ロックマンキラーズ纏め編   作:グルルre

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vol9 心持つが故に

「な・・・成程~つまりはお嬢さん。ええとレントで良いかな?レントは次のワイリーの世界征服計画の要の一つって訳だな」

「はい、そう言う事になります」

成り行きもそのままに全国展開される喫茶店でお茶をした後に街郊外の遊園地でデートと洒落込むオイルマンとレント。

二人は観覧車に乗りながら互いの事を話し合うのだが。

(このお嬢さん。あのキングの後継機なのかYO~。だったら普通に考えて俺よりも強いじゃねえか)

と内心で冷や汗を掻くオイルマンはさて置きである。

「それでオイルさんはライトナンバーズと聞きましたがロックマンの御兄弟と言う事なのですね?」

「HAHA~そう言う事になるな。まあなんて言うか最近まで会った事は無かったけど」

自身への質問にオイルマンは慌てる様に口を開く。

こういう時に見栄を張ったりしても意味は無いと彼は判断し、自身の身の上を隠す事無く話す。

ワイリーの世界征服計画による混乱と破壊の中で気を失い、次に目が覚めた時にはどこの場所とも分からぬ所であった事。

今思うにビルが倒壊した際に瓦礫の中に埋もれてしまい、そのまま瓦礫ごと処理施設に運ばれてしまったらしい。

目覚めた当初は自分が何者なのか分からず一種の記憶喪失状態であり、怪しげな連中に拾われて彼らの機械の整備を手伝わされていた。

彼らはロボットを使った強盗などを行う犯罪者集団でややあって彼らはロボットポリスの手で逮捕される事となるのだが、オイルマンはロボットポリスが踏み込んで来た際に自身も処分されてしまうと思いその場から逃亡。

行く当てもない逃亡劇の末に出会ったのが似た様な境遇でライト博士の下から離れたタイムマンであった。

彼の方は彼で今となっては勘違いだったのだが、自分が失敗作だから捨てられたと言って居たのだが彼のお陰で自分がライトナンバーズである事を思い出す事が出来た。

オイルマンはそんなタイムマンと共にライトナンバーズからはぐれる形で生活をしていたのだが、キング事件の際に迫り来るキング軍団を相手に孤軍奮闘していた際に現地に派遣されたカットマンらと出会う事となる。

結果としてタイムマンの勘違いが判明し、今回漸く家族が一つになった訳だが。

「まあここまで来るのに色々あったけど俺っちは後悔してないYO~。ライト博士も俺っちやタイムを見て泣きながら抱き着いて来たし。いやあ俺っちの生みの親は俺っちらロボットの為に泣けるような人なんだ~って考えると本当に尊敬って・・・あれレントちゃん?」

とそこまで話していた所でレントの頬に涙が流れ落ちている事に気づき、オイルマンは言葉を切る。

「俺っち・・・何か変な話でもしてしまったか」

慌てて彼女を宥めようとするオイルマンの言葉を遮る様にレントの方が抱きしめてくる。

「ふえええぇぇぇんっっ!!オイルさんっっ!!私、オイルさんの話を聞いて本当に感動しました。実は私、この前の戦いで大した活躍も出来ずに居て。次の作戦の主力なのにどうしようって世界征服なんて全然向いていないって思っていたんです。でもそんな私のに比べたらオイルさんの方が凄く苦労して苦しんで・・・わあぁぁぁぁんんんっっ!!」

