ラブライブ!サンシャイン! 小原家の長男(養子)の日常は飽きない。 作:腹巻きおにぎり
〜別れも出会いも突然である〜
なぜこうなった・・・。それが今1番聞きたいことだ。僕、白樺 悠はこの金髪ロングヘアーの美人に連れられて、黒塗りの高級車に乗っている。「ホントはヘリコプターで移動したかったけどしかたないわね。」なんて言ってた。え、小学校どうしよう。まだ3年生だよ?どうするの?てか、何者?この人。あと何処に向かってるの?僕はこの後施設に行くんじゃないの?なんてことを悶々と考えてたら隣に座ってる金髪美人が話しかけてきた。
「ゴメンなさいね。事情を告げずに急に連れ出す形になってしまって・・・」
「え、あ、いえ・・・大丈夫です。」
事の発端は父の死だった。父は世界を股に掛ける腕の立つ料理人で、家に帰ってくることは決して多くはなかったが、たまにふらっと帰ってきて作ってくれる父の料理はどれも美味しかった。僕はそんな父が大好きだった。父から沢山の料理を学んだ。
だが、父がイタリアへ行く際の飛行機で墜落事故が起き父は帰らぬ人となった。父は多額の遺産を残してくれていたが、母は「悠が大きくなったら使う」と言って頑なに父の遺産には手をつけようとはしなかった。女手一つで僕を育ててくれた。母は身を粉にして働いてくれた。だがそれが祟ったのか母は体を悪くし父の死から2ヶ月後にあとを追うように亡くなった。僕は一人になった。葬式は親戚が執り行ってくれたが親戚内でも僕をどうするかで揉めてたらしい。そんな時に登場したのがあきらかに周りとは雰囲気の違う、金髪美人だった。そして僕を見つけるや否や、僕の手を取り
「あなたがシラカバユウくんですネ?」
僕はだいぶキョドりながら
「え、は、はい・・・」
と言った。そうしたら元気ハツラツに
「OK!!では私に付いてきてくだサーイ!!!!」
と、言い、外に停めてあった黒塗りの高級車に乗せられて、今に至るという訳だ。
僕はこの2時間弱の出来事に思いを巡らせていると、隣に座る金髪美人が口を開く。
「私はあなたのお父さんに頼まれてあなたを連れ出したのデース。」
頼む?僕のお父さんが?何を?疑問符が飛び交う頭の中少し頭痛がしてくると
「あなたのお父さんが亡くなる2週間前に突然『何かあったら俺の息子を頼む。遺産はある程度残してあるから自由に使ってくれ、こんなことを頼むのは図々しいとは思うが、何度も一緒に仕事をした事のあるアンタしか頼める人が居ない。』ってね。」
と、言われたが、父が何を思ってのことなのかは良くは分からない。母からも何も聞かされてないし。というかそもそも、自分が死んでしまう、ということを予期してたのだろうか。色々なことに考えを巡らせていても話は依然として僕のことを待たずに進んでいく。
「とりあえず私のvery cuteなマリーに会ってもらいマース!あなたよりもひとつ年上だけれどそこはそんなに気にしなくていいわ!仲良くしてあげてね!」
「マリー?それって誰ですか??」
「私の娘よ!とっても可愛いのよ〜!!」
娘か・・・当然女の子なわけであるよな。この金髪美人の娘だと、相当可愛いんだろうなぁ・・・。僕一人っ子だし。お姉ちゃんか、悪くない。むしろ楽しみなまでであるな。などと少し期待してると、
「Hey!ユウ!あれが私たちのmy homeデース!!」
と少し遠くにある、海辺のでかい建物を指さす。
「うぉぉぉ・・・でっけぇ家・・・って、家?あれが?なんかデカすぎてホテルみたいですね!!」
「oh!いい所に気がつきましたネ!!あの建物は『ホテルオハラ』私はそこの経営者なのよ!!」
まじか、経営者かよ、しかも『ホテルオハラ』てこの人もしかして「オハラさん」なのか?にしても社長さんかよ。すっげぇなぁ!
「オハラさんって社長さんなんだね!!」
「これから家族になるわけだし『オハラさん』はちょっと他人行儀すぎない?」
「いや、なんて呼べばいいか聞いてないし・・・」
「前はなんて呼んでたの?」
『前は』という言葉を聞いて少し寂しさが込み上げてくる。オハラさんはそれを察してくれのか
「その、ね。今のはデリカシーに欠ける発言だったわ。ゴメンなさい。」
と言って、ふわりと抱きしめてくれた。あぁ人に抱きしめてもらうなんていつぶりだろうか。学校のテストで100点を取った時に両親に抱きしめてもらってたことをふと思い出した。そうすると決壊したダムのように涙がとめどなく出てくる。僕はこうやって誰かに優しく抱きしめて欲しかった。「かわいそう」なんて言葉は要らなかった。葬式の時から泣かないと決めていた。僕が泣くと天国の2人も悲しんでしまうと思ったから。だけどやっぱり寂しかった。苦しかった。もう誰からもこうやって温かみを貰えないと思っていたから。
「大丈夫デスカ?」
泣き止むのを待ってくれてた。やっぱり優しい人だと思った。
「まぁ、呼び方はなんでもいいd・・・「ありがとうね。お母さん。うれしかった。」
オハラさんは目を丸くして、驚いた顔した。そして少ししてから優しい目でこう言った。
「私は大丈夫デース。No problem!!」
天国のお母さん、お父さん。ありがとう。産んでくれてありがとう。ホントはもうちょい一緒に居たかったけど、泣かないで頑張ります。天国から見守ってね。と、心の中で天国の2人に言った。
そんなこんなで、家・・・とはどうも呼び難い豪勢な建物に到着した。入口から入るとフロントには見たこともないようなでかいシャンデリアがぶら下がってた。ホテルの中をグルグル見回してると、奥からこれまた金髪の同い年ぐらいの女の子が走ってきた。
「ママ!おかえりなさい!!そっちの男の子は?誰?」
「マリー。この子はユウ、あなたの弟になる子よ。OK?」
「どうもこんにちは。しらか・・・じゃなくて僕は悠。小原 悠です。よろしくお願いします」
と、言い握手の手を差し出す。うーん少し距離を詰めすぎた?かな?そうすると
「私は小原 鞠莉!よろしくね!!」
と、言い握手をする。
「じゃあマリー?あなたのお部屋に連れってあげて。荷物はもう入れてあるから、仲良くしてね。」
「うん!!分かった!!行きましょ!!」
と言い元気よく腕を引っ張られる。うーむこの元気さはやはり遺伝か。けどこの人がお姉ちゃんならそんなに悪い気はしない。だからかは分からないが自然にこう言った。
「姉ちゃん。少し引っ張りすぎ!もっとゆっくり行こう?」
そうすると足を止め振り返り黄金色の美しい瞳をキラキラさせてこう言われた
「マリーに弟が出来たのよ!こんなにワクワクすることはないじゃない!!」
「けど俺ら血が繋がってないんだよ?それでもワクワクするの?」
「血がどうこうなんて関係ないと私は思うわ!だってあなたは私を『お姉ちゃん』と呼んでくれたじゃない?だから私はそれで十分だと思うの!!」
そう言って彼女はまた走り出す。ここに来てほんとに良かった、と心の底から思った。
白樺 悠、改め、小原 悠の人生が始まったのである。
最後まで読んで頂きありがとうございます。初投稿ですゆえ誤字脱字がありましたらご指摘ください。ネタが集まり次第投稿する形です。日常系が書きたく投稿しました。話のネタの提供があればコメントして頂けたら幸いです。