研究所に居るロールにも料理をある程度は教えてもらっているらしい。

「フィーネのボディには武器は内蔵されておらんし、一応他のナンバーズには劣る身体スペックとなってはいるが。だーっはっはっは!!自分の体の動かし方を覚えれば見た目とは裏腹の脅威になるじゃろうな」

眉を動かしながら悪の天才科学者は小気味よく笑ったものだった。

「流石にキングの一件もあったんでな。データが取れる前に反逆をされては堪らんから人畜無害な見た目通りの性格にしたがの。まあその性格も一つのリミッターじゃ」

「確かに思わぬ形に進化して反逆されたらとんでもない事になるわよね」

自身が製作したキングに寝首を掻かれた事もあり、フィーネに対しては万が一の防止策を幾つも設けている事を話すワイリー。

「フィーネは学習プログラムの試作機。あれの運用で得られたデータを基に本当の意味での自己進化プログラムを完成させるつもりじゃ」

ほくそ笑むワイリー。

目の前に控える次の計画のみならずこの老人は先の先まで見据えているようであった。

「先の戦いで悪のエネルギーを行使したフォルテからは良いデータが取れた。そして映像で見る事が出来た件の悪のロボットが行った悪のエネルギーを応用したボディの再生能力・・・否、ボディの再構築と言うべきか。それとフィーネのプログラムを組み合わせればロックマンを遥かに超える最強のロボットの誕生じゃあ!!」

高笑いを上げるワイリーにエストも釣られる様に笑みを浮かべる。

「ワシに敵対する者を全て破壊する究極のロボット(仮)の完成がまた一歩近づいたと言う事じゃよ。むはははは・・・笑いが止まらんぞ」

『この伯父はとんでもないロボットを造ろうとしている』と普通であればドン引きすべき所をエストは寧ろ自身の想像を超えていた事に感激していた。

「伯父様。私が大学を卒業したら助手で雇ってくれないかしら?無給で何でもするわよ」

「むはははは・・・お断りじゃあ」

拳を握り締め伯父であるワイリーの手伝いをすると宣言するエストであったが、笑顔と共に断られその場でずっこけそうになる。

「ちょっと・・・なんで」

「弟の大事な娘を犯罪者にする訳にはいかんからの」

「だったらもう悪の天才科学者の姪で犯罪者の身内なんですけど~」

「それでも・・・じゃ」

抗議の声を上げる姪にワイリーは軽く手を払いながら首を横に振る。

尚もエストが食い下がろうとした時であった。

「おいジジイ!!どう言うこった!!あのフィーネとか言う奴は普通のロボットじゃ・・・」

「だ~か~ら~普通のロボットなんぞワシが造ると思ったのか。さっきから同じ事を何度も聞かれると・・・答えるのが面倒だわい」

勢いよく部屋に入って来るフォルテにまた同じ話かとワイリーは面倒臭そうに欠伸をしていた。

そんなワイリーに近寄ろうとするフォルテだが、その肩を後ろから伸びた腕が掴み取る

「フォルテ・・・とりあえずフィーネに謝れッス」

「ゲームで勝てないからって手をあげた時点でお前の負けな」

バラードとメタルマンの二人の言葉からワイリーは事の次第を察した。

何かのゲームでフィーネと対戦をしていたフォルテだったが、学習プログラムの真価を発揮したフィーネが途中でフォルテを圧倒する様になり最後には負けず嫌いな彼が彼女を叩くなりしてしまったのだろう。

歯を軋ませるフォルテだがバラード達の後ろに他のナンバーズも非難めいた視線を向けて立っている事に気づき、その視線を周囲へと巡らせていた。

はっきり言ってかなり分が悪すぎる光景だ。

「負けた時には一応は形だけでもそれを認めるのは大切な事じゃぞ~」

「毎回最後に土下座しているお前が言うと説得力あるな・・・くうぅぅぅっっ!!」

満面の笑みを浮かべ己に諭すように言い放つワイリーにフォルテは地団駄を踏むが他のナンバーズがジリジリと包囲網を狭めていく。

子供同士の喧嘩の延長線の事とは言え負けず嫌いのフォルテがフィーネに謝るのにかなりの時間を要したのは言うまでもない。

 

 

 