そもそもたった一人で街に出たのも自分に自信を付ける為であったのだが、オイルマンの話を聞いたレントは自分の境遇に比べれば彼の方が断然重かったと思ったのだろう。

途中から殆ど嗚咽交じりになって何を言って居るのか分からなくなったのだが、とりあえず自分の様な者の苦労話を聞いただけで泣き出す彼女にオイルマンは照れ臭くなる。

次いで言うと思いっきり彼女に抱き締められている事にもだが。

「は~い・・・次」

と間が悪く観覧車が地上に辿り着いた事で一人のロボットが入り口を開けてくるのだが。

「・・・・・・!!」

自身を抱きながら号泣中のレントをそのままにロボットで目だけで訴えかけるオイルマン。

「・・・そのまま延長戦でどうぞ」

そう言われ再び閉められる扉。

相手が空気が読める相手で良かったと思いながらオイルマンは彼女の背中を落ち着かせるように擦る。

「可愛い女の子に涙は似合わねえよ。でも俺っちの為に泣いてくれたのは本当に感謝だぜ」

オイルマンは心優しい彼女に声を掛けつつ、彼女が泣き止むまでそのままの姿勢で居続けるのであった。

「はぁ~お熱い事で」

そんな二人を横目に遊園地で働くロボットは深々と溜息を吐く。

二週目どころか最終的に三週も回る事になる二人なのだが、ロボットことかつてキング軍団の幹部であったダイナモマンはやって来る客を次々と観覧車に乗せていく。

キング軍団に参加したのは自らの意思であったが、無理な改造もあり周囲に電気を撒き散らしてしまう体質になった彼だが、元々が子供好きの性格もあってかロック達に敗れた後は他の面々と違い改心し現在は保護観察中の身である。

確かにロボットへの人間達の対応には不満があったが、何も滅ぼすまではしなくてもと言うのがダイナモマン個人の考えである。

その為、彼個人が行った侵略及び破壊活動はどこか手緩い物となってしまった所があり、それが此度の寛大な処分に繋がっている。

(ライト博士達にも迷惑かけたし頑張らないとな~)

そう言って自身の仕事に集中しようとする彼だが。

仕事の合間にふと向けた視線の先において、遊園地内の池でスワンボートを漕ぎながらロマンチックなひと時を過ごすオイルマンとレントの姿が見えた。

ややあって互いの唇を重ねる二人を見てダイナモマンは思うのだ。

(事故に見せかけてライトニングボルトでもやっちゃおうかな・・・)

幸いと言うべきか仕事の忙しさでオイルマンの頭上に雷が落ちる事は無かった。

 

 

 

