ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる 作:トン川キン児
「……なんか……まずなんだ、この脚のデカいの」
真っ先に目を引くのは、脚部に増設されそのシルエットを凄まじく縦長にさせる何らかの大型ユニットであった。
「余ったパーツでやりくりした結果だ。脚部に使えなくなっちまったキュリオスのオプションをくっつけ、しまってた武装を肩に貼っつけってな」
「大型GNバーニアユニットで機動力をさらに上昇させて、アルテミーのビットで手数を増やす。機体への負荷は上がるけど、お兄ちゃんなら使いこなせると思う」
脚部のユニットは、GN003/af-G02・ガンダムキュリオスガストの広域大気圏内用ブースターユニット。
変形時の機体負荷が大きく制限はかけられるものの、圧倒的推力を誇る大型GNバーニアを4基も備え、リィアンを用いない単騎での大気圏離脱さえ可能とする装備。
過去に一度だけ使用され、この度キュリオスが鹵獲されたことにより二度と日の目を見ることがない装備であったが、資源不足もありこうした機会に持ち出されたという事である。
ひとまず邪魔くさい長物の武器だとかではないようで、少し胸を撫で下ろしたユリウス。
両肩部の前と横に4基増設された新武装・GNビットも、過去に一度のみ実戦使用された特殊な試験機、GNY-0042-874・ガンダムアルテミーから拝借したものである。
その開発は既に凍結済みで、死蔵されていたものを拝借してくる形となる。限られたスペースの中に武装を追加するとしたらどれを選定するか、といった所で省スペースなこのGNビットに白羽の矢が立った。
こちらも機体接続時はスラスターとしての機能を有する他、低出力ながらビーム攻撃が可能な遠隔誘導兵器であり、主に接近戦時の補助として役立つという計算の上での装備だった。
GNビットに関しては、もう一つ装備させる意図がイアンとリンダには存在し……。
「それにこの装備、お兄ちゃんに合ってると思うの」
「合ってる?」
「相性がいいってこった。空間認識能力に長けてるお前さんは、ビット兵器を自動操縦じゃなく脳波コントロールで機体と並列して扱えるはずだ」
「の、脳波で……? またX領域がどうたらってわけかよ……」
「そういうこった。調整にはアイツも関わってもらうつもりだしな」
親指で背後のモレノを指すイアン。どうやら、この度の強化計画は合作となる様子である。
とうとう機体の仕様の方まで自分の能力をアテにしだすとなると、流石に気が滅入るユリウスであった。
体調次第で100%スペックが発揮できないということにもなるなら、勘弁して欲しいところだが……などと思い。
「それで、ネーナちゃんの方がこっち」
リンダがパネルを叩くと、今度はスローネドライのプランの図面が大型モニターに映る。
「わ! 強そうこれ」
「オリジナルの太陽炉と違って、補給の問題が常についてくるって考えたらこれもアリだと思えて」
ユリウスの予想はやはり当たっている。
トゥルブレンツユニットを装着した強化形態。GNW-003/hs-T03・ガンダムスローネドライトゥルブレンツ。
だがこれもやはり、細部が異なっている。機首部分にあたる背部の大型ユニットと主翼にあたる大型バインダーがオミットされており、その両方が消えたとなれば飛行形態への変形が丸ごとオミットされていることを意味している。
基本的に現状のチームトリニティが、リィアンでの行動を主としていることを鑑みてのことだろう。そうなれば長距離巡行能力に困ることはないのだから。
肩部もスローネドライの仕様からはあまり変わらず、ステルスフィールド展開用の右肩部とミサイルコンテナとしての左肩部のシールドは据え置きのまま。となれば、何が変わったのかというと……。
「腰のでっかいの何?」
「ほんとはミサイルコンテナとかだけど、補給で困らされるっていうなら丸ごと粒子タンクにしちゃおうと思って」
「で、横に
「結構もつみたいだな」
大きく変わったのは腰部。トゥルブレンツユニットの大型コンテナ部を全て粒子タンクにし、水平尾翼が付くはずの場所を排除しマウントラッチにして、エクシアのGNブレイドの予備を両方に取り付けている。
こちらも、刹那の乗るエクシアが恐らく長期に渡って帰還しないまま事が進んでいくと予想した故の采配。この状況で余らせておける資材は存在せず、予算はなるべく次世代機に残しておきたいという思惑が故である。
ユリウスが横で詳細データを見てみれば、これだけ大型の粒子貯蔵タンクを積むとなればやはり凡そ倍程度の粒子貯蔵量の増加が見込めるようで、補給の回数を削ることも可能だろうと思える。
「背中のこれどうやって取るの?」
