ペルソナ5 The wild edge   作:ザ・ファントム

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15.Captive of sin

「お、おいっ! 大丈夫か!?」

「せ、先生!? なんでここに……」

「スマホに変なアプリが入っててな、それ使ったらここに来れた。しかしなんだありゃ……」

 

 そう言って、立ち上がって熊らしき怪物を見る。

 少女の顔が相変わらず奇妙である。

 よく見ると、大量と鎖で繋がれている。

 逃げられないと言う事だろうか。

 先生の顔を見ると、なんとも訝しげな顔をしていた。

 

「先生、少し離れててくれ。あれは認知の産物、バケモノだ……あの様子だと、校長が思っている誰かの様子なんだろうけど……」

 

 顔を見るに、女子だろう。

 うちの学校の。

 しかしあんな強いのがいるのか。

 少し、怖いな。

 

 未だ戦闘しているノアを見る。

 少し時間を稼いでくれていたようだ。

 俺は走り出すと、叫ぶ。

 

「ペルソナッ!!」

 

 が、それは全て、吹き飛ばされる。

 圧倒的なパワー、圧倒的なスピード。

 ただただ異常であった。

 奴の認知上では、最強という事なのだろう。

 現実でも、無敵で最強だという事なのかもしれない。

 

「くっ……! 《コウハ》ッ!!」

 

 遠距離から攻撃を加えても、やはり無意味。

 どうしようもなくなっていた。

 周りもシャドウに囲まれ始めてきた。

 

「ノアッ! 逃げるぞッ! ……先生、付いてきてくださ……」

 

 と、言うが反応が返ってこない。

 さっきからあの熊のバケモノの顔を見てから様子がおかしい。

 突然、ハッとした様子で、次の瞬間に怒ったような、悲しんだような顔になる。

 いややはり怒ってる。

 怖いぐらいに。

 

「あの野郎……ッ!!」

 

 

 

 ──────────────────────

 

 

 

 俺はとにかく、許せなかった。

 もう我慢の限界だった。

 苦しそうな姿が、俺にはもう辛かった。

 あいつは、あの熊は。

 彼女だ。

 

「テメェッ!! そう言うことかッ!! ふざけるなッ!!」

 

 認知の産物。

 いまいちよくわからなかったが、遂に理解した。

 あれは校長が思う彼女だ。

 奴に束縛され、絶対に解放されることのない。

 悲劇の少女。

 

 今まで他人事のように見ていた。

 でも、それは違った。

 ただ目をそらしていただけ。

 見たくない現実から、認められない現状から。

 だからこそ、俺はそれを認めないように叫ぶ。

 

「いい加減にしろよッ!! いつまで……いつまで彼女をそうするつもりだッ!! テメェとってに……生徒はなんなんだよッ!!」

 

 奴は俺を見て、一言。

 

「私がのし上がるための道具だよ」

 

 俺は膝をつく。

 そして呆然とする。

 

 道具、でしかないのか。

 奴にとって、生徒はただの道具に、過ぎないのか。

 こんなことがあって、あってたまると言うのか。

 

 ……違う、怒るべきは奴じゃない。

 自分自身だ。

 昔いた、一人の幼馴染を思い出す。

 幼馴染との、約束を。

 

 ──先生になって、そして……もう、誰も──

 

 ああ、今になって思い出したよ。

 そうだ、俺はそのために教師になったんだろうが。

 

『遂に思い出したか、この戯け者が』

「……今更、だがな……思い出しちまったよ」

 

 何処からか聞こえる声に、耳を傾ける。

 いくら苦しんでも、いくら悲しんでも。

 もう戻らない。

 そんな現実を、もう作らない。

 そのために、教師になった。

 

『いくら力を持ったとて、それを振るう『決意』がなけりゃ意味はなし。刹那の記憶に思い描くは、かつての願い。そうだろう?』

「ああ、そうだな」

 

 俺は手を握りしめ、立ち上がる。

 

『もう二度と、あんな思いはしないように。さぁ、契約と行こうか。我は汝、汝は我。権力に一度は屈したその身、奮い立たせ今一度決意の意思を示して見せろッ!!』

「……そうだな。力を貸してくれ、『ノブナガ』ッ!!」

 

 俺は、いつのまにか顔にあった仮面に手をかける。

 そして思いっきり剥がした。

 青い炎が俺の体に纏わりついてくる。

 そして、俺は意思に従い叫ぶ。

 

「《アギラオ》ッ!!」

 

 

 

 ──────────────────────

 

 

 

 豪炎が、熊を包み込む。

 そう、なんと先生は、織田 慎太郎は。ペルソナを覚醒させたのだ。

 

「な、なんだとォッ!!?」

 

 校長は驚き声を上げ、走り出す。

 熊を盾に逃げ出したのだ。

 俺たちは追おうとするが、熊が邪魔する。

 と、右腕から重々しい一撃が繰り出される。

 

 それを食い止めるように、先生が割って入る。

 そして手に持っていた槍で、思いっきり弾き返す。

 

「……ああ、これが俺か……俺なのか」

 

 そう言うと、槍を振り回し構える。

 俺とノアは近くに行き、先生の隣に立つ。

 先生の構えは、すごい様になっていた。

 

「先生、大丈夫ですか?」

「生徒に遅れは取らんさ。行くぞッ!!」

 

 俺たちは各々に散らばる。

 俺とノアは違う場所でシャドウの殲滅、先生はその間の熊の食い止め。

 ペルソナを発動させ、次々と殲滅させて行く。

 速度はそこまで早くないが、十分間に合うくらいではあった。

 

「《マハエイガ》ッ!! 先生っ! まだ抑えれるの!?」

「こっちは安心しろッ! 絶対に負けねぇからよッ!!」

 

 剣を振るい、ペルソナを使い、次々と殲滅して行く。

 時間はかかるが、それでも死ぬよりはマシだった。

 数分後には、大半のシャドウを殲滅し終え、その場から3人で逃走を始めたのだった。

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