「済まないが・・・中の捜査を」

と言いかけて入ろうとしたリングマン以下のロボットポリスの面々だが厨房に居たロールに睨まれ動きが止まる。

彼女の前には両手の指を中心に傷だらけにしたアースが涙目で焼きそばを作ろうとしていた。

「・・・何よ」

ギロリと視線を鋭くしたロールにリングマンは呻く。

「こ・・・この近くで行方不明者に似た者が居たと目撃情報が」

「私達は見てないしそんなの知らないわよ。て言うか邪魔だから出て行ってくれるかしら?」

若干臆しながら話すリングマンに眼光鋭く言い放つロール。

アースに半ば強引に家事能力を身に付けさせると言ったロールだが、アースの方は壊滅的なまでの家事能力の無さには半ば閉口してしまう。

彼女ですらも向いていないと言いそうになったのだが、『それ見た事か』と勝ち誇った顔となるフォルテを見るや彼女の対抗心に火が付いた。

海の家の奥にある厨房を借りるや彼女は付きっ切りで料理を教える事となるのだが。

「そこ焦げてるっっ!!早く裏返して!!」

「わ・・・分かった」

ロールの言葉にアースはすっかり委縮した声を上げて慌てて焼きそばをかき混ぜる。

彼女の指導をし始めて二時間近く、漸くと言うべきか形になる物が出来て来た事でロールは満足げに頷き。

クルリとリングマン達に振り返る。

「とりあえずこれあげるから。邪魔しないでくれます?」

アースが作った若干焦げた焼きそばを数パック程、リングマン達に渡しながら彼とロボットポリスを海の家から追い出すロール。

「あの・・・警部」

「・・・仕方が無い」

「ですがこの浜辺で身を隠せるのはここぐらいしか」

「お前はあそこに踏み込めるのか?私には無理だ」

部下の一人が意見してくるがリングマンはあそこに踏み込んで無事で済む自信が無い。

店先で店番をするロックやカリンカ達も知らないと言っていたのだから、信じる他無いだろう。

『お仕事ご苦労様』とニコニコ笑みを浮かべてくるカリンカに頭を下げながら、リングマンは浜辺を後にしようとするのだが。

そこまで来て彼は自身に先程から背を向け続けているダイブマンの存在に気づく。

「ダイブ・・・お前にはお嬢様の護衛を任せて」

と言いかけてリングマンは言葉を切る。

対してダイブマンは背を向けたまま無言だ。

「・・・おい」

「お・・おぅ。ご苦労さん。なんて言うか色々と大変だな。要人の護衛ばかりか行方不明者の捜索だなんて・・・姫と一緒に居る野郎とか見つけたら俺も通報するから」

背を向けたまま若干棒読みで話しかけてくるダイブマン。

リングマンは見ない形となったのが彼の後ろでロックとフォルテの顔が引き攣る。

次いで言うとパンクの眉も動き、バブルマンが小さく舌打ちをする。

(行方不明になったのは少女とだけしか言っていないんだがな・・・成程)

嘘をつくのが苦手な様子のダイブマンは悟られまいと必死なあまり逆にばらしてしまう結果となる。

「警部殿ーー!!ここには姫様なんて居ないであります!!」

敬礼をしながらパッショナーが口を開いて来るが速攻でバブルマンに黙らされる。

ともあれその場では事を荒げるつもりはないリングマン。

(まあワイリー基地に居られるよりかはまだマシだろう)

と言うのがリングマン個人の考えだ。

「ダイブ・・・お嬢様と一緒に居る方々もよろしくな。とりあえず・・・後でまた来る事にするが馬鹿な事は考えるなよ」

相変わらず背を向け続けている彼の肩を叩きそう囁きながらリングマンはその場を後にしていた。

数分ほどして彼らが居なくなったのを確認したのもあって、海の家の中から顔を出すのはバラードとプライドだ。

「ちょっとアンタら、馬鹿じゃないの!?」

真っ先に噛みつくのはロールだ。

手にしたスイカ割り用の棒でパッショナーを張り倒した後、彼女はダイブマンに詰め寄る。

「いやだって俺にはそう言うの無理だって・・・」

ダイブマンは両手を広げながら言い訳をする。

コサックナンバーズで最も巨漢の彼だが、やはりというかロールには敵わない。

「まだ強引に踏み込んでこないだけ良心的だった・・・と考えた方が良いわね」

どこか諦めがちに口を開くのはプライドだ。

「リングマンの事だから今回だけは見逃してくれたのだろうけど。恐らくこの周辺は固められたと見るべきね」

「・・・と言うと?」

「つまりは今からワイリー基地に隠れる事は無理だって事。そしたら速攻で確保されるに違いないわ」

カリンカの言葉に質問をしたロックを含め全員が苦笑いをする他無い。

ロボットポリスに追われたバラードとプライドが逃避行の末に辿り着いたのが、奇しくもネプチューンが経営する海の家であった。

様々な目撃情報から場所の目星をつけたリングマン達がやって来たのが、その翌日の朝の事である。

「あのリングマンは多分だけどナイトマン達を呼びに行ったのよね」

自嘲気味に笑みを顔に作りながらプライドはその場に座り込む。

「ねえねえ・・・どうせならお姫様も海を楽しんだら?」

ネプチューンの言葉にプライドが首を傾げる。

「逃げ出した理由はさて置きもう連れ戻されるのは確定したんだから、限られた場所と時間を使って遊ぶだけ遊んじゃいなさいな。普段はこうやって好きにする事も出来ないんでしょ?」

続けざまに言い放たれる言葉にプライドは困ったように唸るのだが。

暫しの間、考え込んでいた彼女だったが意を決した様に頷く。

「ええ・・・そうね。こうなったら遊び倒してやるわ!!」

と拳を握り締めた所で黒塗りのリムジンが海岸前の道路に停まり、中からエストとロウファが買い物袋などを手に出て来る。

当初は単身でバラードらを追いかけたエストであったが、ロボットと人間では身体能力の差もあり途中で疲れて休んでいた所をたまたま通り掛かったロウファのリムジンを停車させるとそのまま足代わりに利用し夜通し走った末にこの場所に辿り着いていた。

