ガンダム00世界で留美やネーナやコーラサワーとイチャイチャしながら生きる 作:トン川キン児
「派手にやられちゃって、それにまた無茶もやったみたいだけど?」
「……見逃されて帰ってきたようなもんだから、返す言葉もない」
「……いいわ、やられて参ってるみたいだし生きて帰れたらよしとする」
アストレアⅡ、ネフィリム、スローネドライ。3機のガンダムと全ての太陽炉、そして人員を回収し、リィアンは満身創痍でラグランジュ3へどうにか帰還した。
道中にすれ違ったクリスからは"気張ってたけど、暗号通信が来るまで気が気じゃなかったのは私にだってわかりますよ"と忠告を受けていた
それはしかし、五度目になる戦いの後の帰還報告のどれよりも強く在るように見えた。
……前回は自分の企みを通すことでいっぱいいっぱいで、彼女の様子を伺っている暇もなかったということも一因ではある。
「……やっぱ……変わったよな」
「どの口で言ってんの。変えた人が」
チェーンに絡まる金の指輪を胸元から取り出し、スメラギは笑って見せつける。
「貴方がイオリアに望まれてない存在だろうと同じ。私たちは私たちのやり方をしましょ」
「俺たちがやる戦争根絶、か」
「おじいさんは何もしないって言い切ったんでしょう? じゃあ構っていられないわ。それを見たいならそうしないとね」
イオリア当人に対面し、その真意を明かされたという予想だにしていない衝撃的な事実も、既にここまで来ているスメラギにとってはその覚悟にさざなみを立てることもない些細な事柄に終わっている。
本当ならば長い酒浸りと失意を経て、逃げ場を断たれた上で戦いに連れ出されるほどのショック療法でようやく至ることができたはずの境地に、彼女は既に達している。
それどころか、自分のことすら引っ張り込んでくる。
自分の存在をあらん限りに肯定してくれる女がここにいる。
その事実が、ユリウスを気恥ずかしさと喜びで伏目がちにさせた。
「……嬉しいな。そういう事を言ってくれる嫁さんがいる」
「言葉だけじゃおだてと一緒よ~?」
「あ、ああ……」
そんなことを言われて何もできないのでは、男としての沽券に関わる――――。
言葉でなく行動で。咄嗟に思いついた返礼としてのボディランゲージは、丁度頭一つ分は下に来る彼女の髪へのキスだった。
「あの子、役に立ったって聞いたけど。やっぱりできちゃうのね」
口元を髪にうずめさせながら、スメラギは自分がユリウスにつけてよこした
留美が何かの役に立てばいいでは済まない程のことをやる可能性も考えてはいた。しかし、決め手にまでなるとは戦術予報士としても予想外だった。
「そうらしい……仕上がると手がつけられなくなるかも」
ユリウスも、それを肌で感じている。
頭角を表すパイロットというのはいつも実戦で急激に伸びていくものである、というのは既に幾度も経験している。数多の戦場を渡り歩いた歴戦の戦士としての直感が、それと同じものを留美にも発している。
こうなればいよいよ、兄・紅龍の語った言葉は真実味を帯びてくる。
「絆されたりしてなくて何よりだけど、考えなきゃダメね」
「そうみたいだな……話しとくのか、その辺」
「これは内密に。方針はもう少し待っといて」
「了解」
こういう考え方をできる人間で、こういう頼りがいのあるパートナーが傍にいる自分は、彼女に心を奪われたりなどはしない。そう言い聞かせるように、離れる前にユリウスは強く頭に鼻先をうずめた。
寄せ合った身体を離せば無重力下の慣性でどんどん距離は離れ、二人は数時間の別れとなる。
「……見てるよなあ? オイ?」
……研ぎ澄まされたユリウスの直感は、しばらく前から何者かの視線を既に捉えている。大っぴらな愛情表現が躊躇われたのも、その存在があったからである。
曲がり角を反対に行くはずだと思い込んで、顔だけを覗かせ逆方向で様子を窺っていたのは、クリスとフェルト、それとネーナの最近はよくつるむのを見る女子三人。
「うわ!! フツーにバレてるフツーにバレてる」
「見せもんじゃないんだからな! パートナー同士ってのは!」
真っ先に眼が合ったクリスが悲鳴を上げる。捕まえてどうこうをしたいとは思わなかったために、ユリウスからの沙汰は注意だけにとどまりその場を離れていった。
「わかった? 参考になんないっしょ? 可愛げないのよオヤジのエスパーなんて」
「うーん……ちょっとわかるかも。ヤだよねなんでも先回りされたら」
「……いや、覗いておいて……ひどい……」
"イケメンだの美少年だのならまだしも"というニュアンスを言外に含むネーナの言葉に僅かばかりの同意を示すクリス、加担しながらもあんまりな言い分に引くフェルト。
"後学のため"と語って二人を見ておきたいと言い出したクリスを、ユリウスの予定を知るネーナが連れてきた形になるが、事実がどうあれ、それはユリウスにとってはネーナ・トリニティという人間ひとりがこのチームに完全に馴染み始めた証ともとれるものである。
