ロックマンキラーズ纏め編   作:グルルre

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vol8 宿敵達との暑いバトルと出会い?

アース達が海の家で働き始めて二日経った後の事である。

「なんで俺が買い物に付き合うッスか」

ぼやいている傍で荷物が渡されたバラードはそれを持つ他無い。

気分転換に買い物をしようと言うエストとプライドに無理矢理付き合わされた彼は荷物持ちをさせられる事となる。

エストの方は時折怪しげなパーツ類を買っていたのだが、その辺はまだバラードも興味はある。

だがプライドの方はやれ高そうな服だのアクセサリーだの、バラードにとっては一切興味が無い物を買い物していた。

そんな折に後ろの方で何かが慌ただしく動く気配を感じたバラードはエストとプライドを表通りから路地裏に誘導する。

 

ザッザッザッザッザッッ!!

 

表通りを歩くのは西洋甲冑の姿をしたロボット達。

カンパネラ公国が誇るロボット兵、アイアンナイツの面々だ。

ナイトマンの簡易量産型であり下手をするとジョー達よりも強い可能性がある面々と遭遇すればバラードとて彼女を守り切る事は不可能だ。

一見すると警備の一環で巡回しているように思えるが言うまでも無く彼らの目的はプライドの捜索だ。

「うわぁ~これはかなり物々しくなってるわね」

バラードと同じくアイアンナイツの姿を見ながらエストが率直に感想を口にする。

次いで二人に視線を向けられたプライドはビクリと肩を震わせていた。

「て言うかさ・・・なんで逃げ出したのよ?」

エストの率直な疑問にプライドは横を向いたまま黙り込む。

「まあまあ人には言いたくない事の一つや二つ・・・」

場の雰囲気が悪くなった事もありバラードが両者の間に立つ。

バラードもプライドの逃避行の理由は気になるが無理に聞き出そうとするほど野暮ではない。

小さく舌を出しながらエストもそれ以上は追及せずに話題を打ち切る様に笑みを浮かべる。

「さ・・・気を取り直して買い物の続きでもしましょ」

ややあって表通りに出て来た一行は次なる店に入ろうとした時だった。

「さて・・・プレゼントは買ったし後は切っ掛け作りを」

紙袋の中にブティックで買った品物を入れて出て来るのは一人のスーツを着た人の好さそうな青年。

普段であれば互いに素通りするであろうがこの時ばかりは勝手が違う。

「・・・あれ?」

「・・・げっ!?」

互いに声を上げるエストと青年。

「エスト・・・この街に居るって事はやっぱり伯父さんの所に」

「な・・・なんで兄貴が」

「いやそれはちょっとあの子にプレゼントでもって・・・そんな事より!!」

驚きの声を上げる兄妹であったが兄のロウファの方は、妹はさておきとプライドの方に目を向ける。

「貴女はプ・・・プライドッひ!!」

とプライドの姿を見るなり声を上げそうになったロウファであったが、速攻でエストに口元を押さえられそのままブティックの店舗横に連れられる。

彼の額に突き付けられるのはエストが隠し持っていた工具だ。

「兄貴はちょっと黙っててくれるかな?まあ私も理由は分からないんだけど、色々あって彼女の身柄は私達が預かってるの。次いで言うとここで騒ぎを起こしたりこの事を他の誰かにチクったら・・・」

工具を額に押し付けられくぐもった声しか上げられないロウファ。

 

「分解するからね?」

 

