中央歴1639年6月30日
陸自基地
「司令おかえりなさい」
「ずいぶん偉そうな人でしたね。司令」
「そらそうだろう。方面軍の指揮者何だからプライドもあるだろうし、他国の兵がいるのも面白くないだろう」
「統幕から最新の偵察結果来てますよ」
「どんな状態か?」
「先遣隊がそろそれエイジェイの視界に入るかと」
ロウリア王国東部諸侯団クワトイネ先遣隊約2万の兵は、特に障害を受ける事なく、城塞都市エジェイの西側約5kmの位置まで進軍した。いやな予感がする。彼らはこの場所で1週間とどまる事を決めた。
中央歴1639年7月2日
ノウはあせっていた。敵兵2万が、エジェイから西側5kmの位置に布陣している。
ロウリアの兵力からすれば明らかに先遣隊であり、こちらから撃って出ると、ロウリア軍本隊が到着する前に、戦力をすり減らしてしまう。攻めてくれればまだしもやりようがあるのだが、問題は敵騎兵が城の外で怒声をあげ、去っていく事をくり返している。本格的進攻かどうかの判断がつかず、兵が神経をすり減らす。
このままでは、敵本隊が着くころには、兵はヘトヘトになってしまう恐れがあった。
伝令兵が駆け寄ってくる。
「日本軍から連絡が入りました」
「読め!」
「はっっ!エジェイ西側5km付近に布陣する軍は、ロウリア軍で間違いないか?ロウリアであるなら、支援攻撃を行ってよろしいか?又、攻撃にクワ・トイネ兵を巻き込んではいけないため、ロウリア軍から半径2km以内にクワ・トイネ軍はいないか確認したいとの事であります」
「基地から出るなと言っているのに・・・。まあ良い。日本軍がどんな戦いをするか、高みの見物をするとするか・・・。許可する旨伝えろ!」
「はっ!!」
自衛隊基地 砲兵陣地
「弾道分析して打ち返すやつもいないから、陣地転換は要らないんだが教本通りやるか」
「攻撃許可来ました」
「向こうからこっちに届く攻撃はワイバーン位だが、空自のF15が上空で戦闘哨戒中だ。準備が整い次第始めろ」
「観測ヘリ上がります」
ロウリア軍陣地
「あそこに飛んでるのは何だ」
「わかりません」
「ワイバーン隊で落としてしまえ」
次々ワイバーンが離陸すると、光の矢が突き刺さって爆散したり竜騎士が吹っ飛んでワイバーンが逃げていく。
「な 何が起きている」
「わかりません。ワイバーン隊消滅」
「陣地前方で爆発」
ヘリ
「あと100m 左右問題なし 効力射開始」
ロウリア軍陣地で巨大な爆発が続く。半径100mの範囲の兵が次々倒れていくのだ。
クワトイネの将軍、城から遠見の魔法で見ていたノウは、その光景が信じられなかった。
「なんだ?これは・・・?」
爆散し、煙に包まれる敵、次々と大爆発し、敵がなぎ倒される。
敵は錬度も高く、隊列も極めて整っていた。整然と整列していた敵の姿が掻き消える。文字どおり消滅する。小さな範囲で爆発が起こるのではない。広く、広大な範囲で展開していた敵が!強敵が・・・己の人生をかけ、長い時間をかけ、鍛えあげてきたであろう武技を発揮する事無く、一方的に虫のように殺される。そこに、華やかな戦いや騎士道は無く、ただただ効率的に殺処分される敵の姿だった。
ロウリア軍陣地
ジューンフィルアは効率的に殺処分される大量の部下を見て絶望していた。
気を失った竜騎士はこれをみたのだなと悟る
すべてが・・・虚しくなるほど、泣きたくなるほど、あまりにもあっさり死ぬ。
死神は、だれひとり逃がそうとはしなかっった
衝撃とともに、自分の体がバラバラになって飛んでいく姿、それが彼の人生最後の記憶になった。
観測ヘリ
「動くもの無し。効力射終了」
空自F15
観測ヘリを守るために、後方のE767の指示に従って攻撃を加え全滅させた。ミサイルがほぼ射耗したので前線基地に着陸する。
燃料の補給施設はないので、整備員がミサイルをつけていく。ロウリア軍本体がギムを出るまで基本的に仕事はない。
小隊単位で戦闘哨戒しつつ空中給油機から燃料を受け取って交代で地上で休むのだ。
陸自司令部
「訓練にしかならなかったな」
「全滅させておいてそれはひどいですよ。司令」
「まぁそうなんだが。この後どうするのかな」
「統幕の方でなんか考えてるみたいで、1600通信結んで会議やりたいそうです」
「参加は?」
「相手が多いですから、陸海空全部」
「うへー、気を遣う会議になりそうだ」
「資料は1530までに送るそうです」
「一休みするか」
「いや、指令たくさん弾使ったんで、事務処理がいっぱい」
「あー いやだ」