そういうところを見せてくれるのなら、背中から聞こえる散々な言い分も許せはする……。
ユリウスはふ、と小さく笑った。
・
・
・
「どうだった」
「どうもこうもだな……やってみてわかるが、砲手やるにも期待はあんま持てねえぜこりゃ」
「不慣れはあるだろうよ、そこは。銃座とスコープじゃあさ」
「ま、それもあるにはあるか」
乗機の様子を外観からはっきり見るために格納庫前のモニタールームに集結した面々。ティエリア・アーデは、思わずその光景から目を逸らす。
ユリウスが語らせた自らの過ちの代償。ロックオン・ストラトスを、ニール・ディランディにしてしまったという事実を目の当たりにし、幾度もの再確認を行わせられること。
本当は目を逸らしてはいけない己の罪であるということは重々承知の上だが、此度の作戦における己の不甲斐なさへの自責の念が、改めてそうさせてしまった。
「……僕の失態だ」
「バカ言うな。あれだけ戦力に差があっちゃあ厳しいってもんだろ」
口をついて出てしまったティエリアの悔恨を、胸の内を知ってか知らずかラッセが違う方向へ寄せようとした。
「ほんと……こっちがガンダム作ってる間、向こうはどんだけ作れるんすかね……」
敵の追撃を振り切りながらようやく逃げおおせたという感覚は、操縦士であったリヒティの方が強い。それ故に、わかっていてもこうした沈んだ言葉も出てくる。
「くっそぉ……! オレも機体がありゃあ少しぐらいの戦力には……!」
「パニくり癖のおっさんが役に立つわけないでしょ」
悔恨の念を露わにするエコに対して冷や水をぶっかけるような言葉を浴びせるのは、この場において誰もが見慣れない一人の少女。
エージェント・
フェレシュテの面々から過去の経緯上警戒して当たるべき存在と言われているものの、今の所は二人目の口の悪めな少女が増えた程度の物でそれほどの危険は感じない。
「だが、成果がなかったわけではないと僕も思う。イノベイター……敵の正体と目的を掴めたことには計り知れない意義がある。リボンズ・アルマークに対抗するために必ず役立つ」
それよりも遥かに問題であると思えるのが、この男の存在。
ヒクサー・フェルミ。フェレシュテが事情によって再選定したガンダムマイスターにして、今回の戦闘においても敵の証言によりハッキリした、自他共に認めるイノベイターの一員であるという。
だがそれは生物学上の話である。"イノベイド"としては敵と同じ存在であるが、同様の思想を持つ"イノベイター"というわけではない……と本人は語る。つまりはここにいるティエリアと同じ存在である……と言えなくもない。
「それに、こうしてオリジナルの太陽炉は全て回収できた」
「本当にキュリオスの太陽炉は手放すっていうのか」
「僕の任務にはもう必要がないし、その方が彼らと通じていないという証明にもなる」
今回ラグランジュ3に回収されたのは、チームが元々所有していた太陽炉のみではない。
ヒクサーの借り受けていたコンテナ船、それに元々積み込まれていたガンダムサダルスードType-Fに接続されていたキュリオスの太陽炉。
そしてフォンが放棄したガンダムアストレアType-F2に接続されていた、0ガンダムの太陽炉。
積載量の問題でアストレアの機体そのものは月面でGNキャノンによる抹消処理を行ったものの、これでソレスタルビーイングは、エクシアのものを除くオリジナルの太陽炉をようやく再び手中に収めることができたのである。
「反逆者A13を追うのが僕の
「自分の同型を抹殺したのも証明の一環か?」
「はぁ? アンタ……」
「……あれは僕の信念の問題の方が大きい。それも込みで僕は彼らの存在を許すことはできない」
険のある言葉にハヤナが突っかかろうとするところを抑え、険しい表情でヒクサーが語る。
先の戦いでヒクサーがフォンを抑えられなかった理由は、自分と完全同型の、加えて過去に殺された親友のイノベイドが駆る前世代型コピーのガンダムに動揺を狙った襲撃を受け、これを撃退していたからだという。サダルスードのガンカメラデータからもそれは証明されている。
信念があれば私怨もある。口ぶりでも行動においても、ヒクサーがイノベイドでありながらイノベイターという勢力を好ましく思っていないことはわかるし、
……だがそれら全てが嘘でなくとも、イノベイドという存在であるだけでリスクは付きまとう。
自分の知るこれからにおいて、あるイノベイドは己の意思とは全く関係ないまま利用され、ソレスタルビーイングの情報を常に流出させ続けるスパイとして扱われていた。
ティエリア・アーデがそうされないのは、恐らくはガンダムマイスターであるからということが一因。彼はヴェーダの端末でありながら、ヴェーダに存在しない人間として例外処理されるイノベイド。