分厚い眼鏡で表情は窺えないが口元に不気味な笑みを浮かべエストは兄を脅す。

呻きながらも必死で頷く兄を解放したエストにバラードとプライドは困惑する他無い。

エストの兄なのだからワイリーの身内と言えるのだろうがこのロウファに関しては、先程のやり取りも含めそこらの普通の青年と代わり映えがしない。

若干涙目になっている彼にはバラードとて同情を覚えてしまう。

「と言う訳だから後は宜しくねえ~」

そうエストがロウファに声を掛けて元の道に戻ろうとするのだが。

戻った先に居たのはヤマトマン。

恐らく今回は式典での要人でもあるロウファのボディーガードも兼ねてるのであろう。

「妹であるのは把握していたから何もしなかったが・・・」

本来であればロウファを抑え込もうとした段階で動いたのであろうが、エストがロウファの妹である事を知っていたヤマトマンは傍観に徹する事となる。

「まあそれはともあれだ」

コホンと咳払いをしつつヤマトマンはバラードとプライドに目を向ける。

「ちょ・・・ちょっと待つッス。これには深い訳が・・・」

「・・・もう遅い」

バラードが慌てて弁明しようとするもヤマトマンが指差す方には端末を手にするアイアンナイツの一人が佇んでいた。

「三番通りで姫を発見。ワイリー軍団のバラードと一緒です」

<了解・・・すぐにそちらに向かう>

アイアンナイツが通信を終えバラード達の前に立ち塞がる。

「さて・・・我らが姫。今すぐにでもお帰りくださいませ。でなければ各国の要人のみならず公国に居る父君にも迷惑が・・・」

「い・・・嫌!!」

アイアンナイツの発する言葉を見た目以上に幼い娘の様に声を出すプライド。

「お父様なんて関係無い。私は・・・」

まるで悪い事がばれた子供の様に話すプライドの声は既に涙声だった。

彼女は半ば反射的にバラードの腕に抱き着く。

「助けて・・・お願いだから」

頬から涙を流しながら自身に助けを乞う少女を前にして『自分の所に帰れ』と冷静に言える程、バラードは大人では無かった。

 

・・・ダッ!!

 

プライドを片手にその場から身を翻すバラード。

「あ・・・待て!!」

一瞬反応が遅れたアイアンナイツが追いかけようとするが機動力で劣る彼がバラードに追いつける事は無かった。

「姫とロボの逃避行。何だか面白くなって来たわね」

「・・・・・・」

どこか他人事の様に成り行きを楽しむエストは横目で見てくるヤマトマンをそのままにしつつ、地面に置かれたままの買い物で買った商品をロウファに預け渡す。

「これ後でワイリー基地に届けておいてくれる?」

「ええ・・・てかエストは」

「当然、追いかけるに決まってるでしょ」

嫌そうな顔をする兄に荷物を押し付けエストは足取り軽やかに逃げ出したバラード達を追いかけるのであった。

 

 

 

