ペルソナ5 The wild edge 作:ザ・ファントム
20XX年、4月18日、火曜日。
朝。
ロアンナは流石に帰っていた。
部屋にいるのは、奏とあかり。
奏は日課通り、朝起きてテレビをつける。
床では布団を引いたあかりが寝ている。
女の子と同居、その事実で奏は変に緊張していた。
『順調に勝ち星を挙げている東郷六段。かつては八百長姫などと呼ばれましたが…』
(将棋か…あんま興味ないな)
チャンネルを変える。
何処もニュースで同じようなことばっかやっている。
日本が平和な証拠である。
(まぁ、裏では平和、とは言い難いんだろうけどな)
面白いニュースやっていないかな、とテレビ番組を切り替えていく。
と、何処かの店を紹介するような番組をやっていた。
朝のニュースのワンコーナーみたいな感じだ。
奏は気づく。
その店がなんなのか。
「これって…ルブランか?」
『それでは23歳と言う若さで、このお店をお引き継ぎに?」
『ええ、私は主夫なので、子育てと仕事。両立出来るようにこの仕事を引き継ぎました。仕事終わりの妻にカレー出すこともできますし』
そう言ってテレビの中の、伊達眼鏡の主人は笑みを見せる。
『雨宮 蓮さん。ズバリこのカレーの秘密は!』
『秘密というほどでもないんですが…コーヒーと合う、ところですかね』
雨宮 蓮。
それがルブランの主人の名前であった。
テレビをつけたままキッチンに向かう。
そして朝ごはんを作り始める。
昨日はご飯を買うような力がなく、コンビニに行けなかったのだ。
つまり、朝ごはんがない。
ならば、と奏は作り始める。
そんなところで、あかりが起きる。
「…んっ、おはよう…だったっけ…?」
「おはよう。少し待っててくれ。すぐにできるから」
奏は祖父母の家に住んでいる。
祖父母はいい人であったが、同時に厳しい人であった。
彼に料理を教え、一人で生きていく術を教えた。
だから奏は、ある程度料理ができるのだ。
あかりは、布団の上で少し座っている。
どちらかと言うと、まだ寝ぼけている感じだ。
(…女の子と過ごす、か…憧れていたが、こう実際やると、なんか恥ずかしいな…)
ペルソナに目覚めて二週間。
一ヶ月も経っていないが、既に生活は濃いものであった。
適当なご飯。
トーストである。
それに加え、適当に作った目玉焼きなど。
後はコーヒー。
あかりはコーヒー牛乳である。
テーブルの上に持っていく。
気づけばあかりは既に座っていた。
「いただきます」
「…いただき、ます」
あかりは奏がやったように真似る。
それはなんとも拙い行動であった。
まるで子供のように。
「学校行ってる間。あかりはどうするんだ?」
「町を、見てくる。ロアンナ、と…」
どうやらロアンナが保護者代わりのようだった。
奏は時計を見つつ、頬張っていく。
そしてパパッと準備を済ましていく。
鞄を持って出かけようとする。
「いってらっ、しゃい…」
「ああ。あー、っと、そこに鍵があるから、それ持っていけよ?」
「うん」
そう言うと奏は外に出て駆け出した。
20XX年、4月18日、火曜日。
放課後。
いつものメンバーで、いつも通り屋上にいた。
「校長、休みらしい」
「休み? 改心が成功したんですかね?」
「ンだといいんだがな」
「そうでなくては困るんだが」
改心されていないと、奏は退学。
亜里沙は妹たちが…。
と言う状況であった。
改心されていないと、大変なことになるのだ。
「それで、今日はどうすんだ?」
「特に何もないけど」
「じゃあ解散します?」
「ンだな。そうしよう」
と言うことで、解散した。
のだが、亜里沙に呼び止められる。
話があるようだ。
「…どうした? 亜里沙」
「ンとだな。少しな…」
(これは、なんらかの知識が必要になるのかもしれない)
理由は単純。
亜里沙に頭がいいからである。
だが今の知識で話せるだろうか…。
とにかく聞くだけ聞いてみよう。
話を。
奏はそう考える。
「ちと手伝いが欲しくてだな」
「手伝い? 俺でいいのか?」
「ああ、単純に手伝いが欲しいだけだからな」
「わかった。なら何をすればいい?
「よし、じゃあまずは…」
と、スーパーに行く。
店内を周り、次々と商品を買っていく。
それはまさか…。
「荷物持ち、頼んだ!」
そう、荷物持ちであった。
なんとも言えない顔をしつつ、荷物を持つ。
既に時間は夜であった。
「家まで頼む」
「ぐっ…怪盗団リーダーがこのザマか…」
「…ンまぁ、ありがとな。あたしの家はよ。親がいねぇから」
「俺と、同じだな」
奏にも親はいない。
そもそも家族は祖父母だけなのだ。
「そうなのか?」
「ああ、家族は俺を除いて事故で死んでいる」
「そう、なのか…私とは違うな。ああ、でも兄貴は…事故死だっけ」
「…親は、どうしていなくなったんだ?」
本来は聞くべきことではないのだろう。
奏は、ある程度の度胸があったため、聞いてしまう。
「…そう、だな。親父がな、浮気して出て行ったんだ。母さんも同じだ。男を作って出て行きやがった。私がまだ11歳の時だ。0歳の子供もいたのにな」
なんとも言えない笑顔で奏を見る。
奏は、何も言うことができなかった。
様々な過去を持っているのだと。
そう知った。
「今日は、あんがとな。助かった」
「いや、いいよ。いつでも頼ってくれ」
「ああ。また頼む」
そこで今日は別れ、俺はあかりの待つ家へと帰って行った。
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