ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる 作:トン川キン児
人革連が10機もの太陽炉搭載型モビルスーツを一度に投入し、チームトリニティを撤退に追い込みミッションを失敗させた。
このことは当事者たるトリニティにも、宇宙のチームプトレマイオスにも、ひいてはソレスタルビーイング全体にも大きな衝撃を与えた。
世界を揺るがしてきた力が、裏切りと陰謀によってついに大国の手に。
そしてそれは、必然的にこれより先の戦いの全てはガンダムとガンダムによる戦いへ、より激しい戦いへと変わることを意味していた。
「トリニティは追い詰められる。あんたにゃ都合がいいよな」
「ええ。早晩わたくしどもを頼る他なくなるでしょうから」
別荘での午後のティータイム。香しい紅茶の香りを瞳を閉じて楽しみながら、留美は悪びれもせずに傍らに立つマグナスへ答えた。
三大国家へと渡った太陽炉搭載型MSの出所を少し考えれば、トリニティがこれより先、補給にも難儀するほどの孤立無援の戦いを強いられることは目に見えていた。
そうなれば、王商会という巨大な資本を保有する留美をたったひとつのコネクションとして頼り、その下へ降るほかトリニティに生き残る道はない。
……その辺りまではノーヒントで読めていたのだろう。トリニティとの接触前から、MSの存在を隠匿しながら駐留可能なドック等の手配は急ピッチで進められており、それらを進めるために紅龍が忙しなく動いていたのをマグナスも知っている。
話をつけられるという確信を持って臨んでそれをモノにし、商機を逃すことはしないという点で、少なくとも彼女の商才についてはそれが世界に有数の大企業グループの当主という座に相応しいものなのだろうとも思った。
「三機のガンダムを囲い込んで、何がしたいんだ?」
「何も。わたくしはただ彼らが世界を変えていくのを見ているだけ……」
……刺しておいた釘は、やはり深くは打ち込まれていない様子だった。
「目的もないのに手元には置いておきたい。そのうちあいつらのうちの誰かに殺されるな」
「そうならないよう守っていただけますわね? 貴方はわたくしの傭兵ですもの」
「俺にガンダムがあればそうもできますがね」
「……この間から嫌に水を差してきますわね、マグナス・アルハンゲル。貴方は、知らないだけでわたくしの父親か何かだったでしょうか?」
続けざまにマグナスが打ち込んでいく釘を、留美はそれでも硬く跳ね返していく。
嫌味っぽい言葉の連続にさしもの留美もむっときたようで、忠告するように強く言い返す。
「金の切れ目が縁の切れ目とも言いますが、わたくしと貴方はそういう関係です。それ以外に何のつながりもありはしない他人。弁えのある方と思っていましたが、そうではなくて?」
「……そうだよ」
「であれば、そのようにして貰いたいものです。できますわね」
「……わかっている」
ネーナ・トリニティの歪みは言ってしまえば単純、根本から歪むように育てられてしまったのだから、力技で直すこともできなくもない。だが、この王留美という女は全く事情が異なる。
世界に触れる表向きだけは整える術を完璧に覚えてしまっているばかりに、分厚い拒絶の殻に籠っていることが誰にもわからない。根っこにあったはずの感じる心も腐りかけている。
そしてそれを、自分でもどうすれば治していけるのかさえわからない。
誰かになんとかしてほしい。自分にはできない、戻らない。誰か、何かを変えて欲しい。
複雑で、うずまいていて、手出しできない。
だからこそ、そこに少しでも分け入っていける人間がそれをやらなければならない。そうできる世界でただ一人の人間が、ただ一人の兄である紅龍に他ならない。
自分がその渦に飛び込んでいっても、こうして弾き出されるのがオチだということだ……と、マグナスは何度目かの再確認を終えた。
……ただ、この場に紅龍はいない。間が悪い男だとつくづく思う。
「戦いはどのように推移すると思いまして?」
「地上では人革連がトリニティを追討し続ける。宇宙は……トレミーのガンダムを狙う」
「新型のMSで、ですか」
「AEUとユニオンの数十機との戦いになる。俺は、マイスター達が生き残れるか保証できない」
「既に世界はひとつになりつつある。戦争根絶は、そこで終わりになると?」
留美のその問いには、力強く返すことができた。
「あいつらの戦いは、まだ終わりゃしませんよ……」