「かき氷のメロン味を二つ追加であります!!」

パッショナーの大きすぎる声もこの様な場では極めて有用な物となる。

「おらああぁぁぁぁ!!今のご時世になんで電動じゃねえんだよ!!」

勢い良くレトロな手動式のかき氷機のレバーを回しながらフォルテが叫ぶ。

「電動式はよく壊れるんだよ。そもそも電気代が勿体ないのとアナログな方が長持ちするんだ」

海の家にある冷蔵庫からE缶を取りに来ていたバブルマンが言う。

彼は監視員と言う仕事があるのでさっさとその場を後にする。

ネプチューンが経営する海の家の仕事は一言で言えば過酷であった。

まあ別に馬車馬の様に働かされる訳では無いのだが、照りつける太陽の下での接客業はとにかく堪える。

「本当に忙しいねえフォルテ」

「うるせえ!!」

ニコニコと笑みを浮かべるロックが焼きそばを手際よく焼いていく。

ロックに話しかけられフォルテが怒鳴り返すが彼も彼で出来上がったかき氷をトレーを持って来たフィーネに手渡す。

「迷子が五分で三名も増えた・・・全員泣いているから宥める為にとりあえずかき氷を追加で作ってやってくれ」

端末を片手にパンクが困り顔で海の家に設けられた待合室から顔を出す。

因みに今の彼はロック達と同様に非戦闘形態だ。

当初は普段の姿であったのだが、海水浴客に怯えられたのもあって今の姿を維持している。

「ワオォォォンッッ!!」

「ヒヒ~ン!!」

ゴスペルとパッショナーが迷子の情報が表示された端末を首などに掛けながら浜辺を行き交う。

各々が自分で出来る事をしている中。

「・・・・・・」

アースは何もしていなかった。

正確には何もしていないのではなく何も出来なかったのである。

既に言うまでも無く食材の調理は無理。

であればかき氷ぐらいはと思ったのだがカットした氷を二個砂浜に落とした時点で『これ以上は損失になるわ』とネプチューンに止められた。

その上、潔癖症な所もあって接客や迷子の対応など出来る筈も無い。

結局ワイリー基地に居る時と変わらずに完全にぼっちとなってしまう訳なのだが。

「う~ん・・・これはちょっと予想外ね」

遠目にネプチューンがアースの様子を見て思わずぼやく。

アースがその性格故に戦闘行為以外の事がからっきしなのは分かっていたが、ここまで酷いとは思わなかったのである。

ネプチューン自身もモノを作ると言う概念はワイリー軍団に入ってから得た物だ。

自分に出来るのであればアースにも出来ると思っていたのだが、少々甘い考えであったか。

「フィーネちゃんも居るから何とか引っ張ってくれるかなとか思ったんだけど・・・」

自身はアースそっちのけでテキパキと働くフィーネの姿にネプチューンは逆に感心する他無い。

何でも学習進化プログラムの試験機との事だが、元々の性格もあり一度覚えた事は殆ど間違えずに行えるだけの高い適応能力をフィーネは持っている。

まるでアースとは対照的だと考えた所でネプチューンは視線を彼女から逸らす。

勘の良い彼女の事だ。

自身を見ている事で馬鹿にされていると思ってしまうかも知れない。

そこまで考えた所で海の家がある浜辺に見知った人物達がやって来る。

「キャハハハハ!!海だ~水着だ~恋だ~!!」

まずに甲高い声を上げるのはヒートマン。

「お~いお前ら頑張ってるか~」

気楽な様子で一同に手を振るのはメタルマンだ。

そんな彼らと道中で合流したのかアイスマンとタイムマンを荷物持ちにしたロールと同じ様にカリンカの荷物を脇に抱えるのは、潜水艦を思わせる姿をしたロボット。

リングマンと同じくコサックナンバーズの一人ダイブマンである。

先の襲撃事件の後にリングマン一人では護衛任務の荷が重いと判断したコサックの判断で、急遽彼が招集されている。

これはリングマン自身がロボットポリスの仕事がある為であり、コサック個人の護衛にダストマンとファラオマンも派遣されている。

結果として半分のナンバーズが派遣された訳だが、先の式典襲撃を行ったロボットの実力を鑑みるに過不足ではないだろう。

「あら~ロールちゃんに皆、それにダイブちゃんまで~」

クネクネと上半身を揺らしながらネプチューンが面々に声を掛ける。

「どうも~ロックがお世話になってま~す」

