ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる   作:トン川キン児

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堕とし子と天使の舞

「1機分多いせいで苦労をかけるな」

「別にそんなことはないわ。予定通り計画通り」

 

 プトレマイオスのブリッジに繋がる通路における、ユリウスとスメラギの会話。

 ソレスタルビーイングにおいて稼働しているモビルスーツは現在、全機を宇宙に上げプトレマイオスにてオーバーホールに入る。それは、ユリウスのネフィリムも例外ではない。

 が、プトレマイオスのコンテナは4基のみ。故にユリウスが先行し、ネフィリムのオーバーホールを終えた次にガンダムマイスターたちが入渠する。必然的に、ガンダムマイスターたちとは入れ違いになる。

 久方ぶりの再会とはいかないわけだが、そういう馴れ合いを目的にした組織ではないということもユリウスは自覚している。

 

「あ、お久しぶりぃ」

「……どうも」

「クリス? フェルト? 持ち場は」

「あ、交代でーす。リヒティもラッセもいるんで」

「そ。行っておいで」

「はーい」

 

 休息に向かうクリスティナにフェルトとすれ違い、スメラギが行かせる。

 コミュニケーション能力にやや難のあるフェルト・グレイスだったが、最近はクリスティナを中心に打ち解けていっているとユリウスはスメラギから聞いた。いい傾向だろうと思っている。

 

「べったりなのか?」

「クリスの方がね。あの娘、ああいう見込みもあるわ」

「そのうちいとこも来かねないからな。姉貴分をやれるくらいにはなって欲しいよな」

「すっかり叔父さんじゃない」

 

 妹の娘の面倒を見て欲しいというユリウスの下心をスメラギが笑う一方で、すれ違った方の会話は。

 

「……どう思う。あの人」

「……マグナスさんのこと? 私にはよく……」

「絶っっっ対デキてるよね、あの距離感! スメラギさんベタベタじゃん!?」

「……どういう意味?」

「付き合ってんの! 職場恋愛なのよあれは。フェルトの両親と同じ!」

「え、え……?」

「古い知り合いみたいだしさぁ、年長同士でこうぐつぐつと滾ってるものがあるわけよ。というかイアンさんも言ってたし! もしかしたらそのうちこの船で式なんかやるかもってさァ!」

「そ、そうなのかな……?」

「美男美女だもんね~~! 雰囲気似てるし! 私もちょっと出会いの場は欲しいなぁ。この船、タイプな人はいないっていうか、それ以前の問題って人多いっていうかねえ」

「……えっと……?」

 

 妄想を展開していくクリスティナにたじたじで、困惑でついていけないフェルト。

 オーバーホールのために絶賛稼働中なイアンは多忙を極める中、同様の噂をリヒティから聞きつけたその後のユリウスに最も忙しいタイミングを測られつつ激しく詰められたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「感度良好……仕事はいいんだがな、あのオッサンと来たら……」

「あの姐さんとはケッコンすんの?」

「真に受けてんじゃねえよお前までよぉ……!!」

 

 CBNGN-001のコードが示す通り、ソレスタルビーイング唯一のGNドライヴ非搭載機であるネフィリム。そのコクピットは複座式である。理由は、ネフィリムがチームプトレマイオスの支援機であること。

 今パスレルが後部座席に座っているように、航法及びレーダーを担当しメインパイロットであるマグナスを支援する意図もあるが、その主目的は行動不能となった人員の回収などである。

 ドライヴを搭載しないことで、GN粒子に干渉して無効化される外壁部迷彩被膜を無制限に使用できるネフィリムはステルス性に非常に優れる。その隠密性を以てすれば、迷彩被膜の維持に莫大な電力がかかるためにバッテリー増槽が必要であるなどの制限はかかるものの、ガンダムよりもさらなる秘密裏の行動を行える。

 載せている人員の片割れは、秘密だとかといった言葉とはかなり遠いやかましさを持った人間ではあるが。

 ……余談ではあるが、クリスティナとフェルトが通り過ぎていった先のブリッジで待ち構えていたのはパスレルである。男所帯に一緒にいたので知らなかったが、この女はこれで意外と同性にウケはいいそうで。

 女同士のシモの話はエグいと聞くが、遠慮なくその辺りも話せそうだからなのだろうか? と、ユリウスは勝手に推測した。

 

 ……支援機であるネフィリムは電子戦機能も通常のヘリオンより強化されている。そのセンサーが何かを捉える――――前に、パスレルの"勘"が何かを感じ取った。

 

「……見てんなぁ」

「え?」

「なんか見てる。なんか浮いてね? あの辺近づけろ」

「あの辺りか? あれは……」

 

 パスレルがモニターの拡大表示を要求すると、確かに前方に何らかの物体が。それも個数はどうやら一つや二つではない様子である。

 機体を近づけて解像度を上げていくと、正体がわかった。

 人革連製の双方向通信システム。レーダーやカメラなどの機能は持たないが、問題はその数。

 同様の反応を検索していくと、どうやらこれは現在地を含めて人革連の静止衛星領域に該当する宙域一帯に散布されている。

 

