ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる 作:トン川キン児
「わりーけど、あんま生きて帰すなっつんでなァ……くひひ!」
飛行形態のネフィリムが放つGNロングライフルからの射撃も、グラハムのGN-Xからのビームも、GNフィールドで弾くことで意にも介さず、勢いそのままに離れていくGN-X部隊を追いかけようとするアルヴァトーレ。
だがパスレルは、この戦場で初めて"危険"を察知する。
目線を切った隙の間にドッキングしていた、GNアーマーType-Eの右方から突きかかる大型GNソードをバレルロールでかわして一言。これを喰らうのだけはまずい、とパスレルの人並み外れた野生が直感する。
「あのデカブツであの動き!? あいつ、どこに目がついてやがる!?」
「くっ……!」
一方で不意打ちを避けられ、アルヴァトーレの側部から乱れ撃たれるビーム砲で追い払われる刹那とラッセはパスレルの勘の良さに驚愕する。GNフィールドを展開しつつ、一度距離を取る。
完璧ではないにせよネフィリムの現れた不意を突いたはずの攻撃であったというのに、それもかわされた。
騒がしく胡乱な女だと刹那は思っていたが、
(……順番考えねーとダメか?)
しち面倒だが、戦いはそういう局面に来ているかもしれないと対するパスレルは思い直す。
倒す順番が要る。例えば単機で離れてこちらに噛みついている
プトレマイオスを狙うのは大いにアリだと思わされた。向こうもフィールドを展開している以上アルヴァトーレのクローが有効に働くだろうし、あちらを狙えばガンダムの動きも制限できる。攻撃力も持たないし、何より操舵してるヤツには煽られた借りがある。
であればアレを狙いつつ動くとして。問題は、二人羽織のデカいの。
あれの実体剣に貫かれれば、やられる可能性は十分以上にある。しかもGNフィールドを展開可能と来ているのであれば、こちらも有効打は限られる。大型GNキャノンの直撃か、クローで挟みこむか。
目下の脅威はこいつに限られる。
そして、ユリウスの駆るネフィリム。
……ユリウス。ユリウス・レイヴォネン!!
二人の脳神経がスパークし、共振する。
さっきまで真面目に考えていた思索を全てうっちゃって、GNファングを自分に向けて展開してくるというパスレルの意思が伝わる。故に、ユリウスも飛行形態からMSへと変形し回避機動に備える。
右斜め下、後ろ上方、真左、真正面、右斜め上後ろ。
頭部に、右肩に、ライフルに、膝関節部に。
次々とネフィリムに向けて放たれる粒子ビームを、同じくネフィリムも最低限の機動でずらして次々と回避していく。並のエースならば数秒と持たずに解体されるビームの嵐を、避けきってみせる。
「釘付けかよ……ッ!!」
避けられはする。だが、動きを止められない以上反撃には出られない。アルヴァトーレがプトレマイオスへ向かっていくのを、わかっていながら止められない。
だが、ファングに向けて乱射される赤いビームが状況を変える。
軌道が徐々に回避を優先するように変わり、破壊されるのを嫌ったパスレルにより再びアルヴァトーレの背部へと収納されていく。その隙にGNアーマーType-Fがまたも肉薄するが、横に大きく避けてまた距離を取る。
徐々にパスレルが、苛立ちを募らせ始める。
「邪~~~~魔だよお前……」
その裏でユリウスは戸惑う。あのGN-Xはこちらに合わせて動いてきた。
そういうことができる人間はそう多くはないはずだ……と、思えば次には。
『ユリウス・レイヴォネン!! 我々であの自律兵器を止めるぞ!!』
「あぁ……!? グラハム・エーカー……!?」
『そちらのガンダムにならばアレに有効な装備があると見た!』
側部ビーム砲の弾幕を掻い潜りながらのオープンチャンネルでの通信……どういうわけでこの場を仕切りはじめるのだろうかと思わないでもないが、やはり名うてのパイロットらしくグラハムの言葉は状況を的確に捉えている。
