ロックマンキラーズ纏め編   作:グルルre

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vol3 古き神の従者

「燃えろぉぉっっ!!」

吹き飛ばされた味方を尻目に真っ先に肉薄するのはバーナーマン。

キング軍団一の猛将でもある彼は全身より炎を噴き出すやそれらをユミールの胸部へと叩きこむのだが。

「・・・っっ!?」

ユミールの全身を覆うのは氷であるのだがバーナーマンの炎の直撃を受けながらも溶ける様子が全く見受けられない。

防御さえせずに仁王立ちするユミールにバーナーマンが目を見開く。

「愚かな・・・貴様ら如きに我が身を守る神の楯は貫けぬわ」

 

パキパキパキパキッッ!!

 

吐き捨てる様にバーナーマンに言い放ちながらユミールの掌から巨大な氷の塊が生み出される。

「アイシクルキャノン!!」

キャノンの名前に違わぬ砲弾の如き氷塊が破片を含めて放たれる。

真正面から直撃を受けたバーナーマンは背後の壁まで勢い良く叩きつけられてしまう。

「キャハハハハ!!マジカルボム!!」

「リモートマインや!!」

マジシャンウーマンとパイレーツマンがそれぞれ爆弾を投げ放つがそれも全く以って有効打にならない。

「あらあら?どう言う事?」

普通のロボットであればまともに受ければ致命傷に至るであろう攻撃を受けながらも平然としているユミールに首を傾げるのはナターリヤだ。

「幾ら全身を覆う氷が厚いからと言っても少しぐらい溶けたり欠けたりはするんじゃないかしら?」

彼女の指摘通りユミールの装甲の厚さは異常と言っても良い。

と言うか彼がこの世界の理に従うのであればバーナーマンらの攻撃を完全に無傷でやり過ごす事は不可能だ。

 

ズドドドドドドドッッッ!!

 

思案するナターリヤの後ろではスケルトンジョー達がザウラーガード達に銃撃を開始していた。

不気味な骸骨を模したロボット達は淡々と敵に攻撃を仕掛けていく。

対するガード達も同様であり氷の彫像その物のと言える彼らは、銃弾によって仲間達の体が砕かれるのも気にせずに手にした武器を振り回す。

「・・・・・・」

 

バキッッ!!

 

振るわれた斧を受け止めるや逆に拳でガードの一体を吹き飛ばすスカルマン。

彼はその場で斧を拾い上げるやそれを振るってガード達の体に叩きつける。

スカルバリアーを形成するスカルビット以外の武装を持たないスカルマンの戦い方は人間と殆ど変わりが無い。

彼もスケルトンジョー同様にマシンガンなどの武器は持っているのだが、ここで使うのは勿体ないと言う判断なのか敵が落とした武器を手にするやそれを振るって戦いを始める。

武器が落ちているのであれば使ってしまえば良いと言うのだろうか。

とにかく彼、スカルマンは戦い方に躊躇が無い。

 

ズドッッ!!

 

落ちていた槍を数本拾い上げるやザウラーガード達に投擲するスカルマン。

何体かのザウラーガードが崩れ落ちる中、逆にスカルマン目掛けて幾つかの槍が投げ返される。

 

バチバチバチバチッッ!!

 

放たれた槍をスカルバリアーでやり過ごしつつ弾かれ床に刺さった槍を今度はスケルトンジョー達も手に取り始める。

互いに槍を投げ合う光景はさながら古代の戦争を思わせるが、そこにロマンは無い。

ザウラーガードとスケルトンジョーの静寂に満ちた戦いは徐々に膠着状態となり始めるのだが。

「・・・ええいっっ!!」

泡のバリアーを張ったパイレーツマンを弾き飛ばしながら、ユミールがスカルマンに肉薄する。

自身のガードと一進一退の攻防を続けるスケルトンジョーを指揮するのがスカルマンであると、即座に看過したユミールは司令塔であるスカルマンを潰すべく一気に動く。

「アイシクルブレイドッッ!!」

拳の氷を刃の形に変形させユミールがその腕を大きく薙ぎ払う。

反射的に顔を手で覆ったスカルマンだが、その腕とボディが大きく抉り取られる。

 

ズドンッッ!!

