ロック達が待ち受ける敵と戦いを繰り広げていたのと同時刻。
「一点突破でありますっっ!!」
ダルセニョーの背に跨り手にしたランスを構え前へ前へと行くパッショナーの動きを止められる物は殆ど居ない。
途上でバリアー発生装置やら防衛用のメカが道を阻んだようにも見えたが、彼は言葉通りの一点突破で意に介する事も無く工場の奥まで足を踏み入れていた。
「ヒヒーンッッ!!」
「・・・むむ!?生体反応ありであります!!」
突如として足を止めたダルセニョーにパッショナーが目を見開く。
ダルセニョーが首で差し示す方向から僅かに生体反応が感じ取れたのだ。
馬上より地面に降り立った彼は足早にその地点を目指す。
ややあって発見したのは何の理由で作られたかは考えたくは無いが、鉄格子が付けられた独房であった。
「扉が開いているであります・・・これはどこに」
と言いかけた所でパッショナーは一角の隅に身を隠す二人の少女を見つけていた。
「自分であります。大丈夫でありますか!?」
「誰かと思ったらパッショナーじゃないの。これでとにかく助かったわね」
反射的に工具を向けてくるのはエストだったが、現れたのがパッショナーであると確認した後は安堵した様に息を吐き構えを解いていた。
独房から抜け出したのは彼女が工具を用いて鉄格子をこじ開けたのだろう。
「見張りはどこに行ったでありますか?」
一応と言うか周囲を警戒しパッショナーが問うのだが。
「それなんだけど私とカリンカを独房に入れたきり見張りも置かずに放置されちゃって。驚く事に持ち物検査も無しよ。鍵は閉まっていたんだけどこれを使って開きそうだったからそのまま開けて逃げようと思ったら戦闘が始まったんで隠れていたんだけど」
首を傾げつつエストが手にした工具を自慢げに見せは為す。
エストの後ろに居たカリンカもパッショナーの姿にホッとした様であった。
「ともあれお二人が無事で何よりであります。女性を守るのは自分のポリシーでありますからな」
相手の対応に疑問は多く残るがともあれと頭を下げるパッショナーにエストとカリンカがクスリと笑うのであったが。
「お嬢様!!大丈夫ですか!!」
パッショナーから遅れる様にリングマンとファラオマンが姿を現す。
それに遅れる様にしてダストマンも息を切らしながらやって来る。
元よりカリンカを救出する為にこの場に赴いた彼らは、パッショナーが道中の防衛用のメカを無力化した事もあり殆ど素通りでここまでやって来る事が出来たのだが、あまりの速度に追いつくのに難儀した様子であった。
ドゴォォォンッッ!!
排水溝を床ごと強引に魚雷でぶち抜きながらダイブマンも顔を出す。
「途中でネプチューンとはぐれるし・・・まあ人質の所に来れただけマシか」
カリンカに駆け寄るダイブマンの後ろで溜息を吐くのはメガウォーター。
敵は水路からの潜入も対策をしていたらしくダイブマン達は水中で警備用のロボット達と戦いを繰り広げる事となる。
道中でネプチューンとはぐれてしまうと言うアクシデントに見舞われたのだが、とにかく前に進み続けるダイブマンを見捨てる事も出来ずにメガウォーターはここまで一緒に付き合う事になってしまう。
そんな彼はさて置き人質の一部を解放出来た事に歓喜の声を上げる面々。
「兎にも角にもこの廃工場から脱出するであります!!」
そう言ってカリンカとエストをダルセニョーに乗せようとするパッショナー。
本人に悪気は無いがワイリー軍団の一人である彼にカリンカの身柄を預ける事にダイブマンらが顔を険しくした時であった。
ガラガラガラガラガラッッ!!