「サブアームで撃ってくれるのよ」
そして、背部のGNステルスフィールド発生器のど真ん中に据え付けられたプロトGNランチャー。
どう見ても両腕部が届かない位置にマウントされているそれを見てネーナが疑問を呈したが、リンダはすぐさま回答する。
発生器とランチャーの間はサブアームを展開できるユニットらしきもので接続されており、これでランチャーを発射できる、という目算であるらしい。
「知らねえ装備ばっかポンポン出てきて……いったいどれだけ試作してんだ」
「金あるうちになんでも試したからなあ」
イアンとユリウスが見つめる先の小さいモニターに、その拝借先は出ている。
プロトGNランチャーの方はGNY-001・ガンダムアストレアが試験用として使用したもの。ヴァーチェのGNバズーカのプロトタイプであり、粒子制御に難があったが現在では改善されており、なおかつステルスフィールドを制御することから粒子制御に長けるスローネドライであれば使用に堪え得るだろう、との判断で搭載される火力増強案。
サブアームユニットの方はGNデヴァイズパックを分割し、片方のみをステルスフィールド発生器の真ん中のすき間へ挟み込むように搭載した代物。本来エクシア・デュナメス両機にダブルドライヴの試験用として追加装備を操るために装備されるものであり、今回も追加装備を使うために装着されるとなれば本懐を果たしていると言えなくもないのかもしれない。
「
「ヘビーウェポンってとこだな。スローネドライの、
高機動型というより、重武装型。
ガンダムスローネドライGNHW。それが強化形態の機体コード、ということになるようだった。
「じゃあ、俺のは?」
「ネフィリムガスト……っつうのもな。長距離狙撃はできんし」
「……いやなんでもいいよ別に」
「
「え、ええ……? 俺ぇ……?」
ユリウスには名前にそれほどこだわりはない。ガンダムと付かない限りは。
故にイアンからまるで晩飯の献立を考えるように機体コードを考えろと言われても、非常に困る。
そうして数秒考え、どうにかこうにか絞り出したのが……。
「ネフィリム……足して……? プラス……いや、いいよもうプラスで」
「味気ねえなあ」
「出されたもんに文句言うんじゃねえよ! てめーで考えてねえんだからさあ」
「そ、そうか……」
ややキレ始めたユリウスを前に"これ以上刺激するのは危ない"と判断したイアンはそこで退いたので、機体コードはネフィリムプラス、ということで決定されるのだった。半ば無理やりに。
「出来はいつごろになんのかさ」
「ひと月要るな。トレミーの方の作業もあるもんでな」
元々既存の装備を多用しての改修になるが故の、ひと月という短さ。その短さが、ユリウスにとってはいいのか悪いのか、という感情を抱かせる。
パパらしいことをもう少しここでやってやるのならばひと月は短いし、かと言って2~3ヶ月となると、また地球に降りる頃には予定日が来る可能性が高くて、そうなってしまえば、子供が産まれるとこにさえ立ち会えなくなる。
任務と比べれば私情にしかすぎないが、お産にすらいない奴に子供がついてくるのか、と言われて何も言えなくなるような男になりたくはない。
「……ひと月か」
「ま、色々やることやれ」
そんな心を見透かすようにイアンが肩を叩いてくるもので、ユリウスは今やこの男と同じ穴のムジナであるということを全身で理解するのであった。
……男二人のやり取りを尻目にネーナとリンダは何をしているのかというと、ネーナの方が食い入るようにスローネドライGNHWの図面を見始めていて、ようやく口を開いた。
「これさ」
「うん?」
「……アインと、ツヴァイと、ドライのごちゃ混ぜみたいだよね」
……言葉を聞いて、ネーナが大人しかった理由をこの場の誰もが知るところとなる。
「ランチャーと、実体剣とがドライに……ってなればか」
砲戦仕様のアインと、近接戦仕様のツヴァイの特性が、遺されしただ1機のガンダムスローネであるドライに宿る。
言われてみれば、そうなっている。同じく遺されしたった一人のトリニティである、ネーナがそのような感慨を抱いてしまうのもむべなるかな、という強化プランと言えなくもない。
「そういう風にしたの。ね、あなた」
「……余計なお世話だったかもしれんが……」
……その思考の一瞬後に、リンダとイアンの会話でその意図は確定する。
「ワシが思って、な。散っていった奴らの意思を継いで戦うってんなら、こういう風になってもいいかもな、って」
ヨハン・トリニティと、ミハエル・トリニティは、今でもネーナの心の中にいる。別れを告げた今でも、ネーナの軸となっている。
裏を返せばこれは心の傷を抉るような行為だったかもしれないが、イアンが自分の立場から何かをしてやりたいと思った故の行為である。