 

己のボディが半壊しようとも眉一つ歪めずにスカルマンが至近距離でマグナムをユミールの頭部目掛けて撃ち放つ。

銃弾を頭部に受け大きく仰け反るユミールだが、その一撃は彼の全身を氷の厚さに阻まれる。

「・・・図に乗るなっっ!!」

 

ガキンッッ!!

 

苛立ち交じりに放たれた拳はスカルマンの上半身を軽々と吹き飛ばす。

スカルマンが吹き飛ばされた先で待ち受けるのは思い思いに武器を持ったザウラーガード達だ。

 

ズドドドドドドドドドッッ!!

 

さながら生贄の様に落下して来たスカルマンの上半身に槍が突き刺さる。

そのまま床に叩きつけられたスカルマンのボディへ容赦無く斧が振り下ろされる光景に多くの者が反射的に目を逸らす。

「許さないガー!!」

仲間が倒された怒りに身を震わせたフロストマンがユミールに拳を叩きつけた時であった。

 

ジロリッッ!!

 

複数体居るスケルトンジョーの一人が不意に鋭い視線を向けたのは。

「おい・・・俺の体。どこ行った?」

スケルトンジョーの一人のボディが変形しもう一体のスカルマンとなりながら、彼はグレネード弾でザウラーガードを吹き飛ばす。

胴体部だけになったスカルマンのボディを拾い上げるや、スケルトンジョー達は背負っていたバックパックから腕や足と思しきパーツを次々と取り出す。

時間にして僅かに十数秒後には殆ど元の形となったスカルマンは最後に渡された新しい頭部を胴体部にくっつけると、僅かにだが伸びをする。

「ご苦労・・・だ」

労う様に声を掛けられスカルマンとなっていたスケルトンジョーは元の姿に戻ってしまう。

「なん・・・だと?」

新たにパーツを取り付けると言う形ではあるが、ボディを短時間で修復させたスカルマンにフロストマンを吹き飛ばしたユミールは目を白黒させていた。

「ロシアの骨格標本の十八番。あれは一人で皆、皆で一人やでホンマに」

何時の間にか起き上がっていたパイレーツマンが笑う。

元よりカリンカを人質に取られたコサックがロックマン抹殺の為に生み出されたスカルマンだが、戦闘用と言うよりかは戦争用と称される彼最大の特徴は配下のスケルトンジョー達との連携もとい完全な同期。

言ってしまえばスケルトンジョー達の一体一体がスカルマンの端末であり、先程の様にスカルマンが倒されてもスケルトンジョーが一体でも残っていれば予備パーツを用いてすぐにでも復活する事が可能なのである。

不気味な骸骨の姿通りの不死身ぶりにはさしものユミールも驚く他無いと言った所か。

「配下の軍団との完璧な同期・・・羨ましい限りじゃな」

皮肉気にプロトが笑った時であった。

 

ズガァァァァンンッッ!!

 

不意に一同が戦闘を繰り広げる一室の扉が破壊される。

そこより飛び出してくるのはダークマンⅣに率いられたスナイパージョー達だ。

「プロト様!!ご無事でしたか!?」

ダークマンⅣが叫ぶ中、ダークマンⅠを先頭にジョー達がザウラーガード達に襲い掛かっていく。

武装らしい武装が手にした武器しか無い事もあり、ザウラーガード達はジョー達の攻撃に次々と撃破されていく。

「貴様らが・・・ここに来たと言う事は」

「例の彫像達は既に倒させてもらった」

顔を歪めるユミールにダークマンⅣが淡々と言う。

「「ダブル!!マジックカード!!」」

状況が好転した事を見て取った左右からマジックマンとマジシャンウーマンがカードを投げ放つがそれはユミールの眼前で塵の様に消え去る。

「モクモクモ~連続射出です」

ボディ内より冷気を伴った煙を発生させるサポートメカを打ち上げるコールドマンは、続けてアイスウォールをぶつけユミールの動きを封じ込めようとする。

「サンダーカーニバルだぞっっ!!」

僅かだが動きが止まったユミールにクラウンマンが電撃を纏いながら体当たりを仕掛けるのだが。

不意にユミールの巨体がクラウンマンの眼前から消え失せる。

 

ダンッッ!!

