――『己の身を犠牲にして、人類を死の運命から救う』。そういった点では、彼は紛れもなく、『救世主』だった。

 数多の人々との絆により、何者も到達する事の無かった『宇宙』に……『命のこたえ』に辿り着いた。

 しかして、少年の偉業は、ほんの一握りの人間にしか知られる事がなく。
 一度世界を救っても、再び時は巻き戻り、同じ時をやり直し、また人知れず世界を救う『作業』に戻る。

 ――だから、男から『時を統べる王の力』を渡された時、少年は決心した。

 「今度こそ、俺は俺のやりたい事をやる」

 「俺は、幸せになる」

 「そして――今度こそ、彼女を一人にしない。ずっと傍にいる」

 ――これは、人が救世主になる、愛と勇気の物語ではない。救世主が人に成り下がる、愛と欲望の物語である。
  リバイブ/愚者の刻()
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