ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる   作:トン川キン児

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衝動の矛先

「粒子ビームが来ます!!」

「この距離から!?」

 

 スメラギにとっても予想外の超長距離攻撃。しかし、これに動揺しない男もひとりいる。

 

「大丈夫っす!」

 

 操舵士であるリヒテンダール・ツエーリは、見切っている。直撃コースからは逸れている、自分がしっかりと舵をとればこの砲撃は当たらない。

 

「船体を衛星の陰に! リヒティ!」

「第2波、来ます!」

 

 プトレマイオスがフィールドを纏い、防御を固めつつ大型GNキャノンの2射目を回避する。

 その上で、避けるリヒティはパスレルに対して直感する。

 

……あの人、たぶんヘタクソっすよ!

『オイ! マジ当たんねーけどこいつのキャノン!! なめてんだろオイ!!』

 

 他はともかく、狙撃はてんでからっきしなのだと。

 少なくともロックオン・ストラトスと比べれば、まるで雲泥の差である。

 

『ふざけんなー!! ブッ殺してやるからなテメー待ってろ!! ウキーッ』

 

 ……とてつもなく重く台を殴りつける音が響いたと同時に、先ほどからずっと繋がっていたパスレルとの通信は途絶えた。

 

「なんなの、あの人……!!」

「……怖すぎ……!」

 

 明らかにハイになったままでこちらを殺しにかかる狂人の手合い。それも、ついこの間までの顔見知りでもあったというのに大した躊躇があるでもなく。

 そのような人間と遭遇した経験のない――そもそも、そんな人間には人生で一度会うかどうかさえ怪しいわけだが――フェルトとクリスは、パスレルの異常な言行に怯んでいた。

 

「あんなのに気圧されないで! このまま行くわ、強襲コンテナ出撃! 目標は敵MA!」

『『了解!』』

「キュリオス、ナドレ、ネフィリムはハッチオープン後直接出撃! トレミーの防御を!」

『『了解!』』

 

 取るに足らないトラッシュトークだと、スメラギはそれを一蹴する。

 コンテナハッチからキュリオスとナドレが、それぞれ、衛星の裏からGN粒子の光の帯を描いて出撃する。

 

『待て! 俺もあのMAをやる』

「マグナス!?」

『あれに乗ってるのがアイツなら、やり方はよく知ってる! 俺が要るはずだ!』

「…………」

 

 一瞬のためらいの後、スメラギは判断を下す。

 

「いいわ。ネフィリムは強襲用コンテナの随伴機として前線へ! 機動力で敵を引き付けて」

『了解!』

 

 その許可と同時に、先に出た2機に遅れて中央カタパルトハッチからネフィリムも出撃する。狙いは、パスレル・メイラントの駆るMA、アルヴァトーレ。

 

(あの野郎……! こんなところにまで……!)

 

 あの女(パスレル)がアルヴァトーレに乗ってやってきた。

 本来のパイロットは監視者にして一連の計画の黒幕であるアレハンドロ・コーナーであるはずなのに。それは、なぜか。

 アレハンドロがあの女に殺されたから。元々計画を裏から支配しているリボンズ・アルマークにとっては用が済めば代わりの者を遣わしてもよかったから。それも、当然ある。

 だが一番は、何よりもその原因は、自分にある。

 自分があの時、始末をつけなかったから。

 自分があの時、甘かったから。

 だからあいつは因果になって、ここで自分たちの害になる。

 

「……今度こそは……!!」

 

 今度こそは、今日という日には。お前には、きっちりと死んでもらう。

 なぜならお前は、敵として戦場に出てきたのだから。

 

 ……そして、このすぐ後にマグナスは思い出す。

 類人猿のやることを想像しろなどと、元々人間にとっては無理難題なことだったと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『作戦通りスペースシップに対して二方向同時攻撃をかける。各機衛星を盾に接近し、これを叩け!』

「了解!」

 

 先の戦いを生き残ったGN-Xをまとめた再編部隊の指揮官であるセルゲイ・スミルノフの指示に、力強く応えるパイロットの面々。ただ一人の女性パイロットの声は、その中でも一際強く応えていた。

 その少女、ソーマ・ピーリスには理由があった。

 これは自分の存在意義を懸けた戦い。

 羽付きのガンダムのパイロットは、自分と同じ超兵である被験体E-57。だが向こうは失敗作、自分は兵士として安定した()()()()に達した超兵としての完全体。

 完成品が失敗作に劣るなどということがあってはならない。そんなことになれば、自分はその誇りどころか存在する理由さえも失ってしまう。

 必ず作戦を完遂し、ソレスタルビーイングを壊滅させる。自分には、それが必要不可欠――――。

 

――――!?

