ハリー・ポッターと銀髪の少女   作:くもとさくら

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これにて秘密の部屋編完結です!


"なかま"

 

結局まともに寝付けないまま次の日の早朝を迎えたティアラはポンフリーにお墨付きを貰い、寮に帰った。部屋に帰るとベッドの上に1通の手紙が置いてあるのに気が付いた。

まだ眠っているシャルルやニカを起こさないようにそっと封を開けるとそこにはダンブルドアからのお呼び出しの文章が連なっていた。ご丁寧に文の最後には彼の似顔絵までかいてある。

 

ティアラはそれを見てくすりと笑いを溢すと、その手紙を胸元のポケットに仕舞い、たった今入った扉を押し開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生、ヴァレンタインです」

 

「ああ、入りなさい」

重い扉がダンブルドアの声に反応し開くと、コーヒーやらお菓子やらが混ざった不思議な香りが周りに広がった。

 

頭に水色のナイトキャップを被ったパジャマ姿のダンブルドア先生が迎えてくれる。

 

「ごめんなさい、早かったですか?失礼しました…!出直します」

 

「ああ、よいのじゃ。」

 

日が出ているとはいえまだ早朝といえる時間だ。申し訳ないことをした…と先生を見上げるが偉大な魔法使いと呼ばれるその人は優しげな微笑みを浮かべて、ティアラの前に立った。

 

「身体の調子はどうかね?」

「はい。お陰さまで」

「そうか、それはよかった」

 

ダンブルドアは嬉しそうに頷き、ゴソゴソとながいローブのポケットを探る。

そして出てきたのはよく知った形のお菓子だった。

「キャンディー…ですか?」

「お見舞いのハッカキャンディーじゃ。わしはハッカが嫌いでのう…。こればかりたまってしまうのじゃ」

「はあ……」

ダンブルドアはティアラの手にそれを握らせると、ティアラをソファーに促した。

 

「これはあくまでも儂の想像じゃが、」

 

よいしょ、とダンブルドアがソファーに座る。

 

「本来はジニー・ウィーズリーが連れ去られるはずだったのではないかね?」

 

空色の瞳がキラリと光り、ティアラを貫く。

 

「………それ…は」

「彼女の部屋からあの日、日記を盗み出したのはそのためであろう」

「………」

 

沈黙は肯定の証。ダンブルドアはゆっくりと目を細め髭を撫で付ける。

 

「……もう問い詰めることはせんよ」

さっきのお茶目なものから一変し、その表情は真剣そのものといった顔つきだ。

「ただ、次からは相談するのじゃ。君が望まないのであれば手出しも口出しもせん。ただ儂の耳に入れて欲しい。命に関わることならば尚更じゃ」

「…はい。……あの、先生。ひとつ聞いてもいいですか?」

「なんじゃ」

「…その…バジリスクの遺体はどこに?」

「下に置いてきたと聞いているが、なにか問題があるかね?」

「いえ、それならいいんです。」

 

私のせいで何かが変わってしまったら、ハリーたちの決断と結果を変えてしまうことになるかもしれないと危惧していたのだ。もし、ひとつのピースが欠けてしまっては分霊箱を破壊し損ねてしまうかもしれない。

 

ティアラがそんなことを考えている間、ダンブルドアは酷くこの子を心配している男の姿を脳裏に浮かべていた。彼の大切な人は既に失われてしまった。だからこそ、この少女は守らねばなるまい。ハリー達3人と同じように、可能な限り手を尽くして護り、導かなければならないのだ。

 

「話はそれだけじゃ、呼び出してすまなかったのう」

 

とりあえず、暫くは目を離さないようにしつつ見守るしかないだろう。願わくばこの少女が、あの哀れな男にとっての大きな希望となる事を祈るだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学年末試験が無くなり生徒達は残った日々を思い思いに楽んでいた。ティアラはというと気を張らなくていい貴重な時間を大切な友人と共に過ごしていた。なにも考えずに普通の生徒として過ごすのは本当に久しぶりだった。時折マフィンを焼いては、ニカとシャルルを誘っておしゃべりをしたりと充実した時間を過ごした。

 

そうしてまた、ホグワーツに来てから一年が経とうとしていた。生徒全員がホグワーツを離れる日、ティアラは私服のワンピースに着替え、ハーマイオニーと共にコンパートメントに腰かけていた。

 

ホグワーツ特急が煙を吐き、滑るように動き始めた。木々を抜け緩やかな波紋が広がる湖面が車窓一杯に広がる。それはすみきった空とそびえ立つ城を映した大きな鏡のようだった。

 

「誘ってくれてありがとう」

「ううん」 

 

2人は窓に近い席に向かい合って座っていた。ティアラはなかなか寮の違うハーマイオニーと話す機会がなかったため、コンパートメントにハーマイオニーを誘ったのだ。

 

「ハリーから聞いたわ。大変だったわね」

 

