ペルソナ5 The wild edge   作:ザ・ファントム

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34.VSコウイン・プライド・タカオ(2)

「『モスマン』! 《ジオンガ》ッ!!」

 

 奴が突撃して来たところに当てるように、が叫ぶ。

 そして背後に現れたペルソナは、雷による一撃を叩き込む。

 そこに追撃するかの如く、カースが飛び上がる。

 そして二本の刀を逆さに持つ。

 まるで牙のように。

 ペルソナも同じように、両方が逆さに持った刀を刺し穿つ。

 まさにそれは二連の牙だ。

 

「《コウガ》! 《エイガ》!」

 

 二種類の攻撃が放たれる。

 奴の足元から、一斉に光の呪怨が襲いかかる。

 それを受け、少しよろけるが。叫び声を上げ周囲に雷を撒き散らす。

 カースはそれを避けるように離れる。

 だが奴は、それを見ると撒き散らしつつカース目掛けて走り出した。

 

「なっ…!?」

「させるかッ!! 『スザク』ッ!! 《フレイラ》ァッ!!」

 

 遠方からペルソナの攻撃が叩き込まれる。

 核熱による一撃。

 それがまともに決まったのか、横に倒れる。

 カースの隣に、ペルソナの出す風を巧みに操り、上手く飛んできたハンターがいた。

 

「大丈夫だな?」

「う、うん…なんとか…」

 

 立ち上がってみせると、その場から離れる。

 途中、ロードの方を見ると、なんとか行っているようだ。

 目的地までは遠そうではあったが。

 

(ふぅ…これ、いつまで持ちこたえられるか、わかんないな…)

 

 ナイトは、二人を見る。

 なかなか傷ついている様子であった。

 ペルソナを使い回復させることもできるのだが、距離がまあまあ離れているのだ。

 向こうに行っている時間、奴にバレてしまえば突撃される。

 ペルソナで耐えることができるが、それも少しだけの間だ。

 

(…とにかく、奴の動きを止めないと)

 

 奴が二人を見つけ、襲おうとしていたところを見てそう考える。

 立ち上がろうとするが、足が上がらない。

 ナイトの体も、限界が来ていたようだった。

 

(やばい…こんなところで、倒れるわけには…いかないのに…!)

 

 そう思うが、一向に立つことができない。

 体が言うことを聞かないのだ。

 そしてついに、ナイトは倒れる。

 戦いの中で…。

 

 

 

 

 

「貴様、そこで終わるつもりか?」

「はっ…!? こ、ここは…ベルベットルーム…?」

「ふん、せっかく褒めてやろうと思っていたが…あの結果では褒めることもできんな」

「いや、まだ負けてないんですけど…」

 

 そう言うと、ロアンナは笑う。

 奏は少し驚いて、体を震わせる。

 

「はっはっはっ! それもそうだな。いいだろう、貴様にとっておきのものを紹介する」

 

 そう言うと、銃を机の上に滑らせ、奏の目の前に置く。

 この前見た、あの銃だ。

『S.E.E.S』と刻まれた、あの銃。

 なぜそんなものを…と、奏は考えるが、それを手に取る。

 

「今、決別の時は来た。己の中に眠るソレと、決別しようじゃないか?」

「『エリゴール』、『アメノウズメ』…」

 

 考える間も無く、奏は二つのペルソナを呟く。

 すると背後に、その二体のペルソナが現れた。

 それを感じ取ると、奏はゆっくりと銃口を頭にくっつける。

 そして引き金を引いた。

 辺りに響き渡る銃音。

 ただ、貫かれたのは頭ではない。

 頭から出てきた、二つの仮面であった。

 その二つの仮面はどちらも真っ二つに割れる。

 自然と、二つはくっついていく。

 

 そして産まれた。

 新たなペルソナが。

 

「『ハイピクシー』、か…」

 

 それを受け、奏は口角は大きく上げる。

 

「さぁ行けッ!! 自身の罪に戸惑う罪人よッ!! 貴様の運命を今、大きく変えてみせろッ!!」

 

 

 

 

(ンとな…流石に…これは、まずいぞ…)

 

 ハンターは立ち上がろうとするが、壁に縋るのに精一杯だった。

 カースも同じだ、雷による一撃があまりにも重すぎた。

 奴は唸りながら、こちらへ徐々に近づいてくる。

 と、叫び声を上げた、その瞬間だった。

 

