ロックマンキラーズ纏め編   作:グルルre

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vol.4 憂鬱なる者

「ういいいぃぃぃーーーーー!!!」

間も変わらず酔って叫び声を上げるメタルマンを遠目に眺めながらシャドーマンは裏路地へと音も無く歩を進める。

シャドーマンはワイリー軍団の中にあってはダークマン達を指揮し諜報活動を引き受ける立場にある。

こうやって普段変わらぬ様子ではありながらもかなり忙しいのである。

今回もこのまま仕事の続きと言うハードさだ。

そしてそこにある大通りを外れた一軒の飲み屋に足を運ぶ。

 

ガラララララララララッ!!!

 

シャドーマンが店の扉を開け薄暗い店内を見渡すと既に先客は訪れていた。

「あいすまなかった・・・・拙者にも付き合いがあってな」

そう言って先客に向かい合う様に腰を下ろすシャドーマン。

その彼の前に座るのはニホンの雷神を模した姿をしたロボットと長い黒髪が特徴の少女。

「ゴロロロロロロロッ!!この私ライオーマンとこちらの・・・」

「私カルラウーマン・・・ワイリー軍団に参加希望する」

シャドーマンにそう話しかけるのは共にロボットアーミーに籍を置き極東地域を守る為に任務についている筈のライオーマンとカルラウーマンだった。

キング事件。

ワイリーなどに操られたりシャドーマンの様に彼に造られた訳でも無いロボットが起こした最初の人類への反乱。

事件そのものはロックマン達や目の前にいるライオーマン達など人間の側に立ったロボット達の奮闘もありなんとかキング事件は終結した。

一つの事実としてフォルテを始めとするワイリーナンバーズも共闘した事は付け加えておく。

まあ連邦政府は決して認めないだろうが。

ともあれその出来事に人類は大きく狼狽した。

ロボット王が言う人類からの独立、そして理想国家の建国・・・。

それらは不満を抱くロボット達を動かすのに十分な美酒であった・・・ライオーマン達、彼らに相対した者達はそれでも人間は考えは改めると思い戦った。

だが結果としてキング軍団を倒した人間達の横暴は更に増して行く・・・それにどれほどのかつて奮闘した者達が失望したのか恐らくは知りもしないだろう。

その状態をあの悪の天才科学者が見逃すはずも無く現在計画している作戦に彼らを組みこめないかとのワイリーの密命にシャドーマンは日夜、各地でこの様なコンタクトをしていた。

「ふむ・・・・しかし、ライオーマン殿に参加いただけるとは我が主もお喜びでござるよ。それで兄弟機のフウオー殿の方は・・・?」

「フウオーは恐らく無理だろう。あいつは楓の側に付くだろうて・・・せめてエンオーも生きておればあ奴も私同様引きぬけたのだが」

ライオーマンは表情を曇らせながらキング事件で散った兄弟の事を思い出す。

「私も参加するけど・・・・条件がある」

「・・・・・・?なんでござるか?」

不意に口を開いたカルラウーマンにシャドーマンが問い返す。

「テッ・・・・テングマンと同じ部隊に入れてほしい!」

「・・・・・・・・・・」

その言葉にシャドーマンの感情を映さない目がさらに冷める。

「なるほど・・・『あれ』でござるかお主」

「ゴロロロロロロロロッ!!成程成程・・・カルラお主やはりテングマンの事を・・・・」

両者の言葉を受けて顔を真っ赤にしながら指をツンツンと突き合わせるカルラウーマン。

「まあ良かろう・・・ワイリー博士には拙者からそれとなく話しておこう・・・・」

「ありがとう・・・・」

「礼には及ばぬ・・・・拙者は命令をこなしているだけに過ぎぬ」

顔を輝かせて頭を下げるカルラウーマンにシャドーマンはため息交じりに呟く。

「ふむ・・・・それにしてもあのテングマンのどこが良いのやら」

 

バンッ!!

 

その呟きにカルラウーマンが突然、テーブルを叩いたので周りで密談をしていた客も思わず振り返る、

「テングマンの悪口言わないで・・・・!!」

声こそ小さいものの意志の籠った声でシャドーマンに非難の目を向けるカルラウーマン。

彼女に睨まれ思わず目をそらしてしまうシャドーマン。

ライオーマンもやや気まずそうにわざとらしい咳払いをする。

「承知・・・手前が悪かったでござるよ」

完全に調子が狂い、頭を下げるシャドーマン。

冷静沈着な彼の頭脳を持ってしても何故目の前の少女がテングマンが好きなのかが理解できなかった。

ともかく彼らの参戦はありがたい事なのでシャドーマンはその件に関してはそれ以上考えるのをやめた。

そして思う・・・・・。

(次は確かバンデットマンが三番街の酒場にいたでござるな・・・・)

その日、シャドーマンの仕事は明け方まで続いた・・・・。

 

 

<メインメモリーのデフラグ作業を完了・・・・・二時間後に再起動します>

研究施設の一室でコンピューターが音声を発する。

その一室にあるカプセル内で眠っているのはあのカブキマンだ。

「ふう・・・・ここまでは殆ど異常無しね」

白衣に身を包んだ女性が肩まで生えた黒髪をいじりながら一息を付く。

そんな彼に外出先より帰って来たライオーマンがわざとらしく頭を下げる。

「Dr.カエデ。申し訳ない少々、うまい酒があってな」

「ライオー・・・・まったく私だけにカブキマンのメンテを任せないでよ」

絶対に本人には禁句だがもうすぐ三十を迎える歳だと言うのにまるで十代の女の子の様に頬を膨らます彼女の顔には笑いを禁じ得ない。

「ふむ・・・それにしてもカブキマンか。楓よ・・・ニホン政府は我らやヤマト達では満足できんのか」

「まあ私も貴方達の超える様なロボットをおいそれと造れないけど・・・今度の戦闘用ロボット増産計画はキング事件の教訓を生かそうと行われる世界規模のプロジェクト。仕方がないわよ」

寂そうに呟く生みの親の横顔を複雑な表情で見るライオーマン。

ライオーマンの目の前に居る女性の名前はDr.カエデ・・・本名、東条楓(とうじょうかえで)と呼ばれるニホン出身の優秀な科学者にしてライオーマン達の生みの親でもある。

「でもこのカブキマンの設計思想もそうだけど・・・嫌ね。戦争の為だけのロボットを造るなんて」

「楓・・・私はこの世に生まれて感謝しているぞ」

尤も自分は人類を裏切ろうとしているのだが・・・とは言えないライオーマンは内心の思いを胸にしまう。

「ありがとう・・・・」

それに対する返事は少し力が無かった。

「時々、私思うの・・・・何の為に人間はロボットを生み出したのかな~?ってね。友達や家族の様な存在が欲しかったのかしらね・・・その友達を使役してるんだもの怒るのも当然よね」

気遣うライオーマンの前で自嘲気味に口を曲げる楓。

「ちょっと疲れてるんだろう・・・今のは聞かなかった事に・・・・」

力なく笑みを浮かべその場を後にする楓。

そしてカプセルで眠っているカブキマン・・・彼は一体どんな夢を見ているのだろうか。

そのカブキマンを複雑な表情でライオーマンは静かに見上げた。

 

 

誰もいなくなった一室。

その部屋の隅より影が伸び始め次第に形を形成し、一体のロボットへと姿を変える。

「さて・・・・そろそろですかね」

現れた漆黒の影は深い笑みを静かに湛えた。

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