僕のヒーローアカデミア 手マン抹殺RTA デク憑依ルート   作:槍持

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7の裏

百視点

 私も15歳になりましたわ。でも、そうなるといよいよ縁談が増えてまいりました。私は出久さん以外の男性と婚姻など考えたくもないのですが、迷惑な話です。

 これまではお父様が有無を言わせず断ってくださっていたのですが……。

 誕生日から数日が経ち、八百万家という蜜に群がろうとする蟻に辟易して頭痛がしていたある日、出久さんからメッセージが届きました。「しばらく家に行けそうにない、ごめん」と。

 

 

 

 

                えっ?

 

 

 

 

 どうしてですの? まさかあの蛆虫どもが出久さんに何かしたのではないでしょうね? 許せません、許せませんわ。出久さんのアドバイスでできるようになった百式レールガンで吹き飛ばしてしまいましょうか。

 

 

 落ち着きましょう。まだそうとは決まっていないのです。ですがそうとなると理由が気になります。まさか私に何か落ち度があったのではないでしょうか? 確かにいささか興奮してしまって歯止めが効かず、朝まで睦み合ってしまいましたが。でも出久さんは少し寝不足になったくらいだから、と言ってくださいましたわ。

 

 ……尾行いたしましょう。シークレットサービス達を遣わしても良いですけれど、私が直接向かうほうが早いですわ。こんなこともあろうかと用意しておいた光学迷彩外套の出番ですわね。

 

 

 

 

 

 そうして一週間も経った頃、ようやく理由を突き止めましたの。なんでも個性の特訓をしていたのだとか。個性! ついに出久さんが報われたのですわね! 神様も酷い方です。こんなに素敵な殿方に辛い試練をお与えになるなんて。

 個性が芽生えたことを喜び言祝ぐ私に、出久さんは微妙な表情です。

 

「百ちゃんに隠し事はしたくないから言うよ。でも、これは他言無用でお願い」

 

 そうして語られた内容はとても信じがたいことでした。個性因子の移植による人為的な個性励起。オールマイトが宿敵とも呼べる凶悪ヴィランを大事な人の命と引き換えに討った際の副産物。

 その討伐の際に負った怪我が重く引退を考えていること、そしてそのために自らの後継者を探していたこと。先日あった汚物の事件解決時に見初められたこと。そのためこれからはオールマイトが訓練を看てくださること。

 そして出久さんが得た個性は遺伝しないだろうこと。

 

 ……問題ありませんわ。他言無用なのですもの、それを知っているのは私だけ。誰にも言わなければ他者からは出久さんが強力な個性を持っているようにしか見えません。それならばお父様やお母様、ありがた迷惑な親戚たちを説得できます。

 ウフフフフフフ。不謹慎ですが、ありがとうございますオールマイトのご友人。あなたの犠牲のおかげで私は幸せになれますわ。ですが今は何より――

 

「では私も海浜公園のお掃除はお手伝いいたしますね」

 

 個性の特訓に協力いたしましょう。個性使用の先達として。

 お代はお給料3カ月分の指輪で良いですわ。2セット分ですわよ?

 

 

 

 

 

 

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お茶子視点

『はいスタート』

 

 いよいよ来た雄英入試、その実技試験。前触れなくかけられた開始の合図に応えられたものはいなかった、一人を除いて。

 

「なんて速さッ! ぼ、俺も負けてられないな!」

「なんて気合だ。やっぱこうでなくっちゃね!」

 

 他の受験生も続々と試験会場の廃墟群に突入していっとる。私だってそうだ。ヒーローになっておとーちゃんとおかーちゃんを楽させてあげるんだ。こんなところで躓いてられない!

 

 

 

 

 

 

「――解除!」

 

 

 これで15点目。何点取れば合格ラインなんやろか? あっ、あの子危ない! よっ、ハイッ! ビルが案外老朽化してるな~。私の個性なら落ちてくる瓦礫にも指を触れるだけで無力化できるし、やっぱ便利や。

 すごい速さで走り回ってる人もおるし、瓦礫撥ね飛ばしてて割と邪魔。本人は悪気皆無なのが笑えるわ。

 

 

「おっと、後ろががら空きだよ!」

「ッ! ありがと、助かった!」

「気をつけてね。隙が多いと喰われちゃうよ、グラマラス美人さん?」

「~~~ッ!? セクハラとか余裕か!」

 

 

 ほえ~。確かにあの人は美人でスタイルええな。じゃなかった。あの男の子、確か校門でコケそうになっとったんを浮かせてあげた子やん。さっきから危ない子を助けて回っとるみたいやけど、大丈夫やろか? 

 ハッ、いけないいけない。人の心配より自分の心配。

 軽くした瓦礫を投げてー、解除! 瓦礫投げてー、解除!

 

 

 

 

 

 

「うわー、でっけーヴィラン!」

「馬鹿、んなこと言ってる場合か!?」

「あ、あんなのに勝てるわけないだろ!? 逃げろ!」

 

 

 ちょっ、マジか。ビルよりでっかいやん。って危ない!

 痛たたた……。思わず突き飛ばしてもたけど、かわりに私が瓦礫の下敷きなってたら笑えんわぁ。あはは。

 あー、あのでっかいモノめっちゃこっち見てへん?

 

 

 

 

「お茶子ちゃん大丈夫!? 瓦礫にひっかかって……DERAWARE SMASH!! よし、後はどければ――ヨシッ。さ、もう大丈夫だよ。僕があいつをひきつけておくから、他に逃げ遅れがいないか確認してくれないかな。その後はみんなの避難指示よろしく! じゃっ!」

 

 

 私あの子に名前教えたっけ …? って今はそんなんええな。おかげで助かった。言われたとおりにしなきゃ。

 

 

 

 うん、逃げ遅れは私だけだったみたい、えへへ。ほわぁ、ほんとにでっかいのひきつけてるやん。向こうに行ってるってことはあっちに誘導すればええんやな。

 

 

 

 

 

 

 受験生の避難誘導は終わったけど、あの子はまだ来ぉへん。様子を見に行くべきや。私を助けるために無茶やってんねやから。

 

 

「ILLINOIS SMASH!!!!!」

 

 

 うそォ!? 倒してもーた! ん? でも何か変……って抜けへんのか! あのまま倒れたら下手するとぺしゃんこや。

 

 いけるか?

 

 私の個性なら少しの時間稼ぎと衝撃の大幅緩和ができる。でも今の私は一度に3トンまでしか無重力にできひん。それに試験でだいぶ使ったから消耗しとる。しかもあのでっかいのはあきらかに10トンコースや。

 ――女は度胸! やったる! “ゼログラビティ”発動!

 うぐぐぐぐぐッ、きっつい、吐きそう……。ぐぅぅぅぅ! やった、やったよおとーちゃん、おかーちゃん! でも゛ぎぼぢわ゛る゛い゛。

 オロロロロロロロロロ

 

 

「大丈夫? 助けてくれてありがとう。ほら、誰からも見えてないから気にせず吐いちゃって」

 

 あかん、笑顔が眩しいわ。単身赴任予定の私には目に毒だ。うぅ、ハンカチ貸してもらってもーた。洗って返さな。

 ひゃあ!? おひ、お姫様抱っことか! 風がっ はわわ、背丈は普通やのにすんごいたくましい……。あかん、あかんよこれぇ~! 顔めっちゃ熱いんやけど! ひょわ~!

 

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