弟子のシェリリンに娘のミレイナと、年頃の娘と関わることは比較的多い間柄であるが、ネーナのようなあまり素直でないタイプはどう接してやればいいものか、と思った結果が、この不器用な優しさであった。
しかし、正直言ってユリウスはこの行いに気が気でないところがある。
あれから半年ほど経つが、されどまだ半年。ネーナがそれほどまでに乗り切ることができたかと言われれば、疑問が残る期間でもある。
粋と無粋は鏡映し。こういう時期にやっていいことか、と思い……。
「……じっちゃんもたまには気ィ利くじゃん」
「じッ……!」
……強がりつつも口角を上げてそう言って見せるネーナで、それが杞憂であることがわかった。
「あたし一人で"トリニティ"なら、こういうことやんないとね。じゃ、次もそういう感じでよろしくぅ」
そう言ってネーナは説明もそこそこに、モニタールームを後にしようとする。
残されたユリウスは、また彼女のタフさを見誤っていたなと反省し、イアンはそういう歳だししゃあねえだろうと自分を納得させる試みをする。
ドアが開いて、その手前で振り返ったネーナはリンダに向けて一言。
「リンダさんの兄貴は任せといて! あたしが絶対守ったげるからね」
ここに来てからは見せることがなかったピースサインとウィンクで、小生意気な女の子を演じてみせた。
「……言うわ~あいつよぉ」
「ふふ。元気そうで嬉しいでしょ?」
腕の程もまだまだのくせに妹の前で言ってくれる、という思いと、これからもあいつは自分の選んだ道を歩いていける、という思いがユリウスの内に同居して。
「まあ、ね」
妹の言葉で、ユリウスは後者を肯定した。
「観念しとけって。まだ刺してくる奴も控えてんだから」
「あ、ああ……?」
「……俺の子供生まれたら50歳差以上とかだぞ。ジジイだってアンタ」
「ぐッ……!!」
それはそれとして、義弟にはきっちりとトドメを刺しておくのだった。
後方で気配を消していた友人であるモレノがふっと笑った。
・
・
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二人の結んだ誓いを真に形にするために、それから程なくして式はしめやかに執り行われた。
仲人を義兄であるイアンが務め、夫となるユリウス、妻となるリーサ、二人が歩み出る。
秘密組織のメンバーである彼らにチャペルウェディングのような結婚の場所は選べないし、手伝いがあったとはいえそれを盛大にできるような飾り立ても十分ではない。参列者も礼服など持っていない者がほとんどである。
だが、リーサの纏うその純白だけはユリウスが最高の物を用意した。
麗しきその姿は、羨望の目を向ける者、未来に思いを馳せる者、過去を振り返る者、纏う者と併せてそれぞれに様々な思いを抱かせるにふさわしいものだった。
「……どうされました?」
「はン。べっつにぃ〜〜〜〜」
同じく参列者である、ネーナと留美にも同様である。
成り行き上隣席に座ることとなった二人と紅龍。頬杖をついて式を面白くなさそうに見守るネーナに、留美は問いかける。
「当てて差し上げましょうか? パパが取られて寂しいとか」
「ぶは!! ぱ、パパって!!」
そんなんなわけ……と噴き出しつつ留美のトンチンカンな推測に反論しようとするネーナであったが、意識の外にあったその呼び方は、彼女の悪戯心をふとくすぐった。
あいつがこんな美少女捕まえてパパと呼ばせる男だったら、どうなっちゃうのか、と。
「あたしの"パパ"呼びは家庭ぶっ壊れるんじゃない?」
「可能性はありそうですね」
「"パぁパ〜♪またお小遣いちょ~だい?"ってさ」
「ふふ……」
三十路の男と年頃の美少女の組み合わせというのは時に人に卑しい想像をさせるもので、腕にでも絡みついてそんなような甘ったるい声を横から出してやれば間違いないだろう。
思いついたそれを、ネーナはすぐさま心の中の仕返しリストにしまい込む。
……だが、それで終わる話をさらに広げる者がそこにいた。
「なかなかいいカードをお持ちですわね。私は渡すほうですからそれは切れませんし」
「はい?」
「彼をモノにするための手段ということですよ」
「……はい……?」
微笑を湛えてそう言ってのける留美は、ネーナを一瞬で呆気にとった。
あまりにも唐突で、言っている意味がわからなかった。だが、すぐ後にわかってしまえばその言葉を無視することもできなかった。
「……ちょ……冗談でしょ? 式でする話?」
「私、ジョークは苦手でして」
「いやいや……だから、これからさあ、人のもんってことよ? あのおばさんのさあ」
「あら。つまらないこと気になさるんですのね」
それを"つまらないこと"と言ってのけるのであれば、この式も、