 

 瞬間、ソーマの脳量子波は何かを感じ取る。

 後方から何かが来る。

 明確な攻撃の意思を持っている。しかし、自分たちより後方から来るものといえば……?

 GN-Xを停止して後方を確認するソーマ。アルヴァトーレが、こちらに何かを射出している。

 

『どうした、ピーリス少尉!?』

「中佐……後方から攻撃が来ます!」

『なに!? 我々の後ろはアルヴァトーレと母艦しか……』

 

 言う間に、射出された物体は粒子ビームを射撃した。

 四方八方から乱射されるそれを、真っ先に気づいたピーリスは脳量子波能力によって強化された反射神経でどうにかかわしていく。

 この装備には覚えがある。先の地上における作戦で退けた大剣を持つガンダムの装備。

 だが、この動きは。

 

(は……速い!)

 

 この間のそれと、桁が違う。

 比べ物にならないほど、まるで生きているかのようによく動き、常に死角に入ろうと伺い、逆にこちらの反撃である粒子ビームは()()()()()()()()()()()ひとつひとつが巧みに避けてくる。

 ソーマが手っ取り早く捕まらないとわかると、今度は別の機体にそれはとりついた。

 超兵である自分がああも避けるのに手間取るのであれば、ここに並んでいるのがいくら引けを取らないエースとはいえその全てを避けきることなど到底叶わない。

 上下左右、あらゆる場所からの攻撃に堪えかね数手で僚機が落ちるのが、ソーマにもしっかり見えていた。その間もあの兵器を撃ち落とそうとは試みたが、当てられない。

 総数だけは見えた。兵器の数は6基。

 

『聞こえるか、アルヴァトーレのパイロット!! こちらは味方……』

やべええええ!! おもしれえ何だこの武器!! 一生やりてえこれ!!

『……!?』

 

 セルゲイは当然誤射を疑い、通信を試みる。それ自体は繋がったが、会話が繋がらなかった。

 アルヴァトーレのパイロットは興奮状態にある、その事自体はまあ構わない。だが、耳がおかしくなっていなければこの事態を"面白い"と言ってのけた。

 事前に予定のない援軍、ソレスタルビーイングから接収したMA、それを既にこうも巧みに動かせるパイロット。

 もしやとは思っていたが、これはまさか。

 

『……裏切りだというのか……!!』

 

 ソレスタルビーイングに内通者がいれば、国連にも。

 考え得る事態ではある。だが、最悪の事態だった。

 これがあのスペースシップによる策であるならば、前後から挟まれる形となる。母艦も既に無いかもしれない。

 それでも戦わなければならない。そうでなければ生き残れない。

 

『各機攻撃待て!! アルヴァトーレが裏切った!! 散開せよ!!』

「なに!?」

「あぁ!? ど、どういうワケだよ!?」

 

 グラハムも、コーラサワーも困惑する。

 セルゲイ・スミルノフは思う。ここからは絶望的な戦いになるだろう、と。

 

『君、無茶苦茶やってくれるね。どういうつもりだい』

「ムカついたんでちょっと試し撃ちを……」

『……まあ、構わないよ。その代わり、あまり生きている者は残さないでくれたまえ』

「OKOK!」

 

 対するアルヴァトーレのコクピットに乗るパスレル。リボンズとの通信を行いながらも彼女は、2機目を落としたところで再充填のためにファングを収納させつつこちらに反転したGN-X部隊に舌なめずりをする。

 

「こんなヤベー武器、もっと使いてえに決まってんだろ!!」

 

 全速で接近するアルヴァトーレに対して、戸惑いがありながらもGN-X部隊は一斉射する。

 しかしその刹那、攻撃は全て弾かれる。7基もの擬似太陽炉から生じる、超高出力のGNフィールドによるものだった。

 

『バーリヤまでもか……!!』

 

 攻撃が通じない。それだけでも部隊の戦意を削ぐのには充分すぎた、が。

 

ファングぅ!!
ファングぅ!!
ファングぅ!!