「ワオオオォォォォンンッッ!!」

ワイリー基地内での騒ぎは続く。

真夜中だと言うのに響き渡る狼の遠吠えに何人かのナンバーズがうなされる中、それに釣られる様に無数のアニマルロボ達の声が聞こえ始める。

『なんだなんだ?』と自室より外に出るナンバーズが見たのは。

「ニャンニャンニャン!!」

「ガウウウゥゥ!!」

基地内の廊下を走り回るのは一体の猫型ロボット。

そしてそれを追い回すのは修理が終わったばかりのゴスペルと彼に従うフレンダー達だ。

「なんだ・・・タンゴか」

日中の建築現場での仕事もあり疲れが溜まっているストーンマンが興味無さげに言う。

敷地内に侵入しているのはタンゴと言うライト博士が製作したロボットである。

ラッシュ同様に一応はロックマンをサポートするロボットの一つと言えるのだろうが、その猫な見た目同様に放浪癖があるのかあまりライト研究所には居ついている様子は無くこうしてワイリー基地の内部でも見かける時がある。

当初こそワイリー軍団の面々も侵入者扱いし追い払っていたのだが、どれだけ厳重にセキュリティを敷いても侵入してくるので最近では殆ど放置と言う状況だったのだが。

同じアニマルロボの矜持が許さないのかタンゴを見つけたゴスペルは、自身の部下と言えるフレンダー達を従えるやタンゴを追いかけ回し始めたのである。

「・・・程々にな」

眠そうな目でエアーマンがゴスペルに言い放ち自室に戻る。

生真面目なエアーマンですらタンゴに対しこの対応なのだから分かるように、彼らはすっかりタンゴを排除する事を諦めている。

この時点で大半のナンバーズは部屋に戻っていってしまうがその事を気にするゴスペルではない。

「ガルルルルルッッ!!」

「フーーーッッ!!」

壁際に追い詰めたタンゴに威嚇の声を出すゴスペル。

タンゴの方も負けておらず尻尾を逆立たせるのだが。

「ゴスペル~ッッ!!」

背後から響くその声にゴスペルがギョッっとした顔になる。

 

ガシィィィッッ!!

 

その背にのしかかる様にして抱き着いて来るのは本人曰く豹なのだがどう見ても猫にしか見えない姿の少女。

スペースルーラーズの一人であるプルートだ。

「あっ~タンゴだニャ。もしかしなくてもエスト姉ちゃんが無理矢理開けた入り口から入って来たのニャ?」

「ニャ~」

「そうかニャ。そうかニャ~」

笑顔でタンゴに話すプルート。

どうやら彼女はタンゴの話す言葉が分かるらしい。

「キャインキャイン!!」

対してのしかかられているゴスペルの顔は青白い。

見た目とは裏腹に女の子好きと言う一面を持つゴスペルだが、何故かプルートに対しては苦手意識が働くのか基本的に逆らえない関係となってしまっている。

「タンゴはただ遊び来ているだけニャ~。皆で追い回しちゃ駄目ニャよ」

「クゥ~ン」

タンゴを背に乗せ笑みを浮かべるプルートに周囲のフレンダー達も声を上げつつ臨戦態勢を解いていく。

「お前達・・・うるさいぞ」

「・・・ニャッ」

背後から声を掛けられプルートがゴスペルの上から飛び降りる。

どこに行っても相変わらずなプルートに溜息を吐くのは翠色の髪を背に流すの一人の女性。

今しがた目を覚ましたばかりのアースである。

恐らくはフォルテ達と同様の措置が取られたのか今の彼女はアーマーを始めとする武装を外されており、一見すると人間と殆ど変わらない見た目をしていた。

「ニャニャッッ~隊長!!」

勢いよく抱き着いて来るプルートにやれやれと言った顔で受け止めるアース。

甲高いプルートの声に再び何人かが外に出て来る。

その中には当然、ルーラーズの面々も居る訳で。

「ブモッッ~!!た・・・隊ちょ!!」

 

バキィィッッ!!

 