 

「舐めるなぁぁぁ!!不完全な機械共ぉぉぉ!!」

天井部近くまで軽々と跳躍せしめたユミールは片手間にモクモクモを破壊するや両腕に冷気を集め始める。

「身も心も凍てつけフィンヴィルヴェト!!」

ユミールが放った猛吹雪は屋内と言う事もあり逃げ場無く吹き付ける。

対してバーナーマンが全身より炎を吹かした様にも見えたがそれすらも飲み込まれ凍結していく。

ジョー達も楯を構えたままの格好で凍てつく中で殆どの者達はそこで意識が閉ざされた。

「・・・むうっ」

寒さのあまり視界に砂嵐が走る中、プロトは自身が機能停止に追い込まれていない事を感じていた。

スカルマンやキングナンバーズを始めとする高性能ロボット達を一手に相手取りながらも、ユミールなる古き神の従者は圧倒的な実力を見せつける。

そもそも戦いが始まってより殆どまともな損傷を被っていない事からも実力の高さが窺えよう。

唯一の救いは彼が使役するガード達が白兵戦を主体としており、飛び道具を殆ど持たない点だがユミールの猛吹雪によってその数の利も失われた。

一瞬の内に殆どのロボットが凍結する中で楯になったフロストマンの足元から顔を出すのはニコライだ。

「ハハハハハッ・・・暖を取れるロボットを連れて来るべきであったか」

鼻水も凍り付きつららの様に垂らす姿は滑稽だが、凍死しなかっただけマシと言えよう。

「こ・・・ここに居る神は寒いのが好きなのかね?いやはや恐るべしは古代の文明か・・・」

感嘆する様に口を開くニコライだがその顔は真っ青であり、数分もせずに力尽きそうに見えた。

「我が警告に従い最初から大人しく帰っておれば良かったのだ。ここまで我らが聖域を荒らした以上は生きては帰さぬ」

そう言ってユミールは夫と同じ様にスカルバリアーを展開したスカルマンが楯になった事で、凍死を免れたナターリヤの首根っこを掴む形で持ち上げる。

「キャアアアアァァァ~助けて~!!」

甲高い悲鳴を上げるナターリヤだが殆どの者が行動不能になっている事もあり、誰も助けには来ない。

「貴様らは我が神の贄に捧げてやろう」

「あ~んや~だ~!!私は生贄になる様な清らかな乙女じゃないわよ~」

怪しく瞳を輝かせるユミールにナターリヤがここに来て泣き出す。

「恐怖と絶望が我らの糧となるのだ。偉大なる我らが神に慈悲を乞いながら死ぬが良い」

祭壇の上にナターリヤを放り投げながらユミールがほくそ笑む。

「待て・・・食べるなら脂肪がある分、私の方が美味しいぞ~。それに妻は肉ばかり食べているし昨日もニンニクを沢山食べていたからあんまり美味しくない筈だ!!」

見当違いの事を言いながら妻を生贄に捧げられるのを阻止せんとするニコライ。

「ちょっと~それじゃ私のお肉が何か臭いみたいじゃないの~まだ私は二十代よ~!!お肌もまだまだピチピチのつもりよ~」