「いえいえこちらこそ。ロックちゃんのお陰で大助かりよ~本当にありがとう。後でライト博士にもお礼をしなくちゃ」

ロールとハイタッチをしながらネプチューンは彼女に満面の笑みを浮かべる。

「なんで敵に礼なんてするんだよ!!」

「他の人の倍動けるロックちゃんには倍のバイト代払うに決まってるでしょ~」

ネプチューンの言葉にフォルテが大声で叫ぶがそれも真顔で返され低く唸る他無い。

そんなフォルテにロールは腕を組んだまま得意げな顔で近づく。

「あ~あ~喉乾いたから飲み物頂けるかしら?ロックよりも働ける(自称)のて・い・い・んさ~ん」

「ぐっ・・・てめえ!!」

わざとらしく自身を小馬鹿にした様に口を開くロールにフォルテが額に青筋を作る。

この二人は二人で対ロックとは違う形でいがみ合う関係である。

勢い良く店の机に置かれる炭酸飲料を鼻で笑いながら受け取るロール。

「お嬢様。すぐに休める場所を設置します」

「ありがとうダイブ。それにしてもあのフィーネちゃん。話に聞いていたけど本当にテキパキ動けるのね」

その場に荷物を置くなり早速パラソルを広げようとするダイブマンに礼を言いつつ、カリンカはロボット工学を学んでいる事もありフィーネの動きに興味があるようだ。

聞けば最初は殆ど何も出来なかったそうだが、他の者が行う作業を観察或いは教えてもらう事で短期間の内に出来る様になるらしい。

外部的にプログラムをインストールする訳でも無く、まるで生物が環境に適応し進化する様にである。

(彼女は自分の中で最適化したプログラムを構築して自分に適応している・・・もしもこれが戦闘用ロボットに応用されれば)

絶大な脅威となるのは言うまでも無いだろう。

まして彼女の制作者はあのワイリーなのだ。

恐らくその事を見据えてフィーネを製作したに違いない。

と考えた所でカリンカはロールに呼ばれた事もあり、思考を中断し彼女らの下に駆け寄る。

「アースさ~ん。そんな所で何をしているの?」

ロールに呼ばれアースが気まずそうに出て来る。

「あ、いや・・・私はだな」

戸惑った様に口を開くアースであったが。

「この女、役に立たねえんだよ。俺みたいに簡単な作業も出来やしねえ!!」

鼻を鳴らしながら言うフォルテの言葉がアースの胸に突き刺さる。

一連の事もありすっかり自信を喪失していたアースは一瞬涙目になる。

 

バキッッ!!

 

そんなフォルテにお見舞いされるのはダイブマンが広げようとしていたパラソルの一撃。

「て・・・てめえ!!」

フォルテはパラソルを手に自分を睨み据えるロールに拳を握り締めるが。

「役に立たないとか、そんなの彼女が戦闘用なんだから当たり前でしょ!!だったらやり方を教えて上げなさいよ」

「んだとっ・・・!!」

今にも殴り掛かりそうなフォルテにロックとアースが慌てて止めに入ろうとするが。

「二人はすっこんでいなさい!!」

とロールに凄まれ後ずさるしかない。

暫しの間、二人の口論が続きアイスマンやタイムマンも含め一同は見守る他無い。

見れば周囲の観光客もその光景に釘付けだ。

「もう分かったわ。本当は海を楽しみたかったけど。私がアースさんを仕事を出来る様に鍛えてあげるわ!!」

「やれるもんならやってみな!!この潔癖女が俺ら並に働けるようになったら土下座でも何でもしてやるぜ」

「言ったわね。ついでにケツを棒で叩いてやるわよ!!」

互いに子供レベルの口論となるのをやっぱり一同は見守る他無い。

「ケツバット~ロールちゃんのケツバットだ~。キャハハハ~」

「フォルテ~大人になれよな~まあ面白くなりそうなんでヨシ!!」

ヒートマンとメタルマンの茶々にパンクは深々と溜息を吐く。

「お兄ちゃん。ケツバットってなに?」

その隣で自身に教育上宜しくない言葉を問うてくるフィーネにパンクは呻く。

「フィーネが知るにはまだ早い・・・他の者達に聞いてもいかんからな」

「私は大人だもん!!ケツバットってなんなの~!?」

慌ててその言葉を忘れさせようとするパンクだが、子ども扱いされた事にフィーネが頬を膨らませてくる。

このフィーネもそうだが見た目とは裏腹に負けん気の強い所がある。

ロールと言いどうして女子ロボは気が強いのが多いのかとパンクは内心で頭を抱えるのだった。

 

 

 

