魔法科高校の詠使い   作:オールフリー

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というわけで、ようやく本番です。

とはいえ、本選はあまり一年生が出て来ないので、サラリとやる予定です(多分)

後書きに当作品における得点配分の注意がありますので、ご一読ください。


本戦一日目【本戦スピード・シューティング】

 

 開会式は粛々と行われた。

 

 例年より少し豪華な(?)カメラと観客たちに見守られて時間は過ぎていく。一秒、いや一瞬たりとも彼らの姿を逃さないよう、国内外を問わず放送局のスタッフたちは静かに見守り、高倍率の会場内の席を多々買って(『戦って』ではない!)勝ち取った観客は今か今かと夏の暑さにも負けない熱気を抱えている。

 各校の校歌と短く纏められた主催者挨拶を経て、大会委員長から正式に九校戦の開催が発表される。

 十日間に渡る熱き激闘が、ようやく始まる。

 

◆◆◆◆◆

 

「すごい人だかりですねお兄様」

「あぁ。オレもここまでとは思わなかった」

 

 開会式が終了した後、達也と深雪は冬夜の出場する男子本戦のスピード・シューティングの会場へ来ていた。しかし彼らは会場内に踏み入れるや否や、驚嘆の声を上げる。がやがや、と表現するにはあまりに人の声が多すぎる。所狭しと人がぎゅうぎゅうに詰められている──そう表現するのが正しい試合会場。

 そのあまりにも多い人だかりを見て、九校戦を観戦したことのない達也は当然として、昨年同じ会場に来たことがあるはずの深雪でさえ、純粋に驚いていた。

 

「うわ。これ全部冬夜君人気のせいかな?」

「そうなんじゃない?」

 

 新人戦に出場するため、とりあえずは用もなく暇なほのかも同じように目を丸くさせる。唯一雫だけはあっさりとごった返している会場をさらりと受け流して観戦席へ足を向ける。出場校の関係者にのみ開放されている観戦エリアはまだ席が空いてあった。

 左から雫、ほのか、達也、深雪の順に一高の関係者エリアの席に陣取った四人は、未だ選手の現れないシューティングレンジを見てみる。

 この場にいる人たちは皆、これから出てくる一人の少年のために集まったと言っても過言ではない。

 

「初日の第一試合から真打ち登場か。運営も思い切ったな」

「開幕を告げるには丁度良いと思う。今年は注目選手が多いから楽しみ」

「ウキウキしてるねー雫」

「ええ。まるで遠足に来ている小学生みたいよ」

 

 見た目普段と一切変わらないが、雫の目が輝いているのは達也でも分かった。決して、冬夜が出場するから、という理由だけでこうはならないだろう。九校戦そのものが好きな彼女は、一人のファンとしてこの大会を楽しんでいる。

 対し、九校戦を観戦するのも初めてな達也は冷静に一般の観客席を眺める。試合が始まれば退屈もしないだろうが、会場のアナウンスも聞こえていない今はそれしかやることがない。

 が、意外にも眺めているだけで退屈することはなかった。

 

(遠足ではなくバス会社のツアーに参加している小学生が見えるが……。口に出すのは止めておこう)

 

 反対側に埋め尽くす子供達の数。会場の縁にズラリと並んだ彼らを見て、達也は改めて冬夜の人気を思い知る。残念な実態はほとんど知られてなくても、『英雄』のネームバリューはとても大きい。中には横断幕作って来ている子達もいたが、会場の警備員にあえなく注意されている。

 しかしそれでも、一般観客席の端から端まで埋め尽くす程の数は驚異だった。

 

(最前列が子供なら最後列は大人。いい感じに棲み分けができているのか)

 

 注意されたり、微笑ましい目で大人に見守られたりと、ガヤガヤと五月蝿いものの『微笑ましい』光景が見える前の席に対して、鷹の目のように目を鋭く尖らせてシューティングレンジを見つめる『冷徹な』光景が見える最後列。