 

 GNファング6基が、アルヴァトーレの後部から再び射出される。

 本来アレハンドロが使うため、アルヴァトーレに搭載されたGNファングは射撃のみしか行えず、かつ操作が自動制御により簡便化した代わりに挙動も単調になるはずだった。

 だが、今はそのリミッターが存在しない。

 それどころか、脳量子波及びXラウンダー能力を持つパスレルの脳波にひとつひとつが同調して通常よりもさらに鋭い挙動を行えるよう調整を施されている。それ故に、スローネツヴァイのものと比較してもまるで次元の違う挙動で敵に接近しているのだった。

 

「……いやこれフィールド張りながら出せるの終わってるだろ!! やってるマジでこの武器」

 

 みっつ、よっつ、いつつ。

 必死に避け続け、追いつかれ、撃ち抜かれてバラバラに解体され爆発するGN-Xを見て、アルヴァトーレというMAのあまりの強力さに酔いしれるパスレル。

 GN-XにGNフィールドを貫徹できる有効な装備は一切存在しない。故に、このまま同じ攻撃を続けていれば安全に国連軍の機体を全滅できる。プトレマイオスにガンダムは、その次。

 なんというイージーゲーム。

 自分は今、戦場の絶対者。

 

ヤベーあたしファングうますぎぃ!! 最強!! きゃッハハハハハハ!!

 

 よっつ、いつつ。かん高い笑いを上げる間にも、GNファングは国連軍に選ばれたエースたちの命を情け容赦なく奪っていく。

 パスレル・メイラントは、どこまでも無邪気で、子供じみて、無慈悲だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの女、狂ってんのか……?」

 

 指示通り敵MAを叩くために向かっていってみれば、起こっているのは同士討ち、しかもMAによる一方的な圧殺。現場を見たラッセは、そう呟くしかなかった。

 困惑も無理からぬことだった。今のこの宙域には、実に判断に困る状況が展開されている。

 謎のMAとGN-X部隊の戦い。放っておけばあのMAは全てのGN-Xを平らげるだろうが、その次の矛先は間違いなくプトレマイオス。

 今あの鉄火場に飛び込んでいけば、国連軍の矛先がこちらにも向く可能性はある。であれば、これを一旦静観するべきなのか、それとも……。

 

「……どうする、刹那」

「…………」

 

 刹那の脳裏に思い起こされるのは、あの日の戦場。

 背を向けた夕暮れの太陽が我らの行いを見ていないと信じ、力持つ者が力無き者を壊しつくした、あの日のクルジス。

 その構図は、ここでさえ変わっていない。

 ならば、紛争根絶を体現する者(ガンダム)がすべきこととは――――。

 

「敵MAと国連軍との戦いは紛争だ」

「……だよなぁ!」

武力介入を行う! ラッセ!

 

 ――――強襲用コンテナの大型GNキャノンの光条がアルヴァトーレへと一直線に向かい、ソレスタルビーイングによる、ガンダムによる紛争根絶の口火を切った。

 

「なっ……後方より高熱原体接近!」

「各機散開!」

 

 高出力の粒子ビームを撃ちながら突撃する強襲用コンテナに、セルゲイの指示で陣形を散開して道を開けるGN-X部隊。しかし、そのどれもがやはりGNフィールドに阻まれ有効打となり得ていないのが見て取れた。

 

「攻撃が効かない!」

「なら懐に飛び込んでェ! 直接攻撃だ!!」

 

 GNフィールドを展開して全速で衝突、敵のフィールドを中和しゼロ距離での攻撃を図る刹那とラッセ。

 だが、火花を散らすその衝突の間にアルヴァトーレから展開された巨大アームが自身の展開するフィールドを透過し、その外から強襲用コンテナを掴む。

 外殻からは想像だにしなかった隠し玉に、刹那は驚く。だが、さらに驚かされたのは接触回線からの通信だった。

 

『よう! ガンダムのお子ちゃまかい!? 元気してっか! 牛乳飲んでっか!?』

「パスレル・メイラント……!」

『お隣は筋肉ダルマのホモ野郎! ユリウスはどうしたよ!?』

誰がァ!!

 

 側面のGNビームガンを発射しコンテナを掴むクローへの攻撃を図るが、やはりそれも機体表面のGNフィールドに弾かれる。成すすべなく、強襲用コンテナは握りつぶされていく。

 

「くそっ……刹那ァ!!」

 

 コンテナはもたない。ラッセの判断の下、間一髪のところでエクシアとGNアームズはコンテナごとの破壊を分離で免れて脱出する。

 

「おッ!! いいもん貰っちゃったぜ~~~~!!」

 

 それだけに留まらず、パスレルの駆るアルヴァトーレは一瞬でエクシアと距離を詰める。

 両腕に持つ、二つに割けたコンテナの残骸を振りかざして、野蛮にもそれを棍棒代わりにエクシアへと殴りつけようとする。

 

「く……! ぐああっ!」

 

 上から下に振りかぶられたそれを刹那は避けるが、その次である左腕からのコンテナの投擲は避けられなかった。大質量の衝突がエクシアと搭乗者である刹那を襲う。

 パスレルはそれだけではなく、隠れている何かの場所も感じ取った。

 

見えてんだよォ!! あたしは超↑強ぇんだからなぁ!?
見えてんだよォ!! あたしは超↑強ぇんだからなぁ!?
見えてんだよォ!! あたしは超↑強ぇんだからなぁ!?

