ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる 作:トン川キン児
ラグランジュ1・資源用アステロイド群。ソレスタルビーイングは、ここにも根を張っている。
資源衛星に偽装された補給基地が、宙域内の至る所に点在する。ネフィリムとスローネドライ……ユリウス・レイヴォネンも、ネーナ・トリニティも、そこにいた。
"ラ・トゥール"で留美が予め手配していたリニアトレイン549便に乗り、機体も秘匿されたまま搬入。本当であればチームトリニティの兄たちが座るはずだった席に乗り、ユリウスは宇宙に上がることができた。
その間、暗号通信でユリウスとプトレマイオスとで連絡を取り合い、状況を報告した。
……その場には、イアン・ヴァスティが居合わせていて。
『なんだと!? GNドライヴの余りがあるんだな!?』
『……そうだが、機体が……スローネアインを回収している暇はなかった。大破していたし、ヨハン・トリニティのバイオメトリクスがなければいずれにせよ動かせなかったろうし』
『……クソ……!! ミス・スメラギ! ネフィリムは次の戦いまでにトレミーへ合流可能か!?』
『ネフィリムは太陽炉搭載型じゃない……いくらマグナスが優れたパイロットだからって、ガンダム同士の戦いの戦力には数えられない。イアンさん、危険を冒して彼を合流させる必要は……』
『ぬうう……!! わしが二人いりゃあ……』
映像は送信されていないものの頭を抱えていそうなイアンの悩む声に、いったい何をそれほど考えているのかとユリウスはただ戸惑っているだけだった。
ネフィリムは
加えて言うなら、今のネーナが
『……待てよ』
『な、何が……?』
『少し待て、調べる。今どこにいる……? あいつと、弟子なら……?』
イアンに言われて数分ほど通話を保留して、明けたのち。
『いいんだな!? ミス・スメラギ!』
『……は、話が本当ならだけど。戦力は少しでも欲しいもの』
『マグナス!! 宇宙に上がったらラグランジュ1のエリア418、F2の補給基地に行け!!』
『そこに何が……』
『行きゃあわかる!! お前さんの力になってくれる奴がそこにいる、行ってこい!! 荷物は全部持って行け、スローネアインのGNドライヴもだ!』
『補給基地で整備を行ってからトレミーと合流。場所は――――』
――――という具合に急かされ、着いてみればそこに待ち受けていたのは……
「――――待ってたよ、お兄ちゃん」
誰よりも愛しき妹。リンダ・ヴァスティ。
「遅すぎぃ。こっちの事情もあるんだからもうちょっと早く来てくださいよ」
と、その夫の弟子である幼き天才メカニックのシェリリン・ハイド。
二人は、真っ先に格納庫にて待ち受けていた。
「……まさか……だよな」
「ふふ。まさかでしょ?」
いたずらっぽく笑って見せるリンダのその笑顔は、変わらず天使のように感じられた。
この切羽詰まった状況の最中に起きた、久方ぶりの兄妹の再会。ユリウスは、こんなことが待ち受けているとは露ほども思っていなかった。
いつか出会ったシェリリンの力を借りることになるということも、同じことだった。
問題は、いったい何をしようというのか、というところ。
「それで、何をやるんだ。まだ余ってるガンダムがあるとでも?」
「……あの人ったら、聞かせてないんだ……困った人」
「お師匠のサプライズ好きは今に始まったことじゃないですよ」
「いや……だから何なんだよ……?」
事情を一切伝えられずに来てみれば、どうやらこのふたりの方は全てを知っている。軽い疎外感を覚えつつ、これからやることに皆目見当のつかないユリウスは戸惑う。
……次にリンダが明かしたその真相は、とんでもないものだった。
「ネフィリムにGNドライヴを接続するの。その調整のためにここに来たから」
「…………は……?」
「これでマグナスさんもガンダムマイスター、ですかね?」
……開いた口が塞がらないユリウスであった。
・
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二人の技術者曰くところ、CBNGN-001・AEUヘリオンカスタム『ネフィリム』はイアンによる設計段階からGNドライヴが接続できるようになっていた、とのことだった。