 スピード・シューティングという競技は『三十メートル先の空中に投射されたクレーの標的を魔法で破壊する』競技であるため、試合そのものをよく見るには席が離れてなければならない(観客席は後列ほど高い階段形式となっている)。達也たちもそのために関係者席の後方に陣取ったのだが、恐らく大人たちは冬夜の実力を正確に測るためにその席を選んだのだろう。だがそちらの客席も満員御礼。各国から偵察に来ているのか様々な人種がそこにいる。

 魔法と軍事力が直結している現代において──単なる高校生の大会とはいえ──魔法師をメインとした大会でこんな光景が見られるのは、後にも先にも今回限りだろう。

 ちなみに、座席が最も込み合っている中央付近の席は両方に属さない人たちで埋め尽くしている。

 

(エリカたちには悪いが、運営委員会の指示は正しかったな)

 

 本当なら一般客用のエリアに向かい、そこでエリカたちと一緒に観戦する予定だったのだが、試合開始前に大会運営委員から『選手・スタッフが試合を見る場合、必ず関係者エリアで観戦すること』という通達が送られてきたことを生徒会役員るの鈴音から聞かされたため、それは断念した。エリカたちにも事情は説明しそれぞれ別々に観戦すること話は付いたが、運営委員会の言うことは最もだったと、席に着いた彼は納得する。なにせ、一般客側のスペースが人でごった返しているのがここからでも見えるのだ。余計な混乱を避けるためには必要なことだったと彼は思う。

 そして最後に、達也たちと同じく観戦に来た他校の関係者エリアを見て達也は呟いた。

 

「『今の最強にして最巧』か」

 

 懇親会にて冬夜に向けられた閣下の言葉。あの言葉のせいで、冬夜に対する警戒心は跳ね上がったと言ってもいい。他校の生徒が──特にトップ層と思わしき上級生が──険しい目でシューティングレンジを見つめている。まるで、これから嵐が起こることを予見しているように。

 

(あいつの実力は疑うまでもないが、こうなると少し不憫だな)

 

 なにせ初めから警戒されていることが分かっているのだ。下手に弱点を晒せば、他校はそこを狙ってくるだろう。他の選手より緊張を強いられることになる。

 選手の精神的なフォローも仕事に入っている技術スタッフとして、狙いを付けられている友人のことを案じた達也だったが、その心配は横から聞こえていた声で掻き消されることになった。

 

「心配しなくても大丈夫だよ達也さん」

「雫?」

「達也さんの心配していることぐらい、鼻で笑い飛ばして、呆気ないぐらいに優勝するよ。冬夜は。

 それにね」

「うん?」

「『オレの警戒に気を張って、他のみんなへの対策が疎かになれば、その分点が取りやすくなるだろう?』って言ってた」

 

 雫のその言葉に、達也は思わず吹き出していた。

 

「悪い奴だな。アイツ」

「そうだよ。悪い人なの」

 

 二人してクスクスと笑い合う。格好つけながら余裕綽々と言い放つ姿を想像して『似合わない』と、二人共考えていた。しかし、雫と冬夜の言葉の通りである。達也の考えていることは杞憂に終わるだろう。確証は何もないが、それだけは言えると達也は考えを改めた。

 小さく笑い合う二人の隣で、話について行けてなかった深雪とほのかも二人に釣られてニコッと微笑む。

 ただし、その目だけはあまり笑ってはいなかった。

 

「ええ本当。悪い人ですね。冬夜さんは」

「本当だね。悪い人だよね」

 

◆◆◆◆◆

 

「ッ、悪寒!?」

「なにやってんだお前」

 

 その頃、男子スピード・シューティングの選手控えでは、技術スタッフとして来ていた朋也の冷ややかな突っ込みが入っていた。得体のしれない感覚を覚えた冬夜は後ろに振り返ってみるも、そこには誰もいない。いったい彼はどうしたのだろうか。

 

「いやすまん。なんか怨念じみたものを感じてな」

「おいおい。こんな時に冗談はよしてくれ。こっちも本番前で緊張しているんだから」

「このねっとりと絡みつくような怨念。相手は女だな。だが燃え上がる炎のような嫉妬の念は感じられなかった。………どういうことだ?」

「なんで試合前なのにそこまで冷静に分析できるんだコイツは……?」

 