「え・・・カリンカさん!?て言うかプライド姫も!!」

とロウファが驚くのはさて置きである。

プライドはエストが持っていた買い物袋から水着を取り出すとそれを片手に海の家の更衣室へと入っていく。

「あれ・・・?何が起こったの?」

首を傾げるエストにパンクは頬を掻く。

「何と言うか・・・色々と吹っ切れたみたいだ」

そう言ってパンクはトラブル担当の仕事に戻っていく。

フォルテが面白くなさそうに鼻を鳴らす中、水着姿のプライドが出て来るやヒートマンが勝手に燃えあがるのだが即座にバブルマンに水を掛けられたのは言うまでもない。

 

 

 

「・・・・・・」

何時に無く神妙な顔で氷の塊をかき氷機にセットするアース。

少し前まで氷を手にするなり滑っていた事を考えるとセットできるようになっただけでも十分な進歩と言えよう。

ロールが彼女に料理を教え始めてまるっと一日が過ぎている。

時刻は既に夕暮れとなっており海水浴客も殆どが居なくなっていた。

「後は氷を押さえて・・・このレバーを回す」

ロールやロックに言われた事を反芻しつつアースは慎重に回していく。

下に置いた器に小さくなった氷が出て来るのを見るにアースは満足げに頷くのだが。

「こんなの誰だって出来るっての・・・」

とやはりと言うか悪態を衝くのはフォルテ。

鋭い視線で睨み返そうとするアースだが今は自分が出来た事が嬉しいのかすぐに笑みを浮かべる。

「ど・・・努力すれば出来ない事は無いのだな」

自分で作ったかき氷を口に含み自然と表情が緩む。

「ロール。お前のお陰で多少は作業が出来る様になった。礼を言うぞ・・・」

常に険しい顔を浮かべている印象が強いアース。

逆に最近は戦闘能力を失った事もあり沈んでいた事が多かったのだが、漸くと言うか本来の顔となりつつあった。

「どういたしまして。まあ女性だから絶対に家事が出来なきゃって訳じゃないけど。出来るに越した事は無いからね。アースさんは美人だし色々と勿体ないから」

ロールの方もまんざらでもない顔で微笑むが不意に思い出した様に日中にスイカ割り用に使った棒を慣れた手つきで拾う。

「・・・と言う訳で今からアンタのケツバットね」

「あ?てめえふざけんなっっ!!俺は了承してねえ」

棒を片手に薄笑みを浮かべるロールにフォルテが思わず立ち上がるのだが。

「ったく・・・あの姫と言いお前らと言い互いの立場ってのを理解してやがるのか?まずに俺らは敵同士だ。それをこんな形で馴れ馴れしくしている暇は」

「・・・・・・」

片手を大きく横に払いながらフォルテが言うのをロックは一瞬寂しげな表情を浮かべる。

「この星の言葉で昨日の敵は今日の友って言うじゃないの?」

「だから俺はこいつらと馴れ馴れしく・・・」

ネプチューンの言葉にフォルテが声を荒げようとするのだが。

ロックもそうだだアイスマンと一緒にジュースを飲んでいたフィーネやカリンカらが振り返って来る。

壁にもたれながら無言で佇むパンクも含めこの場においてロック達と積極的に敵対するつもりは無いのが窺える。

自分が孤立無援な状態である事に気づきフォルテが唸りながらその場を後にする。

「馬鹿よね~」

呆れた様に言うロールの言葉はどこまでも容赦無い。

「私もそうだし兄達も同じく貴様を倒しワイリー様の世界征服を達成すると言う事を諦めた訳ではない」

今まで黙していたパンクが静かに口を開く。

彼の言葉にアースがかき氷を作りながら同意とばかりに頷く。

「だが今はその時ではないと私は考えている。お前達と戦うのはワイリー様が次の計画を立てた時だ。ともあれフォルテの様に場所を問わず喧嘩を売るほど若くも無いしな」

最後の方は自嘲気味だったがパンクの言葉が現在のワイリーナンバーズの総意を代弁した物と言えよう。

(でも僕は・・・フォルテや君達とはどんな形にしろこれ以上戦いたくはないんだけどな)

