ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる 作:トン川キン児
「災難だったな、カタギリ」
「まったくだよ。ガンダムが直接軍事基地を襲ってくるなんて今までにない動きだ……」
所用を終え、医務室のベッドに横たわる親友であるユニオン軍MSWAD技術顧問、ビリー・カタギリの見舞いにやってきたのは、同じくユニオン軍第8独立航空戦術飛行隊「オーバーフラッグス」隊長、グラハム・エーカー。
飛行場を破壊したビーム兵器が照射された際に運悪くそこに居合わせ重傷を負ったビリーだが、格納庫近辺にいたことを考えれば命があっただけでも儲けものと言えるだろう。
「で? 代わりにいろいろ見てきてくれたんだろう、どうだいあのMSは」
「概ねエイフマン教授や君と同意見になるな」
「だろうね。開発元がAEUというのはあり得ない。僕から言わせれば現場に出ないで寝っ転がりながらデータだけ見てたってわかるね、よく似せてあるがAEUの造りであるようでいて全く違うよ」
「あの急速変形の滑らかさ。設計もそうだがOS段階から最適化されていると見ていい」
「毎度毎度、無理くり変形する君が言うから説得力が違うよ」
外装だけを見ればヘリオン及びイナクトの発展型試作機にも見えるユリウス・レイヴォネン及びパスレル・メイラントの乗機。
しかしその実、ジェネレータやバッテリーといった内装部は既存のMSの性能を凌駕する能力を持っており、メインウェポンであるロングリニアライフルこそ既存の装備の延長の域を出ないが、装備には未だ三大国家が試製段階から抜け出せない技術のひとつであるビームサーベルを実用化している上、光学迷彩までも備える。
だいいち、イナクトの制式採用から今日まで1年も経たない。試作の次世代機ができたにしても技術レベルの飛躍があまりにも早すぎる。
となると、疑わしいのはこれに準じる技術力を既に持ち得る三大国家以外の勢力。
「やはりソレスタルビーイングだろうか」
「そこまでは。君、パイロットの方にも会ったんだろう? なんて言ってたのかな」
「レディの方にはどうも話が通じなかったが、
ビリーは、そう語るグラハムの表情を見て察した。
「君がアレを駆ったとしても同じようにガンダムを撃退できたかなぁ」
「私はフラッグファイターさ」
「妬いてるんだろう?」
「フッ。君も意地の悪い男だ……そうだと言わせたいか?」
「愛憎入り混じってるねぇ」
長年この変人の親友をどうにかこうにか勤め上げられていると自負する自分にはわかる。グラハムの心中は、どうやら穏やかではない。
ユニオンの同胞でもなく、恩師であるエイフマン教授と、親友である自分の身に降りかかるところだった危機を、フラッグもどきに乗って自分だけのグラハム・スペシャルを使いこなし、心奪われた存在であるガンダムを自分より先に墜としてみせた。
それが、グラハム・エーカーにとってのユリウス・レイヴォネンである。
「AEUにもあれほどできる男がいるとは思わなかった」
「というか君、人の話を聞かないから今まで聞いちゃいないだろ」
「そうとも言うがな」
空は、グラハムにとっての全て。
生まれたときからそうだったのだろうが、
だからこその情念。我慢弱く落ち着きがない人間であると自負する彼のことだから、本当ならば空で決着を付けたいと思う心が止められないのだろう、とビリーは考察を締めくくった。
「もう一つ。あの新型のガンダム、以前から現れていたものと比べて何か方向性が違うと思わないかい」
「……修復してから行われた3件目の武力介入にしてもそうだが、紛争状態にないと言える軍基地ばかりを狙っているそうだな」
「エイフマン教授によると、ソレスタルビーイングの最終的な目的から逆算すれば、あれらの新型は恐らく従来のチームと異なる思想を持っていると思われる。そう結論付けたそうだ」
「……奴らの最終的な目的。武力による紛争根絶」
「そこは
「いずれ来る地球外生命体と人類の対話。らしいよ」
「……教授はタチの悪い冗談を好むお方だったとは記憶していないが……」
「……本気で言ってるみたいで。まあ、詳細は公の場で明らかにするらしいから」
地球外生命体という荒唐無稽さもそうだが、対話という言葉とは程遠い組織の目的がそのようなところに終着するとは、常識的に考えてグラハムもカタギリもそのようにはとても思えなかった。
