ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる 作:トン川キン児
「オイオイオイ!! 来たなぁ~~~~おめぇ~~~~!!」
(うっせ……)
お互い所属が大きく変わったとはいえ、中東戦線における3年間で全AEU軍のエース部隊の座を一度たりとも譲らなかった伝説とも言える部隊、第222戦術モビルスーツ隊の黄金コンビがこの場限りの復活を果たすという噂は、大規模軍事演習を前に集結したAEU軍人たちのちょっとした語り草となっていた。
見知らぬ兵士の中でも噂なのだから、この男、パトリック・コーラサワーのテンションがどれほど高くなっているかというのは、ユリウスにとってもはや会うまでもなくわかっていたことである。
「少尉。旧知の仲であることは存じているが、後にしろ」
「はッ!!」
「着任の挨拶を」
「は。フランス外人部隊第2独立騎兵連隊より此度の作戦へ混成特務MS部隊副隊長として着任致しました、ユリウス・レイヴォネン少尉であります」
形式通りの挨拶を済ませながら、一声でシャキッと立って見せたのを見てもう既にこの
とてもありがたいことだ。だってこいつ大佐の言うことならなんでも聞くだろうから、それはつまりコーラサワーくん係もついにお役御免ということである。
「では揃ったところで、ブリーフィングを始める。我々の国威を示す重要な転機となる重要な作戦内容だ、各員心して聞け」
そして、作戦会議が始まった。
ユリウスにとっては自らの所属するもう一つの組織を追い詰める、そのための会議が。
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「チームワークのブランクがある割にはよく頭を動かしている。戦場での経験を欠かしていない故か」
「恐縮です」
ブリーフィングを終えたのち、作戦指揮所の廊下を歩くマネキン、そしてその後ろを付いていくユリウスとの間における会話のはじめの部分。
「私からの手向けは気に入ってくれたか?」
「ええ。とても痛快でしたね」
この発言を以て"確定"としていいのだろう。やはり、あの同士討ち事件の真相を暴き、AEU中東戦線の前司令官の失脚を引き起こしたのはマネキン大佐だったのだ。
あの日の、自分とリーサとの約束を守るために。
「……お前、クジョウはどうしているか知ってるか」
「リーサですか?」
「知り合いを当たっても連絡が取れん」
「知ってますよ」
「ほう?」
「前に見たら株転がして暮らしてましたよ。こないだユニオンの男友達とまた飲んでたって」
「……堕落しているんじゃないだろうな、彼女は」
「そう見えますよ。酒の減る速さも変わってないようですし」
「……全く。年月は人を変えるな」
ここにいる以上そこまでは構ってやれんというのに、とでも言いたげなしかめっ面のまま目を閉じてひとつため息をついたマネキン。
細かな事実だけを述べて真実を隠す。大恩人にそのような謀り事をする自分の情けなさに思わず天を見上げてため息が出てしまうユリウス。
「誰しも心強くはあれないとはわかっているがな。お前のようにはいかんということも」
「よしてください。俺なんか……」
「私から言わせればここにいるのがその証左だ。改めて、よく来てくれた」
振り向いて差し出された右手を握るのが、ユリウスには一瞬ひどくためらわれた。本当の自分はその手を取っていい資格がない男なのだから。
だが、握り返せてしまうのも今の自分だった。
「……リーサも言っていました。私のためかもなんて自惚れかもしれないけど、ありがとうって」
「……なら、私からも返そう」
再び後ろ姿になったマネキンだが、続く言葉の瞬間、背中からは明らかに何らかの感情が読み取れた。
「"その気がないならそのままでいい。私は待たずに進み続ける、ついてくる気があるのならやるべきことはわかっているな"とな」
「……キツくて俺からは言いづらいかも」
「では上官命令としようか、少尉」
「は。言伝、確かに預かりました」
仰々しく言って見せると、マネキンは一瞬ふっと柔らかく笑った。
かつて語っていた部下思いで通っているという言葉は本当だろうな、とユリウスは思う。
情に篤く部下を惹きつけ、しかして規律は堅く指針は全て理路整然。この世界で送った人生で最高の上司を挙げろというのなら、間違いなくこのカティ・マネキンを推す。
リーサには悪いが、と思いながら。
「休息後104へ集合。初期攻撃隊及び砲撃部隊との連携を確認する」
「了解」
そう言って二手に分かれ道を通っていった、その先には……
