ペルソナ5 The wild edge   作:ザ・ファントム

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39.It's not normal to explode

 20XX年、5月1日、月曜日。

 放課後。

 

 改心が完了してから、数日が過ぎた。

 あの日から、ネットは大荒れ、次々と掲示板が立ち並ぶ。

 そしてニュースでも取り上げられ、一つの番組で特集が組まれるくらいには大きくなった。

 初代怪盗団が、世界に存在照明をした。

 故に、彼らはあの頃より、信じられていた。

 存在すると。

 

 この怪盗団騒ぎに便乗するかのように、一つのサイトが出来上がる。

『NEW怪盗団チャンネル』である。

 誰が立てたのか、どうして立てたのか。

 それはわかっていない。

 ただわかっているのは、『怪盗団チャンネル』を立てた人とは別の人だということだ。

 

 さて、そんな怪盗団四人は今。

 焼肉を食べに来ていた。

 

「改心成功を祝ってかんぱーい!」

「「「かんぱーい!」」」

 

 奏の掛け声に三人も言う。

 結果として、改心は成功。

 と言うことで、打ち上げである。

 

 え、改心前も見たようなことやっていなかったかって? 

 人間、気にしてはいけないこともあるのだ。

 

 ちなみにあかりだが、ロアンナとご飯を食べに行っている。

 流石に女の子を夜、一人で置いていくのは人間ではない。

 と、奏は考えた。

 

 奏はスマホ片手に肉を食べる。

 

「みんな見たか? これ」

 

 そう言って画面を見せる。

 そこに表示されていたのは

『NEW怪盗団チャンネル』である。

 これには当然三人も。

 

「ン、見たぞそれ」

「私も見ました」

「ああ、俺も見たな。だがそれがどうした?」

「いや…なんでこんなものできたんだろうな、と思ってさ」

 

 確かに、と、全員で微妙な顔をする。

 だが、それを打ち切ったのは、慎太郎。

 

「…今はそう言う話はやめとこうぜ。せっかくの肉なんだ。食え食え!」

「あっ! それ俺に肉ぅ!」

「早いもん勝ちだ!」

 

 この後彼らは、時間制限まで、肉を食って食いまくったと言う。

 

 

 

 20XX年、5月1日、月曜日。

 夜。

 

 さて、電車に乗って帰ろう、と言う時、慎太郎が奏に話しかける。

 

「先生?」

「その、そっちに風呂ねぇか?」

「風呂はないですけど…銭湯なら。どうしたんですか?」

 

 実は…と、話始める。

 彼の話はこうだ。

 ガス爆発で、風呂が消え去った。

 何言ってるかわからないと思うが、風呂が消え去ったのだ。

 と、言った。

 あまりの現実感のないそれに、奏は言葉を失う。

 

「え、なんで」

 

 そしてつい、そんなことを言ってしまった。

 

「…わかんねぇ。昨日から風呂沸かす機械の調子が悪いと思ったら、爆発しやがった。たまたま俺が家にいなかったから良かったけど。まぁ、風呂、なくなったからよ。一緒に銭湯行けるか?」

 

 爆発するものだろうか。

 そう疑問に抱くが、世の中常識では考えられないことが起きる。

 今回の一件でそれを知った彼は、何も考えないことにしたのだった。

 

「行けますけど…」

 

 と、何か言おうとしたが、それ以上は慎太郎に遮られる。

 

「よし! じゃあ四軒茶屋に行くぞ」

 

 電車に乗って四軒茶屋へ。

 距離はそこまでだから時間はそうかからない。

 数分もあれば、普通に着く。

 そろそろ帰ってるはずなので、先に慎太郎は銭湯に向かわせた奏は、家に一度帰る。

 中に入ると、二人とも帰ってきていた。

 

「やっと帰ってきたか。何をしていた、貴様」

「いや…単に時間がかかっただけっす…あかり、風呂入りに行くぞ」

「う、ん…」

「風呂、だと?」

 

 ロアンナは、なんとも興味深そうな反応をする。

 それを聞き逃さなかった奏、聞く。

 

「興味、あるんで?」

「い、いや、ただこの世界のことは、な。知っておきたくて、な」

 

 わざとらしい咳き込みをしつつ、そう言う。

 彼女、ロアンナは威厳はあるのだが、欠点として、演技がとてつもなく下手であった。

 故に姉妹たちからは、顔に出やすいタイプと言われている。

 

「じゃあ一緒に行こう」

「ふん、どんなものか、見せてもらうとしよう」

 

 あかりはロアンナの手を取り、歩き出す。

 なんとも微笑ましい光景であった。

 奏は後ろからそれを見て、自然とにやけ顔になる。

 

 と、銭湯に着くと、慎太郎が入り口で待っていた。

 慎太郎は、奏以外の二人に不思議そうな顔をしつつ。

 ロアンナの顔を見た瞬間、赤くなっていた。

 

(あれは、惚れたな)

 

 奏は直感でそう感じ取る。

 

 ロアンナは威厳もあれば、美人である。

 スタイルもモデル級。

 ただ問題なのは、演技が極限にまで下手なのと、軽くポンコツなところであった。

 

 ロアンナは慎太郎を見ると、反応する。

 

「む、貴様は…」

「こ、こんばんは…」

 

 そう言うと、そそくさと奏の隣に言って耳打ちをする。

 

「お、おい誰だあの美人!?」

「少し訳ありで…」

 

 そう言うのも当然である。

(あかりと)同棲しているなんて、死んでも言えないのだから。

 奏は、少し苦労しつつも、風呂へ進んでいく。

 

 慎太郎とともに、風呂へ入る。

 

 銭湯に浸かると、ため息をついて言う。

 

「…はぁ…すげぇ美人だな。あの人」

「ロアンナさん、のことです、か…」

 

 目をそらしつつ、答える。

 初対面の人間なら誰でも目を惹く。

 ただ、奏の場合出会いが出会いなため、そうでもないのだが。

 

「…お前、他にもああいう知り合いいないよな?」

「いませんよ。流石にそこまで交流は広くないんですから」

 

 そうして風呂から上がる。

 入り口に戻って来て集まった四人。

 ロアンナは。

 

「ふむ…なかなか良かったぞ。銭湯」

「そうっすか…それならよかったっす」

「…?」

 

 奏のロアンナ対する姿勢に、慎太郎は神妙な顔をしていた。

 だが特に気にすることもなく、目的を達成した慎太郎は家へと帰って行った。

 一方ロアンナは。

 

「これでまた一つ、この世界のことを知れた。これで姉様たちと…」

 

 なんかブツブツ言い始める。

 奏は、特に気にすることもなくあかりと歩き出す。

 と、奏に向かってロアンナは言う。

 如何にも、威厳を出して。

 

「罪人よ。また会おう」

「はぁ…」

 

 既に、その人の威厳は露へと消えていた。

 

終末を見届ける者 コープランク:2

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