言葉にした所でパンク達の意思を変える事は出来ないのは分かっているだけに口にしないが、ロック自身可能であれば争いは避けたいと考える。

キング事件の際に一時的に共闘したとは言え、自身らと彼らの間には見えない壁がある事を感じてしまう。

まあだからと言って彼らとの和解を諦めた訳ではないのだが。

「・・・あら?もしなくてもアンタは!?」

とネプチューンが驚いたような声を上げたのでロックはそちらの方に顔を向ける。

店先に姿を現していたのは黒紫色の巨漢のロボット。

鋭い眼光と時折全身より放出される漆黒のオーラはロックの様な温厚な者でも反射的に身構えていた。

「き・・・貴様は!?」

練習用に作っていた焼きそばをひっくり返しながらアースが叫ぶ。

その声色には普段の彼女なら決して含まない怯えの念が含まれていた。

「て・・・てめえ!!」

フォルテの方も即座にその場にあった棒を片手に身構えるのだが。

「戦えねえ奴と戦うほど俺様も無粋じゃねえよ。それにしても久しぶりだなネプチューン。そういや南米の方じゃ会わなかったな」

巨大な右手をフォルテに向けつつ戦う気は無いと言う彼はネプチューンの方を向く。

「この星にデューオと一緒に落ちて来た時にはびっくりしたわよ。あの時、私達とは運良く会わなかったけど。ともあれお久しぶりねえソロー」

ネプチューンの言葉に悪のロボットたるソローは小さく鼻を鳴らす。

南米でフォルテらを前に圧倒的な力を見せつけたソローは何を思ったのか単身でロック達の前に姿を現していた。

「この星に来てお前さんらも変わったと聞いていたが成程な。モノを作る概念が無かったお前さんらがと考えるとなかなかに愉快になってやがるな~」

喉を鳴らしながら海の家の経営が板について来たネプチューンと料理を作ろうとしていたアースに目を向けるソロー。

「貴様・・・!!」

侮辱されたと思ったのか焼きそば返しを手にするアース。

だが彼女の強がりもそこまでだった。

「別にやるなら構わねえが・・・戦いとなれば今のお前さんでも俺様は容赦しねえぞ」

圧倒的な殺気を向けられアースの顔が青ざめる。

反射的に後ずさる自身の醜態に彼女は更に屈辱を感じていた。

「まあそれはそうと・・・だ」

アースは捨て置き彼はロックを頭上から見下ろす。

「お前さんがロックマンか?」

「そ・・・そうだけど」

「じゃあ聞くがサンゴッドを倒したってのは本当かぁ?」

「確かに彼とは戦った事があるけど・・・」

自身に質問をするソローにロックは戸惑いながらも答える。

アースらを生み出した異星の文明において最終兵器とされたサンゴッド。

確かにロックはそのサンゴッドと戦い彼に対して勝利を収めている。

彼を目覚めさせたワイリーの制御すら受け付けず暴走し、圧倒的な力を見せつけた彼を一体どうやって倒せたのかロック自身も殆ど分からないと言う印象が強い。

エンカー達キラーズやルーラーズの面々達と繰り広げられたワイリースター内での戦いでワイリーの下に辿り着いた時点でロックの状態は殆ど満身創痍と言える物であった。

