ペルソナ5 The wild edge 作:ザ・ファントム
「お、おいっ! 大丈夫か!?」
「せ、先生!? なんでここに……」
「スマホに変なアプリが入っててな、それ使ったらここに来れた。しかしなんだありゃ……」
そう言って、立ち上がって熊らしき怪物を見る。
少女の顔が相変わらず奇妙である。
よく見ると、大量と鎖で繋がれている。
逃げられないと言う事だろうか。
先生の顔を見ると、なんとも訝しげな顔をしていた。
「先生、少し離れててくれ。あれは認知の産物、バケモノだ……あの様子だと、校長が思っている誰かの様子なんだろうけど……」
顔を見るに、女子だろう。
うちの学校の。
しかしあんな強いのがいるのか。
少し、怖いな。
未だ戦闘しているノアを見る。
少し時間を稼いでくれていたようだ。
俺は走り出すと、叫ぶ。
「ペルソナッ!!」
が、それは全て、吹き飛ばされる。
圧倒的なパワー、圧倒的なスピード。
ただただ異常であった。
奴の認知上では、最強という事なのだろう。
現実でも、無敵で最強だという事なのかもしれない。
「くっ……! 《コウハ》ッ!!」
遠距離から攻撃を加えても、やはり無意味。
どうしようもなくなっていた。
周りもシャドウに囲まれ始めてきた。
「ノアッ! 逃げるぞッ! ……先生、付いてきてくださ……」
と、言うが反応が返ってこない。
さっきからあの熊のバケモノの顔を見てから様子がおかしい。
突然、ハッとした様子で、次の瞬間に怒ったような、悲しんだような顔になる。
いややはり怒ってる。
怖いぐらいに。
「あの野郎……ッ!!」
──────────────────────
俺はとにかく、許せなかった。
もう我慢の限界だった。
苦しそうな姿が、俺にはもう辛かった。
あいつは、あの熊は。
彼女だ。
「テメェッ!! そう言うことかッ!! ふざけるなッ!!」
認知の産物。
いまいちよくわからなかったが、遂に理解した。
あれは校長が思う彼女だ。
奴に束縛され、絶対に解放されることのない。
悲劇の少女。
今まで他人事のように見ていた。
でも、それは違った。
ただ目をそらしていただけ。
見たくない現実から、認められない現状から。
だからこそ、俺はそれを認めないように叫ぶ。
「いい加減にしろよッ!! いつまで……いつまで彼女をそうするつもりだッ!! テメェとってに……生徒はなんなんだよッ!!」
奴は俺を見て、一言。
「私がのし上がるための道具だよ」
俺は膝をつく。
そして呆然とする。
道具、でしかないのか。
奴にとって、生徒はただの道具に、過ぎないのか。
こんなことがあって、あってたまると言うのか。
……違う、怒るべきは奴じゃない。
自分自身だ。
昔いた、一人の幼馴染を思い出す。
幼馴染との、約束を。
──先生になって、そして……もう、誰も──
ああ、今になって思い出したよ。
そうだ、俺はそのために教師になったんだろうが。
『遂に思い出したか、この戯け者が』
「……今更、だがな……思い出しちまったよ」
何処からか聞こえる声に、耳を傾ける。
いくら苦しんでも、いくら悲しんでも。
もう戻らない。
そんな現実を、もう作らない。
そのために、教師になった。
『いくら力を持ったとて、それを振るう『決意』がなけりゃ意味はなし。刹那の記憶に思い描くは、かつての願い。そうだろう?』
「ああ、そうだな」
俺は手を握りしめ、立ち上がる。
『もう二度と、あんな思いはしないように。さぁ、契約と行こうか。我は汝、汝は我。権力に一度は屈したその身、奮い立たせ今一度決意の意思を示して見せろッ!!』
「……そうだな。力を貸してくれ、『ノブナガ』ッ!!」
俺は、いつのまにか顔にあった仮面に手をかける。
そして思いっきり剥がした。
青い炎が俺の体に纏わりついてくる。
そして、俺は意思に従い叫ぶ。
「《アギラオ》ッ!!」
──────────────────────
豪炎が、熊を包み込む。
そう、なんと先生は、織田 慎太郎は。ペルソナを覚醒させたのだ。
「な、なんだとォッ!!?」
校長は驚き声を上げ、走り出す。
熊を盾に逃げ出したのだ。
俺たちは追おうとするが、熊が邪魔する。
と、右腕から重々しい一撃が繰り出される。
それを食い止めるように、先生が割って入る。
そして手に持っていた槍で、思いっきり弾き返す。
「……ああ、これが俺か……俺なのか」
そう言うと、槍を振り回し構える。
俺とノアは近くに行き、先生の隣に立つ。
先生の構えは、すごい様になっていた。
「先生、大丈夫ですか?」
「生徒に遅れは取らんさ。行くぞッ!!」
俺たちは各々に散らばる。
俺とノアは違う場所でシャドウの殲滅、先生はその間の熊の食い止め。
ペルソナを発動させ、次々と殲滅させて行く。
速度はそこまで早くないが、十分間に合うくらいではあった。
「《マハエイガ》ッ!! 先生っ! まだ抑えれるの!?」
「こっちは安心しろッ! 絶対に負けねぇからよッ!!」
剣を振るい、ペルソナを使い、次々と殲滅して行く。
時間はかかるが、それでも死ぬよりはマシだった。
数分後には、大半のシャドウを殲滅し終え、その場から3人で逃走を始めたのだった。
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