不意に天井部の一部が欠け床へと突き刺さる。
目を見開く間もなく天井部の崩落は彼らの頭上全体に広がり無数の瓦礫が降り注ぐ事となる。
「とんだ事故物件でありますっっ!!」
ダルセニョーに跨ったままパッショナーが手にした楯から光の障壁を発生させる中、けたたましい音と粉塵が辺りに広がる。
パッショナーが展開した障壁はカリンカとエストらを軽々と包み込み天井部の崩落からその身を守っていた。
「ガアアアァァァァァッッ!!」
天井が抜け日が沈んだ空を背に獣の咆哮が響き渡る。
まだ崩落していない別区画の天井部からパッショナーらを見下ろすのは、式典で襲撃事件を引き起こした不気味なロボット。
「カリンカにコサックナンバーズ・・・殺すぅぅぅ!!」
唸り声を上げながら地面に降り立つボーンダインにリングマンらが身構える。
あの後、どの様な処置がなされていたのか分からないがボーンダインの背には強引に引き千切った配線やチューブが垣間見えており、彼はそれを引きずりながら巨大な鎌を振り回していた。
「カリンカ嬢とエスト嬢はダルセニョーに」
ダルセニョーに二人の身柄を任せつつパッショナーが身構える。
「折角の式典の邪魔をする無粋な化け物は自分がボコボコにしてやるであります!!」
追加装備であるコキュートスランスとイージスの楯を手にするパッショナー。
南米での事件の際は装備の開発が間に合わず徒手空拳であった彼だが、今の彼は本来の性能を存分に発揮できる状況にある。
「リング・・・こいつが」
「ああ・・・スカルマンのデータを流用なりして造り出されたコピーロボットだ」
確認する様に問うダイブマンにリングマンが己の推論から導き出したボーンダインの正体を口にする。
「流用・・・?コピーだとぉぉぉ!?」
己を侮辱する言葉にボーンダインが爬虫類の骨を思わせる頭部の向こうで目を光らせる。
「俺を馬鹿にするか・・・俺を紛い物呼ばわりするかぁぁぁぁ!!」
ボーンダインが両手に掴んだ鎌を風車の如く回転させ一足飛びにパッショナーの眼前に迫る。
「ガアアアァァァァァ!!」
咆哮を上げながら鎌を振り下ろすボーンダイン。
あらゆるものを両断する筈の一撃はパッショナーのイージスの楯によって受け止められる。
「・・・!?」
目を見開くボーンダインにパッショナーがニヤリと笑う。
「自分の持つイージスの楯はあらゆる攻撃を防ぐでありますよぉぉぉ!!」
バチンッッ!!
イージスの楯より展開される障壁にボーンダインの巨体が仰け反る。
「ライトニングアロー!!」
至近距離でパッショナーが放つ雷の矢に胸部を貫かれボーンダインが後方の壁に叩きつけられる。
「グオオオオォォォッッ!!」
苦悶の咆哮を上げるボーンダインだがその四肢に無数の輪が纏わりつく。
「・・・今だ!!」
投げ放ったリングブーメランを両手に握り締め、リングマンがダストマン達に叫ぶ。
「よっしゃあぁ!!ダイブミサイル!!」
「ダストクラッシャー!!」
「ファラオウェイブ!!」
「ウォーターマグナム!!」
ドガアアァァァァァァァァァンッッ!!
「ぐおおおぉぉぉぉっっ!!」
ダイブマンらコサックナンバーズらにメガウォーターまでが加わり身動きの取れないボーンダインに一斉に攻撃を加える。
爆発炎上する中でも式典襲撃時同様に驚異的なタフネスぶりで起き上がろうとするボーンダインであったが。
「バーニングッッ!!」
全身を炎で包み込んだパッショナーがコキュートスランスを片手に跳躍する。
「ダッシャアァァァ!!」
ズドンッッ!!
