ペルソナ5 The wild edge 作:ザ・ファントム
35.Operational success
「…疲れた」
「同感」
「ですね」
「ンだな」
カラオケ。
部屋だけ借りて、みんなダラけていた。
校長からオタカラを盗み、崩壊するパレスの中なんとか脱出。
激しい戦いでボロボロであった。
心身ともに。
机の上には一つのオタカラ、『教員免許』があった。
「オタカラ、それ…なんだよな」
「教員免許、か。なんでこんなものが」
「これはあたしの推測なんだが…その歪みの原点、まぁつまり歪みが生まれた理由だな。それがオタカラなんじゃねーのか」
「歪みの原点…ですか。確かにそれっぽいですね」
奏は寝ている体を起こして、コーラを一気飲みする。
軽く咳き込んで、オタカラを手に取る。
ジロジロ見てから、言う。
「…これ、本物なのか?」
「いや、偽物だ。書かれている内容が大雑把過ぎる。奴の根幹になったのに、その存在を忘れかけていた、ってことなんだろうな」
そう言うとスマホで画像を見せる。
その画像は教員免許だ。
画像とオタカラ、見比べてみると、確かに書かれていることが大雑把であった。
「…ま、これはこっちで処理しておこう。偽造免許なんて犯罪だからな」
そう言うと慎太郎はカバンにしまう。
少しの間、みんなは静かであった。
だがノアが声を出す。
「これで改心、できたんですかね」
「…きっとできたろ。わかんねーけど」
「だな」
疲れているせいか、誰もまともに反応できなかった。
(あー、これ聞いとかないと…)
奏はそう考えて、みんなの方を見る。
それぞれ随分と悲惨な顔してるが、言う。
「みんなに、一応聞いときたいんだ」
「何を」
「怪盗団、続けるかどうか」
それぞれが、少し悩んで言う。
それぞれの思いを。
「…俺は、続けたい。もうあんな奴を出すわけにはいかない。それには改心させる必要がある。苦しんでいる人を救ってやる必要が」
「そうだな…あたしも同じだ。悪い人たちで苦しんでる人たち、勿論いるだろう。できるなら、救ってやりたい」
「私もです。校長以上に理不尽な人は、沢山います。そんな人たちからオタカラを盗んで。改心させる。やりたいんです」
「そうか、じゃあ怪盗団『ワイルドエッジ』はこれからも続くということで!」
おー! とみんなで声を上げる。
そんなこんなで、戦いは終わったのだ。
20XX年、4月17日、月曜日。
夜。
そんなこんなであくびをしながら歩く。
今は大体8時ぐらい。
あんなことしていれば、普通に眠いのだ。
「…風呂入んないとな…」
そんなことを呟きながら、寮に入っていく。
色んな部屋から声が聞こえる。
寮はマンションみたいな感じで、片面は外になっている。
奏の暮らしている階層は4階。
寮自体の高さを見れば結構である。
自分の部屋に辿り着き、ドアを引いて入る。
そして誰もいない部屋に向かって言う。
「ただいまー」
「おかえり」
誰もいないはずの部屋から声が聞こえた。
「…ん?」
部屋は暗く、誰がいるか見えない。
警戒しつつ先へ進んでいくと。
その者は電気をつける。
見たことある顔。
色落ちしたような灰色の髪に、どこかの制服。
今日は珍しくキャスケット帽を被っている。
あかりだった。
「…あかり?」
「出てこれない、と思ったけど…ロアンナさんが、出して、くれた…」
「あー…なんで俺の部屋に?」
「私が入れた。文句は?」
後ろから聞こえる声はロアンナ。
対する奏の返答は。
「…ないです」
話はこうだ。
本来は認知世界から出れないあかりを、ロアンナは連れ出してきた。
理由は不明、話そうとしない。
あかりを出したのにも、特に理由はない。
あかりが出たいと言ったから、だ。
記憶喪失で行き場はない。
だから唯一の知り合いである、奏の家に来た。
と言うことであった。
それを聞き、どうしようもない顔になる。
「あかり、向こうに帰る気は?」
「…ない」
「だろうな。あんな寂しい場所に帰りたくないよな」
「貴様。追い出すつもりか?」
「い、いやそんなことはしないっすよ…」
奏はロアンナに対し、なんとも低姿勢になる。
理由は不明だが、なんか思うところがあるのだろう。
(単純に、怖い)
そうでもなさそうなのだが。
「こっち来て、寝場所のアテとかあるのか?」
「ない、けど…ここじゃ、駄目?」
「え…」
「どうなんだ?」
「その、ここは流石に…」
「なら野宿することに…」
「わかった! ここでいいよ!」
野宿させるわけにはいかないと声を出す。
「そうか、それでは」
と、軽く指を鳴らすと、何処からか大量の荷物が落ちてくる。
準備は万端だったようだ。
その日から、とても奇妙な同棲生活が始まったのだった。
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