「司令の決裁ないと補給の申請もできないじゃないですか」
「んー砲兵隊のほうには、弾以外に交換必要な物ないか確認入れておくように。それ終わってからまとめてやる」
「通知します」
「俺は一休みする」
1530陸自司令部
「いくら敵さんが多いからって、派手なこと考えたなー。防衛の主役はクワ・トイネ軍だぞ」
「30万から40万いますからかなり減らさないと主役に出てもらうわけにも行かないでしょ」
「だからって、空自・海自混成部隊で燃料気化爆弾で殲滅かけるのか」
「色々こっちにも要求有るようですね」
「通信会議を始めます。出席者確認」
「・・・
「出席者の確認とれました」
「お手元に資料は既に届いてるとは思いますが、ロウリア軍主力を燃料気化爆弾で殲滅し、クワ・イトネ軍より規模を削ったところでクワ・イトネ軍に出てもらい、ギムを奪還します。」
「そもそも殲滅してしまって良いのかい? 貴重なロウリアの労働者層だろ」
「エルフ・ドワーフを殲滅すべき対象と教え込まれている層には消えていたほうが 後の統治がやりやすいかと」
「統治ってどうするんだい」
「クワ・トイネとの交渉次第ですが,ロウリアを併合してもらってしまおうかと。軍人という非生産人口を数十万規模で維持できる食料生産能力は魅力です」
「意図は了解した。で、何で燃料気化爆なんだい?クラスター爆弾や、 60ポンド爆弾でもいいではないか」
「最大の理由は在庫調整です。クラスター爆弾は船団攻撃に使ってしまい残量が不足しています。60ポンド爆弾はそんなに使わないので在庫があまりありませんし、第一、4発をひとまとめにしてぶら下げるんですが、そのアダプターが圧倒的に不足しています。
もう一つは満州防衛用にため込んでいた燃料気化爆弾の消費期限が来るので使ってしまいたいです。使用しないで解体に回すと費用がかさみますので」
「気化爆弾で殲滅できなかった分はどうするんだ」
「それは 不足気味ですが60ポンド爆弾で個別に撃破かと」
「現地だが、前線滑走路に全機着陸とあるが」
「本土まで戻るには空中給油が必要なのですが、今回用意する機数に給油できるほどの給油機がないので、三々五々もどってもらおうかと」
「そんな機数を駐機できる場所はないぞ」
「まだ クワ・トイネ政府との交渉から始まりますのでその間に拡張をお願いします」
「いつ頃を考えてるのか」
「ロウリア軍主力はまだロウリア国内にあり国境を越えるには10日ほどかかるかと」
「外務省との調整は」
「取り得るオプションとして提示します」
「乙案として主力を無視してへりボーンを実施とあるが、甲案でもおなじだな」
「そうです」
「使用するへりは本土より、強襲揚陸艦で給油中継して派遣します」
「現地だが、拡張に必要な資材や機材は送ってもらえるのか」
「最優先で輸送します」
中央歴1639年7月3日
クワ・トイネ公国政治部会
「・・・・以上が日本軍と、ロウリア軍のエジェイ西方の戦いの報告になります」
「では、誰も日本がどうやって高威力爆裂魔法を使用したか、見ていないのか?」
「はい、報告書のとおり、日本は駐屯地から攻撃を行ったとの事であります」
「何を言っている!日本の駐屯地からで、13kmは離れているのだぞ!!13kmも!そんな魔法は古代魔法帝国の御伽噺でしか聞いたことが無いわ!!」
場がざわつく。
手を挙げて、首相カナタが会場を静まらせる。
「日本側から手元の資料の通り提案が来ている
甲) 主力がギムを出た後 鉄竜を使った高爆裂魔法で殲滅。その後鉄竜で首都へ行って首脳部を捕縛
乙) 主力を無視して首都を急襲。首脳部を捕縛
どらも首脳部を捕縛した後はクワ・トイネの占領下におくというものだ」
「ほんとにできるのか」
「後のことを考えれば甲の方が良いが、ほんとにできるのか」
「やらせてみても損はないんじゃないかな」
全会一致で甲案を支持することとなった。
エイジェイ駐留機械化歩兵大隊
「まったく訓練以外で戦車ドーザーやる羽目になるとは思わなかった」
「施設科もここまで大規模になるとは思ってなかっただろうな」
「300機から駐機できる場所作れなんて」
「応援も順次来てますしなんとかなるんじゃ」
「まぁ ロウリア軍の動き次第だな」
中央歴1639年7月5日
ロウリア軍本陣
「先遣隊が連絡を絶って2日になるのに何も判らんとは何事だ」
「飛龍12騎を向かわせましたが、すべて連絡を絶ちました。火炎弾が追いかけてくるというのが唯一の通信です」