 

 牽制射が止んだのをいいことに、フィールドの展開を解き大型GNキャノンを照射するアルヴァトーレ。

 その火線の向かう先は、近くの衛星。

 

なっ……!? 何ィッ!?

 

 潜んでいたハレルヤのキュリオスが、衛星ごと右半身を極大の粒子ビームに消しとばされる。

 それだけではなく、軸線上にいたプトレマイオスも被弾する。

 

「きゃあああっ!!」

「……フィールドが生きてなけりゃ一発アウトっすよ……!」

 

 クルーの悲鳴がブリッジに響く。リヒティも冷や汗をかきながら回避を続ける。

 初弾の回避に成功しGNフィールドが生きているお陰で、リヒティの類まれなる操舵もあればかすめる程度に抑えればなんとか防ぐことができる。

 しかし、あのビームの直撃を貰えば発生器が焼け付くだろうとスメラギは予想する。一刻も早くあのMAを排除しなければ、トレミーは堕ちる。

 それでなくとも、他には……。

 

「おい!! どうなってんだよこりゃあ!! どっち行きゃあいいんだ」

「中佐!! 指示を!!」

 

 これほどまでに敵味方入り乱れる戦場の経験は、長い軍人としての人生でも体験したことがない。

 思考が停止しかけるセルゲイ。だが、作戦の完遂を目指す軍人としての、部下を預かる指揮官としての矜持がその頭の中で次の一手を導いていく。

 アルヴァトーレと、スペースシップ及びガンダムは同一の勢力ではない。現状から考えるに、どう見ても敵対している。

 GN-X各機はアルヴァトーレに対し何ら有効な武装を持たない。対抗し得るとすれば、それはソレスタルビーイングのガンダムのみ。

 ……加えて、テロリストに義理などを抱いても仕方ないというのはこれまでの経験でも明らか。

 で、あれば。

 

「……潰し合わせておけばいい! 各機、スペースシップへの攻撃を続行する!」

 

 内紛の果てにあのバーリヤの発生器でも潰れていてくれれば、それでよし。

 優先すべきは、当初の作戦。

 セルゲイ・スミルノフが下した決断は、プトレマイオスへの攻撃だった。

 

――――断固、辞退する!!

 

 ……だが、その旨を良しとしない者もいた。

 

「エーカー上級大尉! どういうつもりだ!」

「ガンダムを援護しアレを叩かせていただく! どのみちアレを墜とさねば我々は終わりだ!」

「そんなことはわかっている!! 上官命令に背くというのか」

「最後に残った部下をもアレになぶり殺しにされた!! そう、私はもはや……!!」

 

 ――――堪忍袋の緒が切れたのだ。

 グラハム・エーカーはひとり、戦列から離れアルヴァトーレへと向かっていく。

 今や阿修羅と化したこの身に燃えるほとばしる怒りの全てを、同胞を後ろから撃つ外道の駆る悪鬼へとぶつけんとする為に。

 

 ……そして、それに並ぶ機影もまた一つ。

 

パシィィィィイイ!!
パシィィィィイイ!!
パシィィィィイイ!!

ッは!! 来たかよォ!!
ッは!! 来たかよォ!!
ッは!! 来たかよォ!!

 

 ネフィリムとアルヴァトーレ。ユリウスとパスレル。

 ついにふたりは、衝動に突き動かされるまま正対する。




Q.なんで大使でも当てられる目標にパシーが当てられないん? 一応イノベイドなのに?

A.そもそもあの人それなりに上手いしパシーは能力激強だけど操縦そのものは我流で雑なので
"先に射撃を置いておく"とか能力が活きる場面は超上手いですがまず止まってる遠くの物を普通に狙うみたいな操縦技術の地力を問われる場面がめっちゃ苦手です
チンパンジーに狙撃とかできるわけないんですね

面白いと思っていただけたらお気に入り・高評価に感想等よろしくお願いします
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