 マイペースというか空気が読めないというか。心臓に毛でも生えているんじゃないかと思ってしまうほどに冬夜はいつも通りの姿を見せていた。その表情に緊張の文字は欠片もない。ほかの先輩方は少なからず気を気を張り詰めているところがあるのに、彼はいたって自然体だ。他校からの目もあるというのに、これぐらいの緊張はプレッシャーのうちに入らないということだろうか。それとも慣れているということだろうか。実際に試合に出る選手がこの様子では、影とはいえ初日から大舞台の脇にいる自分が緊張しているのが馬鹿馬鹿しくなる。

 はぁ、と心の中で溜め息をついて、朋也は自分が担当することになった選手、すなわち四葉冬夜(この大馬鹿者)のCADの最終調整に戻った。

 

「まぁきっと、どこかの女の子が噂でもしてるんだろう。それよりもCADの調整はどうだ?」

「出来てる。要望(オーダー)に応じて術式に多少の変更を加えたから、調子を確かめてくれ」

 

 了解、と冬夜は朋也から手渡されたCADを手にする。

 CADは魔法師から想子(サイオン)を吸収し、想子(サイオン)情報体である起動式を送信する。この交信機能にトラブルが生じると、ほかの部分をどれほど巧みに仕上げていても役に立たない。ましてや今冬夜が手にしているCADは最初から余計な機能がついている分、慎重に調整しなければならなかった。

 元々展開速度が速いこともあってか、冬夜は手に持って一秒と立たず満足げな顔をする。

 

「問題ない。いや、むしろ想定した以上の出来上がりだ。これならば、オレの基本性能(スペック)をフル活用出来るだろう」

「そうか。ならよかった」

「まだ優勝してないけど先に礼を言っておくよ零乃。よくもまあ、コレを改造出来たな」

「そう思うなら最初から大会規定のを使ってくれよ……」

 

 調整がうまくいったことに安堵する一方で、つい文句も口から出てきてしまう。いったいなにが目的で、マスケット銃を改造したCADなんぞ作ったのか。刻印儀礼ではないものの、別の刻印魔法が施されたその単一武装CAD(マスケット銃)の調整は、達也と同レベルのCAD調整技能を有する朋也でも手を焼いた。

 

「なんでそんなに無駄に大きいCAD作ったんだか……」

「昔ドイツにいた頃、『魔弾の射手』の劇を見てね。当時厨二病掛かっていたオレは()()()()()()()()が作れないかと思って試してみたことがあってんだ。で、これがその成果品」

「要は黒歴史ってことか」

「単なる黒歴史じゃないぞー?オレの中ではこのCADはまだ現役だから。

 歌劇のとおりなら、主人公のマックスは猟師だろう?んで『(至近距離なら)火薬さえあればなんにでも銃弾に変えられる』という武器として性能を『想子さえあればなんでも弾丸に変えられる』っていうふうに仕立てて、マスケット銃を改造して作ったんだよ。『どんな時でも絶対に命中する百発百中のCAD』って需要あると思わないか?」

「そりゃあるだろうが……。呪われそうだなソレ」

「あ。やっぱりそう思う?」

 

 そりゃあなぁ。と、朋也は眉を顰めてCADを見つめる。魔王の息子なら気にしないのかも知れないが、一般人なら好き好んで悪魔の取り付いたCADなど使いたくないだろう。

 しかも、歌劇の通りに性能を発揮するならば、七発目は狙い通りに行かないはずだ。伝承の通りなら、狩人の最も大切な人の命を奪うはず。そんな自滅が目に見えている呪いのアイテム、使いたがる消費者はいないはずだ。

 

「つーかそれ、本当に当たるのか?」

「あぁそれなんだけどね?もちろん銃身やらグリップやらに術式を仕込んで、セットした標的に命中するまで止まらないようにした。本物の弾丸でも魔法で作った弾丸でも関係なし。事実、オレがこれを使ってるんだ狙撃して外した事はない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 クルクルとCADを手で回しながら、このCADの戦績を語る冬夜。その妙な言い回しに引っ掛かりを覚えた朋也だったが、ソレを指摘する前に今度は冬夜は溜め息をついた。

 