加えて現状、彼は根本的にヴェーダによる拒絶でリンクすることすらできない。しかしそれは、逆説的にヴェーダから彼に対するリンクも拒絶され、リボンズの脳量子波によるヴェーダを経由した攻撃をも受けないということを意味するかもしれない。
事実、彼がいることで所在が割れるという事態に陥ったことは今においても一度もない。
第3世代ガンダムマイスターであったヒクサーも、同様の処理を受ける存在であることは確認済みではある。加えて相当な実力を併せ持つ優秀なパイロット。
だがどうやらティエリアと違い、未だにヴェーダへのリンクは可能なようである。
戦力として勘定したい思いはある。しかしリスクはなるべく避けたい……。
「……嫌な言い方をして悪い。こう手詰まりだとどうもな」
「気にしないでくれ。この状況では僕が疑われるのも当然だ」
ヒクサー自身フォンには並々ならぬ因縁と言うべきか、執着というべき何かがあるようで、スメラギとシャルに対しても今後における同様の任務の続行を進言してきた。
この場所の座標データも逐一削除処理を行っている以上、自ら拠点を離れてくれるというのであれば好都合ではある。
……この場にいるティエリアと同じような身の上の人間をそう扱うというのは、彼からの疑念を生みかねないリスクではあったが、その辺りは既に彼の方からも疑いをかけている以上ティエリア自身割り切っている。
以前にネーナが言いきった楽観は、幸運なことに非常に近いように感じる。この措置は備えだ。
「聞いてたキャラとも違うしな」
「キャラ? どういう」
「いやァ。おやっさんからアンタの昔話を聞いたもんで」
張りつめた場の空気を取り払おうと、ニールがわざとらしい軽妙な語り口で話題を切り出す。
……その話もユリウスは聞いていなかった。そういえば、とでも言いたげにしているリヒティも、恐らく同じ場で同様の話題を聞いていたのだろう。
「言ってたっすね。なんか? 女好きの軽いヤツで……」
ユリウスにとって覚えのあるそういう人間は、今は国連軍にいるであろう例の
リヒティの語り口にはどうも首を傾げざるを得ない、が……。
「ヴェーダにボインちゃんいっぱいいる方がみんなやる気出るとか言ったって」
「は?」
「男だらけだから言うっすけど……なんかトレミーのメンツ見てたら、それ言うだけ言って通ったんじゃないっすか? なぁ~んて……」
「……え……えっ? ヒクサー?」
……恐るべき威力を持つ爆弾が投下され、場の視線は一気にヒクサーに集まる。
「適当こいてるだけだよね? あの爺さんが」
「…………」
「……そ、そうだよね?」
「……………………」
「ヒクサー?」
「………………………………」
真実から出た言葉ではないと信じたいがために問い詰めるハヤナ。しかし、その思いとは裏腹に険しく瞳を閉じたままのヒクサーの額から冷や汗が流れ出るのを見てしまう。
「……誰しも……過ちというのはあると思うんだ……」
天を仰ぎながらの事実上の降伏宣言に、へたり込むハヤナを尻目に男所帯の場が沸き立った。
「お兄さんはね? いい仕事したと思いますよ俺ァ。いや励ましてるだけでな? 個人的な感情は無くてな。もちろんよそりゃあ、うん」
「そっすよ!! いや尊敬するっすよ!! お陰で助かってんすから色々」
「じゃあ実質あんたがキューピットだってか。そこのご夫妻の」
「……やめてあげないか。不潔だ」
肩を組み慰めの言葉を使うニール。何やら興奮した様子のリヒティ。
ユリウスを指差すラッセ。話題に難色を示すティエリア。
「俺……一気に親近感沸いたな」
「……そうか……それはどうも……」
そういう人間性があるのは好ましいということ、性向的には気の合う人種であったということ、あのジジイは誰にでも余計な事を言い漏らすものだということ。
三つの意味を含んだユリウスの言葉だったが、諦めの境地に達し"これもまた自分の背負った十字架の重みと苦しみ……"などという文言が脳裏を巡っているヒクサーには、届いているかどうか微妙なところであった。
Q.ヒクサーって00Fでガンダムマイスター判定されてデータ全部隠蔽されてるとは言われてるけど00Iで普通にインストール喰らってるからそれ関係ないんじゃない?
A.たぶんガンダムマイスター判定もらって現在位置だの登録番号だの何だのという特定イノベイドを検索可能な情報が全部ヴェーダから開示されなくなると遠隔インストールの対象に選べなくなるという処理が起きるのではないかと解釈します
それでティエリアへのインストール攻撃が本編中ずっと無理だったんだろうと
そうなると00Iのケースは何を満たしてたかって言うと"目視で対象の現在位置を把握してた"んで直接視認しておおまかな座標と個人を特定できれば能力が発動可能なのでは……とか……
面白いと思っていただけたらお気に入り・高評価・感想・ここすき等よろしくお願いします
励みになります