普通に考えれば勝てる筈など無い相手であったのだが、結果としてロックはサンゴッドを倒し見事生還を果たしている。

「普通だったら信じたくはねえが・・・そうか。お前さんにサンゴッドは倒されたか」

考える様に唸るソローは暫しの間、ロックを見据えていたのだが。

何を思ったのか彼は掌から一つの水晶体を店のレジに置くや余っていたフランクフルトを指差す。

「代金代わりにそれやるから・・・これとかき氷とか言う奴をくれ」

超エネルギー元素と同質の物体と引き換えではあまりにも釣り合わないのだが、ソローの注文にロックは困惑しつつもそれらを渡すのだが。

「フン・・・まあこれを食べようとしてみたくなる気持ちは分からんでもない」

おおよそこの手の物を食べる姿は似合わないが異星のロボットである彼にも、食事をする機能が備わっている事にロックは共感めいた感情を抱く。

「そういやボーンダインの野郎が派手に暴れやがったみたいだな。まあ俺様個人は不参加だったんだが、予定では式典とやらに集まった要人らを殺すつもりだったのさ」

かき氷を巨大な手で混ぜながら言うソローの言葉にカリンカがハッと表情を変える。

「まあそれもこれもボーンダインが勝手に突っ込んでご破算。俺様よりも暴走する奴が居るとか笑えねえ話だよなぁ」

どこか他人事の様に話す彼だったが一人の少女が前に来た事もあり、怪訝な表情で片目を見開く。

「なんだぁ?この星のお嬢さん・・・質問でもあるのか?」

「・・・そうよ。貴方に聞きたい事がある」

察しの良いソローにカリンカは震えそうになる身を必死で抑えながら息を吸う。

ソローがその気になれば無造作に片手を振るうだけで、カリンカを簡単に殺す事が出来るだろう。

「ボーンダイン・・・その暴走したと言うロボットだけど。あれは私が知っているロボットと同じ声をして私の名前を呼んだ。あれは・・・」

「あいつの事は俺様も知らねえな」

カリンカの問いにソローは首を傾げながら言う。

「まあ俺様はあいつの事を骨野郎と呼んでるがな。中身のコアユニットが骨格だけの姿なんでなぁ」

喉を震わせながらソローはかき氷を食べ終え考えこむ様な顔をしたままのカリンカを見下ろした時であった。

 

ヴヴヴヴヴッッ!!

 

不意にカリンカの後ろで空間が歪むのを見たソローが彼女の胸倉を掴むやそのまま強引に引き寄せる。

突然の動きにダイブマンは勿論の事、ロック達も身構えるのだが。

「ちょっと・・・何!!ロック・・・たすけっ!!」

全員の意識がカリンカとソローに向いた隙を狙ってか今度はロールの悲鳴が響く。

ロックが彼女の方に振り向いた時にはロールの体は空間の割れ目に吸い込まれ消えてしまう。

「なにが・・・ぐむっ!!」

「えっ・・・!?」

アースが声を上げようとするが背後から伸びた腕がその口を塞ぐ。

見ればフィーネも片足を掴まれ空間の割れ目に飲み込まれていく。

一瞬の内に三人がその場より消えた事でソローが大きく舌打ちをするのだが。

「あれ~?何かあ・・・」

そう言って顔を出したエストだが彼女もアース同様にどこからか伸びた手に捕まれ声を上げる間も無く割れ目に飲み込まれる。

 

ヴヴヴヴヴヴッッ!!

 

