ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる 作:トン川キン児
「あ、貴方……!!」
ラグランジュ3に到着したて、出迎えたスメラギとユリウスが指輪のついた同じデザインのネックレスをしていることを見つけ、しかもスメラギの腹部が膨らんでいるとなれば、それが何を意味するかを完全に察したシャルの反応である。
その場にいるエコも、シェリリンも、874も同様に何が起きたかは理解した。
「アンタ! オレらが大変な時に何やって……まあ、口挟むのもアレだけどさ……!」
「そんな甲斐性あったんだ……」
『おめでとうございます』
「……エージェントはスカヘタ*1かと思ってましたが……結構、直球だったんですかね」
余りにも衝撃的だったのかこちらを向いたままのシャルが言う
「合流を歓迎します。チームフェレシュテ……心強いです。これからもよろしくお願いします」
「……はい……できれば、こんな形で交わってほしくはない道でしたが」
チームプトレマイオスと、チームフェレシュテ。
それぞれの代表者たるスメラギとシャルが握手を交わす横で、二つのチーム共通の知己であるイアンとリンダが、まるで実の娘かのようにシェリリンを迎え入れる。
「シェリリン! ワシの弟子! 生きてたなあ! 立派にメカ屋やってたか!? ん!?」
「ちょっとお師匠! レディの髪の毛なんですけど」
「ダメよあなた」
「ぉ、おお、すまんすまん……でもなあ、感動の再会だぞ」
「リンダさんがダメっつったらダメよ。聞き分けのないジジイはや~ね」
「ぬぐ……!」
本題まで黙っていようと思っていたユリウスだったが、女性陣に針のむしろが如きの義弟のピンチをさらにくすぐりたくなる欲求に駆られ、自分もちくちくと追加を刺していく。
「ミレイナにもやってよく言われるのにこれだぞ。こいつはボケが来てるから、シェリリンは一本立ちしないとな」
「そうみたいだしなあ。そうする!」
「お前もなあ……!」
「おっと」
どう言われようと年長で男であるからには大人げなく女子供に睨みをきかせるわけにはいかないイアンだったが、気心知れたユリウスに対しては別であるからしてそちらに鋭い眼差しを向ける。
面白半分で藪をつついたか、とユリウスが目を逸らしたところで、スメラギが大きく切り出す。
「身内の親睦を深めるのは後でもできるから、今はブリーフィングに向けて準備して。一度体を休めて、30分後にもう一度集合してもらいます。フェレシュテの方々も、それでいいですか」
「わかりました。指示に従います」
大人数でたむろするには廊下は狭いし、話し合いには適当でもない。各々が散る中、ユリウスは時間までに途中にしていた機体調整を進めんとして向かう。
同じ方向へ向かう人間は、ロックオン・ストラトス改めただのニールと、ティエリアがいる。
「あれが別働隊さん達かい。トルペードを使った時にゃ俺も世話になったって聞くが」
「そういうことになる。世話になった奴はいないがな」
「フォン・スパーク……唯一の
「場合によっては、アストレアⅡにアレの相手を任せることにもなる。やり口はよく教えてやる」
「そのつもりではある。僕がロックオンの太陽炉まで預かっているのだから、ヴェーダは必ず奪還する。しかし」
ティエリアはユリウスの方へと向き直って、言ってのける。
「貴方は彼らをどう思っている。信用に足ると思えるのか」
「……どういう話だ?」
「ヒクサー・フェルミという男を僕は知っている。過去にヴァーチェのオプションをテストした際、僕の相手をした」
……フェレシュテの謎のマイスターの事を知る者がこれほど近くにいたなどとは露ほども思わなかったユリウスは、思わず目をかっ開いた。
「彼は不幸な事故に巻き込まれた。僕にも重大な過失があった……それを置いても、思えばとても生きていられるような傷では済まない状態だったというのに、ヴェーダによる指揮の医療措置で蘇ったのように無事だったと言う」
「そりゃあ……」
「恐らく彼も僕と同じように、ヴェーダの代行を行うために生み出された存在。でなければそのようなことはできない。そして、そのヴェーダは敵の手に落ちている……」
「……そういう奴にキュリオスの太陽炉を渡す程のことをしてる組織ってのは、イノベイターとやらの息がかかっちゃいねえかの保証がないってことだよな」
ティエリアの推論、ロックオンの結論。
どちらも正しく、疑念は尤もで自分も等しく抱いたもの。だからこそ、ユリウスは一瞬黙りこんでしまう。
故に、これまでフェレシュテへと感じた自分の肌の感覚をぶつけるしかなかった。
「フォン・スパークとヒクサー・フェルミはともかく、あの組織のメンバーは確かに戦争根絶への意思を持ってる。それだけは俺にもわかるが、それだけしかわからないとも言う……な」