ネフィリムとGN-Xにはフィールドを貫徹できる武装はないが、GNアーマーとエクシアにはある。であれば、そちらの攻撃が通せるように場を整えていくのが最適解。
特にGNファングは、小回りの利きづらいGNアーマーには脅威となる。優先して引きはがすべき武装に間違いない。
『聞こえているな、ガンダム!! 援護する!!』
「通信!?」
「貴様は!」
『なんと、あの時の少年か!やはり私と君は運命の赤い糸で結ばれていたようだ……』
「運命……!?」
「な、何だコイツ……」
自分とは違ってその全てを知る者ではないというのに、ここまでの解を導けるパイロット、グラハム。
その実力と、やや引き気味の刹那とラッセ同様にいつも通り何やら様子がおかしい言動へ畏敬を覚えるユリウスだったが、今はそのような感傷に浸っている場合ではない。
『それがまさか、敵としてでなく共に戦う運命とはな!!』
「アイツは勝手に合わせる! フォーメーションD-13で近づく、近接戦に持ち込むぞ!」
『了解!』
突撃するGNアーマーType-Eの直掩機となった二機が、ファングを寄せ付けない。
狙いを察して集中砲火をかけるアルヴァトーレとそのファングだが、砲撃を控え粒子供給をGNフィールドの展開に回すGNアーマーに対して有効打には程遠い。
かと言ってファングを攻撃に使いすぎると、軌道を読まれて子機が直掩に入る二機の狙い撃ちに遭う。
「あと5基!」
『フッ! あと4基だと言わせてもらう!』
二人のエースによる精確な射撃で、今しがた撃ち落とされて4基に減ったファング。事ここに至って、パスレルはようやくその感覚を覚える。
(あ……これ歯茎剥きすぎだわ)
急速に冷えたパスレルの脳内が、すぐさまアルヴァトーレに逃げの一手を打たせた。
「あいつ!?」
GNフィールドを解き、背部で最大出力となったコーンスラスターに全粒子を優先的に回すことで、ドッグファイトの最中にアルヴァトーレは一気にユリウスたちを突き放した。
巨体を持ち小回りが利くとは言い難いアルヴァトーレだが、7基もの大型コーンスラスターが後部を埋め尽くすこの機体は、図体に見合わず直線の機動力に限るならば他の追随を許さないと言っていいほどの推力を有する。
射程圏外からプトレマイオスを狙撃できるアルヴァトーレを抑えに急行するための脚である、大推力を持った強襲用コンテナを失ったGNアーマーらを一瞬にして振り切るほどの加速も、わけはない。
そして、それに乗るパスレル・メイラントが、尻尾を巻いて逃げ出すようなタマではないということもユリウスにはよくわかっている。
アルヴァトーレの進路をすぐさまトレースすると、やはりその進路上にあるのは……。
「……狙いはトレミー!」
清々しいほどに切り替えが早い女である。こちらが面倒だとわかれば別の目標を始末しにかかる。
……こちらの切り札を切らせるための動きだとするならば、大正解だと認めるしかなかった。
「トランザムで追う!」
アルヴァトーレまで対艦攻撃に参加するとなれば、いよいよプトレマイオスはもたない。
刹那の判断は正しい。トランザムを発動し迎撃に急行、そのまま限界時間までに撃滅する。
母艦が狙われている焦りを突いてこちらを崩すのがパスレルの狙いなのだろうが、あれほどの機動力がアルヴァトーレにあったことは
「グラハム・エーカー! アームの基部に掴まれ! 一気に追いすがる」
『できるというのか!』
「黙って見てりゃいい……!」
左右アームの基部にネフィリムとGN-Xが捕まったのを確認し、刹那はついにソレスタルビーイングの切り札を切る。
「トランザム!」
エクシアの全面解放した高濃度圧縮粒子がドライヴを接続しているGNアームズにも伝わり、機体全体が赤熱するように赤く発光していく。
プトレマイオスを取り巻く混沌とした戦場の中心へと、GNアーマーType-Eは宇宙を切り裂き残影を残して駆ける。
ユリウスたちは、最後の賭けに出る。
・
・
・
(アレルヤ、ティエリア。早く決着を付けて……!)
