さて、百話超えるまでには終わるかな?
それでは九校戦一話目。本編をどうぞ!
四葉親子の日常風景
国立魔法大学付属魔法科高校。
政府主導で経営され、魔法という希少スキルを有する少年少女たちが通うこの学校。全国で九つ存在している魔法科高校には、各学校が一丸となって毎年参加している一大イベントが、年に二回存在している。
一つは、毎年夏に開催される『九校戦』。正式名称:【全国魔法科高校親善魔法競技大会】
もう一つは、毎年秋に開催される『論文コンペ』。正式名称:【全国高校生魔法学論文コンペティション】
九校戦が運動系、論文コンペが文学系の生徒にとって華やかな舞台となるこれらのイベント。それぞれ各校の代表が各々のプライドを賭けて競い合う舞台だ。毎年毎年参加する生徒たちによって様々な勝負が繰り広げられ、栄光と挫折の物語を作っていく。中心となる選手・代表者のみならず、彼らを補佐するスタッフ応援する友人たち、果てには学校そのものが年に一度の晴れ舞台のために全力を尽くし合う。そこには社会に溢れる怨恨や憎悪といった悪感情はなく、また金銭利益的な要因も存在しない。まさに日々の努力による研鑽の結果と個々人の誇りだけが存在するのだ。
論文コンペは魔法技術に関する専門的な知識が必要になるため、企業や研究所向きで内々に開かれるのが常だが、スポーツ系魔法競技の中でも魔法の比重が高い六種目が行われる九校戦は違う。九校戦は、開催期間中魔法の可視化処理されテレビによって全国放送される。普段目にすることのない魔法の、将来を嘱望された魔法師たちの激しい闘いは画面の向こうの/あるいは会場の観客の胸を熱くさせ踊らせる。日に一万人もの観客が集まり、旅行会社によるツアーも企画されるほどの人気イベントなのだ。
そんな競技者も、スタッフも、学校や観客たちも注目する九校戦。
魔法科高校生たちの、熱い夏が、始まろうとしていた。
◆◆◆◆◆
山梨県の人里知れぬ山奥。
地元の人たちから『妖怪屋敷』と揶揄されているとある豪邸にて。
豪邸の主、四葉真夜は背もたれに身を預けながら背伸びをしていた。
「驚いたわ。人間って目的と理由、それからやる気さえあれば大抵のことは出来ちゃうのね」
普段着となっている黒のドレスに、普段は着用しないメガネをかけた状態で執務室に設置されたパソコンの隅を見る彼女。そこにあるのは立派な連峰とい言い換えてもいいほど積み上げられた大量の書類。真夜に呼ばれ、台車を押してやってきた筆頭執事の葉山と財務担当の青木はそれを見て頬をひきつらせた。
「真、真夜様……これは?」
「とりあえずウチに来ている依頼やら精神系統の研究といった諸々の書類よ。と言っても紙媒体じゃないとダメなやつだけだから、本当はもっとあるのだけれど」
大量の書類の山に青木が困惑しているうちに見た目は平静を保っている葉山が書類の一部を掴んでめくってみる。一、二枚と書類に目を通していた後、そっと元の場所に戻した。
「………完璧に仕上がっておられる。いつもなら手直ししなければならない箇所があるというのに今日は完璧だ」
「ふふふ。私もこの家の当主になって長いですもの。これぐらいは出来ますわ」
「し、しかし、たった数時間でこの量の仕事をとなると……。いきなりどうしたのですか!?こんなにも一気にやり切ってしまわれるなんて」
「あら。そんなの決まってるじゃない」
真夜の突然の行動に思考が追い付かない青木は思わず聞いてしまう。真夜の行動の理由に察しがついた葉山は、誰にも気づかれないぐらいに小さなため息をついて青木の隣に立つ。パソコンを長時間見続けても疲れないメガネを外し、少し疲れた色があるもののにこやかな笑みを浮かべて真夜は壁にかけたカレンダーを見る。