ティアラが操られていたことはハーマイオニーとロン、ハリーと一部の教員しか知らないことだ。ティアラの希望により秘密は石にされたハーマイオニーにも知らされた。

 

ハーマイオニーの気遣う声にそっと微笑むと、ティアラは"そういえば"と気になっていたひとつの疑問をハーマイオニーにぶつけた。

 

「ねぇ?どうしてポリジュースで私にならなかったの?」

「え……」

大きな湖が広がる車窓に目を向けていたハーマイオニーはそれを聞くと困ったように笑った。

「貴女は私たちの大切な仲間だもの、仲間を騙して気絶させる趣味はないわ?」と眉を寄せて笑うハーマイオニー。

 

──そうだ……忘れていた。この子は…親友でいてくれた……この上なく優しい心の持ち主なのだ。

 

「なかま……」

 

「そうでしょう?」

 

窓からの光を受け、栗色の髪が優しく光る。

 

「…そう。…そうね…。」

 

不思議と潤んだ目頭を押さえたティアラはくすくすと笑いを溢す。

 

ハーマイオニーと別れ、ドラコとシャルル、ニカと合流しキングス・クロス駅も近づいてきたころ、お菓子を頬張ったドラコが口を開いた。

 

「なあ、ティナ」

 

「ん?」

 

「少しは頼っても良いんだからな」

 

どこか気難しい顔をするドラコは真剣そうにティアラの顔を覗き込んだ。

「どうしたの?突然」

ふふっ、と笑うティアラにドラコは怒ったように眉を寄せる。

「おい、俺はまじめにだな」

「わかってるわ。ありがとう、ドラコ」

「……ふんっ、」

ドラコはほんのりと赤くなった頬を隠すように顔を窓へと向けてしまう。

 

「ティア、本当によ?私達は友達だけど大切な仲間でもあるんだからね?」

 

隣に座っていたニカやシャルルまでそんな言葉を掛けてくれてティアラの心にポカポカと暖かいものが広がっていく。

 

「うん。本当にありがとう」

 

 

胸の真ん中がぽかぽかする。

沢山の心配してくれる仲間がいて、頼っていい強い人たちがいて。恵まれすぎている。とどうしようとなく考えてしまう。

 

 

結局ドラコは駅につくまで照れたように相変わらず顔を外に向けたままだった。ティアラの胸には暖かなものがとどまり、妙に幸せな気分にさせてくれた。

 

──仲間…か………

 

この世界に来る直前、"ハリー・ポッター"が死んだ時のロンとハーマイオニーの顔が脳裏に浮かんだ。

2人は"親友"何て言葉じゃ足りない。もっと、もっと大切なもの……。

 

──この世界でも幸せになってくれるといいなあ…

 

窓の外の煌めく光りを目を細めて見たティアラは遠いところを見るように優しく微笑んだ。

 

 

 

 

「またね!みんな!」大きく手を振るニカとシャルと別れたティアラはどこかツンツンしているドラコと連れ立って、家族とマルフォイ家の両親が待つ改札へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

秘密の部屋編完結です!

予定日から2日もずれてしまいました(・・;)

すいません(..)

前回と同じように、新章を始める前に2,3週間ほど準備期間を設けます。

 

 

 

 

 

以下は今作の人物紹介ですー。是非目を通してみてください。

 

 

・◇…女性  ◆…男性

 

 

・@所属寮

 

 

・~元所属寮

 

 

では、どうぞ(っ´ω`)っ

 

 

【登場人物紹介─生徒編─】

 

 

◇ティアラ・ヴァレンタイン  @Sly

 

主人公。銀髪の美しい少女。聖29族のヴァレンタイン家の一人娘、代々伝わる杖を持つ。

人々を救おうと躍起になり、よく周りが見えなくなることも。攻撃呪文と守護霊呪文が得意。

"2回目"のため成績がいいが本人はそれを快く思っていない。銀髪に若草色の瞳。

 

親しい人からはティアと呼ばれるが、唯一ドラコからはティナと呼ばれている。

 

 

◇シャルル・ジェラルド   @Sly

 

聖29族には入っていないがれっきとした純血。男兄弟が多い環境で育ってきたためさばさばしたところが多い。ブロンドの短い髪に深い青い瞳。たいした理由はないがグリフィンドールを毛嫌いしている。

 

 

◇ニカ・グラニャ  @Sly

 

美しい黒いストレートヘアの少女。二人の妹の世話をしてきたためかお姉さん気質でシャルルとティアラの世話をよくしている。心配性。

誰にも言えないがグリフィンドールの先輩であるジョージ・ウィーズリーに片想い中。

 

 

◆ドラコ・マルフォイ  @Sly

 

ティアラの影響か"前"よりも角が取れた性格のドラコ。マルフォイ家のプライドからか気取った話し方をする。

以前ほどハリーと争うことは少ないが、マグルを毛嫌いするのは変わっていない。幼なじみのティアラに絶賛片想い中。ブロンドに青い瞳。

 