一方である・・・現在より僅かに時は遡る。

キングの後継機として造られた『ルーク』のコードネームを持つレントは路地裏でロボットポリスとアイアンナイツ達に取り囲まれていた。

テュポンやソローとの戦いで己の弱さを実感した彼女は、このままではいけないとまずは単身で基地の外に出歩き帰って来る事を目標に外出したのだが。

元より周辺の地理に明るくない事もあって道に迷ったばかりか、運悪く遭遇したアイアンナイツとロボットポリスに不審者として事情聴取を受ける事となる。

「所属と登録IDを確認させてもらえるかな?」

「あの・・・その」

仮に他のナンバーズが居ればあしらう事が出来たのであろうが、その点では彼女はまだその手の事に場慣れしていなかった。

その上、今の彼女は武装を殆ど解除しており殆ど丸腰だ。

果たして自身がワイリーナンバーズであると言うべきなのかも分からない。

黙り込むレントにロボットポリスの一人が端末を手にした時だった。

「ヘイヘ~イ!!ポリスメ~ン。可愛い女の子ロボを取り囲んで何やってるんだYO~。まさか俺っちみたいにナンパじゃないだろうな~?」

文字通り地面を滑りながらやって来るのは真っ黒なボディのタラコ唇が特徴的なロボット。

他のライトナンバーズ同様に街の警備を手伝っているオイルマンだ。

「いや怪しいロボットだと思った訳で」

「怪しいって道に迷ってるだけじゃないかYO~。まあ仕事だって分かってるけどこんな可愛い子が悪い事をしそうなロボに見えるのか~?」

「た・・・確かに見た所、何も武装はしていなさそうだし」

「HAHAHA~じゃあ問題ねえじゃん。あんまり無理矢理な捜査すると警察の評判落ちるぜ」

ロボットポリスにあれやこれやと言い含め、最終的に解放されるレント。

とは言え登録IDの確認はすべきとロボットポリスの一人が口を開きかけたその時だった。

<緊急だ。三番通りにて姫を発見。ワイリー軍団所属のロボットと行動を共にしている模様!!近くにいる者は直ちに応援に向かえ>

「・・・了解!!」

仲間からの通信に血相を変えてロボットポリスとアイアンナイツの面々は走り出していく。

「忙しい奴らだYO~。まあそれはそうとお嬢さんのID確認させてもらってもいいかい?それと連絡先も良ければ~」

ロボットポリス達を見送りオイルマンはレントに気障っぽい笑みを浮かべる。

「ロボットなら皆持ってる筈だYO~。別にお嬢さんがそこらの工場や雇い主とかから逃げて来たロボットでも警察には通報しねえから。まさかワイリー軍団な訳もなさそうだし・・・」

実際に各都市のスラム街には製造元から逃走したロボットなどが潜伏する事例がある。

オイルマンなどは本人が犯罪をしなかったから問題にはならなかったが、長らく行方不明になっており一種の不法ロボットと言う扱いであったのでその辺の事情にも詳しい。

オイルマン自身、レントの事をてっきりこの辺の事情を持つロボットと判断して助け舟を出したのだが。

「あの・・・私」

若干口籠るレントにオイルマンは相変わらずのペースだ。

「おっと女性に対して質問をする前に自分から名乗るのが礼儀だな。俺っちの名前はオイルマン。色々あったんだけどこれでもライトナンバーズの一人なんだYO~」

「私は・・・WKN.003のレントです。だからその・・・ワイリー軍団の一員です」

「ヘッ・・・?あのワイリーが君みたいな可愛いロボ造ったのかYO?」

自身の出自を話すレントにオイルマンは目が点となる。

暫く困惑していたオイルマンであったがすぐさに元の調子を取り戻し。

「まあ細かい事には気にしないYO~。ともあれお嬢さん・・・一緒にお茶でもしな~い?」

そこら辺に生えていた花を取りレントへ差し出すオイルマン。

とにかく気障ったらしい姿だが、何度も言う様にまだ本格的に稼働して日が浅いレントにこの手の免疫は無かった。

「お茶ですか・・・?はい、分かりました!!」

一瞬困った様な顔となるもすぐさにそれに応じるレントにオイルマンは、自分で言っておきながら彼女に不安を覚える。

(こりゃ絶対に夜道を一人で歩かせちゃいけない子だ)