対してナターリヤが抗議の声を上げるのだが。

「貴様ら・・・うるさいぞ!!」

二人のやり取りに苛立ったユミールに怒鳴られ夫妻は黙り込む。

「全く以って解せぬ。何故にこの様な輩がこの聖域に入る事が出来たのだ?」

唸る様に声を発しながら祭壇の上に腰を落とすナターリヤを見下ろすユミール。

「むう・・・拙いのう」

凍結したままのジョー達の間から様子を窺いながらプロトが呻く。

「・・・確かにね」

クイントがプロトに相槌を打つ。

ユミールによって壁に埋まっていた筈の彼だが、どう言う訳かユミールの吹雪を切り抜け一応は五体満足な形でその場に居た。

「・・・・・・」

よくよく見れば生き残ったスケルトンジョーの一人がジロリと鋭い視線を向けてくるのが見える。

本体が行動不能になった事で端末にスカルマンが意識を移したのだろう。

<あのユミールだけど。何かは分からないけど障壁で身を守っているのは間違いないね>

相手に気づかれない様に電子頭脳に直接声を響かせるクイント。

<障壁も至近距離の攻撃は防げない・・・が今度は氷の装甲がある>

<いずれにせよ膨大なエネルギーで攻撃し障壁を突破する必要がある・・・か>

スカルマンの言葉を受けプロトが溜息を吐く。

<と言うとワシらがやるしか無いのか?>

<キャハハハ・・・頑張って~>

一同の考えを察しプロトは頭を抱えるのだが、マジシャンウーマンの声が響いた事もあり慌ててその顔を上げる。

見れば彼女も他の仲間達が咄嗟に楯になった事で吹雪の中、機能停止に至らずに済んだ様だ。

<じゃあ一、二の三でまずはアタシが敵の注意を引き付けるね>

マジシャンウーマンが合図を口にしようとした時であった。

 

ボアアアアァァァァァ!!

 

不意に凍結していた筈のバーナーマンが全身より炎を噴き出す。

「ヒャハアァァァァァ!!その程度の冷気で俺様を凍らせようなんて百年早いぜええぇぇぇ!!」

辺りに炎を撒き散らしながらバーナーマンが勝手に駆け出す。

「・・・あいつ」

プロトが呻いたのも束の間。

「あつうううぅぅぅぅ!!」

バーナーマンの噴き出した炎で凍結状態から回復したのだが、パイレーツマンが尻に火が付いた状態であらぬ方向に走り出していく。

「・・・ぬうっ?」

思わぬ形ではあるがバーナーマンとパイレーツマンの二人が動き出した事でユミールの意識がそちらに向けられる。

自身へと迫ったバーナーマンを拳で弾きつつ、彼の視線は壁の方に走り出すパイレーツマンを追う。

 

ジュウウウウウッッ!!

 

「あースッキリしたわい!!」

神殿の壁画に尻を引っ付け炎を消すパイレーツマン。

いずれにせよ神を祀る神殿での行為としては極めて無礼な行いだ。

その姿にユミールが歯を軋ませた時であった。

 

ドガアアァァァァンッッ!!

 