根拠を是非聞いてみたいところであったが、現在エイフマン教授はどうやら多忙の身。人を寄せ付けず恐らくその理論を固めることに没頭している状態である。
いずれ語られることであるなら、といって二人は急がなかった。
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・
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「貴方が来てくれるとは思いませんでしたよ」
「推定だが二度目の命の危機の恩人なのでな。礼のひとつもというのは不思議ではあるまい」
多忙の身であることになっていたはずの当のレイフ・エイフマンは、現在拘留中であるユリウス・レイヴォネンとの深夜の面会中である。
相方の野蛮な娘と話しても特に得られる物はなさそうということはパッと見でわかるので、こちらを選んだ。ある
「まずは礼を言おう。君は恐らく儂の命を救いに来たのだろう」
「……そういう意図はありませんよ。他の方にもずっと言ってますが、俺はAEUの指示で動いただけです」
「それはあり得ないのだよ」
「……何故そう言いきれます?」
当の本人がこう言っているので当然MSWAD基地はユニオン上層部を通しAEUへと問い合わせているわけだが、どういうわけか、AEUからのアクションは一切ない。
無関係ならば無関係と言ってくれればケリがつくが、『返答なし』はこの状況では最も困るのである。
最重要機密の為回答を差し控えている可能性が排除できず、下す処分次第ではAEUを敵に回す可能性がある以上、奇妙な機体とそのパイロットの扱いはまだ決められない。
故に、ユリウス・レイヴォネンの所属を断定する材料は今のところ存在しない。
しないはず。だが、レイフ・エイフマンにとってはそうではなかった。
「尋問や質問というのは儂の苦手とするところなのでな、君の前で勝手に儂の推測を喋っていくという体でいくこととしよう」
「……はあ。どうぞ」
「君はソレスタルビーイングの構成員、それは間違いない。あの機体を見て確信した、あれはAEUヘリオン最初期型の設計者、イアン・ヴァスティの手がけたものだ」
「……!」
「AEUの機体群に似ているのは当然だ、その源流を造った男が手がけているのだから。確か、格好良くないメカは勝てないなどとのたまう酔狂者の若造だった記憶がある」
「……ちなみになんですが貴方はどう思われますか」
「兵器の実用性に美意識を見出すならともかく、恰好に大した意味はないと思うがね」
今のを義弟が聞けばどう思うのだろうか、とユリウスは思う。
とはいえ、今彼が話したことは完全に当たっている。背筋がうすら寒くなるようなエイフマンの推測は、なおも続いていく。
「君は前に言った。イアン・ヴァスティと君の妹……なんと言ったかな」
「リンダです。俺の妹はリンダです」
急になかなかの圧が襲ってきたので、年の功で上回るさしものエイフマンも一瞬たじろいだ。
「……そ、そうか。結婚したのだったな。だが行方不明となった。他にも君は多くの行方不明者を追った。イアン・ヴァスティ、リンダ・レイヴォネン、リーサ・クジョウ、クレーエ・リヒカイト。そして君は、イアン・ヴァスティの造った機体に乗ってやってきた」
「……」
「AEUの技術主任、若き才媛、天才戦術予報士、生物工学の権威。みな優れた頭脳を持っていた。君も優れた戦いの実力を備えた。一芸に秀でたものばかり集まるものだ」
「…………」
「彼らが闇に消えた理由は、優秀な人材としてソレスタルビーイングへとスカウトされたからだ。そしてそれは、恐らく君も同じなのだ」
「…………妹の家族を守るために、とか?」
「そうは言わんが。だがまあ、そんな風に動機がある」
「…………なるほど」
「そして恐らく。君が所属する4機のガンダムのチームと、合同軍事演習から現れ、君が撃退した後に現在の武力介入を行っている新型のガンダム3機は異なるチームだろう」
「……!」
……この老人、どこまで見通しているというのか。
ユリウスの口が思わず開く。それこそ放置すればソレスタルビーイングがどうにかなってしまうほどの相当に頭の切れる人間だというのは当然わかってはいたが、これほどまでとは思わなかった。