「九校戦まであまり時間がないですもの。時間を空けられるよう、今から仕事を詰めないとね」
【九校戦】、という
本日の日付は六月二十六日。真夜の言っていた九校戦まであと一月近くと迫ってきた今日。
四葉真夜ーー他所からは【極東の魔王】と恐れられる彼女は九校戦のために当主の仕事を一心不乱にやっていた。カレンダーを見つめる彼女から感じるのは、途方もないほど気分が向上している様。放っておけばハミングでもしてしまいそうなほどテンションがハイになっている彼女を、もしも分家の人たちや彼女に親しい甥姪の兄妹が見たならば『なにがあった!?』と衝撃が走ること間違いなしのこの姿。彼女の人柄を片鱗とはいえ知っている身内でこの様なのだから、【極東の魔王】の名でのみ真夜のことを知っている他人が見れば『戦争でも仕掛けるのか!?』と怯えるのが目に浮かぶ。さて、まだなにもやってないのに周囲の人間に多大な猜疑心と恐怖をもたらす彼女がなぜ九校戦に向けてスケジュール調整をしているかと言うと。
「先生に頼んでV.I.P. 席は確保してありますしテレビの予約も万全。予備の計画も含め、いくつも
「そうまでして冬夜様の活躍が見たいのですか」
「見たい!」
(親バカ、ここに極まり……ですな)
ーーただ純粋に、
(あぁ……胃薬が恋しい)
すっかり内科医の先生と顔見知りになった青木は、飲みすぎないよう自室にしまった
「しかしですな真夜様。既に九島家の家督を譲った九島閣下とは違い、真夜様は四葉家のご当主に在らせられます。一日二日ならまだしも、十日間となりますと家業に影響が」
「葉山さんに全部任せるから大丈夫よ」
「しかしそれですと真夜様の警護が」
「将来深雪さんの警護をしてもらう時の練習として水波ちゃんを連れていくから問題ないわ。それに護衛なら、飛びきり優秀な人材に頼んでありますから
「………モニカ殿ですか」
「護衛料金はV.I.P.価格で頼んであるので、青木さん、お支払いよろしくお願いします」
「かしこまりました……っ!」
財務担当をしている青木さん。実を言うと彼は四葉家の財布の最高責任者なため、営業とか株運用とかの責任者でもある。だから彼は、今四葉家にどれ程の資金的余裕があってどれ程出費が嵩んでいるのかをすべて把握している。それこそ、葉山以上に正確に。だからこそ彼はここ最近の真夜の浪費に涙している人なのだ。特にここ半年の出費は酷い。何があったかと思えば、こんなことがあった。
『USNAの連中が冬夜を出せと鬱陶しいわ。パッパッと追い払いましょうか。あ、なるべく殺さないように頼みますわね』
『冬夜に群がるマスゴミ連中に金でもばらまいて頂戴。なに、彼らも頭があるですから、甘いお菓子でも与えてやればすぐにそっちに飛び付くでしょう。無視した場合は……そうね。ちょっと
『一校にちょっとお饅頭を届けて頂戴。えぇ、飛びきり美味しいやつでねーーえ?何てそんなことをするのかって?そりゃもちろん、これから冬夜がお世話になる先生方にご挨拶にいけないからよ。うふふ、お饅頭あげたらきっと皆さん喜んで下さりますよ。ええ、ちょっと合格者名簿に名前がひとつ増えても気付かないぐらいにね……』
その他諸々、色んな事があって色んな出費があった。
(人件費の次はどこを切り詰めよう……)
家計が火の車、というわけではないが余計な出費をどれだけ抑えるかにまた頭を悩ませる日々が始まる。彼はまさしく、家計簿の前で頭を抱えるお母さん的ポジションにいる人なのだ。しかも月末なので、残りの
「………?あら、なんで青木さんはそんなに泣きそうな顔をしてるのかしら。もしかして、お休みが必要?」
「ご心配には及びません真夜様。この青木、全身全霊をもって真夜様のご要望にお応えして見せます」