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「よう! あんたらフラッグファイターだろ」
「そういう君はイナクトのテストパイロット。パトリック・コーラサワーといったな」
「ふふん。流石にAEUのエースを知らないモグリはここにはいねえよな」
作戦行動へと向かう3隻のヴァージニア級宇宙輸送艦のうち1隻における会話。この1隻にはAEUとユニオンの部隊が混成して編成されており、こうしてユニオンとAEUの軍人同士での会話が成立する。
三大国家それぞれにたった10機のみ供与された太陽炉搭載型MS「
作戦目的はただ一つ。ソレスタルビーイングの壊滅それのみである。
3人のユニオン軍人は元は第8独立航空戦術飛行隊「オーバーフラッグス」。即ちユニオン最強のMS部隊。それぞれグラハム・エーカー上級大尉、ハワード・メイスン准尉、ダリル・ダッジ准尉である。
対するひとりのAEU軍人は名乗った通り、パトリック・コーラサワー少尉。今やAEUのトップエース。
応じたグラハムに名前を覚えられていることで、コーラサワーは上機嫌になる。
「大尉。こいつは真っ先にガンダムにボコボコにされたあの……」
「あの時は大尉もあの場におられましたからね」
「あァ!? なんだァてめえら」
売り言葉に買い言葉といった具合に、自らの失態を揶揄するような発言をしたダリルとハワードへ食って掛かるコーラサワー。
「部下の失言はすまないが私が君を見ていたのは事実だ。だがそれよりも、私は我々の基地の上で滅茶苦茶をやってくれた彼の相方というので君を覚えている」
「……あ~? ああユリウスか。お前らの基地に行ったんだっけな」
グラハム以下オーバーフラッグスに強烈な印象を与えたのは、同じくAEUのエースの片割れ
MSWAD基地というオーバーフラッグスの本丸の上空で3機のガンダムを正体不明のMSを駆って打ち負かし、いかなる手口を使ってか脱獄して恩師のひとりであるレイフ・エイフマン教授もろとも姿を消した男。
「奴は来ない。当然だろう、大罪人を軍に置いておけるはずがない」
そこに通りかかる、AEUの軍服を纏う一人の女性がそこに割り込む。
「AEUのカティ・マネキン大佐だ。本作戦の指揮を任された……よろしく頼む、オーバーフラッグス」
「ユニオン第8独立航空戦術飛行隊隊長、グラハム・エーカー上級大尉であります」
「ハワード・メイスン准尉であります!」
「ダリル・ダッジ准尉であります」
「こちらの
「「「はッ!」」」
その言葉の裏に籠った、並々ならぬ情念をグラハムの中に宿る乙女座の勘が感じ取った。
「ユリウス・レイヴォネンと彼女は、どういう関係かな」
「あ!? 関係ねえよアイツと大佐は!! 邪推すんじゃねーよバーカバーカ!!」
「聞き方が悪かったな。彼はどういう人間だったのか興味があるのだよ。親しかったのだろう?」
「あいつぅ? マジメな奴よアレ。付き合いはイイけどオレみてえに女にはモテなかったよなぁ……あ、あと俺は模擬戦アイツに全勝」
マネキン大佐同様、ユニオンまで汚名が轟いたAEUの同士討ち事件の当事者。それを経て、各地を転戦する傭兵への転職という経歴。
何を訊いても一言として返答がなかったために会話を交わすことはなかったが、面会室での睨み合いにて彼の瞳の中に見た獣めいたモノ。
普通の人間ではない。乙女座の勘がそう告げている。
何より、彼の飛び方が忘れられなかった。
基地のカメラにそれは全て映っていた。本能を全開にして、人でありながら鳥でもあり、野生を取り戻したかのように空を飛んだ彼の飛び方が目に焼き付いたまま離れなかった。
……それにしてもこのコーラサワー少尉という男は随分あっけらかんとユリウス・レイヴォネンについて話すものだ、とグラハムは不思議に思い、それについても尋ねる。
「君はショックだとかは感じなかったのか? 彼の裏切りについて」
「別に? アイツはアイツでなんかやりたいことあんだろ。ま、敵で会ったらオレ様がボコボコにして引っ張ってきてやっけどな!」
「はあ……?」
「……少尉は随分とタフなお方ですね」
「お? まあな、そりゃあお前不死身だもんよ! ハハハハハ」
皮肉と揶揄の込められた自らの渾名を誇りとして笑うその姿に、ハワードは逆に関心を覚え、ダリルは呆れる。
グラハムは、このように思い悩むことがない人間こそが最も兵士に相応しいのだろうな、と思い悩んで止まなかった。
