ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる 作:トン川キン児
「うわあああああああああああああ!!!!!!」
……二回目の人生史上、最悪の出来事を夢に見て飛び起きた。というか前の人生通してもアレは最悪だったかもしれない。
ごきげんナナメな寝覚めだ。昨日は何をやってたか……だいたいは覚えている。喧嘩の最中に酔いが回ってきてブッ倒れて、誰が運んだかは知らないがとりあえず自室に寝かせてくれたようだ。
悪酔いでまだ頭がガンガン痛むし、割といいのをもらった身体のあちこちも鈍くズキズキと痛む。どこも折れちゃいないだろうが、寝起きに全部の痛みを受けるとこたえるものだ。
おまけに最低最悪の悪夢で飛び起きたとなっちゃあな。
忘れもしない、あれは軍学校2年次のクリスマス休暇の頃の話。俺たちレイヴォネン一家は4人家族で、父と母、俺と妹がひとつ屋根で喫茶店を経営しながら暮らしている。
父親は元々軍に入って開業資金を稼いだというのがあって、俺が軍人を志してると言い出してもすんなりと受け入れてくれたが母に対しては反対を押し切った形になる。
自然派が行き過ぎてナノマシンの類を極端に嫌う以外はいい母親なのだが……おかげで死にかけた。
そんなわけだから、俺は面倒くさがらず家族の下に年に何度か帰るようにしていた……まあ足繁く帰省する一番の理由は、俺のかわいい妹と話すためだ。
名前はリンダ・レイヴォネン。俺の二つ下でその時は18歳。母さん譲りのプラチナブロンドの髪と、輝くような美貌に加えて機械技術者として一流の頭脳も併せ持つ天才なのだ。
その天才さ故に飛び級を重ね、学業は一通り修め終わって16で既に技術職に就いた。忙しさ故か最近はあまり家には帰ってこない、とはいえクリスマス休暇の時はテレビ通話で参加してくれるから、家族思いのいい妹がいるものだとしみじみ思っていたものだ。
……この時点で少し落ち着いて原作を振り返り、どんなキャラが出ていたかよく思い出しておくべきだったのだ。であればあんな地獄のようなクリスマスを過ごさなくても済んだかもしれなかった。
とはいえ、きっと思い出したとしても確信には至れなかったのだろう。幼いころからずっと俺を慕ってくれているリンダ・レイヴォネンと……。
『お兄ちゃん、実は私ね……結婚することになったのよ』
『………………は?』
『もう子供もできてるかも。今日はその人と一緒でね、紹介しようと思うの』
『……えっ、ちょ、え?』
『どうも、義兄さん……って言うには歳が離れてますがね。イアン・ヴァスティです』
『……あ、あー、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!!!!! えぇぇぇぇ!?!?』
……リンダ・ヴァスティってキャラは、頭の中であまりにも繋がらなかったんだ。
『い……イアン・ヴァスティって、あの……!? あんたが!?』
『お、もしかして知っててくれたか。まあAEUの軍人だってんならな』
『今はある所にスカウトされてて、同じ職場に働いてて……私がいいなって思って。イアンさんはあのAEUヘリオンの開発者なのよ。お兄ちゃんもヘリオンに乗るかもしれないでしょ?』
『リ、リンダが……ヴァスティって、あ、ああ……嘘ぉ……!!ぼえ゛え゛え゛え゛!!』
『お、お兄ちゃん!?』
あまりのショックに、初対面のイアンさんの目も憚らず通話越しに吐いた。
……吐いても仕方ないだろ、もう。家族みんなでクリスマスだと思ってたら可愛がってた妹が半ばデキ婚みたいなことになってんだぞ。しかも俺より先にソレスタルビーイングにスカウトされてて……もう何が何だかわからなくて、吐くしかなかったんだよ。
来年には娘の……ミレイナ・ヴァスティの顔見てるかもしれないんだぞ?それでなくたって23歳上のおっさんから『義兄さん』呼びって、キツすぎんだろ色々と。
思えばこのころから、年末にはロクな目に遭ってないような気がするんだよ……。
『……す』
『お、おいアンタ。大丈夫か』
『殺す』
『え?』
『うちの妹を娶るからには、死ぬまで面倒みなけりゃあ殺す!! わかったかおっさん!!』
『はいぃ!!』
だからと言って、俺は二人の関係にどうこう言えるはずがない。なっちまったもんは仕方ないし、イアン・ヴァスティって人間はソレスタルビーイングにとって計り知れないほど大きな存在だと言っても過言ではない。
多くのガンダムを開発し、00世界究極の技術であるツインドライヴシステムを完成させてイノベイターの打倒に大きく貢献した。それにはリンダの存在が必要不可欠であったかもしれないし、この二人の仲を裂くことは世界の破綻に繋がるかもしれない。
だからこそ俺は、でっっかい釘をブッ刺しておいて受け入れることにした。結婚したり子供が生まれりゃ誰だって家族から離れる時が来るもんだ。そういう運命だ、仕方ない……。
……でもリンダと会えなくなるの辛ェ……それってもはや俺の第二の人生における癒しの場がひとつ減ったのと同じなんだよ。秘密結社ソレスタルビーイングに入っちまってんだからそうそう俺とも連絡なんか取れなくなるだろうし、今こうして家族と連絡取り合えてるのすら奇跡なんじゃねえの……?
