魔法科高校のドイツ人留学生   作:YJSN

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ウィードとブルーム

翌日、達也たちとは違う教室で受講登録や色々な事を済ませてから色々と教員から教えられてその日の授業?的なものは終わった。

 

本格的な授業は明日からだろう。

 

ぼくのクラスはA組。A組には有名で昨日お会いした司波 深雪がおり、彼女はぼくにも声をかけようとしてきてくれたがその前に周りの取り巻きが結構多かったので、ぼくは遠慮した。

 

それに、ぼくはそっちよりも会いたい人がいるしなっと思いぼくは食堂の方へと向かっていった。

 

食堂に着くと、既に3人ともテーブルで席について昼ご飯を食べていた。...それにもう1人増えてるし。

 

「よーっ、達也くんエリカさん美月さんに...誰だっけ?」

 

「お、誰かと思えばヘローナくん!クラスが違うから今日は合わないかと思っちゃったよ!」

 

と赤毛のエリカが元気よく答えてくれる。

 

ぼくも彼らと同じテーブルの席に座り、もう1人の体格のいい男子生徒について質問する。

 

「あぁ、俺は西条レオンハルト。レオンハルトって呼んでくれていいぜ。」

 

キラーん

 

と効果音が出そうなほど1人増えた原因が自己紹介を始める。

 

「改めまして、ぼくはドイツから来たヘローナ・クリューガー。呼び方はどっちでもいいよ!」

 

「おう!じゃぁヘローナって呼ぶぜ!」

 

そんな風に段々とおしゃべりしていると

 

「お兄様っ。」

 

「深雪っ。」

 

案の定、司波兄妹の妹の方...司波 深雪さんが僕らのテーブルへと向かってきて、達也がそれに反応する。

 

「ご一緒してもよろしいですか?」

 

「深雪、ここ空いてるよ。」

 

と、エリカが少し左にずれて彼女の分の席を空ける。

 

すると、隣から1科生の団体旅行客とも言える人達がこちらに来て

 

「深雪さん、もっと広い場所にしようよ。」

 

と、深雪さんを誘ってきた。

 

ばかやろーこっちが先に深雪さんを取ってあるんだぞと言わんばかりにぼくは鋭い眼を向ける。

 

「それに...ウィードと一緒に相席なんてやめるべきだ。」

 

1科生の深雪を誘ってきた奴の1人が2科生である彼らとの相席を否定する。

 

「なんだって...?」

 

と、エリカが案の定反抗する目で見返す。

 

「1科生と2科生のケジメはつけたほうがいいよ。」

 

と、後ろにいた男子からも声が上がる。

 

「てめぇ...。」

 

血気盛んなレオンハルトが立ち上がり、双方引かない状態が続くが、

 

「深雪、俺はもう済ませたから、先に行っておくよ。」

 

と、達也の方からこの場を鎮め始めた。

 

「あ、ちょっと達也!」

 

「司波!」

 

それに続くようにレオンハルトやエリカ達も彼に続いていく。

 

そして次に相席していたぼく、1科生へと目が向けられ、

 

「君は1科生だよね?どう、僕らと一緒に食事でもとらないかい?」

 

と、彼らとは打って変わった態度でぼくに接する。

 

「申し訳ないけど、人種論は嫌いなんだ。また別の機会にするね。」

 

と、彼らとの会食も断り、ぼくも達也達の方へと急いで向かう。

 

争い事は嫌いだ。だから彼らと同じく避ける。

 

「なんでウィードなんかと一緒に...。」

 

と後ろから声を漏らされるが、気にはしない。

 

彼らは第三帝国時代にいたアインザッツグルッペン...移動虐殺部隊となんら変わらない思考を持っているようだ。

 

残念ながら第1SS師団 ライプシュタンダーテは無意味な殺害には関与をしていない。

 

そのような命令はたとえ総統命令だとしても拒否、計画立案者の射殺を常としてきた。

 

共に生きれる仲間を破壊し、奪い尽くす民族の破壊者は徹底的に殺してきたのだ。

 