「……こいつは……そういう風にやってたわけか……」

「何が?」

「いや。……俺たちを捕まえる網だな……」

「じゃあぶっ壊しちまうか」

「打電が先だ」

 

 "原作"では雰囲気で見ていたものがどのようにして行われたのかわかったという心の動きがつい口に出る。

 ともかく、これが三大国家群で唯一ソレスタルビーイングとの対決姿勢を見せた人革連のガンダム攻略作戦。

 大量の双方向通信機をばらまき、GN粒子による通信障害の出たエリアがガンダムの現在位置であると特定し攻撃。オーバーホール中を狙われたという間の悪さもあってかソレスタルビーイングは随分苦しめられていた、という前世の記憶が蘇るユリウス。

 だが、この状況ならばある程度先手が打てる。

 まずはプトレマイオスに向けて進路変更、直ちに人革連の静止衛星領域を脱出するよう緊急暗号通信を送る。

 問題は、プトレマイオス自体が既にルート変更が難しい場所へ差し掛かっている場合。

 

(……快速艦だ。その可能性だって十分ある……)

 

 ガンダム各機を回収しているのを確認してから自分たちは発艦したので、既にオーバーホールに入った可能性もある。

 ネフィリムのオーバーホールが挟まった分進路はさらに進んでいたかもしれない。そうなれば原作よりもさらに無防備となる可能性まである。

 通信機を破壊して欺瞞作戦を行うか。

 ……敵の目的はガンダムの鹵獲。"通信遮断"ではなく"破壊"が行われたという時点でこちらを無視するかもしれない。

 相手は"ロシアの荒熊"。いつかのセイロン島で実際にまみえたからこそ、その冴えを知っているからこそ懸念は高まる。

 

どうですか?どうですか?どうですかどうですかどうですかどうですかどうですくァ

 

 後ろからウザ絡みで急かす声も、考えている間にどんどん鬱陶しく聞こえて集中力を削いでくる。

 

「あのさぁ~~~~もう勘で決めちまえよ。あたしらの勘捨てたもんじゃねーだろぉ?」

「そんなもんアテにするか!」

「モタモタしてっと仕事無くなりますよォ~~~~」

「……く……!」

 

 言いようはともかくとして、パスレルの言う通り決断までに残された時間が少ないのは純然たる事実。

 ……落ち着いてユリウスは状況を整理していく。

 敵はガンダムの鹵獲に動く。別動隊を探し出して単騎で叩くのはガンダムではない本機には難しい。

 発電衛星方面にプトレマイオスが舵を取ったなら電磁波干渉によって通信回線で連携を取るのは恐らく不可能。

 ……であれば、確定しているのは"発電衛星方面でプトレマイオスは交戦する"ことだけ。

 

「……トレミーを援護しに行く!」

「そうこなくっちゃあなぁ。久々暴れよォーぜオイ!!」

 

 増槽を投棄して反転。ネフィリムは全速でプトレマイオスの直掩に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「GNフィールド再展開ッ!!」

「……ぃゃ……いや……」

「……っ、クリス!?」

「早く来てアレルヤ……死にたくない……!」

 

 初の実戦で輸送艦による特攻を受け、恐慌状態に陥るクリスティナ。プトレマイオスのブリッジは一時機能停止状態に陥る。

 

『敵モビルスーツ部隊を確認した。……何だ……?』

「どうしたの!?」

『……輸送艦の後方に隠れてた奴らだが、回避機動してんのか? 俺らより先に何かと交戦している……?』

 

 追い打ちをかけるように人革連主力量産モビルスーツ・ティエレンの大部隊がプトレマイオスを襲う……はずだったが、オーバーホール中でコンテナに固定されているデュナメスの最大望遠センサーからロックオンが捉えたのは、混乱する敵部隊の様子。

 前面に待機しているエクシアは、残らず全て敵のはずの部隊の中からひとつの識別信号を捉えた。

 

『確認した。マグナス・アルハンゲルのネフィリムだ』

「……クリスティナ・シエラ!」

「っ……!」

「あの人も来てる。だから、生き残るの……!」

 

 マイスターズの教官役を務めた、本物のエースパイロットが危機を察して駆けつけている。状況の好転に畳みかけて、フェルトがクリスに檄を飛ばし立ち直らせる。

 

「……こっちに気づいたな。パシー!! デュナメスの射線を通すぞ、追い込む!!」

「あいあいよォ!!」

 

 人革連特務部隊"頂武"のモビルスーツ総勢36機を相手取り、そのほぼ半分ほどの射線を受け持ちながら回避機動を続けるネフィリム。二人の駆るそれは可変機ならではの高速巡行とMS形態間の変形を繰り返し、巧みなマニューバによって決して的を絞らせない。

 ノロノロと追いかけるしかないドン亀のティエレンをコンテナに潜むデュナメスの射線軸に誘導してやれば、次の瞬間には1機がGNスナイパーライフルの光条に撃ち抜かれて爆散した。

 

『"先生"のお膳立ては最高だぜ。ったく……!』

 

 動揺が走る部隊に、MS形態となって反転したネフィリムが襲い掛かる。

 従来より提唱されていたGN粒子を使用しないNGNビームサーベルを持つネフィリムは、リニアライフルのフルチャージなどせずとも、接近戦によってティエレンの厚い装甲を紙きれのように溶断し引き裂いて戦闘能力を奪う。この戦場でも、その通りになった。

 

皆殺しだ~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!

