ペルソナ5 The wild edge   作:ザ・ファントム

44 / 46
43.It ’s a very modest intention

 20XX年、5月9日、火曜日。

 

 奏はあかりと帰っていた。

 昨日の出来事から、毎日来ると言い出したのだ。

 ある意味幸せ者だろう。

 そんな彼の最近の悩みは、周りの視線が痛いことである。

 それも当然だ、あんなことが起きたのでは、クラス内で早々騒がれると言うもの。

 

「…まぁ、もういいんだけどさ…」

「…?」

 

 独り言を呟き、二人で帰っていく。

 今日は、何を思ったのかいつもの道とは違い、少し遠回りで帰っていた。

 ここいらでは珍しい、河川敷に来ていた。

 

(懐かしいな…昔はこう言うところで遊んだっけ)

 

 少し懐かしい気分に浸りつつ、あかりを見る。

 あかりは見慣れない景色にワクワクしているのか、少し挙動不審であった。

 と、そんなあかりが何かを見つける。

 

「あの人…あんな、ところにいたら…危ない…」

 

 そう言って指差した先にいたのは、車椅子に乗った少女だった。

 綺麗な赤色の髪に綺麗な服。

 わかることはそれぐらいで、多分お嬢様なのだろう。

 何しをしてるのか、坂道のギリギリの場所にいて、手に何か持っていた。

 奏とあかりは、近づいていく。

 すると、突然車椅子が動き出したのだ。

 

 近くに人が通ったからだろう。

 当たってしまったのかもしれない。

 

 車椅子は、少し前進すると。坂道を下り始める。

 

「ちょっ…!? あかり鞄持ってろ!」

 

 それを見た奏はあかりに鞄を投げ渡し、駆け出した。

 車椅子に乗った少女は、少しして下っていることに気づいたのか、大慌てしていた。

 奏は、なんとかそれを食い止める。

 どちらかと言うと、抱き止めるような形になったのだが。

 慌てていた奏は最善策を思いつくまでの時間が足りなかったのである。

 そして転倒し、倒れている少女の上に奏が覆い被さるようになっているな感じであった。

 どちらも無傷であったのだが。

 

「あっ、えっと…大丈夫、ですか?」

「は、はい…あの、ありがとう、ございます…」

 

 少し遅れて、あかりがやってくる。

 

「…何やって、るの。奏…」

「え。いや助けに…まぁ、うん…」

 

 適当に返事し立ち上がると、車椅子を起こす。

 そして少女に了承を得た上で抱き上げると、車椅子に座らせる。

 

「改めて、ありがどうございました」

「いや、いいんだよ。傷は…ないよな?」

「はい、なんとか無傷で…あ、私こう言うものです」

 

 そう言って、名刺を取り出す。

 なんとも礼儀正しかった。

 名刺に書かれていた名前は『桐条(きりじょう) 麗華(れいか)』と。

 

「桐条…? なんかどっかで聞いたような…」

 

 普通に聞きそうな名前だが、何か思いつくものがあった。

 と、少女は言う。

 

「失礼だけど、お母さんの名前は?」

桐条(きりじょう) 美鶴(みつる)ですが…? そのお母様がどうか…」

「いや、知り合いかなー、って思ってさ。ごめん、違かった」

 

 奏は、その名前に聞き覚えがあった。

 たまにテレビで流れる、桐条グループ、代表取締役の。

 そう、目の前にいるのは、大物の娘であった。

 

(どうしようこれ。とんでもない人と出会ってしまったぞ)

 

 内心少し慌てつつ、話を続ける。

 

「どうしてこんなところに?」

「お父様もお母様も忙しくて。それにこんな体ですから、邪魔はできません。ですからか一人でこう言うところに来て、絵を描いているんです」

「絵を…」

「はい、と言っても最近描き始めたんですよ。あの人の絵を見てから…」

「あの人…?」

「はい、喜多川 祐介さんの絵です」

 

 喜多川祐介、日本画家だ。

 昔は、あの怪盗団に改心された、かの斑目 一流斎の元弟子。

 喜多川氏の描く絵は、確かに素晴らしく、感化されて絵が描きたくなるのも、奏はなんかわかる気がしていた。

 と、河川敷の上の方で、また随分と高級そうな車が止まる。

 それを見た麗華は動き出す。

 

「えっと、今日は帰らさせていただきます。あの今度お礼がしたいのですが、いいでしょうか?」

「あ、ああ…大丈夫、だけども」

「それではまた」

 

 

我は汝… 汝は我…

汝、新たなる絆を見出したり…

 

絆は即ち、まことを知る一歩なり。

 

汝、”節制”のペルソナを生み出せし時、

我ら、更なる力の祝福を与えん…

 

異端なる魂の使い手 コープランク:1

 

 

「…面白そうな…人、だった…」

「そう…そうなのか?」

 

 そんなこと話しながら、家へと帰って行った。

怪盗団の中で好きな人は誰ですか?

  • Knight
  • Curse
  • Lord
  • Hunter
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。