ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる 作:トン川キン児
「これからお前の名前はうんこマシーンコーラサワーな。オイ返事しろうんこ」
「ハァ!? んだテメー仲良く堕とされてるくせによ! オマエじゃあち○こなちん○ち○こオイちんこ聞こえてっか!」
「◎△$♪×○¥&%#!!
その空は異様な光景に包まれており、血のように赤い粒子の波が青空の半分ほどを占めて覆っている。
ガンダムスローネドライの、GNステルスフィールド最大散布。
それはすなわちGN粒子の電波攪乱効果も広域に渡って散布されていることと同義であり、この二人には、現状本部へと帰る手立てが失われているのである。
「…………やめた。虚しい…………」
「だな……はぁ~あ。また負けちまった……」
「……大佐にいいとこは見せらんなかったな……」
「だなぁ……チキショー……大佐ぁ……」
二人して砂丘に倒れ込んで、天を仰いで不気味な柄になっている空を視界いっぱいに映しながらぼやく。
少し涙ぐむコーラサワーを見て、ユリウスは少し試すように訊いてみたくなった。
「お前さ……真面目になんで挑んだんだよアレに」
「あぁ? 大佐を振り向かせるためだろうが。あと下にあいつらいたし」
「あいつら?」
「脱出してる奴らいたろ。巻き添えになっちまうからな」
…………ユリウスは驚いた。自分にはそこまで考えが回っていなかったからだ。
すっとぼけた人間性故に何度も何度もなんどでも再確認を行う羽目になるのだが、やはりコーラサワーはモビルスーツ部隊の隊長をやる器にはある人間なのだ。
同時に、自分はそうではないのだろうとも思った。
置かれている立場の違いもある。しかしいつの間にか自分は、命を背負わずに戦う人間の頭に切り替わっている。誰しも覚悟はあるのだろう、と割り切ってしまっている。
…………この男に会うたび、自分は今の状況を再確認させられる。
理由はわかる。この男は
……ユリウスは、もう一つ訊きたくなった。
「……ガンダムにずっとやられてんだってな。勝てると思うか、あいつに」
「勝ってやるぜ! AEUのエースであるオレ様がいつかな!」
「ここまでやっても結局やられたのにか?」
「ユリウスはなぁ、2度3度や31回やられたからって折れっから弱えーんだよ」
「んだテメッ……」
「1999回負けても2000回目勝ちゃあ! オレ様もガンダムにやられた奴らも勝者だ!!」
これが、不死身のコーラサワーたる所以。
一度や二度打ち負かした程度でこの男の心を揺らすことはできない。
自分がコーラサワーに負けた回数を引き合いに出されたのはムカつくが、それ以上に、ユリウスは目の前の男が眩しくて言葉を失った。
「……そうか」
「なーに当たり前のこと聞いてんだ。傭兵じゃあ負け犬根性しか身に付かなかったかぁ?」
「……ア゛ァ゛!? 殺す!!」
「ひぃ!! 大佐ァ~~~~~~~~~~~~!!!!!!」
……尊敬の念を覚える男が相手とて、こう煽られればいくらなんでも腹が立つ。
誰もいない砂漠で砂をかき分けながら行われる不毛な追いかけっこは、赤い空が明けるまで続いた。
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初のミッションを終えて帰投するガンダムスローネアイン。そのパイロットであるヨハン・トリニティは、此度のミッションを振り返り我ながらいまひとつな出来になってしまったな、と反省するのだった。
原因はただひとつ。簡単に倒せる戦力であるはずのモビルスーツ、AEUイナクトのたった2機程度に一瞬ながら翻弄され手間を取らされたことにある。
『ォオイ!! ゴミゴミゴミゴミ!! ねーイナクトが勿体無いってェェ!!』
『オラァァァァァ!!』
――――ヨハンは知る由もないことであるが、全力で引き止められつつ――――突撃する1機目のイナクトに狙いを定め、GNビームライフルを撃つ。
振り向きざま故に精度が低かったゆえ、一射目、二射目は避けられる。次を外すことはない……と思った矢先、気づく。
上方に視点を振られすぎている。接近警告が鳴った頃には、右下方からもう1機のイナクトがリニアライフルを連射しつつ至近距離に近づいていた。
「なに!?」
全弾が直撃するが、当然ながらGNフィールドに守られているガンダムスローネアインの装甲には傷ひとつ残らない。が、機体を直接ぶつけられれば話は別になる。
上方を取り、マウントポジションを取るかのようにスローネアインの腰部にイナクトの脚部が組み付いて降下していく。
「こいつ、何を……はっ!」
モニターで確認していた時には、既に組み付いたイナクトは下半身を分離していた。
『目くらましぐらいには……なァ!!』
そして高速単射モードへと切り替わったリニアライフルを組み付いた下半身に向けて発射し、スローネアインの至近距離で爆発させる。