鼻息荒く近寄って来るウラノスだったが、その彼に返答代わりに向けられたのはアースの拳であった。

潔癖症で男嫌いと言う性格の彼女に不用意に近づけばどうなるかと言うある意味で模範的な回答と言えよう。

「ブモォォォォッッ!!」

迫った勢いそのままに壁に叩きつけられめり込むウラノス。

何時もの光景と言うのもあって殆どの面々は彼の事を気にする風も無い。

抱き着いていたプルートを地面に下ろしつつアースは騒ぎのせいで集まって来た面々に目を向け溜息を吐く。

「あらあら~タンゴじゃない。またスパイ活動なの~?」

どさくさに紛れ基地から出て行ったタンゴとすれ違う様に声を上げながら一人のロボットがやって来る。

「あらやだ。隊長じゃないの。南米で怪我をしたって言うから報告がてら見舞いに来たのに元気そうね」

野太い声を響かせながらクネクネした動きで一同に近寄るのは、半魚人の姿をしたロボット。

彼らスペースルーラーズの一人で現在は主に地球の方で活動しているネプチューンだ。

その見た目とは裏腹にオネエな彼だが、水中戦においては軍団屈指の実力者である。

「・・・心配かけたな」

「まあアタシはワイリー博士を信頼してるから。何だかんだで無事だと思ってたわよ」

苦笑を浮かべるアースにネプチューンは笑みで返す。

「それはそうとワイリー博士居る?そうじゃなくても古参の面々で知ってる人がいると良いのだけれども」

そう言って後ろの方を指差すネプチューンにアース達は首を傾げる。

そこに並び立つのはアースにとって見覚えが無い三人のロボット達。

「ウキッッ!!」

「やっと帰って来た~!!」

基地に入るなり三人で輪になって泣き始めるロボット達は動物を思わせる姿をしていた。

(サルにブタになんだ頭に食器の様な物を乗せた存在は・・・それと少し臭い)

アースが困惑気に顔をしかめる中、メタルマンとエアーマンら古参の面々が電子頭脳内の情報を検索し始める。

「さまよい続けて早2年近く・・・ようやく」

「あー・・・」

感極まる三人とは対称的に一同の態度は冷淡そのものだ。

「お前ら誰だ?」

「そんな~!!忘れてたなんて酷いウキッッ!!」

面倒臭げな顔でフォルテが面々が抱く想いを代読した事でズコッと同じタイミングでひっくり返る三人組。

「む・・・貴様らは確か・・・どこかで」

「はいはい。データにありましたよと。お前らは・・・」

思い出したかのようにパンクが腕を組む隣でメタルマンが手を叩き彼らの事を説明しようとするのだが。

その次の言葉を待たずして三人組が動く。

「ウキッー!!俺っちの名前はバスターロッド・G!!」

「俺様の名前はメガウォーター・S!!」

「じ・・・自分の名前はハイパーストーム・H!!」

「「「三人揃って!!メガ・ガンダーラーズ!!」」」

と各々ポーズを決める三人だったが。

「・・・・・・」

やはりと言うかナンバーズ達の反応は実に冷たい。

「・・・で誰だよ?」

呆れた様に放たれるフォルテの言葉に三人がその場に崩れ落ちる。

「酷いウキッッ!!」

「受けなかった・・・」

「うう・・・」

項垂れる三人は一旦放置して軍団内での古参メタルマンに一同の視線が集まる。

「こいつらが自分で名乗ったけどメガ・ガンダーラーズ・・・正式にはMWN(メガワールドナンバーズ)って言うんだが。見て通り西遊記をモチーフに製作されたナンバーズだ」

「まあ完成直後に『命令通りロックマンを倒しに行く』と基地から出撃したのを最後にそのまま行方不明になってな。私達もすっかり忘れていた」

メタルマンとエアーマンが経緯を説明し始める。

これらはロールアウト直後にワイリーが口頭で彼らが生み出された理由を説明した際に起こった事であり、まあまだ暴走しなかっただけマシだと言えよう。

ともあれ完成してから勝手に出ていくまで基地内に居た時間は僅かに数時間。

それ故にメタルマンらも今の今まで彼らの存在を忘れていたのである。

「アタシが経営している海の家の近くで動けなくなっていてね。あまりにも可哀相だから少しエネルギーを分けて上げたんだけど、話を聞くと自分達はワイリー軍団だって言うからここに連れて来たのよ」