 

 物騒な雄叫びを上げるパスレルを尻目に、操縦を担当するユリウスは先の一合で2機のティエレンをすれ違い様にまとめて切り裂く。これで、残りは33。

 混乱する敵部隊に突撃するエクシアも持ち前の性能差によって、次々と敵を撃破していく。

 その様子に、プトレマイオスのブリッジクルーたちにも若干の安堵が表れ始める。

 

「……来てくれるなんてね……」

「わ、私たち、助かるんですか?」

「結果的に元々私が想定していた挟撃の形にできたわ。恐らく相手の狙いはガンダムの鹵獲……ある程度数を減らしたら、キュリオスとヴァーチェの救援にも行ける」

「……発電衛星に隠れるのを読んで戻ってくるたぁな。ベテランの読みは伊達じゃねえってことか」

「あの人が来なきゃあヤバかったっすね……」

 

 予定とは異なる消耗に、忠実に遅滞の任務を遂行していた隊にも動揺が広がり混乱する。

 エクシアが分断し、ネフィリムが誘導し、デュナメスが鴨撃ちにする。

 元々これほどの単純戦力比を以てしても絶望的な性能差を埋めるには不足であったティエレン部隊36機だったが、統制まで失っては、天使たちの威光の前にもはや塵にも等しかった。

 

「エクシア、デュナメス、ネフィリム。ある程度まで数を減らしたらトレミーは前進。キュリオスとヴァーチェの救援に向かいます!」

『『『了解!』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………もう一機、いたとは……作戦中止! 現宙域より離脱!」

『中佐!』

「撤退だ! 作戦は続行不可能だ……あの性能の相手をまとめては相手取れん!」

 

 陽動部隊が壊滅し、鹵獲対象であるデカブツ(ヴァーチェ)の背後には既にソレスタルビーイングのスペースシップとガンダム。そして、見慣れぬヘリオンらしきシルエットの機体。

 計算外の敵の乱入によって作戦は瓦解した。指揮官であるセルゲイ・スミルノフはそれをいち早く悟り、部下であるソーマ・ピーリスにも撤退の命令を下した。

 

「追撃する!」

『ヴァーチェ! 敵は退くわ。キュリオスの回収が先よ、周囲を警戒して』

「…………了解……」

 

 徹底的な破壊によりソレスタルビーイングの力を誇示する役割を担ってきたヴァーチェだが、スメラギに窘められ渋々とティエリアは哨戒の任に就く。

 キュリオスは発見されたが、どうやら様子がおかしい。静止状態のまま動く様子がない。

 

("ナドレ"は使わずに済ませられたみたいだが、こっちは……か)

 

 目の前の状況の詳細が既に解っているのは、この場でユリウスただ一人。

 眼前で繰り広げられた別人格による暴虐によって精神が摩耗している。それが現在のアレルヤ・ハプティズム。

 

「ぁ゛~~~~気持ちえがっだ。久々だかんなぁ実戦でコクピット」

 

 汚い声を上げながらパイロットスーツの上から伸びをしてバキバキと関節を鳴らす後部座席の女に、その繊細さを少し切り分けて分配してやれるなら彼がどれだけ楽になることか、と思ってしまう。

 ……今回の戦闘で、ユリウスは不思議な感覚を覚えた。

 意識がひとつになったような気がした。誰と、と言えば、口に出したくはないがこのパスレル・メイラントと。

 

「お前また上手くなってんじゃん? ん?」

「……あ、ああ……」

「んだテメー素っ気ねえな」

 

 ……気のせいだと思い込みたいが、正直な所、心の奥底には抗いがたい確信がなぜかある。

 先の一瞬、自分たちはそれほどまでに息が合っていた。

 戦闘本能が刺激され、お互いがお互いの"力"を引き出しあっていた。であれば、やはり自分の能力を加速させているのもまた、パスレル・メイラント……。

 

(……んなもん、どうすりゃいいんだよ、そりゃあ……)

 

 変な気分になるからお前が邪魔だと言って、長年命を預けている気がしないでもない女を突き放せるほど、ユリウス・レイヴォネンという男は冷たくなれない。

 キュリオスを牽引しているうちにユリウスは思い悩んだが、答えは出なかった。

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