「飛龍が駄目ならと騎馬で偵察させています」
「先遣隊が全滅?」
「はい。先ほど騎馬偵察隊の者がもどりました」
「どんなだったのだ」
「土を耕したようの中に人の破片や鎧の破片が散らばっていたそうです 鎧の破片の中に東方派遣軍の印がついた物があったとか」
「高爆裂魔法が使える魔道士でもいるのか?近づかせなければ良いな 警戒を厳重にして進撃を再開する」
中央歴1639年7月8日
陸自現地司令部
「司令、ロウリア軍のワイバーン落としてから5日ほど動きが止まりましたね」
「先遣隊と連絡が取れなければ慎重にもなるさ。準備の方はどうだ」
「止まってくれたおかげでなんとか。駐機場はできました。追加攻撃用の60ポンド爆弾とヘリに使う燃料を輸送中です」
「ロウリア軍がギムの町に入るまで4日程度かと」
「ギムの町でどれだけとどまるか次第だが準備は間に合いそうだな」
中央歴1639年7月18日
那覇空港は喧噪状態だった。海自の8個飛行隊と空自の4個飛行隊が集結してるのだ
海自の8個と空自の3個飛行隊が爆撃任務 空自の1個飛行隊が制空任務だ
現地に既に展開している空自の1個飛行隊と合わせれば250機近い
ほぼ全力出撃と言って良い。
30万から40万というちょっとした都市一個分の人数が相手である。気は抜けない。ロウリア軍主力がギムの町を出て1日頃合いである
ロウリア軍本隊
上空哨戒を行っていたワイバーンが爆散する。
何かの接近に気がついて避けた者も騎士がバラバラになってワイバーンが逃げ出す。密集隊形で移動していただけに、ワイバーンのような物が落とした物に直撃されてて倒れる者が出たがそれだけだった。
「ん 敵は何がしたかったのだ?」
副将アデムが首をかしげた途端意識が途絶えた。
エイジェイ
将軍ノウ
ギムの町の方から建物を震わす爆発音がした。
「何が起きた」
「ギムの町の方で炎が立ち上がっています」
報告を受け、城を駆け上がりギムの町の方角を見ると、天に届く炎が上がっていた
炎に向かって強風が吹き始める。
政治部会からの指示を思い出す。
・鉄竜を使用した大規模殲滅魔法を日本が使う。
・日本の地上部隊と協力してギムを奪還せよ。
「出撃!」
ギムの町に向かって進むも生きている敵は居なかった。
ノウは一人敗北感をかみしめていた。
ギムの町では少数の警備兵がいたが追い払い、被害の確認を始めたがエルフやドワーフそして混血の者は誰一人生き残っていなかった。
知人たちを売った者が居るとしか思えないので捜査を始めるのだった。
中央歴1639年7月28日
ロウリア王国の終焉
ロウリア王国首都 ジン・ハーク ハーク城
ギムの町が奪還されたとの早馬が来て8日。空には箱形の鉄竜が乱舞し、武器を持つ者は次々と射貫かれてバラバラになって絶命している。
ギムの町からは鉄製の地竜が来て、抵抗する者を魔導の光で射貫いていた
6年もの歳月をかけ、列強の支援と、服従と言っていいほどの屈辱的なまでの条件を飲み、ようやく実現したロデニウス大陸統一軍、念には念を入れ、石橋を叩いて渡るかのごとく軍事力に差をつけた。重税で国民が疲弊しようとも統一までだと言い聞かせた。圧倒的勝利で勝つはずだった。
これが、日本とかいうデタラメな強さを持つ国の参戦により、保有している軍事力のほとんどを失った。
「タタタ」「タタタ」と音がするたびに悲鳴が聞こえだんだんと近づいてくる
「ダン」と謁見の間の扉が吹き飛ぶと数人のまだら服の男たちがなだれ込んできた
指揮官らしき男が
「ハーク・ロウリア王ですかな」
「ちが・・」
「影武者か。ころ・・」
「本物だ。殺さないでくれ」
「素直に認めれば良い物を」
まだら服の者はドアの方へ「居たぞ」と声をかける
青い服を着た数人の男が現れ、あなたにはギムの町での殺戮を指示した容疑で逮捕状が出ています」見ても判らない書類を示された後、後ろ手に手錠をかけられた。
王城にはクワ・トイネの旗が上り、抵抗していた者もそれを見て投降するのであった。
気化爆弾投下本体が落としてるのは割れやすいガスボンベみたいな物で爆発範囲の広く空気と比重があまり変わらないアセチレンベースに数種の液化ガスを混ぜた物です。適当に広がった頃を狙って点火弾を落としてます。
効果について
爆発もソフトターゲットなので有効ですが一番は酸素を使っちゃうことによる窒息死です。
2020/02/06 改行句読点誤字修正
2020/02/07 改行句読点誤字修正
2020/02/08 日付挿入
2020/02/25 誤字修正