ペルソナ5 The wild edge   作:ザ・ファントム

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14.Nothing there

 外に出てきた俺らを待っていたのは、花畑であった。

 いやなんで、と思いつつ隣を見る。

 するとそこにノアはいなかった。

 そう、なんと周りの景色がすっかり変わっているのは。

 地平線の果てまで、花束が広がっている。

 

「なんだ、ここ……? これも、認知の産物だって言うのか……?」

 

 と、ナビが……。

 

『メメントス、第零階『遘伜ッ?屓蟒』に着きました』

 

 メメントスってなんだと思いつつ、足を進める。

 黄色い花、向日葵が辺り一面に咲いている。

 全て均一的で、どれも同じように見える。

 気のせいだろうけど。

 

 と、花が全て変わる。

 紅く、美しい彼岸花へと。

 呆然として、辺りを見ていると、遠くに誰か立っているのが見えた。

 俺はその「誰か」に向かって走り出す。

 

 気づけば、自然とだ。

 だがそこに辿り着くことはなかった。

 少女は孤島に立っていたからだ。

 飛べばそこに行けるだろう、だがそれをすると、今が崩れるようです、壊されるようで。

 何もできなかった。

 

 その少女は色が抜け落ちたような灰色の髪、何処かの制服。

 そして手に花束を持っていた。

 奇妙でいて、美しい。

 妙な感覚に囚われていた。

 

なんでそこにいるの?

 

 少女は、何か言った。

 声は届いているはずなのに、聞こえない。

 

わたしいがい、ここにいないはずなのに。いちゃいけない、はずなのに

 

 聞こえはしない、それでも何処か悲しかった。

 どうするべきか、立ち尽くしていると、突然立ちくらみがする。

 俺はフラフラして、軽く躓く。

 そして花畑の中に落ち……そこで一度意識は消え失せる。

 

 

 

「……はっ!?」

 

 俺は起きる。

 ここは、どこだ。

 

 周りを見渡し、状況を確認する。

 相変わらずノアはいない。

 何かの部屋のようだ。

 取調室、と言えばいいだろうか。

 部屋の雰囲気は、言葉で表すならとにかく青。

 青い部屋だ。

 

「ようこそ、ベルベットルームへ」

 

 女性の声がした。

 前を見ると、俺と相対するように、青いスーツを着た女性が座っていた。

 

「……今は主人は不在だ。代わりに私がここにいる。お前に助言を与えろと言われているのでな」

 

 そう言って足を組む。

 なんとも高圧的な人だ。

 ベルベットルーム、どうして俺はこんなところに。

 

「貴様……どうやら『素質』があるらしいな」

「『素質』? なんの?」

「……それはまだ、伝えるべきではないだろう。いつしか覚醒する話なのだ。その時を待て」

 

 そんなことより聞きたいことがたくさんある。

 だが、俺が声を出そうとした時、それを遮るように声を出す。

 

「私のことはロアンナと呼べ。いいな?」

「あ、あぁ……それよりも……」

「目覚めの時が近づいている。だから率直に伝えるぞ」

 

 どうあっても、俺は話せないようだ。

 しょうがないと言えるだろう。

 もしここが、仮に取調室なら俺は取り調べられる側の人間だからだ。

 どうしてと言われると、なんとも言えない。

 

「貴様はこれから、知りたくないことを知るだろう。それは試練だ。運命だ。決して逃げる事は許されない。逃げると言うことは、正義を捨てる事なのだから」

 

 

 

 最後のセリフを聞いて、頰に衝撃が加わる。

 それと同時に、酷い痛みが刹那響く。

 ほっぺがめちゃくちゃ痛い。

 普通に殴られても、こうはならないだろう。

 

「ご、ごめん。私のビンタ痛かった?」

「……え、殴ったんじゃないの?」

「ち、違うよ!? って、それよりもあれ見て!」

 

 と言い、前方を指差す。

 そこを見ると、園長、シャドウ高因がいた。

 俺は走って、近づくと、叫ぶ。

 

「高因 高尾ッ!!」

「っ……なんだ、もう来たのかい」

「オタカラはどこにある」

「オタカラ……? ああ、あれか。教えるわけがないだろ!? はっーはっはっはっはっ!! 君たちにはここで死んでもらうよ。奴隷ちゃんもこっちに来ないみたいだしね。おいでっ! 私の可愛い守護神ちゃんっ!」

 

 そう声高く言うと、俺たちの目の前に、少女のような顔、だがとんでもない巨体の怪物。

 いや違う、動物が現れた。

 例えるとするならクマだろうか。

 だが所詮これも、シャドウ。

 俺たちは同時に叫ぶ。

 

「「ペルソナッ!!」」

 

 俺たちの背後に、ペルソナが現れる。

 そしてペルソナは、剣を片手に飛び出す。

 そしてその動物に剣を振るうが、体よって弾かれる。

 いとも容易く、簡単に。

 

 追撃を加えるように、ノアのペルソナが片方現れる。

 それと同時に、ノアは叫ぶ。

 

「《エイハ》ッ!!」

 

 黒い何かがぶつけられるが、全く効いていない様子であった。

 が、反対側から現れるもう片方のペルソナが刀を振るう。

 だが勿論弾かれてしまう。

 

 それに気を取られてる隙に、俺は後ろに回って剣を振るう。

 飛んで、背中に刺そうとして……弾かれる。

 攻撃が一切通らないのだ。

 

「な、なんだよ…….あいつ……ッ!!」

 

 と、とんでもない速度で目の前まで来て、腕を振りかぶった。

 見えずに、対応ができない。

 異常だった、全く敵いそうになかった。

 呆然として、その拳が目の前まで来て……。

 

「危ねぇッ!!」

 

 ドンっと衝撃が加わり、少し飛んで倒れる。

 何者かが、俺を弾き飛ばしたようだ。

 その何者かを見る、するとそこにいたのは、先生であった。

貴方は怪盗団が好きですか?

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