彼自身もナンパな台詞はあくまでも女性への礼儀であり、断られるのが前提で言った所があるのだがそれを言葉通り受け取る彼女にあまりにも無垢だ。

「だったら俺っちが美味しい店知ってるから。すぐに表に出ようぜ」

レントの手を繋ぎながらオイルマンは路地裏から表通りに出ようとする。

店を知っていると言ったが殆どこの街の事は把握していないにも拘わらずである。

ロボットポリスから解放された安堵もあるのか自身に笑みを向けてくる少女にオイルマンは内心で焦りを覚えつつも、顔に何時もの表情を張り付けつつ道を歩くのであった。

 

 

 

「ガーッハッハッハッハ!!ものの見事に作戦は失敗かぁ」

自身らが身を潜める廃工場にて己らを嘲笑うソローにアルゴスがジロリと視線を向ける。

「・・・・・・」

ヴォイドはそれに反応を示す事は無かったが、アルゴスの方は表前こそ感情を露わにしなかったが内心で苛立っているのが分かる。

「ボーンダインが先走ったからだ・・・だが奴を制御出来なかったのは我の責任だと認めおこう」

アルゴスが巨大な目を蠢かせながら唸る。

「それで・・・どうするんだ?今更要人共を襲撃するのはリスクが大きすぎるんじゃねえか?」

個々が圧倒的な実力を持っている面々だが無敵ではないし、あまり事を大きくしすぎるのも本来の目的を逸脱してしまう。

思案する様に唸るアルゴス。

そんな一同の前で闇が大きく盛り上がる。

やがて闇はローブを身に纏った一体のロボットへと姿を変えた。

「全くなんですかあのボーンダインは・・・」

開口一番にファントムマンが言い放つのはその場にいる面々と同じく厄介者への文句であった。

「今回の様な慎重を要する任務には不向きなのでは?」

「それに関しては我の認識不足であったと認めよう・・・それで聞きたいが」

ローブの奥にある瞳を不快気に吊り上げつつ口を開くファントムマンに小さく頭を下げながらアルゴスは逆に問う。

「姫の方はバラードと共にロボットポリスに追われネプチューンの海の家に居ますよ。戦えなくなったあの女も一緒です。まああそこにはロックマンも居ますので留意した方が良いと思いますが」

「海の家・・・?」

ファントムマンの言葉にソローが首を傾げる。

「海水浴を楽しむ者共に飲食を提供する店の事だ。そこにネプチューンが経営するそこに姫が逃げ込み、ついでにアースとロックマン達が働いていると言う事だ」

この星の文化を完全に理解しているとは言い難いソローに補足する形で、今まで黙していたヴォイドが口を開く。

「働いている?ロックマンはともかくあの女、全く以って役に立たないと言うのに本当に石潰しも良い所ですよ」

吐き捨てる様にアースへの文句を口にするファントムマンにソローが豪快に笑う。

「ともあれ・・・その海の家とやらに姫が居るのだな?」

「・・・はい」

アルゴスの問いに頷くファントムマン。

暫しの間、巨大な目を蠢かせていたアルゴスはじっと崩れかかった天井部を見つめる。

「エキドゥナ・・・エキドゥナは居るか?」

アルゴスの呼びかけに応じる様に暗闇に閉ざされた天井部が蠢く。

「アルゴス様・・・お呼びですか?」

巨大な何かが蠢く中でアルゴスはエキドゥナと呼ぶ存在が居るであろう天井部を見つめていた。




何時もの後書きです。
さらっと読み飛ばして頂いて結構です。

〇エストとロウファについて
兄と妹だが常識人なロウファに比べると吹っ飛んでいる妹が際立つ。
基本的にエストの方がロウファよりも力関係で上である。
情けない一面だけが見られがちだがロウファはロウファで優秀なのであしからず。
余談だが彼らの親であるヴァイスもそうだが、ワイリーの名前が『狡猾な』を示す通り、ヴァイス(悪徳)、ロウファ(法)、エスト(悪)となっている。
名前は体を表すと言う感じで思っていただければ幸い。