ネプチューンが彼らを発見に至った経緯を説明する。

因みにだがルーラーズの中で水中戦を得意とするネプチューンは共に地上の方がその特性を生かせるマース同様に地球に滞在している。

彼が経営する海の家は情報収集の場と言う名目で設けられたワイリー軍団の資金調達の施設なのだが、意外な才能があったと言えるのか経営の方は繁盛しているらしい。

「なんじゃ・・・騒々しい」

場が騒がしくなって来た所でワイリーが眠そうな顔でやってくる。

「あ、ワイリー博士。海の家での売り上げよ~ん」

ワイリーを見つけるなりネプチューンがゼニーが入った封筒を手渡す。

それを見て何人かが反応を示すがあっさりと渡されたので中身を確認するに至らず。

この辺の金の管理がしっかり出来ると言う点もネプチューンが海の家の経営を任されている理由の一つと言えよう。

「ワイリー博士!!迷子になって早数年、色々とご迷惑かけましたがウキッッ!!」

「ネプチューンの協力もあって何とか帰還しました」

「あ・・・改めてよろしくお願いします」

彼の顔を見るなりガンダーラーズの三人も表情を輝かせるのだが。

「・・・・・・」

文字通り目が点となったまま三人を見つめるワイリー。

その顔を見るなりメタルマンらは嫌な予感を脳裏に過らせるのであった。

そしてそれは的中した。

「お前ら・・・誰じゃ?」

メタルマンら同様にすっかり彼らの事を忘れていたワイリーのその言葉に三人が凍り付く。

「酷い!!酷すぎるウキィィィィ!!」

泣きながら手にした如意棒を伸ばすバスターロッド。

意図的な物ではないのだが廊下に設置されていた監視カメラが破壊される。

残りの二人はショックのあまり固まったままだ。

「博士・・・キングの時もそうですが」

「造ったロボットの管理ぐらいちゃんとしてください」

ジト目のメタルマンとエアーマンに指摘されワイリーが呻く。

すっかり忘れられていた三人だが当のワイリーも忘れ果てており、彼らに説明されて漸く思い出した程である。

「お主ら・・・勝手に出て行って帰ってこなくなるんじゃもん。ワシの管理云々を問われても知らんぞ」

明後日の方向を見ながらワイリーが勝手に拗ねる。

この男の辞書に懲りるの文字は無いと言う事か。

ともあれとワイリーはバスターロッド達の姿を改めて見る。

エネルギー切れで倒れていたと言うがボディの所々で汚れなどが目立つ。

見た所、緊急性は無さそうだが中身の方も幾つかで不具合を起こしている可能性も大いにある。

「とりあえずじゃ・・・メンテナンスをせねばの。お主らワシの後についてこい。次の世界征服計画の前にお主らが帰って来て投入できる戦力が増強じゃあ。むははははっっ!!」

「世界征服頑張るウキッ~!!」

文句を言いつつもワイリーが笑いながらバスターロッド達を引き連れてそのままメンテナンス室に入っていく。

そんな主と能天気な三人の姿に残された面々は苦笑いを浮かべるしか無いのであった。

 

 

 

