海戦の結果は隠蔽された。引き返した船団が港に係留している夜間に攻撃を受けて全滅したことを含めて。
中央歴1639年6月19日
ホーク騎士団の所属するロウリア王国東部諸侯団クワトイネ先遣隊では衝撃が走っていた。
威力偵察に出たホーク騎士団第15騎馬隊の約100名が、ギムの東方で消息を絶った。エルフの集団を発見したので突入するという連絡を最後に。エルフの集団はそれほど強いわけではない。なぜ一人も戻らず連絡も無いのか?
「何かおかしいとは思わないか?我々は、本当にクワトイネの亜人と戦っているのだろうか、導師ワッシューナよ、どう思う?意見をもらいたい」
「騎士団が壊滅するような魔導が使われたのであればここでもさすがに判ります。原因不明としかわかりません。竜騎士で消息をたったあたりを捜索させていますがこれといった報告はありません。導師仲間で連絡用の掲示板を開いているのですが、海軍に同行した先輩から気になる書き込みが」
「なんだ」
「仲間内だから話せるだけ話すとの前置きで、船団が壊滅したというのです。応援に来たワイバーンとともに」
「荒唐無稽とは思っていましたが、先頃ワイバーン本陣から半数を戻すよう指示があり、船団はともかくワイバーン本隊に何かあったのではと」
「本体に残留していたワイバーンは350騎 それが全滅すると」
「細かいことを聞こうとすると、信じられないことばかりで混乱している 箝口令も出てるし待ってほしいと」
「ホーク騎士団の連絡のたったあたりに出していたワイバーンが帰還しました」
「報告を」
「地面が焼け焦げたあたりに 鎧や人馬の破片が散らばっていたそうです」
「そうです?」
「偵察に行った人間は帰るなり吐き、報告を一言とした後、意識を失いました」
「そのような魔導が使われたのであれば気がつかないはずがない」
「意識が戻ったら詳細な報告をさせるように」
ロウリア王国東部諸侯団クワ・トイネ先遣隊の将たちを悩ませる事態があと一つある。本隊からの指令書、指令主は主将名だが、問い合わせは恐怖の副将アデムである。
指令書にはこうある。
「城塞都市エジェイの西側3km先まで兵を集めよ。そこで、本隊合流まで待て」
ジューンフィルアは、指令書を読んで、ますます胃が痛くなる。
城塞都市エジェイ、これまでの街や村と違い、クワ・トイネ公国がその生存を賭け、来るべき対ロウリア王国戦のために作り出した要塞である。ギムとは防御力の次元がちがう。
城塞都市エジェイはギムから東に約50kmだが偵察隊が全連絡を絶ったのは、現在地から東に約20km行った場所である。
つまり、エジェイへ行くための途中で騎馬隊を全滅させるほど強力な敵がいる。
しかし、アデムの指令に逆らったら、自分が死ぬのはもちろんのこと、家族も恐らく惨たらしい死を遂げる事になるだろう。それだけは避けなければならない。
ロウリア王国東部諸侯団クワ・トイネ先遣隊約2万名の兵は、東へ兵を進め始めた。
ロウリア王国軍本位38万は国境に向かっていた。
中央歴1639年6月30日
城塞都市エジェイ
城塞都市エジェイには、クワ・トイネ公国軍西部方面師団約3万人が駐屯しており、クワ・トイネの主力と言ってよかった。
内訳は、ワイバーン50騎、騎兵3000人、弓兵7千人、歩兵2万人という大部隊である。
現在ロウリアに近づいてるのは2万将軍ノウは今回のロウリアの進攻をこの城塞都市エジェイで跳ね返せると思っていた。
城塞都市とは守る側が圧倒的に優位なのである。
まさに鉄壁、まさに完璧、すくなくとも今来ているロウリア軍であれば被害無く追い返せると思っていた
「ノウ将軍、日本国陸上自衛隊の方々が来られました。」
政府から協力するよう言われているため協力しているが、彼は正直自国にのり込んで来た日本軍が気に入らなかった。
信じてはいないが、ロウリアの4400隻の船の進行も、たった10隻でくいとめたという。
しかし、陸戦は何といっても、数がものをいう。今回、日本が送り込んで来たのは、陸上自衛隊第18旅団かいう、3千名弱の兵力だ。
奴らはエジェイの東側約5kmのところに基地を作って駐屯している。
巨大な鉄竜が走り回り何か平らな物を作ろうとしているようだ。
政府が許可を与えたらしいが、国土に他国の軍がいるのは良い気分ではない。
3千名という数も、伝え聞いている日本の人口1億5千万人という人口からすると、巨大な鉄竜がたくさんいるらしいがずいぶんやる気の無い兵力だ。
コンコン
「日本の方が見えました」
「お通ししろ」
「始めましてノウ将軍。陸上自衛隊、クワ・トイネ派遣18旅団長、渡辺2将です」
自分の着ている気品のある服とは違い、一般兵と変わらぬ服を着た人物、こやつが今回の日本の派遣軍の将軍というのが、ノウには信じられなかった。
「これはこれは、良くおいで下さいました。私はクワトイネ公国西部方面師団将軍ノウといいます。このたびは、援軍ありがとうございます。感謝いたします」
まずは社交辞令から入る
「日本の旅団長殿、ロウリア軍はギムを落とし、まもなくこちらエジェイへ向かって来るでしょう。しかし、見てお解かりと思うが、エジェイは鉄壁の城塞都市、これを抜く事はいかに大軍をもってしても無理でしょう」
ノウは続ける
「我が国は侵略され、ロウリアに一矢報いようと国の存亡をかけ、立ち向かおうと思います」
「日本の方々は、東側5kmの位置にある、あなた方が作った基地から出ることなく、後方支援をしていただきたい。ロウリアは我々が退けます」
ノウは(邪魔者はひっこんでいろ)という意味を込め、このような発言を行った。
「解りました。我々は基地から後方支援を行います。ただ、お願いがあるのですが・・。」
「なんでしょうか」
「敵の位置、戦局を伝える必要があるので、連絡要員と機材を50名ほどエジェイに置かせてもらえませんか?」
「わかりました」
「しかし将軍とは思えない服装ですな」と挑発する
答えは思いもかけない物だった
「一般兵と違うと一目で目につくようでは狙われてしまい指揮系統に支障を来しますから」
「なっ・・・・」
「それでは失礼します」
将らしくないのも、まぁからくりがあって本来の階級は1佐なのだが、複数の大隊 空自・海自との連携クワ・トイネから舐められないために野戦任官してるのだ。
2020/02/06 改行句読点誤字修正
2020/02/07 改行句読点誤字修正
2020/02/08 日付挿入
2020/02/11 師団長->旅団長
2020/04/14 待ち->街