『……リンダ。俺もお前も立場上難しくなるだろうけど、たまには連絡よこせよ……』
『あ……うん。約束する』
ミレイナも生まれていっそうCBにのめり込んでいくだろうし、これが今生の別れ……なぁんてのもあり得てきた。冗談じゃない!! ソレスタルビーイングにスカウトされなきゃならん理由がまた増えたぞ。やっぱ兄貴として生まれたからには妹を守らにゃいかんのだ!!
……だってのに、そのまた2年後には
「うぼえええぇぇぇ」
酔いの吐き気と嫌なことを想い出した吐き気が同時に襲い、便器に吐瀉物をぶちまけたところでようやく現実に引き戻される。
胃と膀胱の中に留まっていたアルコールがだいぶ抜けていったことで、身体の怠さもなくなりはじめて意識も淀みなくなってきた。
……だがこの感じ、去年の8月頃と似ている。あの時の俺は戦場の雰囲気にも慣れはじめていて、その頃からこうやって酒を嗜むこともできるようになった。結果としてその時の俺は久々の酒にひどく酔っぱらって、コンディション最悪のままに出撃するハメになっちまったわけだ……。
『過ちは易きところになりて必ず仕る候』とはよく言ったもの。俺はそれから飲み方を改めたつもりだったが、昨日は
――刹那、基地内に鳴り響くスクランブル警報。
予感ってもんは当たるもんだな。これはどっちかっつうと経験則と言った方がいいかもだけど。
「ユリウーーース!! どこ行った!!」
「トイレだ!! すぐ来るから先行け!!」
出撃王コーラサワーの呼び声が、まるで朝方のニワトリのように否が応にも戦いの予感を感じさせてくれる。
蛇口をひねって、掌いっぱいに水を溜めて顔に叩きつける。悪いモノは出切ってるんだから、酔い覚ましはもうこれで十分。今からは戦争の時間だ。
1秒でも早くとパイロットスーツを着込み、走り出して向かうのは当然格納庫。AEU-05/00、つまり2300年モデルの最新機種……俺の愛機、MS形態のAEUヘリオンにハッチを開いて乗り込む。
2302年初の発進。気合い入れていかないとな……!
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30年以上前、西暦2270年に始まり今なお続く太陽光発電紛争。それによって中東諸国は政権をいくつにも分裂させ、エネルギー問題のみならず民族・宗教問題すらも交えて隣国同士でさえ戦争を行った。つい数ヶ月前のアザディスタン共和国とクルジス共和国の戦争、そして併合が耳に新しいだろう。
かくいう俺の国・AEUもアザディスタンを支援する形でその戦争に参戦していたし、実際アザディスタン空軍と共同作戦をやったこともある。AEU領北アイルランドでの同時多発テロ事件を行った組織であるKPSAにクルジスが加担していたのが理由である。
そして、AEUの次の相手は同じく中東のリチエラ王国。つい最近のAEU領フランスメトロ爆破テロを引き起こした組織・リチエラ民族統一戦線に積極的支援を送り続けているこの国をAEUはテロ支援国家と認定。対クルジス戦終了とほぼ同時に交戦状態へと突入した。
それが俺たち、AEUヘリオン12機で編成される第222戦術モビルスーツ隊の戦場。中でもコーラサワーが率いるのはヘリオン6機が割り当てられMS形態での戦闘を主にするMS中隊、俺のTACネームは『
今回の緊急発進は、この基地に向かってくるリチエラ王国所属のモビルスーツ部隊を迎撃するためのものだ。
(今年は何回出撃するハメになるんだろうな……)
先述の通り、現在の中東はもはや世紀末もいいところだ。どのくらいかというと中東戦線で云うところの緊急発進というのはイコール交戦確定を意味するってぐらいのもの。
最前線ゆえに哨戒任務での発進もべらぼうに多いし、俺とコーラサワー以外の同期組は既に割と参ってしまっている様子である。逆説的に俺たち二人がかなりタフだということでもある。
……とはいえ、流石に年に300回もの非現実的な回数のスクランブルができるわけはない。コーラサワーは通常出撃と緊急出撃を両方『スクランブル』だと思っているからスクランブル300回などとのたまっているのだ。
理由は俺が個人的にそのまま原作みたいにスクランブル2000回とか言い始めたら面白いだろうなって思ってるのと、アイツが単純にアホで気づかないから……まあそれでもルーキーの出撃回数としちゃあ異常なレベルなんだがな。
『エテルノ、
……毎っ度毎度言っても聞かねえもんはしょうがない。いつものように俺らがアイツに合わせるだけよ!