「そう。頼りにしてるわ青木さん」
「はい……!」
例え辛くとも涙を見せないのが男。色んな人を畏怖や苦悩させながら、四葉真夜の九校戦観戦計画は進んでいく。苦労人青木さんが心中で号泣しながら、葉山と一緒に書類の山を台車に積んでいくと、ふと思い出したのか、真夜がこんなことを聞いてきた。
「あぁそういえば。九校戦で思い出しましたけど葉山さん、モニカさんたちの件はどうなっているのかしら?」
「そちらでしたら万事抜かりなく進んでおります。
ただ、こんな事を言うのもなんですが、本当に我々でよろしいのでしょうか。こうしたことは七草殿かブローカーとしてIMAの業績をよくご存じの三矢殿におまかせするべきでは」
「あちらが『そうしてきて欲しい』と言ってきたのだから仕方ないでしょう?準備が進んでいるのなら良いわ。そちらはそのままお任せします」
真夜はそういうと全身鏡の前に立って自身の身だしなみをチェックする。実は、これから彼女は四葉家の分家を集めた緊急会議を開く予定なのだ。会議を開く原因、もとい議題については各分家の当主たちに【他言無用】の念押しを入れて送ってある。事が事なためこうして会議を開くことになったのだが、彼らと直接顔を合わせるのは正月に開かれた『慶春会』以来。さて、彼らが無事自分の言葉に従ってくれるか。真夜はこれからの会議で彼らの反応を楽しみにしていた。
「分家の皆さんは冬夜が私の息子になったときの立ち位置について十分に話し合ったでしょうか。養子縁組の件は皆さんにとって利益の多い形で提示しましたが、どうなるやら」
九校戦観戦計画に続き、冬夜『養子縁組』計画も着々と進んでいた。
◆◆◆◆◆
一方その頃。実は真夜と血の繋がった息子である夜色名詠士、黒崎冬夜は何をしているのかと言うとーー。
「んじゃ次の問題。ラテン語で『光あれ』を意味する言葉は?」
「え!?えーと……」
「なんだっけ?」
「
「はい。エイミィ正解」
「やったね!」
雫の家で美少女三人と一緒に勉強会を開いていた。
……一見すれば『羨ましいなこの妻帯者』と文句を言いたくなる光景だが、もちろん理由があって冬夜はここにいる。一校に入学して既に三ヶ月近く流れた今日この頃。季節も春から夏に変わりつつあり、九校戦の開幕もそうだが夏休みがそろそろ間近に迫って来ていた彼らには、とある『試練』が間近に迫っていた。
そう、夏休みや冬休みに入る前に学校では必ず行われるその試練。学生ならば避けては通れないイベントであり、誰しもが一度は『なくなってしまえばいいのに』と愚痴をこぼすもの。
『定期試験』という名の試練が、六日後に待ち構えているのだ。
そんなわけで、現在冬夜は幼馴染の北山雫と光井ほのか、そして友人の明智英美(エイミィ)に勉強を教えていた。
「うー。光は得意範囲なのに~」
「欧州にある魔法の名家では、ラテン語習得が小さい頃からの必須教養だからな。その差が出たか」
「サンスクリット語とかエノク語とかはさっぱりだけどね」
「大和言葉とか祝詞はこっちのほうが有利かな?」
「なにはともあれ、エイミィ正解だ。一ポイント追加。こりゃおやつはケーキかな」
今回の勉強会、冬夜が教師役として三人に教えているのだがただ勉強を教えるというのもつまらないので、こうして時たま出題するクイズに正解して、『一番多くポイントを取った人が食べたいデザートをおやつにする』と言ったのだ。(ちなみエイミィがケーキ、雫はメロン大福、ほのかはホットケーキを要求していた)。現在ポイント順で雫・エイミィ・ほのかと並んでいるのだが、三人ともよく正解を出してくる。意地悪な問題も出してみるか。と空中に投影されたディスプレイを探る。
(ねぇほのか)
(なぁにエイミィ?)