パッショナーの放った槍の一突きはボーンダインの動力炉を確実に貫いていた。
「おおおおおおぉぉぉぉっっ!!」
断末魔の様な呻き声を上げるボーンダインの体が大きくぐらつく。
パッショナーがコキュートスランスを引き抜くと同時にボーンダインの全身が爆発四散する。
バラバラになったボーンダインを見据えリングマンらが息を吐く。
「漸く動かなくなったで・・・ありますか?」
パッショナーが首を傾げる中、職業柄かリングマンがその残骸を調べようとする。
「やはりスカルマンの・・・」
白骨化した爬虫類を思わせる頭部をリングマンが慎重に取り払う。
一見すると頭部その物に見えたのは一種の仮面であり、その下には同じ様に骸骨を思わせるロボットの顔があった。
「っっ・・・スカルマン」
カリンカが口元を押さえながら見知ったロボットの名前を呼ぶ。
「どう言う事だ?スカルの野郎はちょいと前に用事でどこかに派遣されてたんだろ?」
「奴が洗脳されてボーンダインに改造されたなどとは考えられんし、時期的にも難しいと思うが・・・何せ奴はこんな所に居る筈が無いんだから」
ダイブマンが首を傾げる横でダストマンが口を開きかけて慌てて黙り込む。
一同の視線が自身に集まった事でダストマンが困った顔をしつつも観念した様に息を吐く。
「この前のメンテを受ける前に研究所に戻った時にカプセルから出て来たスカルマンとすれ違ったんだよ。詳しくは分からないがどこかに行くみたいだった」
「やはりというか極秘任務か・・・」
ダストマンの説明にリングマンが唸ったその時であった。
ボーンダインの目に光が灯ったのは。
「「・・・・・・!?」」
一同がその場より大きく飛び退く中、バラバラになったボーンダインの体が浮き上がる。
パキパキパキパキパキッッ!!
まるで時間を巻き戻すかのように吹き上がった黒色の煙が吹き飛んだ筈のボディを繋ぎ合わせていく。
「ギギギギギッッ!!」
歯を軋ませるような音を発しながら四つん這いの状態でボーンダインはボディを元通りに再生させていた。
(何という再生力だ。まさかとは思うがこいつは不死身なのか?)
あまりの事にリングマンが内心で戦慄する。
当然の事ながらリングマンを始めとするロボットは予備のパーツなどを用いるなどして、損傷した部位を修復する事は可能だ。
理論上電子頭脳にあるメインメモリーさえ無事であれば、それ以外の個所を損傷しても復活は出来るのだが、それも簡単に出来る事ではない。
眼前のボーンダインの様に何も用いずに大破した状態からボディを再生させるなど、理論上不可能な筈であった。
だが自身らの目の前でボーンダインは自らのボディを元通りに再生させていた。
「先程噴き出した煙・・・悪のエネルギーと同種の物か?」
ファラオマンが身構えながら疑問を口にするのだが。
「ううう・・・ううっっ!!」
ボーンダインが漏らす嗚咽にリングマン達が一瞬だが構えを解いてしまいそうになる。
ボディを再生させその気になればすぐさに襲い掛かる事も可能な筈であるボーンダインだが、四つん這いのままその場を動こうとしない。
そればかりか肩を震わせ泣き出した事もあり、リングマンらは互いの顔を見合わせる。
「スカルマン・・・泣いているの?」
カリンカの言葉にボーンダインが顔を上げる。
既にその顔には爬虫類を模した髑髏が取り付けられていたが、その隙間より涙が零れ落ちる。
「酷い・・・酷いぞ。俺が何をしたって言うんだぁぁぁ!!」
文字通りの号泣と言わんばかりに泣き叫ぶボーンダインにリングマンらも戦意を失いかける。
戦いの最中に何をと思うであろうが同じ製作者から生み出された兄弟と同じ声で泣く相手を問答無用で攻撃を加える程、コサックナンバーズは非情になれなかった。
部外者であるパッショナーやメガウォーターも同じくだ。
「お前達は何も知らない。お前達がのうのうと生きていく中で俺がどれだけ手を汚しているのか。お嬢様や博士の為にどれだけ嫌な思いをしているのかを。空っぽな俺を見て何も無かったと思っているし知ろうともしないぃぃぃっっ!!」
自身らを責め立てるように指を何度も突き付けるボーンダイン。
何度目かの嗚咽の後に不意にその指が止まる。
ゆっくりとその指を下ろし立ち上がるボーンダインの姿は亡霊のそれを連想させた。
「ハハハハハハ!!ちょいとみっとも無かったな。いやあ悪い悪い。急に湿っぽくしちまってなあ~だから続きを楽しもうぜ」
瞬時に表情を変え今度は逆にケタケタ笑い出すボーンダインにリングマンらは面食らう。
「お前らもお嬢様も皆で仲良く死んでもらうぜ」
仮面の向こうでニヤリと笑ったと誰もが悟った瞬間、ボーンダインの全身より殺気が滲み出る。
「っっ・・・スカルマン!!」
「喜ばしい事に俺はボーンダインと言う名前とボディを与えられた。そんな空っぽである事を強いられる奴の名前はいらねえ」
ダイブマンが叫ぶ中でボーンダインが周囲にビットを展開する。
バチバチバチバチッッ!!