「ガルルルル……」
「……は?」
何やら敵愾心剥き出しの
「な、何だお前……? 歓迎ムードはどうしたよ……?」
「テメェ……何を親しげに大佐と話してやがった~……?」
「はあ!?」
「アンタ!! 大佐のなんなのさ!!」
……………………お前そう来るかよ~~~~…………と頭を抱えたユリウス。
「……除隊する前の例の作戦。俺、大佐の指揮で戦ってたもんでな。恩人なんだ、だから来た」
「ん゛な゛ッ゛!!」
「別にそれだけだ。惚れてんだろ、お前。そういうのはないから……」
「…………お、オレより付き合いが濃いだと……バカな……そんな……」
「なぁおい……」
「オレが先に大佐を好きだったのにィィィィィ!!!!!!!!」
……泣きながら走り去っていくコーラサワーを呆気に取られたまま見送るユリウス。
この場限りの関係になるだろうとわかっていても、どうせ詳しく話していけばケロっと立ち直るんだろうなと知っていても。
もう既に、勘弁してほしいという気持ちでユリウスの心はいっぱいであった。
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「おほ~~~~すげえぜこりゃあ。さっすが監視者様は金持ってんなぁ~~~~」
「……重ねて聞くが、これが本当に君の同類だというのか。リボンズ」
「ご覧になった遺伝子配列パターンの通り、本当だと思われます」
一方その頃、少し前までの勘弁してほしかった相方は。と言えば、コーナー家の所有する別荘のバルコニーでカエルのように窓に張り付きつつ美しい夕陽が沈む海を堪能していたのだった。
アレハンドロ・コーナー。先祖代々からソレスタルビーイングの行動を是非を問う役職である"監視者"を務める家系に産まれ、表向きの顔である国連大使としても政財界に大きな影響力を持った、リボンズの主人である。
たっての願いでもう一人面倒を見て欲しい仲間がいる、と聞き、彼と同じ存在であるなら自身の計画の進捗のために役立つだろうし、リボンズの頼みであるなら、とアレハンドロも最初は快諾した。
蓋を開けてみればやってきたのは
「……彼女が廃棄処分に至った理由というのは」
「見ればわかるのではないでしょうか。ある意味」
「……脳機能の異常だったか。君のように聡明になるはずの遺伝子がああも……」
委細を聞いてみれば、哀れと言えば哀れではあった。人以上の力を持ちながらこれほどまでに軽挙妄動を口走る存在に成り果てるとは、同じ経緯を辿った同胞のリボンズとしても辛い思いがあったのだろう。
それを鑑みてコーナー家の当主として常に器の広さを知らしめなければならないアレハンドロは、リボンズのそういった珍しいわがままも許した。
女性型というのはあまり好みではないが、その辺りを含めての度量というものだろう、とアレハンドロは思う。流石に公の場に同席を許す気はしないが。
「戦闘開始からは5時間が経過した」
「な~~。アイツら死ぬっしょたぶん」
「……そろそろ出かける」
「どちらへ?」
「他の監視者たちの意見を聞きに行く。私の仕事もここまでかもしれんしな」
……別荘を後にしたアレハンドロを見送った後、リボンズは呟いた。
「そんな気なんかないくせに。大人はキライだね」
リボンズはこの後に起こるアレハンドロの謀りを知っている。
世界の行く末が彼によってどう操られていくかも知っている。それはこの場にいる3人全員が共有することである。
だが、アレハンドロだけは知らされていないものがひとつだけある。それはリボンズによって仕組まれる彼の
「これからちょっとすりゃあ死ぬっつう男なのにああも……」
「く…………ッ。笑わせないでもらえるかな?」
アレハンドロの声真似をしながら意趣返しをするパスレルが唐突にカットインし、ついおかしみがこみ上げてしまうリボンズ。
「いやだって笑うだろフツー!! あたしが全部知ってたらもうあんなん笑いどころしかねえだろあのオッサン!!」
「僕は我慢しているんだ。あそこまで愚かしいといっそ愛らしいというものだし今少しは君も我慢してくれたまえ」
「オメーよく我慢してんなあアレの隣で……」
「まあね。なかなか大変だ」
……真の計画を知るイノベイドふたり、かりそめの主人の居ぬ間に意気投合していたのであった。
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「気は済んだのか?」
「出撃だぜ~~~~! おいコラユリウス! オレは大佐に男にしてもらえるって言われたんだぜ!」