(ほのか、今ケーキ食べたいって思う?)
(思わない)
(だよねぇ)
冬夜が次の問題を探している間、もう頭を使いすぎて痛くなり始めたエイミィはほのかにひそひそと声をかける。ほのかもエイミィの方に体を傾け、同じように喋りはじめる。女の子の大好物、冬夜が持ってきてくれた高級洋菓子店自慢のケーキを『いらない』と言ってしまう二人。彼女たちがそんなことを言う理由は、彼女たちの目の前にあった。
「ねぇ冬夜。ここの問題、教えて?」
「ん~?どれどれ?」
「ここ」
「あぁ、ここね………ってか雫、近い」
「そうかな?」
「うん。そこまで密着しなくてもオレの話聞けるよね?」
「冬夜の話、よく聞きたいから」
「あ、そう」
((………))
肩が触れ合うくらい身を寄せ合い、さらに言えば、冬夜から受けた解説を彼の真正面にあるディスプレイを使って一々雫は聞き返す。冬夜と同じディスプレイを指でなぞる様にしているためか、冬夜の背中から雫が身を乗り出すものだから冬夜の肩に雫の華奢な体が触れ、仄かに熱を帯びた吐息が冬夜の耳元を擽っていく。その光景をほのかたちは黙って眺めていた。
「じゃあ、ここはこういうことなんだ」
「そう。魔法言語学で習う言葉は魔法幾何学の授業でもよく出てくる単語が多いから、意味は正確に理解しておいたほうがいい。後々使えるだろうし」
「わかった」
ディスプレイから互いの顔へ、少し小突いただけでキスできてしまうほど至近距離で会話をする幼馴染(?)。教師役として真面目に説明する冬夜と違って雫の無表情そうな顔はどこか喜色が浮かんでおり、この状況を楽しんでいることがわかる。そんな二人を取り巻くオーラは桃色に染まっており、傍目からは恋人同士にしか見えない。
そんな光景を見て、誰に言われるまでもなく、ほのかとエイミィは呆れながら呟いた。
「「バカップル……」」
「だれがバカップルだ」
傍観者二人の心の声が聞こえたのか(といってもしっかり発声していたが)、冬夜は心外だと言わんばかりの表情を浮かべて否定する。雫は二人の声など関係ないと言わんばかりに冬夜にぴったりとくっついたままだ。
ほのかたちの言葉に対して不満がありそうな表情に、ほのかは呆れ切った顔のまま幼馴染たちに聞いてみた。
「ねぇ雫、冬夜くん」
「「なに/なんだよほのか?」」
「二人は付き合ってないんだよね?」
「「そうだよ/あぁ」」
「まだ友達なんだよね?二人の関係は」
「「うん/そうだな」」
「………でも、お互いがお互いのことを好きっていうのは知ってるんだよね?」
「「そうだけど?」」
「…………………」
呆れて物も言えない、という言葉の意味を今ほど痛感したことはないと思うほのか。交流会を経て、ある意味において深雪と達也以上に面倒で腹立つ関係に収まった二人は、時たまこうしていちゃつき始めることがある。もうどこからどう見ても恋人同士なのにそれをまだ『幼馴染』と自称するバカ二人に、ほのかの堪忍袋は切れそうだった。
「…………もう何でもいいからさっさとくっついちゃってよ」
本当にその通りである。ーーと、幼馴染(自称)がしっかりと自分たちの仲の良さを見せつけてくれたところで、冬夜の端末からアラーム音が流れ始めた。
「っと、アラームが鳴っちゃったか。それじゃあ次の範囲だな、【魔法幾何学】。この範囲は難しいから、これ終わったらおやつによう」
「最後の一踏ん張りだね」
「そうだな。さて、この範囲を教える前に一つ聞くけど」
サッ、サッと一応試験範囲の内容を確認する冬夜は聞く。聞かれるないように察しがついているのか、さっきまで喜色を浮かべていた雫も、呆れた顔をしていたほのかたちも、その目はそろってどことなく泳いでしまっている。