かの総統、アドルフ・ヒトラー自身はぼくにその命令を出さなかった。

 

それはひとえにぼくにそんな汚れ仕事はさせたくなかったのだろう。

 

だが現場では現地指揮官がぼくらSSに指令を下すこともあった。それが移動虐殺部隊との連携による虐殺効率化だ。

 

もちろんその指揮官は殺したが、1科生の連中のやっているいわゆる選民思想及び民族破壊と分裂は愚の極みだ。

 

次、ぼくの前でそんなこと言ったら犯罪の有無なしに射殺だぞ。

 

憤慨しながら、ぼくは達也たちの元へと戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

だがその後も、放課後になってからもトラブルは相次いだ。

 

1Aの連中が深雪をまたまたよこせと行ってきたのだ。

 

残念ながら放課後は深雪にはお兄様である達也くんと用事があり、そこで揉め事となっている。

 

「まぁまぁ...両者とも抑えて...。」

 

と、ぼくは中間で宥め役となっている。

 

「これは1Aの問題だ。ウィードごときが口出しするな!」

 

と、昼食の時深雪を誘ってきた男子生徒がレオンハルト達に向かってウィード 雑草という英単語を使ってくる。

 

その場で暗黙に浸っていたぼくは、流石にピキンと来た。

 

ウィードだと...?...英語は敵性言語だ...。

 

と、本来推測できない観点において憤慨しながらぼくはA組の方へと迫り、

 

「ウィード...?」

 

と、目の前にいる強気のA組 同じ組の男子生徒に迫る。

 

「な、なんだよ、こいつらウィードじゃねぇか!何か文句でもあるのか!」

 

息巻くが、ぼくが言いたいことはそうではない。

 

「ウィードじゃない!

ウンクラウトだ!Das Unkraut!わかったか!!英語なんて使うなこの馬鹿!!」

 

「...は...?」

 

と、誰もが場違いのこの怒りに謎の表情となった。

 

だが再びA組の男子生徒はハッとなり、

 

「な、なんだかよくわからんが、ウィード如きと絡むお前も同類だ!!」

 

と激しく非難する。

 

そこを言われるの別にいいけどさ...と軽く受け流す。

 

だが美月は黙っていなかった。

 

「同じ新入生じゃないですか!ブルームである貴方達が一体どれだけ優れているというんですか!」

 

と、反論すると

 

「まずいな...。」

 

深雪をそばに携える達也から小さな声で漏らされる危機感。

 

そうして目の前のA組の男子生徒がニヤリと口角をあげて笑うと

 

「いいだろう...だったら教えてやる。これがウィードとの差だ!!」

 

と、身構えたレオンハルトに対して金色の光を放ちながら拳銃型CADを向けるA組男子...

 

 

 

 

 

(...まずいッ!)

 

流石に今日会ったばかりとはいえいい奴であるレオンハルトを害することは許さない。

 

そもそも同じ民族を破壊するモノ自体絞首刑ものだ。

 

色々な懸念はあるが、それでもぼくは目の前の破壊者へと鉄槌を下すべく、その能力を行使する。

 

グッ...

 

と、ぼくの動いてもいない心臓が縮こまる。

 

そしてその瞬間、ぼくは、ぼくに寄生するモノは黒い個体でも液体でもないモノを地面を通して一瞬のうちに彼、A組男子生徒に足から流し込む。

 

ぼくが足をつけている地面からあのA組男子生徒の足元までには一瞬黒い物体が細長くなりつつも彼の足元まで伝達した。

 

本当は空気媒体...空気中に含まれるごく僅かなサイオンからでも伝染が可能だが、物理的な地面におけるわずかなサイオン媒体からでも可能であり、そちらの方が確実なのでそうした。別にあまり差異はないが。

 

ちなみに真空中では空間中のサイオン媒体となり、空気中のサイオン量の0.04倍の伝達率となってしまう。

 

彼のサイオン情報体であるCADの魔法式へと侵食を始め、展開式がぼくの持つ悪夢によって一瞬で金色から黒色に染め上げられ、破壊されていく。

 

そればかりか彼のCADは内部構造までがぼくに情報として送られてきており、破壊の命令を請求してくるがぼくはそこまでは拒否する。

 

ここまでしたなら、次は君の脳だな...

