ペルソナ5 The wild edge   作:ザ・ファントム

17 / 46
17.I am the shadow, true I

 20XX年、4月3日。

 朝。

 

 おはようございます。

 そう言いたいところなんだが、そうなんだが。

 まだ夢の中だろうか。

 どこかで見たことあるような、いや違うな。

 これは、あの花畑だ。

 後ろに気配を感じ、振り向くとそこに、一人の少女がいた。

 髪の毛から色が抜け落ちたような灰色。

 どこかもわからない女子高生服。

 手には相変わらず、花束があった。

 

「なんで、いるの?」

「声が……聞こえる」

「……え、聞こえてるの……?」

 

 少女は、驚き戸惑っている。

 少し後退りして、怖がっているようであった。

 暗い様子で、顔を下に向ける。

 怯えている、のだろうか。

 と、そこで自分の格好に気づく。

 なんと俺は、イセカイでの格好になっていた。

 そんな格好してるもんだから、怯えるのも仕方がないだろう。

 

「……えと、俺は朝倉 奏って言うんだが。君は……?」

「あかり、って言う、はず……覚えて、ない……」

 

 覚えてない、と来たか。

 どうしてこんなところにいるのか、気になるところではあるが、聞いたところで無駄だろう。

 名前覚えていない、なら他の事覚えているとも思えないからだ。

 どうしようか、この子。

 

「……昔は、地下にいた」

「地下?」

「研究所に、いた」

「それ以外に、なんか覚えてることは?」

「……ない」

 

 と、そんな様子であった。

 俺は花畑の真ん中に座る。

 どうしようもないし、話を聞く限り協力できることもなさそうだ。

 ならこの夢が覚めるの待つだけである。

 と、目覚めを待っている時だった。

 突然空が、暗くなった。

 その瞬間、あかりは怯え、その場に蹲る。

 怖がっているようだった。

 背後に、何者かの気配を感じ、振り返る。

 

 そこにいたのは……俺だった。

 普通の、学生服を着た、俺だった。

 

「な、お前……だ、誰だよ……!?」

「俺は、お前だよ。知ってるだろ? なぁ?」

 

 俺は後退りして、仮面に手をかけると叫ぶ。

 

「ペルソナッ!」

 

 すると向こうも、それに答えるように、落ちてきた青いタロットカードを握り潰すと、叫ぶ。

 

「『マガツペンドラゴン』ッ!!」

 

 俺のペルソナと同じ顔、形、姿をしたそれが現れる。

 俺のペルソナの、振り下ろした剣を、剣で受け止める。

 それを見た俺の、全身の鳥肌が立つ。

 

「……聞かせろよ。今の状況、楽しんでんだろ?」

「……は? 違う、俺は……!」

「自分を誤魔化さなくたって、いいんだ……ぜェッ!!?」

 

 それと同時に飛び出して来て、剣を振るう。

 俺は剣を抜くと、それを受け止める。

 が、ペルソナ側の集中力が一瞬だけ途切れ、そこを狙われ打ち崩される。

 更に蹴りを入れられ、飛んでいく。

 俺はギリギリ踏ん張ると、俺を睨む。

 

「憧れの怪盗団みたいに、正義をかざして、楽しんでんだろう?」

「楽しんでなんか……ねぇッ!!」

 

 俺を剣振るう、だが簡単に片手で食い止められる。

 

「やめとけやめとけよ、テメェじゃ敵われねぇよ。俺はお前なのになぁ?」

「……違う、テメェなんか、俺じゃねぇッ!!」

 

 そう叫ぶと、奴は笑みを浮かべ、剣を下ろす。

 

「我は影、真なる我。よぉ〜く、拝んでおけよ? 死にたくなけりゃなァッ!!」

 

 そう言うと、奴の足元から広がった闇に飲まれて。

 

 

 

「はぁッ!? ……はっ、はっ……」

 

 目が覚めた。

 朝になっていた。

 驚くべき事実だが、朝なのだ。

 

「なんだ、今の……夢……」

 

 俺は日課のテレビをつける。

 少し呆然としながら、テレビを見つめる。

 曖昧な意識の中、ニュースの声が耳に入ってくる。

 キャスターの声が、虚ろげな意識を確かにしていく。

 

『喜多川展、今日から始まりますね!』

『ええ、私はもう楽しみでしょうがないですよ! あの独特な雰囲気と言うか、ね! 私は早速チケットを購入し……』

 

 深呼吸し、息を整える。

 洗面台に行くと、俺は顔を洗い、背伸びをする。

 カーテンを開け、陽を浴びる。

 なかなか眩しいのが、外の景色。

 さっき見た夢が、既に思い出せなくなっていた。

 断片的なら思い出せるのだが、明確な部分が思い出せない。

 

 と、スマホが鳴る。

 スマホを見ると、先生からであった。

 ID教えて記憶はないのだが。

 取り敢えず答える。

 

 

『起きてるか?』

 

『起きてますけど……』

 

『なんで俺のID知ってるんですか……』

 

『おいおい、俺は教師だぞ』

 

『連絡先などは把握済みだ』

 

『……IDは載ってないと思うんですが、それは』

 

『ま、細かいことは気にすんな』

 

『怪盗団のグループ勝手に作っておいたから、よろしく!』

 

 

 と、グループ欄を見ると、怪盗団と書かれたのが確かにあった。

 いつのまにか作ったのだろうか。

 とにかく気にしないことにして、テーブルにスマホを置く。

 俺はキッチンに行くと、昨日の帰り買って来たパンを口に咥える。

 もっもっもっ、と押し込んでいく。

 その間、することもなく暇だからテレビを見る。

 

『……それにして、今回開催する喜多川展。開催までには色々あったそうですよ』

 

 色々か、何があったんだろうな。

 と、喜多川と聞いて、怪盗団を思い出す。

 喜多川祐介、斑目一流斎の元弟子。

 改心されてからの話は聞いてない。

 怪盗団関連の人物などが出て来ると、すぐに繋げてしまう。

 俺の悪い癖だ。

 

 時計を見て、俺は着替える。

 戸締りなどを確認し、学校へ向かった。

怪盗団は正義ですか?

  • YES
  • NO
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。