「けど、あんまりにも()()()似せ過ぎちゃったせいか、本当に悪魔が取り憑いちゃってさ。解呪(ディスペル)するの大変だった」

「ってそれじゃあ本当に曰く付きの代物じゃねーか!?」

「今は解呪してあるから、特化型の照準補助機能ぐらいしかない。呪われることはないから安心しろ?」

「事故物件だって説明されずに押し付けられた気分だ」

 

 分かっていても呪いのアイテムを手元に置いていたという不快感は消えてなくならない。「魔法のアイテムなんて大概曰く付きだろー?」という魔王の息子の言葉もスルーして、朋也は思い切り顔を歪ませる。

 考えてみれば初めから不自然だった。スピード・シューティング用に設定されているCADでも、パーフェクトスコアを出せる冬夜が、わざわざこんなレトロなモノを使いたいと申し出てきた時に指摘するべきだった。

 

「…………特化型とそう変わらない性能なら、今回ソレを使うのはハンデのつもり?」

「残念だがその真逆だ。オレは今年の九校戦において加減はするつもりだが手抜きはしない。このCADはオレの尖った性能に合わせて作られているから、より勝ちの目を拾いやすいと思ったんだよ。………異常があればすぐに分かるしな」

「?」

「こっちの話だから気にすんな。ま、大船に乗ったつもりで見てなって」

 

 冬夜が最後に呟いた言葉を問う前に、狩人は狩場へと足を踏み入れていた。

 

◆◆◆◆◆

 

「出てきたか」

 

 冬夜がシューティングレンジに現れた瞬間、嵐のような歓声がスタンドを揺るがした。子供達の声援に応えるように、冬夜が周囲に手を振りながら台座まで歩く。

 耳を保護するヘッドセットと目を保護するゴーグルを掛けた冬夜の姿は近未来映画に出てくるSFモノの主人公のように見える。

 ただしその手に持っているCADだけは、アメリカンなイメージを意識させられるが。

 

「なにを仕留めるつもりなんだアイツ」

「ん。クレー?」

「いや、そういうことじゃなくてな雫」

「じゃあ、魔女」

「どうやったらここから虚淵な展開になるのかな……?」

 

 達也の素直な感想に雫が大真面目に答える。機能的にはHELL○INGなマスケット銃だったが、悪魔祓いをしたのでそこまでの機能はすでにない。

 しかし、選手側は大真面目に取り組んでいるつもりだ。その証拠に、冬夜がマスケット銃(型CAD)を構えた途端、達也の評価が変わった。

 

(…………慣れているな)

 

 普段の温和な雰囲気ががらりと変わり、冷たい雰囲気に冬夜が切り替わる。あのCADを使い慣れているのだろう。銃を構えたその姿も、淀みを感じさせない。本人は気が付いているのか否か、CADを構えたあの目付きは、遠距離狙撃を行う狙撃手そのものだ。

 

(さて、どれ程の腕前か見せてもらおうか)

 

 達也は一年女子のCADのメンテナンスを担当していたため、一年男子の練習風景はほとんど見ていない。ここに来るまでに雫から「七草先輩と張り合った」と聞いてはいるが、それがどこまで真実なのか知らない。

 冬夜に釣られて研究者気質な一面が出てきたところで開始のシグナルが点った。

 

 最初に飛び出したクレーの数は、二個。

 スピード・シューティングの予選は、五分間に百個射出されるクレーを、どれだけ撃ち落としたかを競うスコア型。

 平均すれば三秒間に一個というハイペースで飛来するクレーが、時には連続して、時には十秒以上の間をおいて、時には五、六個まとめて宙を舞う。

 準決勝以降は二人の選手が同時にシューティングレンジに立ち、それぞれに割り振られた色のクレーを破壊してその数を競う対戦型になるこの競技、兎にも角にも予選ではなるべく多くのクレーを破壊する必要があるため、移動系魔法でクレー同士をぶつけたり、大規模な魔法で一気に破壊する戦法がよく取られる。

 そして冬夜は、飛来してきたクレーに対し。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『えっ………』

『おい、まさかこれって』

『いや、これは間違いない。この魔法は……』

 

