ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる   作:トン川キン児

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I,s

「ユニオン領において大規模停電を観測! "タワー"の太陽光発電衛星、著しく稼働率が低下」

 

 南アメリカ・アマゾン川上流より伸びる軌道エレベーター、"タワー"。そして世界を新たなステージへと進めた、そこから伸びる太陽光発電衛星。

 ユニオンにおけるエネルギーのほぼ全てを賄う存在、即ち心臓とも呼べるそれが今、一人のテロリストによる犯行によって拍動を著しく弱めた。

 その者の名はフォン・スパーク。

 後の世に名が知らしめられていれば、この凶行により人類史上最大のテロを行った個人として周知されたであろう男である……。

 

「始めたわね。クリス、お願い」

「もう済んでるんで! モニターに回します」

「流石」

 

 彼の行動を予測し、その真の目的へと先回りをしようとする者たちもある。

 ソレスタルビーイングはこの騒動に乗じ、約一年の時を経て、同じく後の世には知られぬ一つの作戦行動を起こす。

 

 スメラギの指示はいち早く終えられる。

 組織への加入前にはネットワークにおいてプロをも凌駕する神出鬼没のクラッカーとして名を馳せたクリスティナ・シエラにとっては、遠く離れたラグランジュ3からでもリアルタイム下での太陽光発電送電システムの電力配置状況をハックすることなど、ヴェーダがなくとも手慰みにもならない。

 電力供給が定量に満たぬこの状況下で、最優先に供給を受けているポイント。恐らくはそこに存在するのが、ヴェーダの本体。

 そして、その位置とは……。

 

「座標特定……月面、北緯27°、東経149°付近です」

「経度90を超える……月の裏側、モスクワの海。フェルト、マイスター達に国連軍の動向の報告を要請。様式は緊急暗号通信で」

「了解」

 

 スメラギとしても、これで戦力を差し向けるべきポイントは決まった。

 問題となるのは、そこに配置される障害の程がわからない事ではあるが……。

 

「天柱及びラ・トゥール宙域において連合艦隊発進、恐らくは同時に接近するアステロイド群への対処のためとのこと。これで……」

「タワーでもアステロイド掃海に釘付け。邪魔は入らないってわけですね!」

「ガンダムマイスターへ通達。リィアン、外壁部迷彩被膜解除。ポイントに向け発進」

 

 地球の昼面を追いかけるようにして迷彩を展開しつつ巡行させていたリィアンには、現在のソレスタルビーイングの全戦力と言っても過言ではないリソースが詰め込まれている。

 CBS-70-001/2・強襲用コンテナ改「リィアン」のMS収容可能数は2機に限られるため、天面に露天係留されたGNDY-0000/XNP・ガンダムザンアストレアⅡと、ガンダムマイスター、ティエリア・アーデ。

 GNW-003GNHW・ガンダムスローネドライGNHWと、ネーナ・トリニティ。

 CBNGN[GN]-001P・ネフィリムプラスと、マグナス・アルハンゲル。

 GN-001・ガンダムエクシアと刹那・F・セイエイについてはコンタクトが不可能な状況にあるため戦力として換算できないため、擬似太陽炉も含めてソレスタルビーイングが現在自由に使用することができる5基の太陽炉のうち4基が、この作戦に投入されている。

 文字通りのオールイン。リスクは極大、リターンも最大。

 このような作戦が取れたのも、ひとえにこのよすがで自分が強くなったお陰なのだろうと、スメラギ(リーサ)は自らの胎に宿る命をそっと制服の上から撫でた。

 

「ヴェーダ奪還作戦、ミッション・スタート」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「脚には自信のある船とは思うが……ΔVの誤差がこれでも向こうに勝てるかな」

「エウクレイデスがどっから動き出すか次第っすけど、こっちの方が快速っすよ!」

 

 ユリウスに問われ、本作戦にあたりリィアンの操舵士を一時的に任じられたリヒティがそう判断する。

 スペースドックとしての役割を持つが故にプトレマイオスよりもさらに大型、かつファクトリー艦として移動する製造施設である以上、それらの工作機が積載されることによって悪化する推力重量比はリィアンはおろかプトレマイオスを遥かに下回る。

 多くの予測パターンにおいても順当にいけばこちらが先に目的地へと到達することができる公算は高い。しかし、向こうより先に到達するという事は、待ち受けている敵とも先に接触することをも意味する。

 そうなれば、実力行使である。

 