プトレマイオスのGNフィールドがいかに強固で、デュナメスの太陽炉からの粒子供給を受け続けている状況とはいえ、こうもMSに張り付かれてしまっては長くは持たない。
強襲用コンテナのイアンによる対空砲火があるとはいえ基部によって射角が制限されている以上効果は薄く、常に射角の外に回り込まれている状態である。
キュリオス・ナドレの2機が分断した小隊を倒して直掩に戻るまで耐える以外に道はない。GN-Xからの攻撃による絶え間ない振動を堪えながら、クルーたちは祈るしかなかった。
「敵MA急速接近!!」
悲鳴のようなフェルトの声がブリッジに響き渡ると共に、スメラギは状況がいよいよ最悪のシナリオに向かい始めていることを悟った。
GNアーマーType-Eを無理やりにでも振り切ってこちらに来るとなれば、狙いはやはりこの艦以外にありえない。
「エクシアが追っていますが、この速度じゃ……!」
「避けらんないっすよ、こっから撃たれちゃ!!」
「GNフィールド最大展開!! 出力を全て回しても構わない!!」
先の超遠距離砲撃はなんとか回避に成功した。しかしこうも距離を詰められてしまえば、プトレマイオスの図体では直撃を避けることなどできない。
受けきる覚悟を決めて、後は一撃での轟沈を免れるように祈るしかない。
加えて先程から敵のGN-Xにも既に取りつかれている状態。何かの気まぐれでそれらを撃墜するような人間があのMAに乗ってはいるが、アテにはならない不確定要素でしかない。
スメラギが下した決断は――――。
「……GNフィールドがダウンした時点で、艦を放棄します」
その言葉に、ブリッジにいた全員が息を呑んだ。
「メディカルルームのモレノ医師に連絡を。先にロックオンを連れて強襲用コンテナへ退避させて!」
「わ、わかりました……!」
「生き残るには、もうこれしか……」
メディカルルームは機体後部に位置する関係上強襲用コンテナの位置から遠く、負傷者を連れての退艦。ブリッジよりも先に行動を始めなければ間に合わない。
……1分にも満たない緊迫した沈黙ののちに、再びプトレマイオスへの暗号通信。
送り主はひとりしかいない。
『約束だかんなァ~~~~。あたしブッ殺すって言っちゃったからなァ』
先の攻撃から半分以上も距離を縮めた状態での、主砲による砲撃の実質的な予告。
外しようがない上に、避けられもしない。
「もつのかよ、おい!?」
「あの高出力だともって4~5秒だが……!」
「4~5秒ぉ!?」
「……っぐ……!」
一足先に強襲用コンテナへ乗り合わせたモレノが、旧友であるイアンにプトレマイオスのGNフィールドがあのビーム砲の照射をどれほど受けられるのかと問えば、頼りない数字が帰ってきて焦りを隠せない。
カプセルから連れ出され呻き声を漏らすロックオンにはあまり振動や刺激を与えたくなかったが、艦ごと沈むとあっては患者第一のモレノでも四の五の言っていられなかった。
…………四だの五だのを再び言えるかどうかは、この一瞬後にかかっている。
『でろでろにするぞぉ~~~~ん!?!?』
――――比類なき大火力を持つアルヴァトーレの主砲。避けられるはずもなく、プトレマイオスは直撃を浴びた。
「ついでに……おセンチクンもなあああああ!!」
「なぜ奴がここまで!? 刹那たちは――――なにっ!? ぐああっ!!」
同時に使用された側部ビーム砲の集中砲火を避けきれず、被弾するトランザム中のナドレ。
粒子貯蔵量の少ないナドレの機体特性も相まり、左脚部を失ったことでAEUのGN-X部隊を撃退できるすんでのところでナドレのトランザムは解除。一転してティエリアは不利に陥る。
「きゃあああああ!! ふぃ、フィールド臨界まで2……1……!!」
(刹那……間に合って……!!)
――――悲鳴と閃光に包まれるブリッジの中の、クルーたちの祈りが果たして通じたか。
「ぇぇぇえええええあ!!」
アルヴァトーレの主砲の照射は、フィールドの破壊に至る前にGNアーマーType-Eによって阻止された。
「発生器に異常発生! 焼け付いてます……!」
「総員退艦!! 強襲用コンテナに急いで!!」
「「「「了解!!」」」」
スメラギの指示で、次々とブリッジを放棄するプトレマイオスクルーたち。
脱出劇のさなか、後ろから大型GNソードを振りかぶるGNアーマーを持ち前の直感を用い、すんでのところで前進してかわしつつパスレルのアルヴァトーレは側部ビーム砲での反撃に出る。
しかし、そのどれも高速機動するGNアーマーを捉えられない。
「そいつが例の秘密パワーかい。ならさァ…………!?」
”ヤバい”。
脳波による操作が万全ゆえの代償で、そう思った時には既にGNファングを引っ込めることができなかった。