 冬夜の使った魔法に、関係者エリアがどよめいた。一般客用のエリアでも、最前列と真ん中の人々は興奮の表情を見せる。感情の波は次第に大きくなってスタンド全体を覆い尽くす。そうしている間も冬夜は機械のような精密さでクレーを撃ち落とし続けている。

 達也の隣で深雪が無意識に呟いた。

 

「『魔弾の射手』……。会長と同じ魔法ですね」

 

 妹の言葉に達也が無言で頷く。

 

『魔弾の射手』

 ドライアイスの弾丸を打ち出す『ドライ・ブリザード』から派生した魔法で、『弾丸』ではなく『銃座』を作り出して標的を破壊するAランク魔法だ。しかるべき知覚系魔法と標的を狙い撃つ技量さえあるなら、死角のない遠距離狙撃として発揮する恐ろしい魔法。

 またこの魔法は、現在女子スピード・シューティングで勝ち抜いている一高生徒会長【七草真由美】の得意魔法としても知られている。真由美は生来の知覚魔法である『マルチ・スコープ』と組み合わせてこの魔法で過去二年の九校戦スピード・シューティングで二連覇を果たしている。冬夜は『マルチ・スコープ』の代わりに『存在探知』を併用しているのだろう。

 

(わざわざ予選から見せる必要もないだろうに。いや、プレッシャーをかけるつもりか?)

 

 魔弾の射手が脅威となるのは準決勝以降の対戦型から。予選は自分しか射手はいないのだから、わざわざ死角に銃座を作る必要はない。

 それでもこの魔法を使ったというわけは、恐らく偵察に来ているであろう他校へ実力を見せつけるためだろう。出鼻を挫いて、この後出場する選手へ重圧をかけるためかもしれない。現に、達也たちの近くで試合を見ている他校の顔は、青ざめている。

 

「近接戦闘・中距離射撃、おまけに遠距離狙撃もお手の物か」

 

 五分間という時間はあっという間に過ぎた。

 冬夜のスコアは『パーフェクト』。つまり一個も取りこぼすことなくクレーを撃ち抜いたのだ。

 子供達の声に手を振りながら冬夜は会場を後にする。その姿を目で追いながら、信じがたい結果に言葉が口を突いて出た。

 とても同じ血が流れているとは思えない万能性。非の打ち所がない戦闘技能。確かにこれは『最強にして最巧』と呼ばれるのに相応しい。

 

 もう結果は見えたな、と。達也はバトル・ボートの会場に移動するために席を立ちながら、そう思った。

 

 

 女子から男子へ、活躍の場は変わったものの悪魔ザミエルの猛威はまだ続く。歌劇に出てくる話の通り、魔弾は射手の望むままにクレーを打ち抜いた。

 歌劇の通りならば七年目(七発目)は大敗するだろうが、逆に言えば少なくともあと二年は絶対に勝てない年が続く。

 もちろん冬夜や真由美と同レベルの射手がいれば話は別だが、世界的に見て卓越した技量にあるあの二人と並ぶ腕前の持ち主がいるはずがない。高校生レベルでは、勝負にすらなってなかった。

 

 ───そうして。

 

 雫の予言通り、九校戦初日、本戦スピード・シューティングは男女共に一高の圧勝という形で幕を閉じた。

 





【本作における九校戦の得点】

皆様お久しぶりです。オールフリーです。仕事が始まり、なかなか執筆が進みませんでしたがようやくここまでこぎ着けました。

さて、九校戦が始まったところで一つ注意点が。原作【魔法科高校の劣等生】ではそれぞれの競技ごとに得点が割り振られ、本戦は新人戦の二倍の得点となっております。

しかしそれですと、クラウド・ボールやアイス・ピラーズ・ブレイクの得点が面倒くさいことになります。これら二つの競技は六位まで入賞(=得点が入る)のですが、原作の説明を見る限り、本線に上記二つの競技の四位〜六位の得点が五点。新人戦がニ,五点です。

作者的に計算が面倒だったため、本作においてクラウド・ボールとアイス・ピラーズ・ブレイクの四位以降の得点は「本戦:十点、新人戦:五点」とします。

お間違いないようあしからず。

それでは次回もお楽しみに!

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