彼の眼前で爆風が生じその視界が遮られる。

その威力以上にド派手な爆発が特徴的なマジカルボムによって一瞬ではあるがユミールの動きが止まる。

「まだ動ける奴が居たのか・・・」

自身最大の技を受けながらも尚も動きを止めない面々にユミールが歯噛みする。

そして感じ取るのは爆風を隠れ蓑に自身へと接近する何人かの気配であった。

僅かにタイミングをずらしつつクイント、スカルマン、プロトの三人が爆風から飛び出してくる。

「ハイパークイントバスターッッ!!」

「ブレイクストライク!!」

「・・・スカルマグナム」

三者三様で放たれた一撃は至近距離であった事もあり、障壁は機能せずユミールの氷の装甲に直接傷を付ける。

だが彼ら渾身の一撃を以てしてもユミールの装甲は強固な物であり、致命傷には至らない。

「アイシクルキャノン!!」

眼前で生じた氷の塊が放たれクイントらが纏めて吹き飛ばされる。

「密着すれば効くんだな?チェインバーナー!!」

再び起き上がったバーナーマンがユミールの右足に腕を突き付け炎を放つ。

至近距離で放たれた炎にユミールの片足が溶け出すが、思わぬ反撃を受けながらも極めて冷静に対処する。

「おのれ・・・やってくれるではないか!!」

両腕を刃に変えたユミールがバーナーマンの両腕を瞬時に切断する。

次いで胴体部を蹴り飛ばされバーナーマンは両腕共々、炎を撒き散らしながら吹き飛ぶ事となる。

「・・・むう」

クイントらの攻撃に傷ついた胴体や溶けかかった右足を見据え、その場に膝を衝くユミール。

彼らの奮闘は決して無駄では無く、一連の攻撃はユミールに確実にダメージを与えていた。

「不完全な機械と侮っていたか。まさか貴様らにここまで手古摺るとはな」

ここに至ってはユミールもプロトらを下等な存在と侮る訳には行かず、ユミールは早期に敵を潰すべきと判断する。

真っ先に手を下すは彼らのリーダーと思しき柔らかき生物だ。

遠くで震えているニコライはさて置きとユミールは手近にいたナターリヤに目を向ける。

ザウラーガードが持っていた槍を拾い上げそれをナターリヤに放り投げようと握り締めるユミール。

その気配を察知したのかナターリヤが後ずさるが、逃げられる物ではない。

「ご先祖様~た~す~け~て~!!」

と何かに縋る様に叫びながらナターリヤが手にするのは、ここへ入る為に使用した遺物と言うべき杖だ。

「・・・それは!?」

杖を目にするなり顔色を変えるユミール。

慌てる様に槍を投げたユミールであったが、不意に杖に付けられた目玉を模した宝石が怪しい光を放つ。

 

ボロッッ!!

 

杖が放った光は放り投げた槍をバラバラに分解したばかりか、ユミールの左上半身を一瞬の内に崩壊させていた。

それどころか彼の身を守っていた筈の障壁までも消滅していた。

「馬鹿な・・・我が神の楯まで消滅させるとはその杖は間違い無くっ!!」

己の身を崩壊させた杖の光に狼狽するユミールが後ずさる。

「ガー!!アイスウェーブだガー!!」

他の面々同様に凍結していた筈のフロストマンが氷の刃を地面に次々と生み出す。

 

ズドッッ!!

 

両足に深々と食い込む刃を前にユミールが低く呻くのが分かった。

原理はともあれナターリヤの持つ杖によって彼の身を守る障壁が消滅した。

この好機を見逃す面々ではない。

 

ズガガガガガガガガッッ!!

 

フロストマンに続きスカルマンが本体を再起動させて銃弾を撃ち放つ。

それに連動する様に一部のジョー達もバスターを連射していた。

「ぐぬぬぬぬっっ!!」

全身を覆う氷の装甲が削り取られる中、ユミールが消滅した左半身を徐々にだが再生させていく。

やはりというか生半可の攻撃でユミールを倒しきるのは難しい。

クラウンマンやダークマン達も攻撃に加わるが障壁を失って尚、ユミールは食い下がるのだが。

 

ヴウウウウウウゥゥゥゥゥンッッ!!

 

「やはりと言うかこれを撃つしかないか・・・」

ほくそ笑みながらバスターの先にエネルギーを集めていくのはプロト。

彼の周囲にはコードを繋いだ複数のスナイパージョー達が立ち並ぶ。

「オリジナルと違いワシは仲間達のエネルギーを借りて撃つのがやっとじゃが・・・いずれにせよこれで決めさせてもらおうかの?」

膨大なエネルギーの高まりにユミールが顔を強張らせる。

「あれはキング陛下の楯を破壊したと言う・・・」

マジックマンが呻いた瞬間であった。

「ビッグバン・・・ストライク!!」

 

ドガアアァァァァァァァァァァーーーーーーーー!!

 

