宇宙戦艦ヤマト2199 大使の憂鬱   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「大使の憂鬱」です。「白色彗星帝国編」の続編になります。


大使の憂鬱10 エピローグ(最終回)

エピローグ1

 

 その後――。

 

 ガミラス護衛艦隊の半数は、ユリーシャの帰還に伴い、出航準備を進めていた。既に、そのユリーシャも、メルダの艦に乗っていた。

 

「玲。それでは、暫しお別れだな」

 ガミラス駆逐艦の艦長室で、メルダは山本に最後の連絡をしていた。その彼女の背後では、ユリーシャが楽しそうに、地球から持って帰って来た様々なお土産を広げて眺めている。

 端末のスクリーンに小さく映る山本は、少しだけ寂しそうな表情をしている。

「もう、しばらく会えないかも知れないな。地球とガミラスは遠い。とても……」

 メルダも、そう言われて、少しだけ寂しそうに目を伏せた。

「デスラー大使が頑張ってくれれば、数年以内に国交が正常化するだろう。そうなれば、民間交流も始まる。いつかまた機会があるだろう」

 後ろで聞いていたユリーシャが一言ぽつりと言った。

「古代と雪の結婚式で呼ばれるかもよ? そうしたら、またすぐに会えるかも」

 メルダは、驚愕してユリーシャを振り返った。

「け、結婚式……?」

 ユリーシャは、鏡の前で地球で購入した衣服を取っ換え引っ変えして、どれを着てみようか考えているようだった。

「あ、でもランハルトはどうするのかな……」

 メルダは、考えたくも無い話題だったので、その話を無視することにして、山本の方を向いた。しかし、そのスクリーンの向こうの山本も、何故か真っ青な表情をしていた。少しだけ不思議に思ったメルダだったが、この話題は止めようと心に決めた。

 少しだけ、他愛もない会話を二人は交わした後、最後の別れを口にした。

「では、玲。またな」

 山本も瞳を真っ直ぐにメルダに向けて言った。

「ああ、またな。元気でな」

 通信を切ったメルダは、少しだけ感慨に耽っていたが、意を決して立ち上がった。

「ユリーシャ様。それでは、艦を出航させて来ます」

「後で行くー」

 ユリーシャは、相変わらず鏡の前にいる。

 メルダは、黙って艦長室を出ようとしたところへ、ユリーシャが声を掛けた。

「終わったら、一緒にお着替えするんだからね」

 メルダは、少し困ったような表情をして顔を赤らめた。

「は、はあ。では、後ほど」

 そう言い残して、メルダは艦長室を出ていった。

 後に残されたユリーシャは、持っていた地球の衣服をテーブルにそっと置くと、先程メルダが使っていた端末の方を眺めた。

 あの端末で通信をすれば、すぐに希望の接続先に連絡をつけることが出来るに違いない。ユリーシャは、ゆっくりと端末に近づいて操作を始めた。

 そして、地球連邦防衛軍のとある宛先を選択して、接続した。通信が繋がる間、しばしの間があった。

 その間に、ユリーシャは、百合亜の姿を思い浮かべた。彼女の身体の中で一緒に過ごしていた時間、彼女の想いや希望、将来の夢などの感情を思い返した。

 叶うはずもないことなのに、これ以上、星名と百合亜に迷惑を掛けることは出来ないと思い留まった。そして、寂しそうに暗い笑いを浮かべたユリーシャは、接続中の通信を切断した。

「二人の幸せを祈ろう。いつの日か、私にもきっと、いい人、出来るから」

 ただ今は、彼をそっと想い続ける。それは、その人に与えられた自由なのだから――。

 

 

エピローグ2

 

 彼は大きく息を吐き出して、持っていたお見舞いの果物や花などを執務室のデスクの上に乱雑に置いた。

 

 彼は、長い数ヶ月の入院生活を終え、ようやく大使館に帰って来たのだ。ある程度回復してからは、病院のベッドで書類仕事とケールを通じた指示を大使館員に出していたが、これから本格的に公務を再開することになる。

 既に、ユリーシャの滞在期間は過ぎ、彼女はイスカンダルに帰っていって地球にはいなかった。

 あの事件も、マスコミが大きく報道したため、ガミラス人に対する反感などが、今も地球人の間には根強く残っていることを彼は知ることになる。

 彼らが、あの病院を占拠できた理由も大きく報道されていた。軍の衛生面を統括する組織の長が、ガミラス排斥運動の黒幕だったのだ。彼は逮捕され、これから裁判が待っている。

 

 ランハルトは、かごに入った果物を取り上げ、匂いを嗅いだりしていた。赤や黄色やオレンジの様々な果物がかごには入っていた。

 そのうちのオレンジ色の果物の匂いを嗅いでみると、ガミラスにもある果物に似た匂いがしていた。

 彼は、それを食べてみようと、暫し部屋を見回して考えるが、明らかに果物を切るナイフ等の道具がなさそうだった。

「失礼します」

 そこに、ケールがドアを開けて入ってきた。

「デスラー大使。明日から復帰ですね。退院、おめでとうございます。この後はどうされますか?」

「ああ。さすがに今夜は部屋で寝るだけだ」

 ケールは、ランハルトが持っている果物を確認して、にっこりして頷いた。彼は、かごから同じものをもう一つ取ると、目の前で剥いて見せた。

「大使、道具は必要ありません。手で剥けるんですよ。便利ですよね」

 ケールが、これからいたずらを始める子供のような笑顔でランハルトにみかんを差し出した。

 ランハルトは、少し赤面してばつの悪い思いをして、それを受け取った。

「では、私はこれで。明日からよろしくお願いします」

 そう言って、彼は部屋から出ていった。

 ランハルトは、小さく頭を振った。

「やれやれ。相変わらずよく気が利くガキめ」

 悪態をつきながらも、彼はケールが剥いたみかんを食べてみた。

「うん、甘い」

 

 

宇宙戦艦ヤマト2199 大使の憂鬱

 

完――。

 




注)pixivとハーメルンにて同一作品を公開しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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