クリューガー「みんなありがとう...ドイツ国籍あげます!」
「んくぅ〜〜ッ...よく寝たぁー。」
情けない声を出しながらベッドから這い出るのはぼく、ヘローナ・クリューガー親衛隊大佐だ。
昨日の一件からぐだぁーっと体を休めていたが、目覚める朝が来て絶賛朝から少し重めのパスタを食べている。
パスタとサラダ 生野菜との組み合わせが最高なんだッ...
ちなみにぼくは菜食主義に傾いてはいるものの肉も一応食べる派だよ。
ムシャムシャ...
そんなこんなで一高に行く支度をしながら色々と物思いにふける。
昨日はA組の光井ほのか、そして北山 雫と名乗ってくれた2名と共に帰宅する事となり
その際に達也に色々と聞かれた。
何やらサイオンの流動や魔法式の展開が見られなかったのに、どうして森崎に干渉できたんだー、とか。
はたや精神干渉系の魔法かー、だとか。
色々と聞かれたが、
「他人の魔法式の展開がわかるの!?」
と言うぼくの驚きの声と、更には達也くんがボロを出したとこを突いて話は曖昧にしておいた。
ぼくの能力の詮索やぼくへの警戒はなんとなくわかる。
司波 達也...それに妹である深雪...彼ら2人は何かありそうだ。
後で国家保安部の調査対象にでもしておこう。
色々と考えをめぐらせてると、気づけばいつもの大通りに出ており、登校ムードになっていた。
腰にかけてあるホルスターと、制服の下に親衛隊の黒服とを両方隠しながら歩く。
周りに数多くの一高の生徒が歩く中、先ほどの思案の中にも出てきた例の2人の背中が見える。
「おっはよぉーーーうっ!達也、それに深雪さん。」
子供っぽい挨拶の仕方で彼らに近づいて達也の背中にダーイブっ。
緊張を解くのと、単にカッコイイ兄的な存在に抱きついてみたかったのが理由だ。
170かそれ以上ありそうな達也に、150cm程度の小さな子供の身体が突貫していく。
ぼすんっ
と音を鳴らしながらぼくは彼の背中にもふる。
「ぐふふ〜...極楽極楽ぅ。」
達也をしばしの間もふっていると、
「あー...クリューガー...そろそろやめたほうがいいと思うぞ?」
と、達也が何やら意味ありげなことを口走る。
「ふぇ?」
間の抜けた声を出すと、隣から非常な冷気が被さってくる。
「...お兄様に...私だけのお兄様に...ハグ...など...不潔です...ッ!」
顔を下に傾けて冷気を放つそのブラコンを解放しせし張本人、深雪がぼくを思いっきり睨む。
「ひっ...たしかにヤバイね。」
若干戸惑いの声を上げながらも、異常な愛情をお持ちのようでと心の声で付け足す。
「いっただろ...はぁ、深雪 落ち着くんだ。」
落ち込んだ達也が鎮めにかかると深雪はハッと我に帰り、
「も、申し訳ありません、お兄様。ですが同性とはいえ、余りにもスキンシップが過ぎます。
ね、クリューガーさん。」
同意を求められたぼくは、微笑ましい笑顔を向けながらも全く笑っていないその顔に意表を突かれて
「う、うんうん!その通りです!ぼくが悪いのです!」
へこへこと平伏した。深雪パワー、おそるべし。
「ふふ、それで良いのです!」
深雪が悦しそうにしている。ブラコンパワー系女子だなこれは。
くだらないことを考えながらその後も達也達と登校していると
不意に更なる人物の声が後方からかけられる。
「おはよう〜、達也くん、深雪さん。」
ニコニコしながら先程までのことを知らない七草 真由美 生徒会長本人が後ろから迫ってくるのであった。
その後、達也と深雪達は話があるとのことで生徒会室にお昼休みの時に来て欲しいと七草生徒会長から言われた。
ちなみに話の方は全くぼくに関係無いけれど、
「昼食は、クリューガー君も一緒に取りたいなら来てもいいですよ〜。」
お、生徒会長いい計らい、実は今日食堂のメニューにサラダメインのものがなかった為困っていたのだ。
ぼくは快く快諾して、時はすぐに来てしまい、お昼にまで到達することとなる。
ぼくは今達也達と生徒会室の扉の前に佇んでいる。
コンコン...