「俺たちが出ればコンデンサーだけでしか動けないんだからな。色気を出すんじゃないぞ」

「正規の操舵士に砲撃手、狙撃手まで乗ってんだ。無駄弾は撃たねえよ」

「こちとらリハビリ戦だけどな」

 

 本来搭乗するべき母艦のないラッセもまた砲撃手として同乗し、かつてロックオン・ストラトスであった、ニール・ディランディもまたその役割を変えてここにいる。

 利き目と引き金を引く指を失くしてもなお、自動砲撃の大雑把な狙いよりは自らの方がマシだと言い張り、それを証明して銃座に座った。

 その覚悟の程に、ユリウスは敬服するばかりであった。

 

「コクピットに移る。後は頼む」

「そっちこそ頼んます!」

 

 激励を受けて格納庫へと移り、ネフィリムのコクピットへと飛び込むユリウス。そこには既に、自前のパイロットスーツに身を包んだ留美の姿がある。

 いつの間に作らせたのやら、チームトリニティの用いていたタイプのコピー品であろう紫を基調としたカラーのものである。

 

「確認する。留美、シャッフルパターンはひとまず20通り。覚えたか」

「当然ですことよ」

「ティエリア、ネーナ。フォーメーションの終点は基本的にドライで固定。ただ粒子残量には常に気を配れ、決定力だぞ」

「らーじゃ」

「撤退の判断は俺が下す、できなければ次点はティエリアだ。純正太陽炉を失うことだけは絶対に避ける」

「僕にそういう判断を下させないよう立ち回っていただきたいな」

「言うな、こいつ……」

 

 各員は既に己の搭乗機で待機中。モニター越しに小さなブリーフィングを終えて、ふう、と息をついたのも束の間、警報がけたたましく鳴り響く。

 

『Eセンサーに反応、敵MS……1? 1機っす! 敵は1機』

『なんだァ……? 奴さんナメてんのか。それとも意外にウチ同様懐が厳しいとか……?』

 

 どうにも信じがたいという感情がありありと伝わるリヒティの報告。呆れ混じりに困惑するラッセの言葉。

 だがユリウスは緊張を保ったままである。なぜならば、敵が本気で来たのならばこの程度の物量では済まないということを、()()()()()この中で唯一承知している人間であるからだ。

 イノベイターという勢力は、本気になれば無数の擬似太陽炉と意のままに操ることのできるパイロットを量産し、それらを特攻用MSなどという馬鹿げたものに載せて宙域を埋め尽くすほどに撃ち出せる。そういうパワープレイすら可能にする無法なる存在。

 無論、()()()この時期においては擬似太陽炉の量産プロセスが確立していないか、あるいは量産工程の短縮化がまだ図られていないか等の要因によって投射できる戦力が少ない、という可能性も無きにしも非ずだが、そういう楽観は排除するようユリウスは努めている。

 太陽炉搭載型には光学迷彩機能が存在する。こちらが先程までそうしていたように、機体を事前に防空戦力として配置し伏兵として運用するということも考えられる。

 

 その上で、もし本気で単騎でこちらを相手取ろうとしているのであれば、そんな存在は恐らくたったひとりしかいない。

感じる。
感じる。
 感じる。

 この直感が正しいと、本能が告げている。

 

「……あの時の赤いMSですか?」

「ああ……全機発進。MSで突破する!」

 

 リィアンからの係留が外され、ガンダムザンアストレアⅡが一足先に。

 後部コンテナハッチが解放。リグから解き放たれ、ガンダムスローネドライGNHW、並びにネフィリムプラスが発進する。

 接近する未知の機影を退け、ヴェーダを奪還するために。

 

『データと照合する機体なし……こいつ、マグナスさんの交戦した奴と違うっすよ!』

『ぼっ立ちとはいよいよナメてんな。こっちの方が射程は長ぇんだぞ……!』

「…………!? こ、こいつ……」

 

 しかし、その覚悟すら一瞬脇に置くほどに。リィアンから捉えられ共有された望遠画像に写っていたその存在に、ユリウスは驚愕する。

 恐らく位置を教えてしまうだけに留まるであろう。GNキャノンによる狙撃を制止することすら忘れてしまった。

 "なぜこんな時期に、こいつがここにいる"?