フェレシュテが敵に通じていなかったとしても、利用されていない証拠を見つけることはできない。そうした自信の無さが口ぶりにも表れるユリウスだった、が。
「裏切ったんならもっかい出てきた時にぶっ潰して太陽炉奪う! これでカンペキでしょ」
後からやってきてなんともまあ思い切りが良いとか物騒だとかな言い草をする少女、ネーナが追い付いてきたことで何やら雰囲気が変わる。
「……君はもっと時流を読むことを身に着けた方がいい」
「はあ!? 真面目に言ってんのよ! 別に裏切っちゃいない可能性だってあんでしょうが」
「お嬢ちゃん、変わんねえなあ……」
ネーナの言う事も尤もではある、と思わされるユリウス。
本隊であるチームプトレマイオスとの連絡が断たれ、ソレスタルビーイング存続の是非すら不明の状態で
こちらとの合流の機会がそれからすぐに生まれるなどとは知らなかったならば。フェレシュテには、ヒクサー・フェルミを使う以外に方法がない。
それしかできなかったからやってしまったのであって、決断に別の勢力からの作為はない。それだけのことである可能性も非常に高いのだ。
ネーナが考えなしに適当に思いついた事を喋っている可能性も同様に高い。
だが、どこか楽観的なその姿が今の状況には必要なのかもしれないとユリウスには思えた……。
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地球とラグランジュ3を往還し、フェレシュテが地上に持ち去った資材群を再び宇宙の拠点へ集積する。リィアンとトランザムを用い高速でそれが可能だとしても、周囲に露見する恐れのない安全なタイミングと積載量の問題は確実なボトルネックとなった。
フェレシュテの人員がラグランジュ3へ合流したのは、その最後の往還と同時にようやくのことである。
作業の終了までに数ヶ月の時を必要とした。その数ヶ月の間に、事態は、フォン・スパークは確実に動き出していた。
ヒクサー・フェルミからの暗号通信と、国連内部から王商会へのルートという二つの情報が確定させた事実。
ラグランジュ1の国連航宙艦ファクトリーエリアが、形跡から見て何者かによる隕石群を用いた大質量攻撃を受け、少なくない損害を出し撤退した模様。
推進系を中心として殆どの資材を持ち去られた形跡があり、襲撃者の狙いはそこにあったであろうと予測される。
捜索及び抹殺対象であるコードA
「先日の彼によるフェレシュテへの報告を事実と仮定するなら、戦術予報士としての私はこれから起こる事態を確信できたわ。恐らく、完全に」
ブリーフィングを取り仕切るスメラギの言葉。足元の大型モニターをぐるりと囲うようにして、プトレマイオスとフェレシュテ、両チームの主要メンバーが居並んでおり、みな一様に彼女の言葉を固唾を飲んで聞き入っている。
そしてモニターに映し出されているのは、月軌道およびオービタルリング。
「フォン・スパークの目的は、航宙艦規模の大型推進機を用いて加速した大質量アステロイドによる攻撃。恐らくは軌道エレベーターすら破壊可能な規模のものを用いる……その目標は、地球圏」
「まさか!! フォンがそんな無軌道な破壊をするはず……」
「でも……話聞いてるとそれくらいやりそうな人に聞こえるんですケド……」
クリスのその言葉に、声を荒げたシャルは押し黙って俯く。隣にいるシェリリンが慰めるようにその手を握る。
どうもこのシャル・アクスティカという人間は、こういう冷静でいられない所を見るにフォン・スパークに何らかの個人的な情を抱いているのは確からしいと、チームプトレマイオス全員が察する所であった。
とはいえ、同じような感情によって設立当初からは全く異なる連帯を構築したチームプトレマイオスにとっても、フェレシュテの面々がそれぞれ結びつきを強めているというのは不思議ではないし、それを問題にするような気もなかった。
一瞬の沈黙の後、スメラギは話を続けていく。
「確かに、彼は軌道エレベーターや地球の軍事施設をこれによって直接破壊することはないでしょうね。そんなやり方は彼の目的にそぐわない」
「彼の目的はやはりヴェーダの奪取。ならば彼は、ヴェーダを見つけるために何をすると?」
ティエリアからの問いに、スメラギは無言で答えをモニターに示し始める。
軌道エレベーター及び地球上の施設へ向かっているアステロイドの予測進路は、しかしその中途、高軌道ステーションに接近する付近において途絶える。
代わりにその地点に現れたのは、爆砕されたアステロイドが形成する長大なデブリベルトを表すゾーン。
形成地点はちょうど地球の昼面と相対する。即ち――――。
「ちょっと待て。こいつぁ……!」