 

彼の頭への侵食を目論み、脊髄から脳内部分へと侵入を行なったその瞬間、

 

 

 

 

「がッ...ぐぐッ...ぅ...。」

 

ドサッ...

 

と、いきなり叫びこみ、そして地面へと倒れた。

 

ここまでの現象に至るまでわずか0.7秒 通常の人間ではいきなり何が起きたかわからなかったであろう。

 

...1人は除いて。

 

「ちょ、ちょっと森崎くん!?貴方何をしたの!?」

 

達也くんが後ろから怪訝にぼくの方を思いっきり見つめながら、何かをしようとかざしていた手を下げる。

 

「お、俺は何もしてねぇよ!そいつがいきなり倒れただけで...。」

 

彼のA組の連れである女子生徒がレオンハルトに聞き迫るが、彼はなんのことか全くわからないといった顔になる。

 

 

 

あの倒れた男子生徒 森崎と呼ばれた彼は今頃、ぼくの脳内に存在する第2の空間である精神世界と言うべきところに閉じ込められているだろう。

 

もちろんこの悪夢はぼくが許さない限り永遠と続く、生き地獄だ。

 

彼はどうやら夢の中で、ある白い一本通路にて立ち往生しているらしい。

 

後ろも横も白い壁で覆われた狭い一本道。上の天井からは真っ赤な血が横の壁沿いに垂れているが、自分の頭より下の高さには垂れてきていない。

 

「っ...どこなんだよここは...ともかくここを出ねえとウィードの連中がまだ何かしてるかもしんねぇ...。」

 

不思議で不気味な空間の中を出ようと目の前にある扉を開けるため手を伸ばすと

 

 

グゥゥゥゥンッ

 

 

と、扉と自分の距離が伸びる。

 

「!?」

 

森崎くんは驚きながらもまた扉に近づこうとするがまた扉の方から距離を離されると言う繰り返し繰り返しの無限ループへと陥っているようだった。

 

「な、なんなんだよこれは!」

 

ずっと走り続けてもいつまで経っても着かない扉へイライラが増してくるのか、遂に自らの拳銃型CADで壁にあたりちらし、出れないかを確認する。

 

だが壁は頑丈であり、どれだけ蹴っても叩いても撃っても何も起きなかった。

 

そして彼はふと後ろを見ると、なんと何百メーターも走ったであろうはずなのに後ろの行き止まりである白い壁との距離が一切離れていなかったのだ。

 

わけがわからなくなり、混乱し、狂い出す計算と畏怖の存在。この空間はぼくに寄生するナイトメアが悪夢なるものを生み出し、空間内にいる全ての生命体に対して精神的攻撃を行う。

 

今回の場合、彼はまだ優しい無限ループに陥ったようだった。

 

「...は...ふは...はは...。」

 

彼は次第にこの何をしても出られない状態に耐えきれなくなり、ただ餓死か自殺かを迫られるのみであった...。

 

状態としてはサイオン枯渇の前段階である、サイオンの急激な使用による精神力の破壊的打撃を受けた状態だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼がぼくの悪夢によって彼自身の脳内に作り出された精神世界に幽閉されている頃、現実世界では厄介なことが起きた。

 

周りのA組の生徒達がこの騒ぎに乗っかり様々な魔法を発動し始め、ぼくらに対して徹底抗戦の構えを取る。

 

そしてそんな中で、A組の女子の中に同じA組の暴走を止めるべく魔法を発動し始める女子生徒の1人が

 

「やめなさい。」

 

と、新たな人物の一声とともにその展開途中だった魔法は打ち砕かれた。

 

新たな登場人物に皆、目をそちらに向けると

 

「自衛目的以外での魔法の使用は犯罪です。」

 