再度カリンカを捕獲せんと伸びる腕だったが真っ先に反応を示したソローがその腕を掴む。

「誰だ・・・?お前さんはぁ!?」

声を上げたソローであったが、突然自身の眼前に妖艶な美女の顔だけが浮かぶ光景にさしもの彼も一瞬だけ反応が遅れる。

「邪魔よ・・・石になりなさい!!」

カッと光を放った視線を覗き込んでしまった事もあり、ソローの全身が言葉通りの石化の浸食が始まる。

「お前さんは・・・アルゴスの・・・?」

呻く様な声と共にソローが完全に石像と化す中でカリンカの襟首を軽く持ち上げた腕は彼女すらもあっさりと連れ去ってしまう。

その間、僅かに十数秒の出来事だ。

ロックを含めフォルテやパンク達、高性能ロボットが複数人居たにも拘わらず何も出来なかった。

唯一反応を示せたソローもただの石像と化してしまっている。

「あ・・・兄貴っっ!!プライドが・・・」

血相を変えてバラードが外より戻って来るが何が起こったのか確認するまでも無いだろう。

一瞬の内に女性達を攫った存在に何も出来なかった彼らは茫然とする他無いのであった。




何時もの後書きです。
さらっと読み飛ばして頂いて結構です。

〇オイルマンについて
彼もそうだがタイムマンも本当に非常に苦労している。事件のどさくさで行方不明となった彼だが何故ライト博士らの所に帰って来なかったのかと言うのは帰らなかったのではなく記憶が飛んでしまったので自分が何者か分からなくなったからと理由付けした。
タイムマンの方は記憶はあったが開発の経緯から来るコンプレックスから、自分は捨てられたと勘違いしていた所がある。
ロックらとは違う意味で修羅場を潜っている彼だが、とにかくポジティブだが根っこはクールと結構シリアスな性格付けとなっている。
レントの方はソロー戦での経緯で自信を失いかけていたが、オイルマンの苦労に比べればと自信を取り戻した様子。
リブート前とは違う形で良い感じな関係に発展している二人であった。

〇ダイナモマンについて
原典でも無理な改造で人間不信になったと設定されているが、自分作品においてキング事件後に回収された彼はライト博士の手でリミッターをつけてもらい保護観察付ではあるが社会復帰している。
彼自身子供好きと言う性格もあって人類抹殺には乗り気では無く、結果として彼の担当地域の侵攻作戦は手緩い形となってしまった。
この辺は人類と決別した他の幹部とは違う所でその辺の理由もあり、ダイナモマンは処分を免れている。
ライト博士の研究所近くにある遊園地で現在は働いている。アイスマンやエレキマンとも付き合いがある。

〇リングマンと捜査について
バラードとプライドは既に前回ラストで触れられているが海の家に逃げ込んでいる。
作中にある通り翌朝にリングマンがやって来た。
ダイブマンは嘘を付く事が出来ないのもあって、速攻でリングマンに見破られる。
パッショナーの言葉は駄目押しにしかならない。
彼としては事を荒立てるつもりは無い。万が一に強引に押し入って怪我をさせてしまえば大変な事になると言うのとカリンカが居る事もあっての配慮である。
プライドが水着になっての水着回だが尺の都合でカットとなった。

〇アースの家事能力について
ロールによる超スパルタ教育によってかき氷と焼きそば、フランクフルトなどを焼く程度は出来る様になった。
とりあえず加工されている食品を焼いたり煮込んだりする程度は可能となっている。
流石に魚や野菜などの生モノはまだ駄目らしい。
これでもかなりの進歩である。

〇ロックの考えについて
ロックからすると戦いもせずにだべっているこの時間が何よりも大切な時なのかも。
キング事件もあって互いの歩み寄りは見られるが、やはりというか見えない溝が生じているのが現状。

〇ソローについて
突然やって来たが戦うつもりではない。
その気になれば海の家ごと吹き飛ばせる彼だが、サンゴッドを倒したロックに興味をもったらしい。
かき氷の駄賃は超エネルギー元素とかなり吹っ飛んでいると言えよう。
残忍で戦闘狂だが戦えない相手をいたぶる趣向は無いので、フォルテらはガン無視だった。
ネプチューンとはライバルとまでは実力差もあって言えないが、幾度と無く戦いの場で相対した関係。

〇最後のシーンについて
最後の誘拐劇は前回ラストから出たエキドゥナの仕業。
空間の歪みを自在に操り手などの体の一部を割れ目から出して引きずり込む形で相手を拉致したりなど、初見ではまず対応不可能な攻撃を用いる。
睨んだ相手を石化させる力も持っているが効果は永続ではなく個人差はあるが丸一日程続く。
がその間に砕かれたりすると問答無用で死ぬので一撃必殺な技と言えよう。
因みに女性陣を次々と拉致したのは、アルゴスから姫を攫ってこいと言われたのだがどれが姫なのか確認せずに出てきてしまったから。
分からないからとりあえず全員を拉致する辺り、彼女も結構天然で適当な所がある。


今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。
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