「あっそ……」
黙って待ってろと言っても聞かずに作戦指令室でずっとマネキン大佐にびったりだった隊長は、出撃前にようやく戻ってきた。というか、こいつが隣に張り付いていることを許している時点で彼女もやはりどこか甘い。
三国合同の大規模軍事演習……の名を借りたガンダム鹵獲作戦は、順調に推移している。
これまでの数々の戦いで現有戦力による攻撃はどのようなものを持ち出したところで傷をつけられないことを示し続けたガンダムであったが、直撃によって体勢を崩すケースなども散見されており、衝撃などはまた別問題となることもわかっている。
であれば。数か所に釘付けとし、砲撃の雨あられを浴びせ続ければガンダムとて撃破には至らずとも身動きは取れなくなる。
そうすればガンダムには問題が出てくる。有人兵器である以上避けられない問題。
機体本体ではなく、搭乗するパイロットの長時間戦闘による消耗。
いかに強力な兵器であろうと操るのは人間。疲労が重なればまともに動かすことも危うくなってくる。
戦闘開始から15時間。どのような優れたパイロットであっても平時のパフォーマンスの半分も発揮できなくなるタイミングで、各国のエース部隊は最後の仕上げを始める。
AEUの"仕上げ"である混成特務MS部隊もまた、発進した。
『各機に通達!! オレらの目標はデカブツのガンダムだ。砲撃中止と同時に鹵獲開始、敵さんのビームに当たんなよ!!』
「俺も大佐にカッコ悪ぃとこは見せられないな」
「オマエはほどほどに活躍しとけ! 行くぜ野郎共!!」
指定ポイントから索敵を行うと、目標である"デカブツのガンダム"。ここではユリウスだけが知る名、ヴァーチェがそこでホバー移動で地を這っていた。
恐らく常時防御に展開していたであろうGNフィールドの影響で粒子残量がやや少なく、粒子供給が追い付くまですぐに飛行を始めなかったのだろうが、それが命取りとなる。
「見つけたぜ、ガンダムゥ!!」
「うおっと! どうしたぁ!? 動きがのろいぜガンダム!!」
(……ティエリア!)
苦し紛れに放ったGNバズーカの一撃は、しかしコーラサワーほどの力量があれば易々と回避できる程度の甘い狙いにしかならず、しかも側方から迫ったユリウスのイナクトの蹴りによって、衝突の鈍い音とともにバズーカとヴァーチェは吹き飛ばされる。
「肩のキャノンにだけ気を付けろ」
「だそうだぜてめえら! さあやれ!」
コーラサワーの指示によって四方から迫るヘリオン捕獲型に対し、ヴァーチェは立ち上がるのがやっとというグロッキーぶり。成すすべなくそのまま、磁性コントロール機能を持つリニアシールド四枚に完全に閉じ込められるのだった。
GN粒子の持つ慣性制御効果によってコクピット内部の振動は多少緩和されているものの、通常ならば既にバラバラになっていてもおかしくないほどの凄まじい振動がヴァーチェを、ティエリアを襲っている。
他方においても同様である。エクシアも、デュナメスも、キュリオスも。この窮地を脱する方法はすでにない。
ガンダムマイスターたちの命が、消えてゆく。
「全機フォーメーションを崩すなぁ! このまま本部に連行する。指揮を執ったのはこの俺……!」
「――――十一時方向!! 敵影!!」
「ああ? ――――おわあっ!!」
赤色の粒子ビームが、ユリウスの助言で間一髪気づいたコーラサワーのイナクトの脇をかすめる。
しかし続く連射で、ヴァーチェを護送しているせいで反応の遅れたヘリオン各機は次々と大破させられていく。
――――やはり来た。こうなると思っていたというより、こうなって貰わないと困るところだった。
『目標ヘリオン部隊、大破確認。引き続きミッション続行する』
ガンダムスローネアイン。
チームトリニティの長兄、ヨハン・トリニティ。
ようやく現れた、自分の目的へ至る鍵。
だが、今は。
「撤退するぞ!!」
「あぁ!? 何言ってんだ!?」
「一機やるのにここまで手間取ったんだぞ! 新品が後から来ちゃあどうにもならん!!」
「冗談じゃねえな! 大佐が見てる前で! 恥かけっかよおおおおおお!!」
「なあ今勝てねえってお前!! ネッ!! ネッ!! モオーッ!! なんでそういうことすんだよおおおお!!!!」
「イナクト二機……追ってくる? 無謀な」
その時ではない……はずなのに、
かくしてたった一つ展開の変わったために、なかったはずの延長戦が起こってしまうのだった。
皆さんのお陰で赤バーに戻りました
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