プロトのバスターより放たれた巨大な光弾はユミールの全身を飲み込む。

キング事件の際に鉄壁の防御を誇ったキングの楯を破壊した物と同等の一撃は辺りを眩い閃光で包み込むのだが。

「グギギギギギギッ!!やるではない・・・かぁぁぁ!!」

背後の神殿の一部すら余波で損壊する程の一撃を受けながらも、氷の巨人は二の足で立っていた。

震える両足をギリギリの所で持ちこたえ大きく損壊した氷の装甲からは中身と言える内部機構が剥き出しとなる。

大きく神経細胞が脈打つ中、やはりと言うかその身を徐々に再生させていくユミールに一同は息を呑む。

「だが無駄な事よ。貴様らではこのユミールを倒す事は・・・できん!!」

ギロリと鋭い視線を向けながらユミールは片腕を上げ合図を送るや、神殿の奥より控えていたのであろうザウラーガードや獣を思わせる氷の彫像が次々と姿を現すのであった。

「冗談やろ~」

とパイレーツマンが呻くのも無理は無い。

こちらは殆どの者達が満身創痍であるのに対し、ユミールこそすぐには動けない様子ではあったが代わりに配下の者達は無傷の状態で居るのである。

このまま自身らにザウラーガード達が一斉に襲い掛かればどうなるかは考えるまでも無い。

頼みの綱であったプロトも先程の一撃でジョー共々エネルギー切れで沈黙している。

有体に言えば万策尽きた状態だ。

唯一あるとすればナターリヤの持つ杖の力を使う事だが、人間である彼女しか使えない事を考えるに有効な手段にはならないしユミールも二度も同じ不覚は取らないだろう。

「数の力で相手するは極めて癪ではあるが・・・私のプライドを金繰り捨ててでもここより先に進ませる訳にはいかんのだ!!」

ザウラーガードに両脇を抱えられる形で支えられたユミールが高々と腕を上げた時であった。

 

『もう・・・良い』

 

周囲に響き渡る声にクイント達が辺りを見渡す。

初めてここに侵入した際にユミールが発したのと同じく頭の中に直接響くその声は、ユミールの声以上に重々しく聞くだけで体が震える感覚が生じた。

『そこまでだ・・・ユミールよ』

自身を制止する声にユミールは慌てて跪きながらも首を振るう。

「こ奴らは聖域を侵さんとする不届き者です。確かに思わぬ苦戦を強いられましたがもはや我らの勝利は確実!!このまま貴方様の贄と致しましょう」

『それには及ばぬ。まずに貴様は大きな間違いを犯しているぞ・・・そこの柔らかき生物はかつて我自らが招きいれた者の血を継ぐ者。言うなれば客人だ・・・貴様もあれを見たであろう?』

「あの杖は・・・いやしかし」

『そこな者よ・・・ソフィーアなる者の子孫或いは縁者か?』

声の主にきょとんとしていたナターリヤであったが慌てて杖を取り出す。

「え・・・ええ。ソフィーア=エフレーモフは何代も前の私の御先祖様でこれは南米の遺跡で見つけたと我が家には伝わっているわ」

『その声・・・聞き覚えがある。ともあれよくぞ我が聖域に再び足を踏み入れてくれた。歓迎しよう・・・我が従者ユミールの無礼は素直に詫びよう。ここの所、心穏やかならざる事が多かった故に』

