宇宙戦艦ヤマト2199 大使の憂鬱   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「大使の憂鬱」です。「白色彗星帝国編」の続編になります。


大使の憂鬱9 秘めた想い

 岬百合亜は、星名が入院している病院を訪れていた。

 一階は、弾痕が辺り一面に残っており、激しい戦闘があったことを窺わせていた。

 百合亜は、本当に彼が足の怪我だけで大丈夫だったのか心配して、艦隊の仕事を休ませてもらって、ここに駆けつけて来ていた。

 受付で病室を確認すると、五階の部屋だと教えてもらい、エレベーターに乗った。五階に着くと、地球連邦防衛軍の制服を着た人々が多数いて、彼らに、百合亜も身分証明を求められた。

 そうして、病室のある部屋に辿り着くと、彼女は部屋を覗いた。

 星名がベッドで寝ており、包帯を巻かれた足が天井から紐でぶら下がっていた。

 ベッドの脇には、一人の女性がおり、後ろ姿しか見えなかった為、百合亜は誰だろう、と疑問に思っていた。そのまま病室に入らずに、影から様子を窺っていると、何やら二人は楽しそうに会話をしていた。何の話しか聞こえなかった為、仕方なく百合亜は部屋に入って行った。

「百合亜、来てくれたんだね?」

 星名が、すぐに百合亜に気が付いて声をかけてきた。

「もー、心配したんだから。本当に大丈夫?」

 そう言いながら、百合亜は、そこにいる女が誰なのか、近付いて確認しようとした。

 すると、女が振り返った。百合亜が予想もしなかった、ユリーシャがそこにいた。

「ゆ、ユリーシャ? 何でこんなところにいるの?」

 百合亜は、今回の事件で、大使らの救出作戦があったのは知っていたが、ユリーシャは要人扱いなのにもかかわらず、こんなところで星名の見舞いをしているのを不思議に思っていた。

「お久しぶり。百合亜。彼には沢山お世話になったので、お見舞いにきたの」

 百合亜は、ユリーシャの横にあった椅子を引いて、彼女の隣に座った。ユリーシャも、星名も、微笑を浮かべており、特に変わった様子は無かった。

「ありがとう、ユリーシャ。ねぇ星名くん。私、休暇を取ったから、ずっと看病してあげられるからね」

 星名は笑っていた。

「足の怪我だけで、大したこと無いから、そんなにずっと居なくても大丈夫だよ。せっかくだから、地球でゆっくり過ごすといいと思うよ」

 百合亜は、頬を膨らませた。

「せっかく来たんだから、毎日来るもん」

 ユリーシャは、立ち上がった。

「彼女がいるから、もう来なくても大丈夫だね」

 ユリーシャは、少し寂しそうに星名を見ていた。星名も、ぎこちない笑顔でそれに答えた。

「うん。そうだね。今までありがとう、ユリーシャ」

 百合亜は、二人の会話に幾つかの疑問がわいた。

 もしかして、毎日お見舞いに来ていた? そういえば、彼はユリーシャのことって呼び捨てにしてなかったような……。

 ユリーシャは、部屋の入り口に下がると振り返った。

「じゃぁね。彼女と幸せにね」

 そう言って、ユリーシャは、笑顔で手を振って部屋を出ていった。

 それを確認した百合亜は、星名を疑惑の表情で見つめた。

「怪しい」

「え?」

「何か、おかしかった。二人とも」

 星名は、苦笑いをしていた。

「そ、そうかな?」

「まさか、浮気……?」

 星名は、慌てて両手を振った。

「そんなまさか、何にも無いって」

 百合亜は、星名に抱きついた。

「わかってるよ、そんなこと。ずっと心配してたんだからね」

 星名は、彼女の体をそっと抱いた。

「心配かけてごめんね、百合亜」

 しかし、そうしながらも、ユリーシャの寂しそうな表情が目に焼き付き、彼の胸の内は、複雑な感情に苛まれていた。

 

 ユリーシャは、六階に移動していた。今日まで毎日お見舞いに来ていたが、もう簡単には会えないと思うと彼女は寂しかった。

 六階には、ランハルトが入院しているので、その部屋を訪ねることにした。

 ベッドに寝ていたランハルトは、肺に穴が開く重傷だった為、開胸手術を受けていた。体に幾つもの管が繋がっており、完治にはほど遠いようだった。

 そして、その部屋には、ケールと雪がいた。

 ユリーシャは部屋に入ろうとして立ち止まった。

 何か深刻そうな雰囲気だったのだ。

「大使。何だか悪いことが起きる予感がします」

 ケールが暗い表情で言っていた。

 雪は、顔を赤らめて咳払いをしていた。

 ランハルトは、そんな雪の様子を黙って見ていた。

「それで、話したいことと言うのは何だ?」

 ランハルトは、痛みが酷いのか、あまり声に力が無かった。

「ランハルト。実は私には……」

 雪は、そこで言い淀んだ。好意を寄せてくれた彼には、どうしても伝えなければならなかった。雪は、意を決して言った。

「婚約者がいるの」

 ランハルトは、目を見開いていた。

 ケールも、やっぱりと思って目をきつく閉じていた。

 ランハルトは笑い出した。

「何を言い出すかと思ったら」

 雪は、ランハルトが何を言い出すのか、気になって、伏せていた顔を上げた。

「勘違いをさせたようで、すまなかった」

「は?」

「地球には、吊り橋効果、という言葉があると聞いた」

「はぁっ?」

「一時の気の迷いということだ。気にさせてすまなかった」

 雪は、真っ赤になって憤慨していた。

「な、何よそれ。せっかく気を使って、ちゃんと話さなきゃって思ってたのに」

 ランハルトは、雪と反対の方を向いて、表情を見られまいとした。

「別に、俺が誰をどう思おうが俺の自由だ。婚約者に大切にしろと言っておけ。そうしなければ、俺が……」

「え?」

「……何でも無い」

 そこまで聞いて、ユリーシャは部屋に入って行った。

「ユリーシャ!」

「ユリーシャ様!」

 ランハルトは、彼女の方を向いた。

「ユリーシャ様。ご無事で何よりです」

 ユリーシャは、笑顔でランハルトに言った。

「ランハルトの言うとおり。誰をどう思おうが、それは自由だよね」

 ユリーシャは、星名を想いながら、呟いた。

「……私も、そう思う」

 

続く…




注)pixivとハーメルンにて同一作品を公開しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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