極めて微細に粉砕されたデブリベルトは発電衛星を破壊するのみならず、滞留しオービタルリングへ差し込む太陽光を遮断。これにより、凡そ7割の発電衛星群が機能不全に陥る。
オービタルリング外周の発電衛星による太陽光発電。そこからもたらされる莫大なエネルギー量の送電によって支えられる現代の人類社会は、この事態が終息を見るまでの間、完全に麻痺するのである。
……"数十億人がその影響を直接的に受け、数十万の死者が出る可能性もある"。
数ヶ月前のスメラギの言葉を、ユリウスは反芻する。
実際にこれが行われるのであれば、その言葉には少しの嘘偽りもない……。
「これがヴェーダの位置を特定するために、彼がやること」
「……エネルギーテロ……!」
「人類史上唯一の量子型演算処理システム・ヴェーダ……あれだけのシステムなら当然、莫大な量の電力供給を絶えず受けなければ稼働を続けられないわ」
声を漏らしたフェルトと同じ戦慄が、この場にいる全員に走っている。
「敵……恐らくイノベイターと呼ばれる勢力はこの状況下に置かれても、必ずヴェーダへの送電を優先する。だからこうしてしまえば、不自然に供給が優先される地点を辿るだけでいい」
これほどのデブリベルトが形成されてしまえば、再編されつつある国連宇宙軍はその掃海及び別方向からの攻撃阻止のために全戦力を向けざるを得ず、それ故に追手も来させようがない。まさに悪魔的な一手。
そしてその間に、送電の停止した地球圏では多くの者が死に絶える。
最先端医療機器に繋がれなければ、その命を保てない者。
インフラの停止、その中で移送できず死ぬ者。
継続中の紛争への影響。僻地における居住区の孤立。市街地における暴動。
人類から太陽を奪うその一撃がもたらす災禍は、余りにも計り知れない。
「……黙って見てんのかい、コイツを」
腕組みのままスメラギに視線だけを向けたラッセが、声を尖らせてそう問う。
「現時点でヴェーダを奪取しようとするなら、可能性はこれしかない。送電の妨害っていうのは人類社会に与えるダメージを考えて可能性から排除していたけど、私でなく彼ならば、できてしまうんでしょうね」
「だからってこいつを見過ごしちゃあ、加担してるようなもんじゃねえのか?」
「……このテロが起きるとわかってんなら、俺たちは武力介入をすべきなのかどうか、だ」
作戦の効果を最大にするために、フォンの攻撃は必ず地球の昼面との一直線上にて行われる。即ち、攻撃点の特定は極めて容易い。
今回想定されている規模の大質量を持つアステロイドと言えど、現状の装備でもリィアン搭載の大型GNキャノンや、スローネドライGNHWのプロトGNランチャー等であれば、質量バランスを変え軌道を変化させる程度のことはできる。
彼の計画を阻止することは、現実的に可能である。
だからこそラッセとロックオンが言うように、意見は分かれる。
ソレスタルビーイングとは紛争根絶を掲げる組織なれば、この恐るべき災厄を見逃し、それでもヴェーダを奪還しに行くべきなのか。
「ヴェーダの奪還は最優先目標。あれがイノベイターの手に陥ちている状況下で、私たちソレスタルビーイングが紛争根絶を成し得ることは決してないわ」
「僕も同じ意見だ。ヴェーダを手中に収めるためにこれまでの謀略を厭わなかった勢力を野放しにおくようなら、いずれフォン・スパーク以上の行為を許しかねない」
「ここでヴェーダを必ず奪い返す。ソレスタルビーイングを代表した私の決断です」
ティエリアも同調する、果断な、ともすれば非情なスメラギの決定。
普通なら反発を生みかねないそれは、しかしスメラギ・李・ノリエガという、これまで折れる事無くチームを導いてきた者の力強いリーダーシップによって有無を言わさず周囲を納得させた。
「世界の大迷惑者ってのは、今までだって同じですもんねぇ」
エコがおどけたように言って見せる横で、シャル・アクスティカという、もう一つのチームの管理官という曲がりなりにも一人の統率者としての働きをしてみせていた人間は確信を得る。
器が違う。
ヴェーダなき今のソレスタルビーイング、羅針盤なき航海が如き今の状態の組織を牽引していける実力は、やはり実働部隊の長であった彼女にしか宿っていない。
事実、こうしてすぐさまにフェレシュテの面々も納得の上で彼女に従える……。
「ミッションプランの方針はこの段階でただ一つ。フォン・スパークのアクションに乗じて最短最速でヴェーダ所在地へ強襲をかける。アストレアⅡ、ネフィリム、スローネドライの3機による電撃作戦」
スメラギは目配せをする。最も信ずるただ一人の相手に。
「一撃で決めてちょうだい。ガンダムマイスター」
「……了解した」
ユリウスは応える。ガンダムマイスター、ユリウス・レイヴォネンとして。
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