と、前にお会いした生徒会長である七草 真由美と

 

「風紀委員の渡辺 摩利だ。事情を聞かせてもらおう。全員ついてきてもらおうか。」

 

全員連れていかれそうになる。

 

(...面倒ごとはごめんだ。)

 

と思い、その場を離れようとそこの森崎君と呼ばれた生徒...さっき女子生徒が名前言ってた奴の体に忍ばせてあったぼくの寄生物の悪夢を取り払い、意識を取り戻させる。

 

「う、...っつッ!」

 

と、再び現実世界に帰ってこれたことに安堵と先程までの謎の空間について戸惑いを見せる森崎君だが、今はそんなことを言ってる場合ではない。

 

そろー...そろ〜...っと、壁伝いにその場を離れようと試みるが

 

「...そこの君!君もだ。名前は確かクリューガー、だったな。君もくるんだ。」

 

「...ちぇっ...。」

 

と、気配を消していたぼくを見つけ出すとはなかなかな...この渡辺といったか、風紀委員も伊達ではないな。

 

まずい空気になりつつあったが、突然、達也が動き出す。

 

「すみません...渡辺委員。少しばかり手違いがありまして。」

 

「手違いだと...?」

 

渡辺委員達の方へと近寄っていく達也に警戒して彼女はとある魔法を展開する。

 

が、彼はその予想とは裏腹に僕らの弁明を行ってくれた。

 

森崎君の技能の高さによる魔法の展開の鑑賞、そしてA組の女子生徒の攻撃性魔法行使について。

 

だが森崎君の意識不明は少し言葉が濁ったので、ぼくが付け足そうと前に出て

 

「森崎君に関しては多分、力加減を誤ったのと、見栄を張ったのだと思います。

魔法展開時に自身が普段使用する以上のサイオン量をCADに費やした為、超負荷がかかり意識を一瞬失ったと思われます渡辺委員閣下...。」

 

と、おそらく先輩であろう渡辺さんに進言する。

 

サイオン量の長時間使用以外で意識を失ったり体調を崩すサイオン枯渇状態、になるのはまずあり得ない話なのだが、短期間でその膨大な、しかも森崎と呼ばれたあの男のサイオン量を費やすには相当な無理があっただろう。

 

だが渡辺さんはぼくの話を話半分で聞きながら、

 

「君は1科生...さっき見たところ森崎君との間に入っていたようだが、森崎君が君らに魔法の行使を見せるのにあんなに近づいては誤射の可能性もあったぞ。なぜ、あそこまで近づいていた...?」

 

ぼくに関する疑問点を聞いてきた。

 

「そ、それは...。」

 

ズバリ、ぼくの寄生虫たる悪夢を彼に忍ばせるためでしたー、なんて言えるわけなくてその場でおし黙る。

 

すると達也君が助け舟を出してくれて

 

「興味本位の心が勝ってしまい、つい彼の手元まで近づいていった、その辺りかと思います 渡辺委員殿。」

 

と、ぼくの弁明もしてくれた。

 

「そ、そうそう!そうなんだよ!ね、達也くん!」

 

「あ、あぁ...。」

 

むちゃくちゃごまかしながら

 

ナイス達也くん!!

 

そう目で合図すると達也くんもこちらに頷き返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後はなんとか誤魔化すことができ、会長と深雪の取り繕いもあってか渡辺委員達は去っていったとさ...。

 

だがそんな中で少しアクシデントもあった。

 

先程A組の連中の中にいた女子生徒 そして攻撃性魔法を発動した本人 光井 ほのかがこちら側へと迫り、場を納めてくれた達也くんとぼくにお礼と自己紹介をしてきてくれたのだ。

 

そしてその後、駅までご一緒してもよろしいでしょうか?と彼女の連れである北山 雫さんも一緒になり、帰ることになったのだ...。

 

てか達也くんの睨む目がマジで背中に刺さる。

 

さっきのあの一瞬のことを彼だけは見れていたようだが、一体どうやって...。

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