自分の中の常識からあまりに外れた事をつらつらと続けていく留美に、元々それほど少ないネーナのキャパシティがどんどん圧迫されていく。
「生きている限り戦いは終わりませんのよ? 欲しいものは戦って勝ち取るべきです、私はこの間から急にあの方が欲しくなりまして」
「……あ、アンタさぁ。言ってること終わってない?」
「今誰のモノかなど些細なことです。貴女もそうしてはいかが?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛もう喋んな! 頭おかしくなる!」
ネーナ・トリニティは、留美に対する認識を変えた。
ムカつく裏切り者の女から、マジに頭おかしい終わってる女といった具合に。
垂れ流されるネーナの感性で云う所の"激ヤバスピーチ"に己の"キャパ"を大きく超えたネーナは、耳を塞ぎながら逃げるように席を立った。どこへ向かうと言えば、それなりに波長の合うクリスの方へだった。
「まーたケンカしてんの」
「アイツヤバいってマジでぇ!」
「……ずっと喧嘩腰だからよくないんじゃ」
「あァ!? ケンカ売ってんのはあっちだっ……んぐぐ!」
「はいはい~式の邪魔んなってるよ~」
主張が少なめのフェルトに対してガンガンに強く出るネーナと、余裕を持ってネーナを宥めすかすクリス。こういうやり取りも、珍しいものではなくなってきた。
ネーナ自身にもここに馴染んできているという自覚はある。それを周囲も好ましく思っているからこそ、式の最中に姦しく騒ぐ様もそのままにして見守ってやっているのだった。
そして、取り残された当の留美と、付き人である紅龍は。
「先の言葉……本気ですか?」
「それなりにね」
「家格を考えれば相応しい者を探せると思いますが……」
「嫌ね。そういうのじゃないことぐらい、わかるでしょ?」
紅龍は、先の言葉の真意を質す。
兄として、一人の家族として。
「好いているのか、あの男を」
留美は、それに返す。
妹として、情熱を燃やす一人の女として。
「ええ。いけない?」
目と目を合わせた対話の末に現れた、ごまかしも揺らぎもない言葉。
今までの留美が持ち合わせていなかった、確かな意思。
「……わかりました」
それがわかるからこそ、紅龍はそれ以上踏み込めなかった。
留美はそれを聞いて、満面に笑顔を作る。
重婚、男妾、寵姫、二奶。
こぶつき男一人など、手籠めにする方法はいくらでも思いつく。
まして、誰よりも輝くと自負するこの美貌を持てる我が身であれば。
(私は、欲しいものを取り零したことなどないの)
貴方が欲しい。貴方に焦がれている。
灰に塗れた私の世界を銃火で吹き飛ばし、連れ出してくれた貴方が愛しい。
運命とは何かと問うのであれば、貴方を想うときこの胸の中にある熱が、これがそうだ。
……誰のモノだとしても関係がない。
でも今は、先に始めたいことが多すぎる。だから今は、今だけは。
この茶番に、付き合ってあげましょう――――。
……その心中を誰にも開くことなく、留美は口づけを交わす二人に惜しみない拍手を送った。
CBNGN[GN]-001P ネフィリムプラス
キュリオスガストの脚部大型GNバーニアユニット及びガンダムアルテミーのGNビットを転用したネフィリムの強化プラン。
ソレスタルビーイングの置かれた厳しい状況から"その場であるものでどうにかする"という趣が強く、調整を受けているとはいえキュリオス用に開発された全ガンダム中最高の推力をもたらすユニットを専用でない機体へ取りつけたために、機体とパイロットへの負荷はかなり強まった。
パイロットであるユリウスのX領域から放たれる脳波をヘルメット及び機体から拾い上げ、GNビットと同調させることによりビットと本体との連携攻撃が可能となっている。
GNW-003GNHW ガンダムスローネドライGNHW
トゥルブレンツユニットのコンテナ部を粒子タンクに換えたものを装備し、エクシアのGNブレイド及びガンダムアストレアのプロトGNランチャーを転用したガンダムスローネドライの強化プラン。
従来通り3機による連携が見込めない状況下ゆえのGNステルスフィールドをはじめとした戦闘支援能力の陳腐化、補給が必要になる擬似太陽炉の運用に関する不安を懸念し、粒子貯蔵量と直接的な攻撃力の増強を図った。
GNブレイドはコンテナ横のマウントラッチに、プロトGNランチャーは追加された背部のサブアームユニットによって保持される。
ドライへアインの長距離砲撃能力、ツヴァイの近接戦闘能力を付加するかのようなコンセプトであり、その思想は擬似太陽炉によるツインドライヴを用いた新型スローネにも引き継がれる。
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