ビットその物がバリアーを展開し周囲を飛び回った事でリングマンらはその場より後退を余儀なくされるのだが。
「まあそう動くよな・・・」
後退した面々を前にパチンと指を鳴らすボーンダイン。
不意にボーンダインが姿を現した崩落した天井部より殺気が複数生じる。
天井部より自身らを不気味な骸骨の顔をしたロボット達が見下ろしている事に気づいた時にはもう遅かった。
「ファラオショット!!」
「リングブーメラン!!」
「フラッシュストッパー!!」
ロボット達が無造作に繰り出す特殊武器はそれぞれが弱点とする物であった。
「ぐあっっ!!」
「くっ!!」
巨大な光弾の直撃を受け昏倒するリングマン。
ダストマンは致命傷こそ避けたが片腕をリングブーメランで切断される。
ザンッッ!!
フラッシュストッパーによって視界を奪われたファラオマンが、あっさりとボーンダインの振るう鎌に真横に両断され地面へと転がる。
次々とやられる大切な家族を前にカリンカが叫ぶ暇も死神は与えない。
「スカルバリアーデベロッパー!!」
眼前で弾け飛ぶスカルビットが放つ電磁波をまともに受けダイブマンも意識を失い倒れてしまう。
「フン・・・弱いな。だがお蔭さんで喜ばしい!!」
天井部より姿を現したロボット達、ドクロボットに目を向けながらボーンダインが誇らしげに言う。
「ドクロボット・・・データ通りなら我々がかつて運用したロボットでありますね」
「あれって確か高性能ロボットの動きとかも含めて完全な再現が出来るって言う優れもののロボットよね?」
パッショナーの言葉にエストが眼鏡を持ち上げながら口を開く。
ドクロボット、正式名称はドクロボットK-176と呼ばれる量産型のロボットでありワイリーによる三度目の世界征服計画の際に運用されている。
その最大の特徴はロックマンのウェポントレースシステムを参考にした事による他のロボットの武装及び行動パターンのほぼ完璧な模倣である。
ドクロボットと言う固定した器に収まる事でオリジナルとは多少の運用上の違いは生じるものの、単純な特殊武器の模倣或いは応用とは違い完全な再現という点では、ロックやフォルテよりもドクロボットの方に軍配が上がるであろう。
製作された時期などを鑑みれば量産型のロボットとしては破格の存在と言えるドクロボットなのだが、その高性能故に生じる問題があるのは世の常か。
「運用コストの問題さえ解決出来ればジョーシリーズを超える存在になった・・・と言う話を聞いた事があるであります」
パッショナーの言葉にエストが苦笑いを浮かべる。
このドクロボット達だが悲しい事に製造および運用に多大なコストが生じるのが最大の問題点として挙げられている。
あらゆる武器と地形に対応する汎用性を持つボディを製造するそのコストはナンバーズを代表とする高性能ロボットよりも割高となり、しかも彼らはオリジナルと違い比較的単純な思考回路しか持たない事から柔軟な動きを求める事はほぼ不可能となっている。
ぶっちゃけるとドクロボットを量産化するくらいなら新しい高性能ロボットを生み出す方がコスト的にも安く済むと言うのが懐事情に厳しいワイリー軍団の本音と言えよう。
それ以外にも行動パターンその物が所詮は模倣と言う点も理由の一つと言える。
悲しいかな投入当初こそロックに苦戦させたドクロボット達であったが、後半の方になると殆ど行動パターンが見切られてしまいほぼ完封と言う散々な結果となってしまった。
以上の理由からドクロボット達は量産化されず今に至っていた筈なのだが。
ボーンダインの隣に並ぶ立つ三体のドクロボット達。
リングマンらを倒したと言うのにその顔には感情も無く人形の様に佇むのみ。
「さてどうするんだお嬢様~?残ったのはそこの若造に馬と河童だけだ。俺とドクロボット達を同時に相手取れると思っているのか?」
身動きの取れないダイブマンを足蹴にするボーンダイン。
その姿にカリンカが動こうとするがダルセニョーとメガウォーターに押し止められる。
対して軽く手で合図を送ったボーンダインはドクロボット達と共に徐々に間合いを詰めていく。
ダッッ!!