「マ・・・マキナ様!!」

ナターリヤの言葉に声の主が笑いを含んだが、ユミールの言葉に殺気が生じさせる。

『こ奴らは客人だ・・・無礼は許さぬ。我が前へと連れて来るのだ・・・丁重にな』

マキナと呼んだ主の有無を言わさぬ声に平伏する他無いユミールは念を押す様に言い放つ主の言葉に歯を軋ませる。

ゆっくりと立ち上がったユミールは未だに殺気の籠った瞳を向けていたが、クルリと背を向けると顔だけ振り返って来る。

「マキナ様の命令だ。我が聖域の中へと入る事を許そう・・・ついて来るのだ」

そう話すとユミールはゆっくりとした足取りで神殿の奥へと歩いていく。

彼の姿に互いに顔を見合わせながらもナターリヤはクイントらと共に嵐の神殿内へと足を踏み入れるのであった。




何時もの後書きです。
さらっと読み飛ばして頂いて結構です。

〇ユミールについて
不可視の障壁に堅牢な氷の装甲、更には徐々にだが自己再生するボディと同じ存在と言えるアルゴス同様に防御面ではチートな存在。
冷気系の攻撃のスペシャリストではあるが、自身よりも格下と当初は侮っていた事もあって食い下がるプロトらに苦戦する事に。
片腕を硬質化させるアイシクルブレード、氷塊を生み出し敵にぶつけるアイシクルキャノン等々、攻撃も多彩である。
奥の手のフィンヴィルヴェドは局地的に猛吹雪を発生させる技で人間だろうとロボットだろうと問答無用で凍結させる技なのだが、今回使った場所が南極でありプロトらが予め凍結予防の装備をしていた為に効果その物は半減してしまう結果に。
コールドマンやフロストマンが凍結した事からも分かるように例え冷気系のロボでもまともに食らえば行動不能と言う事からも威力はお分かり頂けるかと。
生身のナターリヤとニコライが凍死しなかったのは、殆ど偶然に等しくプロトら同様に他のロボットが楯になった等の理由から。
障壁に関してはルーラーズや他の面々が身に纏う物と同じもの。
ある程度の距離からの攻撃を防ぐ代物で殆ど密着に等しい至近距離か膨大なエネルギーを伴った一撃で障壁その物を突破しない限りダメージを与えられない。
ユミールの場合、氷の装甲と自己再生能力があるので仮に障壁を突破されても殆ど問題ないと言う厄介な点がある。

性格は生真面目で融通が利かないのが欠点で場の空気を読まないナターリヤとニコライに若干振り回される事に。
異形な見た目とは裏腹に中身は至って普通と言うのがなんとも。
余談だがナターリヤを贄にしようとしたのは彼女の恐怖の感情を食らう為である。
ユミールらは食事を必要とする体ではない事を付け加えておく。とは言え一応食事をしようと思えば出来る様だ。

〇ザウラーガードについて
ユミールを量産化した様な武器を持った彫像の姿をしている。
普段は神殿内の各所に飾りのような形で待機しており、ユミールの命令を受けるや動き出す。
投擲可能な槍や斧で武装しているのだが、飛び道具である弓や銃を持っていない辺りは時代的な遅れを感じさせる。
この点は南極の地下に攻めて来る敵対的存在など限られているので致し方ない。
あと動きもそこまで速くないのもあってジョー達を相手にした一団は全滅してしまっている。
元々がただの氷なので何時でも生み出す事が出来るので、例え倒されても損失は大したことが無いエコなザコと言える。

肉食獣の姿をしたアポストルと呼ばれる存在もおり、こちらは巨大で敏捷性にも優れている。
作中には登場していないが鳥の姿をした者や魚の様な姿をしたアポストルもいる。

〇スカルマンについて
スケルトンジョーは彼直属の部下であるのだが、ゲームとは設定が違い作中では実質スカルマンの外部端末と言う存在に。
並列化された同型機と言った方が適当か。
予備パーツを予め用意していたのもあるが、スカルマン本体が破壊されても適当なジョーを素体に復活なり再生可能と言うこれまたチートな存在。
スカルマンが空虚な雰囲気を漂わせているのは上記の特性からきている所もある。
殆ど不死身に近い特性を持っているのだが、ユミールのフィンヴィルヴェドによる凍結からは逃れられずスカルマンは辛うじて動いていたジョーの一人に意識を移していた。

〇プロトについて
動力炉に欠陥の無いブルースだけど卑屈なのもあってか、作中で活躍させようとするとやはり地味になってしまう。
一応と言うかビックバンストライクは使用可能だが、何体かのジョーと動力炉を繋ぎ彼らのエネルギーを借りる事で初めて撃てる様になる。
自身が行動不能になっても構わないと腹を括るだけの根性が無いのも単独では使えない理由の一つになっている。
とりあえずまともに当たればユミールらの障壁を突破する一撃なのは間違いないが、ブルース以上に使いどころが限られてしまっている。
それと放つと腰が抜けてしまう事があり、その点も含めプロトはこの技を滅多な事では使おうとしない。
初期案ではユミールに向けて放つも腰が抜けて外れると言う描写だったのだが、流石にそれは酷いと思ったので変更となった。
逆にユミールの強靭さを強調する事となってしまったが。

〇マジシャンウーマンについて
他の面々は割愛するが彼女については色々と。
今回は描写は無かったが手にした箒に跨る事で空を飛ぶことが可能。但し速度はかなり遅い。
武装は見た目は派手な爆発を起こすマジカルボムに師匠譲りのマジックカード。
マジックカードの方はマジックマン程、精度は高くない様だ。


今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。
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