「3機のガンダムは君たちの計画にはない存在のはず。苛烈な作戦行動で世界の憎しみをよりソレスタルビーイングへと集約し、滅ぶためだけに造られた哀れな傀儡だろうな」
「……なぜただ滅ぶためだけに、そんなもの造られなきゃならない?」
「地球統一政府の樹立、そのきっかけ。紛争の根絶には結局のところ世界の、人類の統一は必要不可欠なのだ」
「…………」
「そして紛争根絶の先にある目的とは。ガンダムの動力源であるトポロジカルディフェクトによって造られるあの特殊粒子を媒介とした量子通信による、地球外生命体との対話。それしかないと儂は結論付けた」
……絶句。それしかユリウスにはなかった。
「…………大した作り話でした。面白かったです」
「儂の自信作なのでな」
「ですがもし俺がソレスタルビーイングの一員だというなら、なぜそこまで知った貴方を助けなきゃならないんでしょうか。それも味方のガンダムを破壊してまで」
「別働隊による勝手な行動と方針の違いを快く思っていない。それと……」
「それと?」
「個人的な情によるものだろうな」
その即答をユリウスが聞いた瞬間、努めて無表情を貫こうとしたユリウスもその顔を驚きの表情に変えた。
「こ、ここまで理屈を並べておいて最後は情ですか……」
「君はそういう人間だと儂は思う」
「……何を根拠に」
「人生経験だ。そういう半端なところがある人間なのだろう?」
実に人間らしい人間だ。とフォローのように付け加えたエイフマンだったが、ユリウスにとってみれば何のフォローにもなっていないし、実質的に半端者だと言われたようなものである。
「な、なるほど……まあ、わかりましたよ」
「あくまで推測だ。君の顔が少し青ざめているからといっても確たる証拠にはならんしな」
「……推測にひとつ乗ってあげますが、俺がソレスタルビーイングで、別のチームから貴方を助けたいと思うなら、もう一つするはずのことがあるでしょう」
「…………それは」
「貴方を保護しようとしないなんてこと、ありますか?」
この状態でそれは不可能である故だ、とエイフマンは思い込んでいた。
――――背後から近寄っていた看守役であったはずのユニオン軍MPに、何らかの薬剤を首筋から注射されるまでは。
「な…………」
「貴方が俺と話そうとすることも、また狙われるのもわかりきってたので。申し訳ありません」
(な、内通者……か……)
薄れゆく意識の中で、レイフ・エイフマンは重ねて思い知らされた。ソレスタルビーイングという組織の根の深さを。
(……これもイノベイドなんだろうな)
MPに手錠を外されて思う。この人物は少し前まで何も気づくことなくユニオン軍のMPとして働いていたのが、リボンズの意思ひとつで言葉も発さぬ傀儡と成り果てたのだろう、と。
監視カメラのランプが点いているあたり、どうやら一部始終は写っているにもかかわらず大事にはなっていないらしい。データの改竄や通報装置の破壊など理由はなんでも思いつくが、思いつく限りどれでもできそうだというのがヴェーダとイノベイドの成せる業である。
「あーしんど。さっさと帰ろうぜ」
「ネフィリムでか? 鹵獲機にエネルギーを満杯にしておくバカがいるのか……?」
「いることになってっから。そういうもんだからコレ」
同じように解放されたのであろうパスレルと合流し、ネフィリムでの脱出の方針を確認し合う。守衛の死角となるルートは基地に所属するイノベイドの情報からあらかじめリサーチ済みであり、先日の襲撃から混乱の続く深夜のMSWAD基地からならば、エイフマン教授を抱えながらになるとしても脱出は比較的容易なものになるだろう、とのことだった。
そしてネフィリムの状態に関しても、同じくクリアされているらしい。
イノベイドとは恐ろしい存在である。やろうと思えば各国の内部を今すぐズタズタにもできるのだろうから。
「みんなあんたの言う通りですよ、教授……」
背中に背負うエイフマンの言葉を反芻し、若干のセンチメンタルを感じながらもユリウスは走った。
自分の本懐を遂げるために、このような所ではまだ終われないのだと。
いつの間にかUA70万超えました
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