礼儀良く二回ノックしてから、
「入って〜。」
と、軽い声が上がると、達也は扉をあけて中に入っていく。
中に入っていくと、順番に挨拶をしていき、深雪さんの凄い整った礼に一同驚愕...。
その後、ぼくも
「おはよーございます!...じゃなくて、こんにちはか。1年A組のヘローナ・クリューガーです!」
相変わらず元気よく声を出すものだから、子供っぽいとでも思われたのだろうか。
会長や書記等がクスっと笑う。
その後、順調に生徒会室に備え付けの食堂からの供給システムからサラダ一択を選んだ。
「うげっ...よくそんなものたべれますね...。」
手に届いたサラダしか入っていない弁当を見て、生徒会長の隣に座るやや褐色色の子が言う。
「失礼なっ、この緑色こそが僕らを救済するのであります。」
むふふんとしながら蓋を開けながらぼくは待ち遠しかった緑達を眺める。
「ふわぁぁああ...なごむ。」
「野菜見てなごむって、クリューガー君はかなりの偏食なのだな...。」
斜め前に座る渡辺 摩利が言ってくる。
「先輩も食べますか?」
「いや、私はこっちがあるからな...。」
風鬼委員長は机の上に自家製のお弁当を置いたようだった。
会長は少し引きつる顔をしていたが、朝に小麦であるパスタを食べたのでサラダを、
菜食を求める欲求がッ止まらんのですっ
という本心を隠しながら皆と会食していく。
こんなもんばっか食ってるから育ちが悪いんだよぼくは...。
食事が終わり、本題に入っていくと、生徒会長から直に深雪さんに対して
「生徒会に入ってくれないかしら?」
と、言われた。なんでも新入生総代は例年通りに生徒会に入ることが決まっているようだった。
そんな中、深雪はとある爆弾発言を産み落とした。
といっても、それはぼくにとってではなくて隣にいる達也...にとってだったが...。
「会長は...お兄様の成績をご存知なのですか...?」
深雪が切り出したこの言葉から、達也の委員会強制入籍が決まったようなものだった。
残念ながら規則によって1科生からしか生徒会の役員にはつけない、と会長は宥めるが
「まてよ...そういえば風紀委員推薦の枠がひと枠余っていたな...。
風紀委員の推薦なら、2科生でも問題なかったはずだろう?七草。」
「ちょ、ちょっと摩利?その話はまた後日と言ったでしょう!?」
会長はこの急な達也くん絶対入れるマンの展開に驚きを隠せないが、
どうやら渡辺 摩利委員長はこの達也を大きく買っているようで引かない。
「ふぁーあ。話の途中でごめんなさい。寝ててもいいですか?」
大胆にも議論の途中にこんな無礼な事を聞く。
「あ、ヘローナ君は...そうね、貴方にはあまり関係がない話かしら...。
なら、もう帰ってもいいわよ?授業もあるし。」
会長は見繕ってくれたようで、ぼくに親身になってくれた。
「ごめんね達也。君の援護はできそうにないや。諦めて入ってあげなよ。」
「...クリューガーからそんな言葉が出るとは、観念したくないのが山々なんだが...。」
達也は何かを秘匿しつつも生徒会やましてや風紀委員などに関わるのを極度に控えていた。
ふむ、何かありそうだな。
色々な思案と共に生徒会室を出ていくのであった...。
あれ?結局ぼくはなんのためにあそこに行ったんだ?
ご飯食べるため?