そんなこんなで時間が過ぎ去っていく中、ワイリー基地がある都市の空港にて。

「流石に過剰すぎるのでは・・・?」

母国ニホンより派遣された輸送機より降り立つ無数のロボットの姿に溜息を吐くのは治安維持の為にこの都市に派遣されているヤマトマンだ。

「申し訳ありません。しかし万が一の事があれば外交問題となりますので」

ヤマトマンに対し頭を下げるのはガマ大夫だ。

先のキング事件の際にはヤマトマンの副官として戦った彼の後ろで複数のベンK達が隊列を組み始める。

「キング事件の際に大きな被害を受けた国の代表がそのお礼も兼ねて各国を歴訪か。まあ復興ぶりを内外に示す良い機会ではあるが」

そう言ってヤマトマンは見慣れたベンKとも違う足軽の姿をしたロボット達に目を向ける。

自身の戦闘データを基に量産化されたアシガリー達だ。

今回先行量産された者達が運用テストも兼ねてガマ大夫達と共に派遣されている。

「どうも政治的な事は好かんな。まあ儂は儂の役目を果たすまでだ」

そう言ってガマ大夫と共に歩き出すヤマトマン。

「この都市の近くにはワイリー軍団の基地があると聞きます。その為、ロボットポリスにも要請が掛かっていると聞きましたが」

「うむ・・・まあ奴らが動くとは思わんが警戒はした方が良いだろう」

この都市にいるワイリー軍団の面々の顔を思い浮かべヤマトマンは溜息を吐く。

「ヘイヘイヘイ~なんか面白くなってきたね~こんだけ強いロボットが集まるのキング事件以来じゃね?」

ガマ大夫達とは別の輸送機より降り立つのは神話における海神を思わせる風貌のロボット。

欧州出身の高性能ロボットである彼、オーシャンマンはキング事件の際にヤマトマン達と共に戦った人物だ。

着ているアロハシャツもあって勘違いされやすいが老獪な指揮官でもあり、彼が派遣されてきただけでも連邦政府の力の入れ具合が分かると言う物だ。

「各国のロボットポリスも総動員されてる感じね~。確かコサックナンバーズのリングマンもいたんだよね~」

オーシャンマンが言うには既に訪問した国でも今のヤマトマン同様に多くのロボットが護衛の任務に当たったのだと言う。

「やっぱり過剰過ぎると思う・・・」

「ワシも同感ね~」

頭を抱えるヤマトマンにオーシャンマンも同感と肩を竦める。

はっきり言って面倒事としか言いようの無い事だが、それが自分達の仕事である。

「最近妙な事件も多い。その上、南米では行方不明であったキングの姿も目撃されていると聞く。身を引き締めなければ」

己に言い聞かせる様にヤマトマンは手にした槍を握り締めた。




今回よりその回における用語とか設定などの解説みたいなのを後書きに書く事にしました。
あくまでも独自の設定だよって事で流して読んでくださって結構です。

〇フォルテが家事出来る点について。
これは大元であるロックが家庭用ロボットだった事による影響です。
とは言えロック程の万能さは無く、あくまでも自炊が出来る程度レパートリーも少なめ。
フォルテ本人の性格もあってこれ以上の向上は望み薄。

〇フィーネの学習進化プログラムについて
作中でワイリーが語った通り彼女に組み込まれているのは最後のナンバーズになる彼のラーニングシステムの試作品となります。
今の所、影も形もありませんが構想自体はこの頃からあったと言う設定です。
リブート前だとボディだけは完成していましたが、今回のリメイクに伴いまだ出来ていないと言う形に変更しています。
最後のナンバーズのソフト面での試作機がフィーネと言う解釈でお願いします。
まあフィーネも音楽用語で『終わり』を意味するのでそう言う事です。

〇肉食なアニマルロボの序列(笑)について
作中でも描写されてますがプルート>スラッシュマン=ゴスペル>フレンダー達ザコロボとなっています。
この作品では幼女に改変されてますがスラッシュマンはプルートの舎弟w
獣同士の序列は結構厳しいのです。

〇アースの潔癖症について
女性に改変した事もあって潔癖症に男嫌いも加わって面倒臭い人物に。
不用意に近づけば鉄拳がもれなくプレゼントされます(主な被害者はウラノス)、彼が壁にめり込んでいる事からも分かるように並のロボットだと即死レベルの威力と理不尽極まり無い。
某凄腕のスナイパーの『後ろに立つな』レベルと言いますか、半ば反射的に行っている所があるのでとりあえず近づかない方が身の為。
殴る時に自分から触れてるのですがその辺はセーフな辺り結構身勝手な潔癖症です。

〇メガワールドナンバーズについて
彼らの設定は殆どメガミックスから拝借。
ロールアウト直後に行方不明になってしまい今の今まで合流出来ませんでした。
キング事件の際にも他のナンバーズに遭遇しなかった辺り、運の悪さは異常としか言えない具合。
間抜けな三馬鹿ですがその実力はかなり高い設定。

〇ネプチューンについて
キャラ付けとしてオネエにしたら意外にしっくりしたのでリブートしてもそのままに。
こう見えて実は稼働年数はアースよりも長いルーラーズ最年長だがオネエ。
何気に軍団内で水中戦においては最強格だけどオネエ。
キング事件の際にパイレーツマンが近隣の海を荒らした結果、海の家に客が来なくなったので命令されても居ないのに勝手に出撃してほぼ単騎でパイレーツマン率いる軍勢を倒したのも彼。
ロックとフォルテ、ダイブマンや他の水中ロボがやったのは基地に撤退したパイレーツマンの討伐だけと言う何気に一番の功労者となっている。
戦略眼にも優れ色々と出来る人だけどオネエです。

〇ヤマトマンらについて
ベンKは本当はベン・Kだけどバスターロッド達と違って略すとベンになってなんか変なので真ん中の点を無しにして書いてます。
アシガリーはヤマトマンらの量産型。耐久的にはスナイパージョー相当か、手にしたエナジースピアから穂先の形をしたエネルギーを飛ばしてくるのでヤマトマンよりも経済的。
但しエネルギーなので段数に限りあるので経済的なのかやっぱり良く分からない。
機動性を重視してるのでウェイトが軽い耐久性に難あり。
ガマ大夫とガマーンはゲーム通りヤマトマンの副官。
前線に出るヤマトマンに代わって部隊の指揮を執ったりとどっちかと言うと参謀タイプなロボです。

今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。
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