「出かかりは隙だよなァ!!」
GNフィールドの範囲をはみ出したファングの出かかりを、狙っている者がふたり。
先程GNアーマーから飛び出ていたユリウスのネフィリムと、グラハムのGN-X。
「いただくっ!!」
集中砲火によって、4基のGNファングはいずれもGNアーマーへと向かう前に撃ち落とされる。
「てめッ……!!」
あたしのオモチャ取りやがって――。
そう口に出す暇もなく、パスレルの直感が脳髄をかき鳴らすように次々と身に迫る危険を告げる。
「でぇぇぇぇええええっ!!」
「だあああ!! 速すぎ速すぎ速すぎマジでッ!!」
パスレルの
しかし、恐るべき機動力をもたらすトランザムによる速さに、小回りの利きにくいアルヴァトーレでついていけるのか、と問われれば。
「ケツがっ……!!」
全くの否、である。パイロットがついていけても、機体が追い付かない。
一瞬で後ろに回り込まれ、先ほどの教訓から刹那はコーンスラスターの集中する後部を優先的に大型GNソードで横一閃に薙ぎ払って潰す。その痕を、グラハムのGN-XのGNビームライフルが念入りに潰す。
アルヴァトーレの、脚をもいだ。
流れるまま右側面に回り込み、至近距離から大型GNキャノンを浴びせれば、いかにビームコーティングされた装甲とはいえ側部ビーム砲を有する右側面は耐え切れず爆発した。
これで、牙をもいだ。
「行け刹那ァ!!」
吠えるラッセに背中を押されて、確実なトドメのために正面に回り込み両腕部のソードで真っ向から突きかかる刹那のGNアームズ。
しかし、それこそがパスレルの待ち続けた隙だった。
「……待あってましたァァ!!」
残された推進力で逆に前進。
衝突するほどの懐に潜り込んで大型のGNソードの間合いを逆に外させつつ、そのアーム基部を両腕部のクローで固定。
そして、このタイミングで。
「!? 限界時間が……!!」
トランザムは移動へリソースを割いた分、あと一歩及ばずに限界時間に到達し、赤い輝きはGNアームズとエクシアから失われる。それがパスレルには
出力を大きく失ったGNアーマーType-Eに、クローによる拘束を逃れる術はない。密着していればエクシアもGNアームズから分離することはできない。
そして、こんな程度の出力しか出せないのであれば、機体表面のGNフィールドは大きく減衰し、アルヴァトーレ機首のビーム砲の連射を防ぐこともできない。
これがパスレルの仕掛けた、
「ぐああああ!!」
「刹那ァ!! ぐッ――――」
至近距離からの連射。近すぎて狙いを付ける必要もない。
めちゃくちゃに放たれたビームの雨あられで、GNアームズはコクピットにいるラッセに及ぶほどの爆炎と大煙を上げて大破していき、エクシアも激しい砲火に頭部と左腕部を喪失する。
その砲火を唐突に直上方向に向けようとするが、
パスレルが危機を覚えた、その直上方向から迫っていたのは――――。
アルヴァトーレへの急行前にGNブレイドを拝借していた、ユリウスのネフィリムだった。
「ヤバいヤバいヤバいヤバい!! マジで!! マジで死ぬ!!」
目前に迫る"死"を鋭敏に感じ取るパスレルは、アルヴァトーレを放棄する。
そしてその本体である擬似太陽炉搭載型モビルスーツ、アルヴァアロンを露わにして、立ち上がってアルヴァトーレの上を後ずさりながらすぐさまGNフィールドを展開。
しかし、GN粒子を纏う実体剣は――――。
「助けて~~~~~~!!!! タスケテ!!タスケテ!!タスケテ!!」
GNフィールドを、貫徹する。
分離するのが
真っ向から、頭部へとGNブレイドが突き刺さる。
転んでもただでは起きないパスレルも、突進するネフィリムの勢いを利用したカウンターのようにして、事前に展開していたGNビームサーベルをネフィリムの腰部へと深々と刺した。
(やれていない!!)
役立たずになった腰部を切り離して、勢いのままアルヴァアロンを分離したアルヴァトーレへと押し倒すネフィリム。
……しかし、そのアルヴァトーレにも限界が来ていた。
「おまっ……心中だぞ!! オイ――――」
「!? し、しまっ――――」
分離する前から絶え間なく行われていた、グラハムのGN-Xによるとどめのライフルの連射でアルヴァトーレは破壊しつくされている。
「……最後は共倒れとはな……」
GNアームズと、エクシアと、アルヴァアロンと、ネフィリム。
――――4機を巻き込み、解放されたGN粒子を当たり一面に撒き散らして。
グラハム・エーカーが眺める前で、それは壮絶な大爆発を起こした。
"「"と"《"とかを併用するとなんか編集画面で重なる現象を直す方法に心当たりがあったら誰か教えてください