 "記憶が正しければ、こいつは"。

 ユリウスの想像通りに、未知の敵MSは狙撃の名手であるニールが狙いをつけるGNキャノンを、まるで楽しんでいるかのようにギリギリまで引き付けてひらり、ひらりとかわして見せる。

 スラスターを大きく吹かす回避機動を取らせることなく、最小限の姿勢制御程度で。

 その動きは間違いなく、この間の赤いネフィリムに乗っていたパイロットに相違ない。

 

 "こないだの相手も、こいつだったと?"

 ありえないはずだった。X領域が指し示す()()()()()という奇妙な感覚は、パスレル・メイラントを全身で確信させている。

 だと言うのに、目の前に迫りつつあるこの機体は。

 ……動揺を振り払うかのように、最も機動力のあるネフィリムプラスによって敵MSに肉薄せんとする。

 

「パターン11!」

「了……解ッ……!」

 

 相手が誰であろうと3対1という圧倒的不利には違いない。遠距離からビットを展開してはいたずらに撃墜され手数を減らすだけだと判断したユリウスは、機動力による翻弄にてフォーメーションを繋げ、その中にビットによる一時的な射線の増加を盛り込むことを企てる。

 無論、留美も別の思考をその中に用意する。未だ不慣れな加速Gを華奢な身体いっぱいに受けながらも、できるだけ強く指示されたパターン通りの思考を、X領域能力者であろう敵にぶつけんと企てる。

 

その小細工は飽きたよ
その小細工は飽きたよ
その小細工は飽きたよ

(や、やはりついてくる……!!)

 

 今度の敵のMSは、強化されたネフィリムプラスの機動力と並ぶか、或いは小回りを鑑みれば勝るほどの機動性。

 しかも敵は学習している。能力をより使いこなしている、と言ってもいいが、どちらが発した思考であるかまでをも見分けてくる。

 こちらがサーベルを抜き払い応戦しようとした一太刀を、敵機は背部バインダーを左腕部に集中した防御形態らしき状態へと変化し、強力なGNフィールドを纏うシールドにてそれを防ぎながら右手のサーベルを振りかぶる。

 

「やらせん! ……なっ!?」

 

 ――――と見せかけ、頭上から迫らんとしていたザンアストレアⅡのGNDバスターソード・分離形態による斬撃とつばぜり合う。信じがたい反応速度に、ティエリアは思わず驚愕の声を漏らす。

 ザンアストレアⅡの勢いをいなしつつ、防御形態のシールドをさらに突き出してネフィリムプラスをはね飛ばす。

 

「うっがっ!」

「ああ……っ!」

「こいつ! どんだけ避けんの!?」

 

 バインダーを背部へと戻し再び高い機動力を得る敵機。窮地のネフィリムから引き剥がすことを優先目的として連射される、低出力のドライのGNランチャーの火線にもまったく怯まずかわしつつ、吹き飛ばしたネフィリムに追いすがる。

 すれ違い様に振りかぶったつま先蹴りによって、ネフィリムが保持するGNビームサーベルをその手から叩き落す。

 

「さっき、確かに、通信が……!」

「どうなってる……!?」

『感じたままだよ。初めまして、ソレスタルビーイング……いや、僕もソレスタルビーイングだし、会うのは二度目の者もいるね』

 

 回避機動を取りつつの留美とユリウスの困惑の間、敵機からの通信で聞こえるその声は極めて尊大であり、自らを絶対者であると信じて疑わぬ何かだということがそれを聞いた誰にもわかった。

 ……当たっては欲しくなかったユリウスにとっての最悪の想像が、その一言一句から現実味を帯びて露わになり始める。

 これは、()()()()()()()()()()

 そして恐らくは今、世界で最強のパイロットとモビルスーツ。最強の敵。

 姿形が似ているというだけで判断を下しているユリウスは知る由もないが、それは彼が想像する最強の敵としてのガンダムの改造素体、原型とも言えるMS。

 彼の知る最強の形態とはかなりの性能差が開いているが、それでも第三世代ガンダムをゆうに超えるほどの恐るべき完成度を誇るガンダムに間違いなかった。

 

『そうとも、僕こそがイノベイター。そして……ふむ、どう名乗ったものか?』

 

『いや、そちらで判断してもらうとしようか。()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

『さて、僕の1.5(アイズ)ガンダムと感覚の最終調整に付き合ってもらおう。できなければ、ヴェーダを前に死ぬがいいさ』

 

 機体名、CB-001.5・1.5ガンダム。

 ユリウスの見立てる搭乗者は、リボンズ・アルマーク。

 イノベイターの首魁。紛れもない世界の黒幕……。




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