「《ドルミナー》」

「フゴォッ!!?」

 

 奴は少し声を上げると、横に倒れる。

 そしていびきをかきはじめた。

 

「《メディア》…大丈夫、だったか?」

「あ…ああ、なんと、か…」

「私も、なんとか大丈夫、かな…」

 

 近づいて、傷が癒えていく二人を見る。

 無事だったことに安心し、ホッとした。

 その瞬間、奴は立ち上がる。

 眠りが浅かったようだ。

 

 壁際でギリギリ。

 回復していたが、結局やられるのは時間の問題だった。

 精神的にも追い詰められていたのだから。

 どうしようか考えていた三人。

 その時だった、笑い声が部屋に響き渡る。

 

「ハハハハハハッ!!! …何発か雷にぶち当たったが、なんとか辿り着いてやったぜ…へ、ヘヘッ…!」

「ウゴァァァァアアアッッ!!!」

 

 奴は声にならない叫び声を上げる。

 そしてロードのいるところに向かって突撃しはじめた。

 だが、もう遅い。

 

「行くぜリーダー。後は頼んだぞ。お前ら」

 

 鎖にぴったり銃口をくっつけて、放つ。

 パキンっと言う、なんとも言えない軽い音とともに、鎖が千切れた。

 上にあった牢屋が一斉に落ち始める。

 それは次々に奴へと当たっていく。

 落ちてきた生徒たちは、食べることもなく消滅していく。

 

「ガァァァァアアアアッッッ!!!?」

 

 バケモノは、遂にその巨体を倒した。

 牢屋が落ちる中、奏は駆け出す。

 さっきハンターがやったように、ハイピクシーのガルを使いながら、落ちる牢屋の中を駆け抜けていく。

 が、やはりそれでも避けきるのは難しく…。

 

「《五月雨斬り》ッ!!」

 

 カースのペルソナが、牢屋を粉々に砕く。

 それによって、ナイトの頭上に牢屋が落ちることはなかった。

 

「《ガルーラ》ァッ!!」

 

 ハンターが叫び、風が巻き起こる。

 それを巧みに乗り継ぎ、駆け抜けていく。

 そして飛び上がると、その巨体に向かう。

 

「来い…『ペンドラゴン』ッ!!」

 

 ナイトはその剣を両手で握って構える。

 剣が徐々に光を纏っていく。

 ペルソナの剣も同じであった。

 目の前まで来たところで、同時に放つ。

 

「《カリバーン》」

 

 ただ、呟く。

 その一撃、極光を。

 

 牢屋が全て落ちきる頃には、やつはその姿を取り戻していた。

 そう、ただの人間、校長に。

 ただ、随分とボロボロであったが。

 

「こ、これだけはぁぁぁああっ!!!」

 

 校長はアタッシュケースを抱えると、壁際に逃げていく。

 

「『ノブナガ』」

「ヒィィッ!!?」

 

 そう呟く声ととも、銃撃が校長の目の前に打ち込まれる。

 それを受けた校長は腰を抜かし、壁際で座り込む。

 

「逃すかってんだよ…クソ野郎が」

 

 ロードは奴に近づいていく。

 後の三人も同じだ。

 

 四人はペルソナを出しながら、奴を追い詰める。

 ナイトは、剣を向けた。

 

「それを渡して、貰おうか…」

「…わ、私だってなッ!! 大変だったんだよッ!! 今まで、今まで幾つ踏み躙られて来たッ!!? 私は、わたしはぁっ…!!」

 

 それを聞いて、ノアは奴を殴る。

 カースではない、ノアが殴った。

 何度も、何度も、何度も。

 

「ふざけないでよッ!! 踏み躙られて来たッ!? それはこっちのセリフなんだよッ!! あんたのせいで…あんたのせいで私のお母さんはぁッ!!」

 

 最後の一発を殴り込もうとしたところで、ハンターが止める。

 

「…何で、止めるの」

「それ以上やったら、死んじまう。シャドウ本人をやってしまえば、現実でも死ぬだろうよ」

「…」

 

 それを聞いて、ノアは手を離す。

 奴は項垂れるながらも言う。

 

「…私は、取り返しのつかないことをした…私は、私の中へ帰ろう。そして、全ての罪を…」

 

 そうして消えていった。

 後に残されたのは、オタカラの入ったアタッシュケースだけであった。

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