「ズヴェーリア、
『了解!! やっちまえェ!!』
俺たちエテルノ中隊の戦い方はいつもこうだ。パトリック・コーラサワーというどうしても放置できない極上の
あんな敵陣のド真ん中でヤバい動きしながら集中砲火を避けてる奴をフリーにしたらどうなるかなんてのは、子供でもわかるもんな。しょうがないってヤツだよなぁ?
敵はやはり同じAEUヘリオン、ただし滑腔砲装備の2292年型タイプ。コーラサワーに構ってた4機のうち1機は、『コイツに構ってる場合じゃない』と早々に勘づいたようでこちらを向き直ったがそんなのはもう遅い。
「ひとぉーーーっ、つ!!」
低空を飛んですれ違いざまに俺のトリガーで一発、二発とリニアライフルが弾け、どちらも完全に直撃。
敵のヘリオンはそのまま墜落、爆発した。残りがバカであればあるほど掃除は楽だから、勘のいいヤツから落とすのが鉄則だ。
……前の平凡な人生を送った自分から見るとなんだか随分引き金を引く指も軽くなったようだが、慣れてしまったものはしょうがないものだ。何事も割り切っていくのが人生を易しく楽に生きるやり方なのだ。
腕の立つ奴が後ろで墜ちたからか、他の3機もスラスターをガンガン焚いてとにかく避けようと焦りの見える戦闘機動をし始めた。そういう隙をあいつが見逃すはずないんだよねぇ~?
『オラオラ! エース様からよそ見してんじゃねー!!』
当然、コーラサワーは反転して攻撃に出る。狙いをつけてるヘリオンに俺がちょっと軌道を遮るような牽制射をしてやれば、1分も経たずにあいつが1つ落とした。
こうなればほとんど勝負がついたも同然、向こうがロスを取り返すのはほとんど無理だから撤退するか全員墜とされるか。どうやら今回は前者のようで、すぐ後にはケツをまくって逃げていった。もともと小規模の部隊だったこともあるし、ちょっかい程度の攻撃だったんだろう。
……とまぁ、こういうやり方が俺たち第222戦術モビルスーツ隊・MS中隊の戦闘である。
ほとんどコーラサワーに任せっきりの戦いだろうと言われれば何も言い返せない。アイツの突撃癖とやたら良い腕前が悪い。
中隊員からは『お前も同じようなことできるだろ』と言う奴もいる。否定はしないが冗談でもあんなワンミスしたら即死みたいな戦い方はしたくない。俺にはやるべきことがまだあるからできるだけ道半ばで倒れるリスクは避けたいのだ。
そう、全ては留美とネーナの死亡フラグを叩き折るため……その日まで絶対に死ねない。だから俺はこんなアホにいつまでも構っている暇など……。
『へっへっへ、またナイスアシストだったな! もう無敵だろ俺ら』
………………。
…………。
「……かもな」
『だろぉ!?』
かもなって! 絆されるな俺!! コイツのせいでどれだけの苦労背負わされてんだ!!
今年こそコイツとは縁切って戦功積んで、CBスカウトの目に留まってみせるんだよ!!
……でもさぁ、やっぱいい奴なんだよなぁ……。