地面を蹴り真っ先に動いたのは二体のドクロボット。
「メタルブレード!!」
「ナパームボム!!」
瞬時に武器を換装したドクロボットがそれぞれの特殊武器をパッショナーに投げ放つ。
「ブリザードアタック!!」
送れるようにして動いたもう一体はメガウォーターに苦手とする冷気系の特殊武器を撃ち放つのだが。
「押忍!!バーニングであります!!」
突如として全身を炎で包み込むパッショナー。
その熱量は自身に放たれた攻撃ばかりかメガウォーターに向けられた吹雪まで消失させていた。
「自分もある意味でドクロボット同様にあらゆる状況に対応すべく生み出された存在であります。如何に性能が高くても単純な思考しか持たない・・・魂を宿さない輩には負けんでありますよぉぉぉ!!」
ナパームボムを放った方のドクロボットが発せられた熱風によって爆弾を誘爆させられ自滅する中、炎の塊その物となったパッショナーがもう一体のドクロボットへとコキュートスランスを繰り出し一撃で破壊する。
「バーニングアロー!!」
残ったドクロボットが慌てるにしては淡々とブリザードアタックを放ってくるが、炎の塊と化したパッショナーには一切通じずに逆に炎の矢で動力炉を貫かれ沈黙。
瞬時に三体のドクロボットを倒したパッショナーだが、背後でカリンカの悲鳴が響き渡り慌てて振り返る。
「流石はキングの後継機・・・だ~が~所詮は単騎だ!!周りをよく見なっての」
陽気な声を上げながら鎌を振り上げるボーンダイン。
ドクロボットを相手取るパッショナーを尻目に彼はカリンカの元へと肉薄していた。
「ウォーターウォール!!」
咄嗟にメガウォーターが水のバリアを張って庇わねばカリンカは間違い無く殺害されていただろう。
本来であれば相手の攻撃を無力化するだけの強度を持つメガウォーターのバリアであったが、ボーンダインの鎌の勢いを削ぐだけの結果に終わる。
袈裟懸けに身を切られ呻きながら崩れ落ちるメガウォーターにカリンカが駆け寄ろうとするが。
「は・・・早く逃げろって」
目だけ動かしながらエストら共々逃げる様に促すメガウォーター。
倒れ伏すメガウォーターの眼前に鎌が突き付け、ボーンダインが仮面の向こうで目を細める。
「アンタにとっちゃあ・・・恨みがある筈のワイリーナンバーズだって言うのに随分とお優しい事で」
「貴方は・・・スカルマンなの?」
己を見下ろすボーンダインにカリンカが凛とした瞳を向け問う。
彼女の後ろの方でエストがダルセニョーと声を上げるが届かない。
暫しの沈黙の後、ボーンダインが肩を震わせ笑う。
「その問いは正直意味が無い。何故ならアンタはここで死ぬからだ!!」
質問に答えず鎌を振り上げるボーンダイン。
「憎い!!」
「悲しい!!」
「喜ばしい!!」
それぞれの声を同時に響かせボーンダインが無造作に鎌を振るった時であった。
ガキイイイィィィィィィンッッ!!