轟音と衝撃が、直接ヨハンを襲う。
「うおおお……!?」
『オイ!! とっとと逃げるぞ!!』
『もらったぜガンダムゥゥゥ!!』
『話聞けボケナスがああああ!!!!』
1機目のイナクトは地上に叩きつけられる勢いで落下していくスローネアインに追いすがり、真下に構えたプラズマブレイドを弱点となり得るであろう関節部、頭部の接続部へと突き立てようと一気に迫る。
が、ガンダムが持つ慣性制御機構は伊達ではない。
「く……なめるな!」
サーベルの展開は間に合わない。振りかぶるだけのイナクトと、ワンアクションを挟んでから対応しなければならないスローネアイン。
体勢を立て直しつつ咄嗟にヨハンが思いついた、この体勢不利の差を埋める方法は、地表スレスレに停止をかけつつ目の前でGNランチャーを敵方向へ向けながら長銃身モードにすることであった。
「は!? おわああああ!!」
ノーモーションからいきなり障害物が出てくれば、そこに突っ込んでいかざるを得ない。目論見通り、それは重力も手伝ってパイクに突き刺さる騎兵のようにイナクトの腰部に深々と突き刺さり、ヨハンはトリガーを引く。
GNランチャーの接射によって、イナクトの上半身と下半身は見事溶断され綺麗な泣き別れを遂げた。
残されたのは上半身のみで長くはもたないであろう2機目のイナクトだが、ここでヨハンはこのミッションにおけるひとつの情報を思い出した。
「あれほどの手練れ……イナクトのパイロットは、まさか彼か?」
マグナス・アルハンゲル。本名はユリウス・レイヴォネン、ソレスタルビーイングでも最高クラスの能力適正を持つエージェントである彼は、今回その正体に関する追求を避けるためAEU軍として動いている。
であれば、この目の前の敵は実際のところ味方である可能性もある。
今後のミッション遂行に差し障る可能性のある無駄な攻撃は避けるべきであるし、自らのミッションの次のフェイズであるデュナメスの援護を急ぐべきだ。ヨハンはそう考え直し、踵を返して無力化したAEUのMS部隊を後にした。
「しかし、やってくれる。よもや長兄である私を相手にコンビネーションを見せつけてくれるとは」
名は思い出せないが、AEUのエースとの連携は抜群だったという。であれば、僚機の方もその男に違いない。
彼等の連携の練度は我々チームトリニティとしても見習うべきものがある、と弟に妹にも言ってみようかと考えるが、言って聞くかどうかはわからないのでひとまずは心に留めておくのだった。
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三国合同の大規模軍事演習、の名を借りた全世界対ガンダムの戦いは、ソレスタルビーイングが投入したと見られる新たなる3機のガンダムによって終結を迎えた。ソレスタルビーイングは、事実上世界の総力を挙げた戦いに打ち勝ったのである。
4機のガンダムにさえこれほどの戦力を必要とした上に、さらに3機が現れた。その上、ほぼ1度きりとも言っていい作戦を失敗した世界の反応は、実に悲観的なものだった。
ソレスタルビーイングの抑圧に反抗もできず怯えながら生きる世界が、すぐそこに近づいている。
恐慌し始めた世界をよそに、ユリウスは地球に残っていた。チームプトレマイオスのガンダム4機は今回の戦闘で少なくない機体ダメージを負い、オーバーホールの必要に駆られてクルーと共に宇宙へと上がったが、ミッション不参加となったネフィリムはそうではなかったからである。
そして彼らは宇宙で、チームトリニティとの初顔合わせを済ませるだろう。できればその場に自分も立ち合いたかった。自分の目的の片割れである少女と、ようやく会えるのだから。
だがユリウスは、次に起きる出来事で頭がいっぱいだった。
「…………どうすればいい……?」
レイフ・エイフマンは、もうすぐ死ぬ。
あらゆるネットワークへ繋がれている量子型演算処理システムであるヴェーダは、その端末の一部を介してソレスタルビーイングの真相、その核心に至った彼を、生かしておくわけがない。
だがユリウスは、それをどうにかして止める手立てはないかと苦慮している。
前回の会合にて彼に渡してあった名刺には、強力な電波による介入があった際に信号を発信する仕組みが施されている。少なくとも彼の執務室程度の距離であれば容易に感知するだろう。
しかし、対ガンダム調査隊の技術顧問という身分であるエイフマン教授は、MSWADの基地内にいることも珍しくない。
ネフィリムでの救援を考えようにも、外壁部迷彩被膜があるとはいえ基地のレーダーに感知されずにスローネ3機に接近が可能なのかどうかと考えると、ほとんど賭けに近い。
ガンダム3機をまとめて相手取る、という方法にしても同じことである。
自分の目的はふたつ。王留美と、ネーナ・トリニティ。
これほどの賭けをしてまで、それ以外の"寄り道"をする必要が、果たしてあるのか?
