ペルソナ5 The wild edge   作:ザ・ファントム

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4.我は汝、汝は我

 何が起きているんだ。

 どうして俺はこんなところにいるんだ。

 いや確か、さっきナビが反応して、それで立ちくらみして……。

 

 それで、一瞬で景色が変わった。

 間なんてない、何か起きたということもない。

 

 ノアを見ると、困惑している様子であった。

 それは俺も同じだ、困惑している。

 

『イセカイナビ、ver.1.5の機能、イセカイ案内を起動します。これは初回限定機能です』

「な、なんだ……?」

 

 スマホを取り出す。

 そこに書かれていたのは、この場所の説明だった。

 この場所はパレス、と呼ばれているらしい。

 パレス、さっきから出てきたあれか。

 で、肝心の説明は……。

 

 とてつもない歪んだ欲望を持つ人物が持つ、自分だけのテリトリー。

 その人物が執着している場所を認識している形へと変貌させ、己が主として君臨する。

 

 とのことだ。

 

「……いや、そもそもここはどこだよ」

『ここはパレスで……いえ、ここは認知世界です』

「あの、認知世界って……何ですか?」

『人々の心の世界です。ですが、パレスは個人の心の世界です。人々の心の世界はメメントスと呼ばれます』

 

 まぁ大体わかった。

 で、次に気になるのは周りの景色だ。

 明らかに……景色的には、動物園と言えば当てはまるだろう。

 檻が沢山あって、で道がある。

 俺たちは今、入口あたりにいる。

 

 さっきの説明が正しいのなら、この動物園は誰かの世界だということなる。

 ……学校を、動物園だと思っているということになる。

 さっきの二人……なわけないか。

 ただの生徒が到底考えるとは思い難い。

 じゃあ誰なのか、わからない。

 

「道成寺さん……これ、どうする?」

「ノアでいいですよ……えっと、帰りましょう。ここにいるのは少し……なんか、怖いんです」

「ナビ、出口はどこだ?」

『入口です。入口から出ればイセカイから帰還できます』

 

 じゃあ……と言うことで、入口に向かう。

 入口は、後ろを向くと、すぐそこにある。

 が、傍にいる受付の人を見て、出口から出ることに少し躊躇する。

 だって受付の人は全員、真っ黒でいて、仮面を被っているのだ。

 

『彼らはシャドウです。わかりやすく言えば敵です』

「え……?」

 

 と、シャドウと呼ばれる人型たちは、俺たちを見つける。

 すると、受付のカウンターを乗り越えて、こちらにやってくる。

 手には警備棒を持っていた。

 それを振り上げてやってくるものだから、俺は堪らずノアを手を握り逃げ出す。

 だが、その俺の前に、別のシャドウが立ちはだかる。

 

 道を開ける、そのために俺は走って突撃するが、特攻虚しく、軽く叩き落とされ終わる。

 立ち上がると、中央にどんどん追い詰められていく。

 

 そんな時だった、奥から気持ち悪い高笑いをしつつ、やってくる人影があった。

 

「はーっはっはっはっはっ!! 侵入者のくせしてこうもあっさり捕まるとはね。びっくりだよ全く。はーっはっはっはっはっ!!!!」

 

 なんとも気持ちの悪いスーツをきた男。

 動物園長の服みたいな感じだ。

 どこかで見たことのある男が立っていた。

 その顔を見て、ノアは青ざめる。

 

「高尾……!」

「なっ……校長先生か!?」

 

 じゃあまさか、このパレスの主って……。

 校長先生……? 

 

 どう言うことだ。

 わからない、全然わからない。

 現状が理解できない。

 もはやこれは、理解し難い何かだ。

 

「おやおや? 私の奴隷ちゃんじゃないか!? どうしたんだいそんなところで」

 

 気持ち悪い笑みを浮かべ、こちらを見る。

 あいつ、ノアのこと奴隷呼ばわりしたぞ。

 心の世界、ってことは本性。

 つまりあいつが……あいつが校長先生の本性……。

 

 本来の校長、あんな感じなのか?いや、まさかな…。

 と、そんなことを考えていると、一人のシャドウがやってきて、手に持っていた警棒を振りかざす。

 咄嗟の反応が取れず、真正面から殴られてしまう。

 それの痛さによって、俺は倒れる。

 同時に、意識が混濁し始める。

 

 気絶、だろう。

 そのくらいの衝撃が加わったのだ。

 

 倒れつつ、ノアを見る。

 すると、この世界の校長に腕を掴まれていた。

 いや、それどころじゃない、体の至る所を触られていた。

 

 混濁した意識の中、俺は頭を抱える。

 さっきから、なにが起きてるのか理解できない。

 俺は、確かに学校へ来たはずなのだ。

 来たはず、なのに。

 

「いやっ……! やめ、て……! 私は……っ!」

 

 少女の、悲痛な叫びが聞こえる。

 俺は頭を穿つような痛みと、全身の痛みが響きつつも、手を伸ばす。

 助けたい、助けたかったのに。

 

 誰でも、誰でも……ああ、違うだろ。

 誰も助けてくれるわけないだろ。

 

 手を伸ばす、俺の耳元で、声が聞こえる。

 逆転の一手となる、正義の声が。

 

『少年よ、今ここに正義を捨て、倒れるか?』

「んな訳……ねぇだろッ……!」

 

 必死に手を伸ばす。

 助けたい、助けたいんだ。

 決めたんだろ、あの時、改心してもらった時に。

 怪盗団みたいに、誰かを救う人になりたいって。

 

『ならば少年よ、今一度決意するのだ。その時、力は満ちるだろう』

「俺は……助けるッ……! 何があっても、絶対にだ……ッ!!」

『汝の言葉、たしかに受け取った』

 

 その言葉が聞こえた瞬間、頭に激痛が走る。

 痛い、痛い痛い痛い。

 

「が、ぁああ゛ッ!! うごぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!!」

『契約だ。我は汝、汝は我。自分の定めた夢が二度と崩れることがないよう、今こそ決意せよッ!』

 

 俺は這い蹲りながら、立ち上がる。

 フラフラした体を無理やり起こすように、手を伸ばすように。

 

「む? なんだぁ? おい、警備兵そいつを二度と起きないよう殺してしまぇっ!」

「や、やめてっ……!!」

 

 俺は顔を前に向ける。

 顔になんらかの違和感を感じ、それを触る。

 仮面だ、仮面があるんだ。

 

 ああ、そうか、()()()()()()

 

 何をすればいいのか、何故か俺は、直感でわかった。

 俺はしっかりと、仮面を手にかける。

 そして、思いっきり引っぺがした。

 大量に出てきた血、だが剥がした瞬間、妙な快感があった。

 

「な、何が起きているッ!?警備兵早くしろッ!!」

 

 そして、もう一つ悟った。

 体が焔に包まれていく中、俺はそれを叫ぶ。

 

「……来い。『ペンドラゴン』ッ!!」

 

 俺の背後には、騎士の格好をした…そう、ペルソナと呼ばれるものが現れていたのだ。




ペルソナ:自身の悩んだ心の果てにて生まれるもう一人の自分。
心の怪盗団事件によって一度消失したメメントスは再編を果たしてしまった。
その結果ペルソナ使いが生まれる方法が変わってしまう。
その方法は『決意すること』である。
誰にも負けない、強い決意をすることなのだ。

ペンドラゴン
アルカナ:正義
かつて騎士王として名を馳せた、アーサー王そのもの。
とは言い難く、アーサー王になる前の彼が形になったもの。
だがしっかりとした強さはあって、専用技『カリバーン』を振るう。

貴方は怪盗団が好きですか?

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