ペルソナ5 The wild edge 作:ザ・ファントム
地下へやってくる、地下は用水路みたいな感じで、水が流れている。
川の勢いは強く、それでいて幅が大きいため、対岸には渡れそうになかった。
別に渡る予定もないからいいけど。
少し先にほうで、ノアが対岸を見て絶句していた。
俺はノアのところへ向かう。
の前に気づいた、ここ結構な頻度で誰か来ていることに。
足元を見れば、獣道みたいになっているからよくわかる。
ノアの隣に立ち、対岸見る。
そして俺も、それに絶句する。
なんと檻が、その中には生徒たちがいたのだ。
しかも、かなりの酷い扱いを受けているのがわかる。
これを見て察する。
上、つまり地上の檻にいる動物は、人の顔していた。
要するにアレは全部、学校の表の顔だ。
地下=裏、と考えればこれは分かりやすいと言えるもの。
そして、校長が俺たち生徒に対し思っていることが、これだということ。
俺たちは所詮、校長の飼い犬でしかなかったということだ。
……入学初日の俺が、何言ってんだ、って話だが。
そんな時であった。
後ろの方から足音が大量にした。
それに気づいた時には、既に遅かった。
大量のシャドウが道を塞いでいた。
「ノアッ! 先に……!」
と、言いかけたところで、前からもやってくる。
奥の方には高尾が立っていた。
なんともゲスな笑みを浮かべて、こちらを見ていた。
気持ち悪いこと、この上ない。
しかも隣に、ほぼ裸のノアがいた。
発情してんのかってレベルで息が荒い模様。
「え、なにあれ……」
「き、気持ち、悪い……」
ノアは青ざめた顔で、高尾を見ていた。
今にも吐きそうであった。
と、ナビが声を出す。
『アレは認知上の人物です。決して本物ではありません』
とのことだった。
「はーっはっはっはっはっ!! こうも簡単に追い詰められるとはね!」
「……なんでッ……!」
「高尾……ッ!」
「ふっ、警備員……やれぇいッ!!」
そうやって指示を出すと、一斉に飛びかかってきた。
俺は言い放つ。
「《マハコウハ》ッ!」
光が床から放たれる。
だがその光を乗り越え、奴らはやってくる。
数が多過ぎて、俺の技では処理しきれていなかった。
どうすればいいか……と、考えギュッと剣を握り、敵たちを睨む。
と、突然声が聞こえてきた。
『聞こえているな、我が契約者。力を望みなら、その剣をしっかりと握れ、そして願うならば、撃ち放て』
両手で剣を握る。
そして剣の切っ先を上に向けて、構える。
剣が光を纏う。
かなり強い、と言うわけではなく、そこそこと言ったところだ。
だが、その剣が強い何かを纏っているのはよくわかる。
どこまで行けるか、わからない。
もしかしたら、これを乗り越えるのは不可能かもしれない。
だが、せめてノアを……。
俺はどうなってもいい、誰かを助けることができたなら……。
「……ぅぉぉぉぉぉおおおおおッッ!!!!」
シャドウから少し離れたところで、剣を全力で振り下ろす。
極光とは言い難いが、一閃が直線に敵を飲み込む。
剣から光を失われると同時に、俺は膝をつく。
出口に向かう通路は、出来上がった。
だが、これ以上立つのは難しいだろう。
少し休憩すればまた戦えるかもしれないが、この数だ。
すぐに殺されるのがオチだろう。
怖くない、と言えば嘘になる。
だが、目の前で死ぬのも、見ているだけなのは、もう嫌だ。
「行け、ノア……」
「えっ……それは朝倉さんが……!」
「俺のことは、気にすんな……早く、行け……ッ!!」
俺は出し切れる力を使って、力強く言う。
だが彼女は、それを否定した。
「……そんなこと、私には……できません」
「な……馬鹿言うなッ!!」
そんなこんなしている間に、シャドウが道を塞いで行く。
シャドウが突然、道を開ける。
奥から現れたのは、あの男……高尾だ。
「どうしたんだい、奴隷ちゃん? もしかして僕のところに来てくれる気に」
「黙って、ください」
「……え?」
俺は、ノアの顔を見る。
引きつった笑みを浮かべ、あー違う。
キレてる。
誰が見てもわかる程度には、キレていた。
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私は、多分キレていた。
多分と言うのは、確証が持てないからである。
感情が昂りすぎた結果だろうか。
彼は見ていないだろうが、あっちこっちに貼ってある掲示板も酷いものである。
職員棟には、お客様最優先と書かれた張り紙が数枚。
その他には動物にかけるお金を少なくしよう週間。
要は、外面は大事にしているってわけだ。
随分前に見せてもらったうちの学校。
半分洗脳教育だ。
怖くて、キレた。
自分でもなに言ってるかよくわからないけど、取り敢えず怖くてキレたのだ。
「黙れ、ってんだよ……あぁもう、そうじゃない、うるさいんです……わかります、よ……クソが……!」
「の、ノア……? どした?」
が、言葉聞こえず。
足を進める。
軽い頭痛が、頭を穿つ。
怒りすぎ、なのだろうか。
ああでも、やつの顔面をぶん殴らないと、気が済まない。
私は腕を引きしぼり、やつの前に立って、顔面に一撃を叩き入れる。
「ウヒェアッ!?」
変な声出しつつ、鼻血を出して倒れる。
「うるさいッ!」
もう決めた。
この世界の、いや今こいつと向き合って決めた。
絶対に、言うことなんて聞かない。
もう二度と、こいつのいいなりになんてならないと。
その声を出した瞬間だった。
強烈な頭痛が、閃光の如く頭を駆ける。
「ゔがああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あッッ!!!?」
頭を抱え蹲る。
おかしい、何かがおかしい。
頭に、声が響く。
どこか懐かしく、誰かわかっていたようで、わからなかった。
『遂に、決めたんだね?』
『ああ、決めたんだ』
「決めた、よ……私、もう言いなりになんてならない。決意、したよ」
満足そうな声が聞こえる。
『『じゃあ契約だ。我は汝、汝は我。決意の灯火は今灯った。さぁ、叛逆の狼煙を上げようか!』』
私の目の前に、黒い布が垂れる。
目の部分だけに張り付いているようだ。
私はそれを、引き千切る。
青い焔が全身を覆う。
服が、格好が、変わっていく。
腰には二本の刀、赤と黒の服装、
目に張り付いていた布も同じだ。
そして私は、叫ぶ。
「『テンコ』ッ!! 『クウコ』ッ!! お願い……私に力を貸してッ!」
テンコ:アルカナは月、妖怪『天狐』そのものである。
姿はどこか少女地味ていて、落ち着きのある少女だ。
クウコ:アルカナは太陽、妖怪『空狐』そのものである。
姿はどこか少女地味ていて、荒々しさのある少女だ。
二つ同時に出すことによって『専用技:決意の狼煙』を使うことができる。
貴方は怪盗団が好きですか?
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YES
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NO