最近の彼の内面には、何も考えずに空を飛べていた頃よりも遥かに複雑な数多くの物が渦巻いている。
恩師から受け継いだ
友との約束と恩師を想う心も、そのひとつ。宇宙へと上がる前に、グラハムはビリーとの約束をした。
『教授は必ず生きている。
『ガンダムを壊滅し、ユリウス・レイヴォネンの居場所が判明すれば、教授の居場所諸共わかると思うか?』
『そうじゃなきゃ困る。彼に生きていてほしいと思う気持ちは同じだろう』
……赤い糸が未だあの男とも繋がっているのであれば、あるいは。
そんな一縷の望みも、グラハムの胸の内。
飛びたいがために飛び込んだここで、思えば飛ぶには重いものばかり背負わされていくものだ、とグラハムは思う。
だが、それもまた今の自分。
投げ出してしまおうとは微塵も思わなかった。
かくして、天使の羽を斬るための剣は
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「全機、フォーメーションBでかかる! 我々のターゲットは近接タイプと狙撃タイプの2機!」
「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」
ユニオンのGN-X部隊10機に乗るパイロットはその全員が元オーバーフラッグス、あるいはその予備兵力。機種転換があるとはいえ、連携の練度は並の部隊の比ではない。
まして、グラハム・エーカーが部隊指揮を執るとなれば尚更である。
「く……!!」
「こいつら、マジでやべえぞ……!!」
一糸乱れぬ連携に追い詰められるエクシアとデュナメス。1対5という戦力比が為せる四方八方からのビームに分断され、翻弄されるばかりで反撃に転じる隙がまるでない。
だが、当然その苦戦は戦力比だけが理由ではない。付かず離れず射線を管理し、数的有利が最大限に活きる陣形を崩さずに攻め立て続けられるユニオン最強の部隊が相手だからこそ、こうまでされる。
援護射撃を背に受けつつ、ハワードとダリルのGN-Xが両側からGNビームサーベルを抜刀しエクシアへと迫る。
「くぅぅ……!!」
GNロングブレイドとショートブレイド、二刀でその両方を受けるエクシア。だが応戦虚しく両側からの圧力に負け、2刀のブレイドはそのマニピュレータから弾かれる。
距離が空いた苦し紛れにGNビームダガーを投擲させる刹那だが、後詰めにやってきたもう1機のGN-Xがその両方をはじきつつ近接距離に迫る。
「なっ!」
「悲しいな、ガンダム。君たちは世界からはじき出される運命だ!」
とっさにGNソードを展開しグラハムの一刀を受ける刹那。だが、その背後からは当然、手空きとなったハワードとダリルの2機のGN-Xが再び両側面から迫る。
「もらったぞ、ガンダム!!」
(やられる……!?)
「刹那ァ!!」
攻撃が分散した僅かな間隙を縫って、そこにロックオンのデュナメスが渾身の狙撃で進路上に割り込みエクシアを"詰み"から救った。
今の一瞬に援護がなければ死んでいたという事実に、刹那はガンダム同士の戦いがいかなるものか、ということを身を以って知った。そして今目の前に相見える敵の技量も。
敵はおそらく、自分よりも強い。さりとてここを生き延びなければ明日は来ない。
「各機! フォーメーションDに変更し狙撃タイプに攻撃を集中!」
「やれるぞ……! この機体ならガンダムに勝てる!」
「フラッグでないのが口惜しいが……!」
「ハワードとダリルは向こうを。近接タイプは私が抑えてみせよう!」
仕切り直しを皮切りに、攻撃がデュナメスへと集中するのを見た刹那。しかし、目の前の太陽炉搭載型MSに阻まれ救援に行くことができない。
こちらの相手はたった1機となったはずなのに、そのただ1機の圧力が決してエクシアを通さない。
恐らく相手は、トップエース。
「デュナメスから先に!? くそっ……!」
「ダンスといきたいが私も不慣れだ、エスコートしてもらおう!!」
「くっ……! 強い……!」
フラッグとは桁違いの性能に、ひとかどのパイロットとして心を躍らせるグラハム。
あの日自分の心を奪い攫っていった、ともすれば愛した圧倒的な性能が、今まさに自らの手にあることの実感に狂喜にも似た感情を抱くグラハム。
だが、同時に何かが冷めていくのを感じるグラハム。
兵器は陳腐化するもの、いつかはフラッグとて。わかっていたことだが、その生まれてから死にゆくまでを看取った者としては、彼が命までも賭したそれには、より長くいて欲しかった、と個人的なエゴがよぎった。