この世界を生きる人間として、知己である者を助けるという選択ができない者は"人間"と呼べるのか。パスレルのように自分の中の"獣"を増長させるきっかけになるのではないのか?
振り子のように揺れる心が、迷っていた。初志を貫くのか、人であることを貫くのか。
「増えちまったなガンダム! あんなにいるんならあたしらにくれりゃあいいのによ~」
入れ替わりで戻ってきた後部座席のこのアホのように、呑気ではいられなかった。
自動操縦で移動中であることをいいことに好き放題に言ってくる。別に好き放題ぶりは操縦中でも変わらないが。
「…………考えてんだよ。少し黙ってろ……」
「あぁ? AEUじゃあたしよりすげえのと絡んでたんだろ? 会ってみてえな~そいつ。どんなアホ面なんだろ」
「黙ってろって……」
「んだよつれねーなあ。あの金ぴかのオッサンのガンダムがようやく来たからって焦ってんの?」
「そういうわけじゃあ………………――――――」
……………………耳を疑った、パスレルの口から聞こえた言葉。
あの3機のガンダムスローネが、
こともなげに、さらっと。
この女は何故、それを知っている?
「…………お前、アレハンドロ・コーナーって知ってるか……」
「ア! んだよあのオッサンバレてんじゃん! しょべ~~~マジで」
「お、お前…………!!」
「気づくよなーお前なー! あいつら作った医者のジジイもめっちゃ追ってたもんなー」
「…………ッ…………!!」
気づかれている。全てが。
一連の騒動がアレハンドロ・コーナーの私欲のために行われていると自分が知っていることも。
チームトリニティを造ったであろう謎の人物、クレーエ・リヒカイトを自分が秘密裏に追っていることも。
それはつまり。
――――パスレル・メイラントはとっくの昔に、イノベイドとしての機能を回復していた、ということに他ならない。
恐らくはあの時、ソレスタルビーイングに加入し、手術を受けたあの時。
考えてみれば不自然だった。なのになぜ今まで何の警戒もしていなかった?
自分が迂闊だからなのか。この女の道化が上手かったからなのか。
おどけてみせて自分の油断を誘って、ヴェーダの眼として行動を監視していた。そういう役割だったのか。
…………それとも。自分は心のどこかで、いつの間にかこいつを自分の一部だとでも思うようになっていたのか。
困惑。後悔。怒り。憤り……少しの、悲しみ。
様々な思いが去来する感情を納めたまま、その瞬間のユリウスは自分でも驚くほど早く、振り返って後部座席のパスレルに拳銃の銃口を向けていた。
「うぉう。早えーじゃあん……まいったまいった」
「お前ッ……!! いつもそうやってふざけて、裏の顔ってもんがお前にもあったんだよなあ!!」
「怒んなよぉ~! なんでも言うこと聞くから許してくれー」
「なんでも、だと……! じゃあ、俺にエイフマン教授を助けさせろ! お前達が殺すんだろ!」
「あ、いっすよ」
「は……!?」
激情に駆られて、自分でも訳の分からないまま言い放った言葉。それはすぐさまパスレルに聞き届けられた。
脳量子波通信を行っている人間は、光彩が金色の光を放つ。パスレルもその例に漏れず、ホールドアップしたまま座席に脚をかけくつろぎながらも瞳は輝いたままだった。
……しばらくの沈黙の後、パスレルは口を開いた。
「いいってよ! リボンズの奴食い下がりやがってよ~オイ」
「り、リボンズ……だと……!?」
「まァ条件付きな。あたしら二人でトリニティ共とガチってみせろってさ」
「…………な、何のために、そんな……」
「何ってそんなんお前アレやんか。そらそうよ。おーん」
パスレルは体勢を入れ替え顔と顔がくっつくほど寄せて、歯茎が見えるほどにんまりと笑って、ただ一言こう言った。
「あたしぃ、お前がだーいすきなんだよねぇ。デートしようぜ?」
……銃口を向けたままだというのにキスを見舞われたユリウスは、もはや茫然自失であった。
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