ディスプレイを動かす指を止め、試験範囲を確認し終えた彼は一拍おいてから三人に聞いた。
「――どこが分かんないんだ?」
「「「全部!」」」
「……………」
事前に打ち合わせでもしたのかと聞きたくなるぐらいぴったりなハモり具合だった。冬夜はディスプレイを閉じて軽くため息をつく。
「全部ってお前らな。あんなの円描いて星描いて文字並べるだけだろ。簡単じゃねーか」
「冬夜のような、頭の良い天才には簡単なのかもしれないけど」
「私たちのような現代っ子にはちんぷんかんぷんなんだよ!円や星ならともかく、文字が分かんないよぉ~」
「CADがあるんだからわざわざ覚える必要もないのに、なんでこんなの覚えなきゃなんないの~?」
「お前らが選んだからだろ」
冬夜のごもっともな指摘に今度は教えられる側の三人がため息をつく。理論試験の科目は全五科目。必修の『基礎魔法学』『魔法工学』、選択科目の『魔法幾何学』『魔法言語学』『魔法薬学』『魔法構造学』から二科目。『魔法史学』『魔法系統学』から一科目。選択科目の内、雫たちが選んだのは『魔法言語学』『魔法幾何学』『魔法系統学』の3つ。
このうち冬夜と被っている二科目を教えてもらおうという事だ(冬夜は『魔法言語学』『魔法幾何学』までは同じなのだが、最後に選んだのが『魔法史学』)。
……実は三人が『ついでに魔法系統学も教えてもらおう』と考えていることはまだ秘密なのだが。
ともかく、最後の二科目の内の一科目は、個人の好き嫌いで選ぶことが多い。どちらも難しさはそこまで変わらないからだ。
但し、最初にあった四科目中から二科目を選ぶ場合、大抵の生徒が『魔法言語学』と『魔法幾何学』を取る。なぜならその二つは残り二つと比べて簡単な科目だからである。ちなみに『魔法薬学』は難しい薬や薬草を大量に覚えなければならないという点から嫌われ、『魔法構造学』は、内容の要約が魔法式の構造を学ぶためなので非常に難しい。
要は、選択できる四科目の内二科目が特に難しいので必然的に残り二科目になるのだ。
しかし、魔法幾何学でそう音をあげられてしまうというのは、冬夜的には面白くない。なぜなら彼は、刻印儀礼の技術を確立させたCILの一人。刻印魔法も魔法幾何学の範囲内に入るため、その面白さや難しさはよく知っている。
なので彼は、三人に魔法幾何学が好きになってもらえるよう一肌脱ぐことにした。
「しょうがない。このCIL所長、刻印魔法で魔法師を名詠生物ともある程度戦えるようにしたこの黒崎先生が、魔法幾何学の特別授業をしましょうかね」
「……よっ、待ってました」
「おだててもなにも出ないぞ雫。さてそうと決まれば、それっぽいBGMをかけないとな」
「BGM?なんか嫌な予感してきたんだけど……」
「まぁ黙って聞きなさい。ミュージックスタート!」
なにか心当たりでもあったのか、ほのかが不安そうな目で冬夜を見つめる。端末を操作した彼が雫の部屋に流したのはーー
♪~デン、デデデンデン、デ、デン~♪
不思議な事が、起こった。
どういうことだろうか。
一瞬、ほのかたちの頭にSDキャラ化した冬夜が電子掲示板の前で教鞭を手に持った姿がよぎったのは、偶然だろうか。
(これは……)
(あぁ……)
ここまで来ると、さすがに残りの二人も分かったのか呆れた顔で冬夜を見つめている。そんな三人の冷たい視線にもめげず、冬夜は刮目し、しっかりとタイトルを宣言した。
「【よくわかる魔○科!番外編!~魔法幾何学って、なに?~】」
「冬夜くん、それパクリ」
「オマージュと言いなさい」
最初に言っておく。今回の親バカとイチャラブはまだジャブです(gesu face)
次回もお楽しみに!