ペルソナ5 The wild edge 作:ザ・ファントム
20XX年、4月5日。
夜。
夜ともなると、やはり辺りには静寂が満ちる。
その静寂は、実家を思い出して心地の良いものであるが。
ただ、部屋に一人っきりってのは寂しいものである。
寮だから友達でも作れば、部屋に呼べるのだろう。
だがいかんせん、俺はそう言うのが苦手だ。
向こうから来たなら、なんとかなるかもしれないだろう。
だがこっちから行くのは、少しごめんだ。
だって怖いもん。
さて、そんなこんなで眠くなってきた。
と言うわけで、銭湯に行って、布団に滑り込んだ。
数秒でスヤァである。
パッと、眼を覚ましていた。
俺は、花畑の中に立っていた。
目の前には、リンドウの花が咲いていた。
リンドウ、その花言葉は『正義』、『誠実』など、だったはず。
「…こんにちは」
目の前に立っていたあかりが、そう言う。
相変わらずその手には、花束がある。
「あ、ああ。こんにちは…っておかしくないか、俺寝てんのに」
「…あ、こんばんは。だったっけ…えっと…」
「ああ、あってるぜ」
そう、言葉が聞こえた。
俺の、声。
俺は咄嗟の反応で、仮面に手をかけペルソナを出す。
もう一人の俺が、いつのまにかあかりの隣に立っていた。
「おいおい、テメェ俺に敵うわけねぇんだからよ。それ、納めてろよ。あかりも怖がってんだろ?」
そう言うとケタケタ笑う。
実に奇妙だ。
自分と同じ顔した、同じ声の、バケモノ。
俺が少し呆然としていると、何処からか取り出したタロットカードを握り潰す。
奴の背後に現れたペルソナが、一瞬にして俺のペルソナを床に叩き落とす。
俺も同じように、地に堕ちる。
「戦うつもりはねぇんだ。話し合ってみようぜ? なぁ?」
ニヤニヤした笑みを絶やさず、俺を見る。
あかりは特に表情を変えることなく、俺を見ている。
前回みたいな怯えている様子はないようだ。
俺はそれを見て、ペルソナを納める。
すると、俺はペルソナを納める 、俺から少し離れて行く。
そして座った。
「…なんなんだよ。お前」
「行ったろ。我は影、真なる我って…ああ、違う。こう言うべきか」
そう言うと、立ち上がって改めて言う。
「我は深淵、内なる汝。俺は。もう一人のお前だ」
そしてケタケタ笑った。
あかりは相変わらず、虚無の顔で見ていた。
内なる汝、か。
認めたくはないが、あれは俺なんだな。
正義を、娯楽としてみている。
そう考えると、認めることはできなかった。
俺は、正義を心に、改心させなくてはならない。
「いつか出会えるかもしれない、奴との戦いのために。か?」
「…やっぱお前、俺なんだな」
「認めろよ。全て知ってんだよ。テメェが抱えた過去も、トラウマも、忘却すらできない、思い出も」
「っ…!」
何故か、あかりが反応した。
少し悲しそうな顔をして、俯けた。
それを聞くことも、できなかった。
まず何より、自分自身が気になっていたからだ。
「さてと、過去の自分と向き合う用意はできたか? 行くぜ?」
「…は?」
そう言うと、見たこともないタロットカードを手に、握り潰す。
するとそこに出たのは、前の影。
全てを飲み込む、深淵のような影であった。
たった一瞬、その一瞬で、俺とあかりを飲み込んだ。
20XX年、4月5日。
20XX年、4月4日。
20XX年、4月3日。
20XX年、4月1日。
200X年…………。
…………………
…………………
…………………
時は、小学生。
俺が改心されて、数日後だ。
「ここは、何処…?」
「俺の家、
ああ、クソ。
見たくねぇよ、こんなもの。
だが俺は、その光景を見る。
もういない妹と、楽しそうに遊ぶ俺。
妹も、楽しそうだ。
そしてそれを眺める、両親。
みんな幸せそうだ。
「幸せ、そう」
「…ああ、幸せ。だったよ」
こんなもの、見たくない。
俺は、そっと目を閉じる。
何も見たくない、何も感じたくない。
もうこのまま、全て忘れてしまいたい。
誰でもいい、俺のことを助けてくれ。
そんな時だった、温もりが俺を包み込んだ。
優しく、全てを包み込むような、暖かいものが。
「大丈夫、だよ」
安心した。
何故か、心の底から、安心していた。
そしてあかりが離れると、景色は花畑に戻っていた。
少し離れたところで、俺が俺を見ている。
口を開いて言った。
「…まだ、向き合えねぇのかよ。クソが」
そう言うと、その姿は影へと消えた。
それと同時に、俺の意識が失われていく。
だんだんと、落ちて行き、そして目覚めたのだった。
怪盗団は正義ですか?
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YES
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NO