〇逃避行について
プライドが逃げ出したのは理由があるようだがこの時点では不明。
あまり話したくないようである。
稼働当初よりも落ち着いてきたとは言えバラードもまだまだ青い。
これがエンカーやパンクなら残念ながらプライドは差し出されていた。

〇海の家について
各々が役割分担で働くがアースだけは蚊帳の外。
一応彼女も役に立とうとしたらしいが駄目だったらしい。
ロック達もフォローしたかったが客が来た事もありそちらに手一杯となった。
ゴスペルとパッショナーは迷子の発見及びそれらの情報が表示された端末を首から下げてビーチ内を巡回している。
スリやカメラ小僧にも目を光らせているが、実はゴスペルが水着の客に一番喜んでいるのは言うまでもない。

〇ロールについて
書いてて思ったが自分作品のロールはかなりの強気でツンである。
確かに優しいし実際の戦闘能力はボーンダインに襲われた描写も含め、かなりお察しなのだが。
パラソルを手にフォルテに問答無用だったりととにかく手と口が出る。
仮にフォルテが万全の状態でも対応は一緒だっただろう。
ネプチューンとハイタッチしていたりとワイリー軍団にもフレンドリーだが、容赦は無いと思っていただければ分かりやすいか。
アイスマンとタイムマンは荷物持ちであり、彼女に逆らえなかった様子。

〇カリンカと言うかコサックナンバーズについて
殺すマンことボーンダイン対策の為か、ダイブマンとダストマンにファラオマンと戦闘能力の高い面々を追加で派遣されている。
リングマンはロボットポリスとしての仕事が忙しいので護衛に専念出来ないのもある。
カリンカ個人の護衛は海に行く事もありダイブマンになったようだ。
キング事件の際に対パイレーツマン時に共闘した事もあり、ネプチューンらとの仲も比較的良好となっている。
それとヒートマンとメタルマンは冷やかし半分に来たので、海の家で働くつもりは皆無。
この辺はいかにも彼ららしい。

〇オイルマンと彼女について
リブート前と違う形で出会う事になった二人。
本格稼働した直後と言う事もあり、フィーネとは違う意味で純真な彼女にオイルマンも逆にタジタジ。
オイルマンにとってナンパは一種の社交辞令であり、彼自身もそれで本当にお茶出来るとは思っていない。
リブート前だとアース編はエンカー編よりも過去の話だったのでレントは居なかったのもあって、この辺りは追加及び改変となった。
そもそも今回のではレントはバラードを尊敬してはいるがそこまで恋心を抱いていないので、そう言う意味でもハードルは凄く下がってる。
オイルスライダーで滑って目指せな玉の輿である。

〇アルゴス達について
ボーンダインが登場しなかったのは調整用カプセルに放り込まれた為。
廃工場は都市郊外にある色々あって倒産してから、誰も人が寄り付かなくなった。
お化けが出ると言う噂が多い心霊スポットと化しているが実態はアルゴスらが居た為と言うのが原因。
隠れ家にももってこいだが、ワイリーは既に基地を持っていたので拠点にはしていなかった。
最後に出たエキドゥナは元々はXシリーズに出て来たキャラだったが、設定的にこの時期より活動をしていても問題は無いのでアルゴス子飼いの部下として登場させた。
アルゴスとは同族(厳密には違うが似た様な存在と言う意味)な蛇女である。


今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。
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