甲高い金属音が響き自身の体が尻餅をついた事が分かった。
どっちにしろ死んだと思ったのだが、大きくぶれた視界が次第に定まっていく。
「なにぃぃぃ!!」
己の攻撃を防がれ怒りの声を上げるボーンダイン。
メガウォーターですら軽減させる事しか出来なかった鎌の一撃を展開した障壁で完全に防ぎ切りながら、彼は頭一つ分は背の高いボーンダインを見上げる。
「汚い手でお嬢様に触るんじゃねえ」
ドスの利いた低い声を響かせながら驚愕するボーンダインの顎先を蹴り上げ、後方へと吹き飛ばすのは不気味な骸骨の姿をしたロボット。
「ぐおおおぉぉぉっっ・・・お前は!!」
咆哮を上げ起き上がったボーンダインに大した反応も見せず佇むロボットの名は。
「ス・・・スカル・・・マン」
意識を取り戻したダイブマンが呻く様に彼の名前を呼ぶ。
コサックナンバーズ最強と名高いスカルマンはゆっくりとボーンダインにその指を突き付ける。
「さあ仕置きの時間だ。カリンカお嬢様を傷つけようとしたお前らをもれなく墓場に送ってやるよ」
決め台詞にしてはどこか棒読みな調子で言いつつ、スカルマンは両の手にマシンガンを手にするやそれらを問答無用でボーンダインに向けて撃ち放つのであった。
何時もの後書きです。
さらっと読み飛ばして頂いて結構です。
〇先行組について
パッショナーを先頭に今回参戦しているコサックナンバーズ達が結果的に廃工場の一番奥まで進んでしまっている。
結果としてカリンカとエストの救出に成功しており、水路からの侵入となったダイブマンやメガウォーターも合流した。
〇パッショナーについて
書いててパッショナー無双になった感もあるが武装が完成した事もありかなり強い。
元々汎用性を主眼に置いているのでサポートメカのダルセニョー共々、あらゆる場で戦う事が可能。
エレメントチェンジで属性を変える事も出来るので大体の相手に対応出来る。
〇ボーンダインについて
ほぼ正体がばれてしまっているがその正体はリブートの結果コサックナンバーズのスカルマン・・・ではなくなっている。
リブート前はキング事件の際に彼やコサックの存在を快く思わない人物に謀殺されたスカルマンが回収、改造された姿だった。
が今作のリブートにおいてはその辺は変更となっている。
細かい所は次回以降の展開及び後述するが作中で見せた様に喜怒哀楽を意図的に強調したそれぞれの人格を持っている。
式典襲撃の際に見せた人格は怒であり、凶暴だが煽り耐性ゼロと言う欠点を持っていた。
一応と言うかこの性格がベースだが途中で哀の人格にスイッチし泣き出し一方的な恨み言を言ったと思えば、次に出たのは喜でヘラヘラ笑っているこっちはこっちで残忍な性格。
最後の方で再び怒に切り替わるなど人格的にかなり不安定な物となっている。
因みにリーダー格の人格は楽なのだが現状はまだ表に出てきていない。
耐久性及び生存性に特化した造りとなっているがボディを再生させたのは悪のエネルギーの恩恵によるものと彼が元々持っていた特性から来るもの。
ちなみにボディその物はドクロボットの改良型だったりする。
〇ドクロボットについて
その強さと欠点は作中で示した通り。この作品では人格ある存在として描かれるジョー達と違い彼らの方は人格は無く、決められたプログラムにそって動くだけの存在となっている。
動きに一種の硬さの様なものもありオリジナルに比べると動きがパターン化されるのも欠点。
その辺も含めパッショナーに一蹴される事となる。
製造コストは並の高性能ロボットの倍まではいかないが、大体2~3割増しと優しくない。
もしも彼らが量産の暁にはワイリー軍団の天下となっていただろう。予算的に絶対に無理だが。
〇最後に出た彼について
何だかんだで彼と言うかスカルマンをスカルマンとして出すのは今回がほぼ初めてだったりする。
前述のとおりリブート前は既にスカルマンではなくボーンダインと化していた為。
一応と言うか彼がコサックナンバーズ最強と言う設定になっている。
詳しい描写は次回以降に持ち越しである。
次回は実質同キャラによる彼の仕置きタイムが始まる予定。
今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。