だがそれも今は、ガンダムで
『回避ポイントナシ!回避ポイントナシ!』
「くそったれがぁ!!」
キュリオスとヴァーチェは別働隊の相手にかかりっきり、援護も見込めない。
GNスナイパーライフルを撃ちぬかれた爆風の中から抜け出ると、右上方及び下方から敵機が接近。
「近ッ……!!」
下方はGNミサイルで、右上方はシールドを展開しつつビームピストルで。
……だが、右上方は間に合わない。
敵の詰め方が上手だった。ロックオンもそれに関しては瞬時に認め、覚悟を決めた。
だから――――
「がああっ!! ……うらぁぁあああ!!」
GNフルシールドを貫通し、コクピット付近にサーベルが貫通してもなお、デュナメスは正面のGN-XにGNビームピストルを突き立てた。
「こ、こいつ! 捨て身で――――」
「なに!? うおぉっ――――」
ダリル機を数条のビームが貫通し、ハワード機をGNミサイルが爆散させる。
「はっ……ハワード!! ダリルッ!!」
「ロックオンッ!! ぁああああ!!」
「ちいぃ!!」
同僚が、仲間が、同士が散った。それに気を取られたところで、容赦なく敵は、エクシアは反撃に移ろうとする。
「ロックオンがやられた!! こちらの援護を!!」
『何だと!?』
『ロックオンが……!』
エクシアからの、刹那の一報を聞きつけてひとまとめになろうとするキュリオスとヴァーチェだが、守りを固めようとすれば、相手にも当然合流を招く。デュナメスへ向く射線がさらに増える。
白煙を吹き、宇宙空間を力なく漂い始めた1機のガンダムの姿は、AEUの部隊にもしっかりと映っている。
「ユニオンがやったか!? よっしゃあ! 4番機! 俺と抜けてアイツにトドメだぜ!!」
『まずい……! ロックオン・ストラトス!!』
「大佐のキッスは頂きだああああああああ!!」
デュナメスへ向かう、コーラサワー機含めた2機の突破を許したヴァーチェにすかさずAEU部隊の援護射撃が襲い掛かり、身動きを取らせない。
……しかし、そこへ。予想もしない方向からGN粒子の大出力ビームが走った。
「なにぃい!?」
「粒子残量は少ないが。行けよぉ!」
僚機が撃墜され、砲撃の方向を探すコーラサワー。続けて撃たれるビームをディフェンスロッドで防ぐが、大出力ビームは防げないと判断し回避する。
GNアームズ。戦局の楔となり得る逆転の一手が、苦境を前に寸でのところで間に合った。
「増援だと……! やはりソレスタルビーイングにはガンダム以外にも兵器が……」
グラハムが歯噛みしたその時、撤退を合図する信号弾が後方より放たれた。
「……ハワード、ダリル……敵は討つ……!!」
「くそ、大佐のキッスが……」
『デュナメス、損傷! デュナメス、損傷! ロックオン、負傷! ロックオン、負傷!』
国連軍は貴重な太陽炉搭載型MSを3機失い、ソレスタルビーイングは4機しかないガンダムのパイロットが傷を負う。
……この場は、双方とも痛み分けとなった。
だが人は、何かを失うことを"痛み分け"で済ませられるのならば、こうまで争うことはない。
戦いは、まだ続いている……。
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・
・
「やってんなぁ~。でもアレさぁ」
「何だい?」
「バッて止めちゃって終わりにもできんだろ? やんなくていいわけ?」
パスレルが言う通り、既にヴェーダのレベル7の権限を持つリボンズであれば、戦闘中のガンダム各機のシステムを強制的にダウンさせて決着をつけることもできた。
だが、それでは味気がない。
以前の自分ならばそうしたかもしれないが、今は違った。人間がもがき、戦う所をこの目でもっと見たい。感じたいとも。
「君も好きだろう? 戦いを見るのは……」
「うん! ちゅきちゅきちゅき!」
だがまずは、ここに来た目的を果たす。
……レベル7のブラックボックスにイオリアが隠した何か。リボンズは、それを暴く。
Q.システムダウンなしかつグラハムが敵側ってどういう経緯でロックオン負傷すんの
A.士気と現場指揮が原隊隊長のおかげで万全のオーバーフラッグス10人がGN-Xに乗ってるとか捌けるわけないんで普通にやって普通に負傷します
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