謎に重量のあるリアスカートが再三言ってなぜ改善されなかったのかと言えば、そこにGNドライヴとコーンスラスターを搭載するための部位であったから。
ドライヴのマッチングさえクリアしてしまえば、機体各部のエネルギーバイパスも圧縮GN粒子伝達に対応しており、頭部の大型アンテナはクラビカルアンテナ同様にGN粒子を制御可能。
ロングリニアライフルは解放バレルに切り替えることでGNロングライフルへ、NGNビームサーベルは動力源を切り替えればGNビームサーベルへ。脚部のマルチミサイルは、弾頭を切り替えればGNミサイルへ。
こうしてCBNGN[GN]-001・GNヘリオン『ネフィリム』へと、簡単な調整で早変わりする。
……なんという仕込みをしておいてくれたものだ、とユリウスは思う。
どのみち今後の戦いにおいて太陽炉搭載型のMSを手に入れなければ話にならないとは思っていたが、まさかこんな形でとは露ほどにも思わなかった。
「想像もしてなかったってマヌケ面だな、アンタ。アレが何なのか本気でわかんなかったか?」
「……うっせえな。ニブくて悪かったよ」
「そんなんだからあのサルにもフラれんのさ。あげゃげゃ」
ラグランジュ1・エリア418、補給基地F2。現在ここには『フェレシュテ』が駐留している。
チームトリニティの武力介入開始から長らく活動実績を聞いていないとユリウスは思っていたが、どうやらその原因もまたチームトリニティにあったらしい。
地球への降下前に、オリジナルの太陽炉回収のためにチームトリニティはフェレシュテの解散要求をヴェーダに提出した上で強襲。それを拒否した目の前のフォン・スパーク駆るガンダムプルトーネと交戦し、フォンはガンダムマイスターへの攻撃が反逆行為とみなされ以前から付けられていた首輪が爆発。
最近までメディカルカプセルで生死の境を彷徨っていたとか。
トリニティはそんなことまでしていたのか、と思う以上に、首輪が爆発した状態で戦っていたというこの男のイカれ具合は、話に出た
……あからさまなデッドウェイトに、ビームを発振可能な機体、そして開発コードそのままに使われた『ネフィリム』という名前。そこからある程度、フォンはネフィリムの正体を看破していたという。
「アンタがオレたちの足止めをしてんのは気に食わねえが、必要だ」
「何でそう思う」
「あの女の目を向けられる奴がいねえとトレミーの奴らは全滅だからな」
……それは、パスレル・メイラントの事に違いないだろう。
あれが直接出向いて、4人のガンダムマイスターに牙をむく? どのようにして?
それはわからないが、このフォン・スパークというイカれ男の言葉は、どういうわけかいつも的を射ている。先のパスレルに対する懸念も、結果として当たった。自分たちに対する脅威となった。
「……俺の力が、必要、か」
「ようやく自覚したみてえだな。あの女とやるんなら、全開でいけんだろ」
「なんでわかる」
「あげゃ。起きてからアンタのやらかした真似を見てないとでも思ったか」
力の共振のことも、やはりフォンは早速見抜いている。どこまでも底が知れない男だと思わされた。
そして、パスレル・メイラント。
自分とあいつとは、戦う運命にある。そう言うのなら、ユリウスも既に腹は決まっていた。
「あ! ここにいたか、後輩!」
休憩室のドアが開いて、開口一番に誰かを呼ぶ男。名前が思い出せないが確かフェレシュテの人間だったが、後輩とはフォン・スパークのことだろうか、とユリウスは思った。
「…………」
「アンタのことだろうがよ」
「……え! 俺か!?」
「だってAEU所属だったんだろ? 俺の方がソレスタルビーイングにいる期間は長いし後輩だよ」
「……は、はあ。そっすか……ええと……」
フォンに言われて、確かにAEU軍服の色を変えたものを着ているな、と考え直したところで、いきなり後輩認定されてみてもこの冴えなさそうな中年の名前も思い出せない。地上で一度は会ったはずなのだが……。
……このあたりでユリウスは思った、中年なのはお互い様でもあることを。
「エコ・カローレだ。歳は31、そっちは30だろ?1期下だな」
「……マグナス・アルハンゲル。お久しぶりです」
やはりAEUでは聞いたことのない名前だった。
執拗に年上であること、先輩であることをやたらと強調してくるのは、普段から年下であろうフォンとシェリリンに敬われていないのだろうな……と察せられる。