 

◆ハリー・ポッター  @Gry

 

額に傷を持つ少年。10歳までマグルとして育った。同じ寮のロン、ハーマイオニーと一緒にいることが多い。バジリスクを倒したりと今年も大活躍。

スリザリンの事は嫌いだが、持つ印象は"前"程悪くない。黒い癖毛で、瞳は明るい緑色。ティアラと同じ目を持つが誰も気がついていない。

 

 

 

◆ロナルド・ウィーズリー  @Gry

 

聖29族ウィーズリー家の六男。燃えそうな赤毛で、鼻が高い。瞳の色は青。主に"ロン"と愛称で呼ばれる。蜘蛛恐怖症だが今年は密かに大活躍していた。ハーマイオニーとハリーと一緒にいることが多い。

 

 

◇ハーマイオニー・グレンジャー  @Gry

 

マグル生まれの優秀な魔法使い。栗色の癖毛に茶色の瞳。賢者の石に近づいたり怪物の正体に気付いたり、今年も陰ながら大活躍。最近はハリーやロンに影響され校則を破ることに躊躇しなくなってきた。

 

 

◇ジニー・ウィーズリー  @Gry

 

ウィーズリー家の長女。赤毛の少女。ハリーに一目惚れをしている。ティアラを姉のように慕っており、ティアラの髪型に憧れてちゃっかり髪を伸ばしている。まだ目立った活躍はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【登場人物─大人編─】

 

◇マリア・ヴァレンタイン  ~Rav

 

ヴァレンタイン家の現女当主でティアラの母。柔らかい物腰だが昔はやんちゃだった(らしい)。ヴァレンタイン家の美しい銀髪を持っている。聖マンゴに薬を渡す薬師をしている。

 

 

◆ルーク・ヴァレンタイン  ~Rav

 

ティアラの父で聖マンゴの院長。旧姓はルーク・ポッター。ホグワーツ時代の同級生のマリアと恋愛結婚をした。栗色の癖っ毛と青い瞳をもつ。忙しく家を空けることも多いが家族をとても大切に思っている。

 

 

◆セブルス・スネイプ  ~Sly

 

ホグワーツの魔法薬学の教員兼スリザリン寮監。暗い過去をもつ。真っ黒な髪と闇色の瞳をもつ。グリフィンドールを嫌っている。死喰い人だがある秘密を抱えている。

 

 

◆アルバス・ダンブルドア  ~Gry

 

ホグワーツ魔法魔術学校校長。多くの人々の尊敬を集める偉大な魔法使いである一方いたずら好きでお茶目な一面もある。

ティアラやハリーのことを気にかけている。長い髭と空色の瞳が特徴。

 

 

◆トム・マールヴォロ・リドル  ~Sly

 

未来のヴォルデモート。闇の帝王の記憶として日記に閉じ込められていたがハリー・ポッターに倒される。

 

 

◆ギルデロイ・ロックハート  ~Rav

 

一年間、ホグワーツで闇の魔術に対する防衛術の授業の教鞭を取っていた。記憶を消す呪文をマスターしていたがロナルド・ウィーズリーの杖を使ったことで自分自身に魔法がかかってしまい記憶を失った残念な人。

 

 

◇ミネルバ・マクゴナガル  ~Gry

 

ホグワーツ魔法魔術学校副校長兼グリフィンドールの寮監。贔屓等は全くなく正当に生徒達の能力を見る。生徒であり同僚であるセブルスのことを陰ながら見守る人物。多くの生徒や教員から慕われている優しい先生。

 

 

◆ルビウス・ハグリッド  ~Gry

 

ホグワーツの森を守る心優しい番人。ダンブルドアの信頼を全面に受ける。アズカバンに囚われていたがハリーやティアラの活躍により解放された。

 

 

 

【その他】

 

・ドビー

 

異様にハリーを慕っており、ハリーを危険から遠ざけるために魔法界への入り口を閉じたり手紙を盗み取ったり、となかなか行動力のある妖精。ティアラの存在は知っているがまだ会っていない。今年度の終わり頃、マルフォイ家から解放され自由の身になった。

 

 

・バジリスク

 

全長数十メートルの大蛇。強烈な毒をもつ。ハリー・ポッターに殺され遺体は秘密の部屋に横たわっている。

 

 

・アラゴグ

 

今作ではあまり出番がなかった残念な蜘蛛。子孫が数えられない程いる。ハグリッドの元ペット。

 

 

・ヴァレンタイン一族

 

今作では原作改変で"聖28族"が"聖29族"になっている。ヴァレンタイン一族の存在は《前》の世界にはなかった。ロウェナ・レイブンクローの直系の子孫で家紋には大カラスが描かれている。血を引くものは代々レイブンクローに所属してきた。

 

 

・ティアラの杖

 

今は失われた技術を使って作られた美しい杖。扱いが難しく、ヴァレンタイン家のものにしか扱えない。

 

 

 

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