狂人と幼き天才であるあの二人に、年上だからといって無条件に敬うという思考はあまりなさそうなので、ユリウスはその点については同情した。
(実戦出ねぇでこっち来たおっさんが百戦錬磨のエース様を後輩ってか)
AEU軍入隊からそう時を置かずソレスタルビーイングへとスカウトされたエコと、エース中のエース部隊で過酷な中東戦線を戦い抜き傭兵としても名を馳せたユリウス。
比べ物にできるようなものでもない、と思いながらも、エコのしみったれたプライドにトドメを刺さない一応の優しさがフォンにもあった。
それと、休憩室に入ってきた人間はもう一人いる。
フェレシュテの設立者にして実質的にその指揮を執る人間、シャル・アクスティカ。エコによる改めての挨拶が終わると、今度は彼女が話しかけてきた。
「シェリリンがどうしても必要になるということで下部組織として支援していますが、貴方の支援までも行うことになるとは思ってもいませんでした」
「……こちらこそ、足止めになるというのに俺を助けていただいて感謝しかありません。それに、まさか貴女がイアンの知り合いだとは」
「私だって。貴方がイアンさんのお義兄さんにあたるとは思いもしませんでした」
「あんな若い妹を嫁に取るから年の差があべこべですがね」
マグナスの言葉にやや含まれた"圧"を感じたシャルは、一瞬たじろいだ。
国連軍とチームプトレマイオスとの戦闘が開始される少し前。フェレシュテは、トレミーの最新医療施設の利用及びDr.モレノによるフォンの治療を行うため、秘密裏にプトレマイオスへ入船していた。
イアン・ヴァスティ及びJB・モレノは、シャルが事情を明かし協力させた数少ないメンバーらしい。なぜならば、彼らはチームプトレマイオス及びフェレシュテ結成前からの信頼がある古参メンバーだったから。
それを聞いたときは驚いた反面、そうした縁もイアンが数十年来の古参であるならひとつやふたつあってもおかしくはないことか、とユリウスは思い直した。
「妹のリンダさんに、我々の組織のシェリリンとも仲がよろしいみたいですね」
「可愛い奴です……イアンとの付き合いであの子とも出会いました。温泉も連れてったっけな」
「へえ……旅行まで……」
一方で、格納庫にて先んじてリンダからその情報を聞かされたシャルの方はたいそう驚いていた。というより、今のようにやや目を輝かせていた。
この類の目の輝きにはユリウスも覚えがある。部隊内のドロドロな人間関係に飢えている奴にはああいう目をしている奴が多かったから、シャル・アクスティカも同類なのだろう……と。
組織運営に関してはしっかりとした指導者であろうことはその佇まいからわかるし、二度顔を合わせただけの関係なのであまり突っついたりはしないが、何かを勘ぐっている気がしてユリウスはどうもムズムズするのだった。
そして、もう一人。フェレシュテにはユリウスが一度も顔を合わせていない
『私としても、貴方がガンダムを持つことに対して異存はありません』
足元に転がるHAROから投影される、10代前半の幼い少女のようなホログラム。
ガンダムマイスター
肉体を持たないヴェーダの端末、疑似人格AIとして、HAROを介してフォン・スパークを監視・補佐するポジションにあるという。
ソレスタルビーイングにはこのようなものまで用意されていたのか、とユリウスは出迎えられた時には面食らった。その猫耳は本当に必要なのか、などとも思ったり思わなかったり。
『ヴェーダに対する反逆者がこの現状を主導しているのであれば、戦力の増強は必須。元々貴方はガンダムマイスターとしての資質も十分以上に満たしていた』
「俺自身がそうは思わなかったんだがな」
『……その心境は私には理解しかねる部分です』
説明の上ではぼかしていたが、その辺りについてすでに
これが『フェレシュテ』。
「それでも、ガンダムに乗るからには、俺はあなた方も助けます」
「……力を借りなければいけない時には、お願い致します。エージェント・マグナス」
しっかりと握手を交わすシャルの掌には、その存在を知っているだけでは感じられない生きた温かみが確かにある。
今のユリウスにとっては、同じ世界で戦い生き抜く仲間であった。
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