捏造日本召喚   作:あまの

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まぁ 外交ってそれなりに汚いもんだよね


侵略

延岡二尉はRF15(F15複座型に偵察ポッドを付けたもの)で後席の国方二尉と会話していた。

「ギム周辺には大軍が集結してるな」

「地を埋め尽くすとはこういうことを言うんですかね」

「数えるのは情報部の連中に任せて撮影して次行くか」

「ロウリア北部の港でしたっけ」

「大船団がいるとの情報だ」

「ここで仕掛ければ町に被害が出ないと分かっていても 見逃さざる得ないのが心苦しいですね」

「仕方あるまい まだクワ・トイネとは防衛条約締結してないんだから。正義の味方と違って、ただやたらと力使えるわけじゃないんだ」

「撮影終わりました」

「よし」

 

中央歴1639年4月

 

外務省の田中は今日も外務部で交渉にあたっていた。締結すべき条約・協定は多岐にわたりクワ・トイネ側にそういう概念の無いものも多かった。

だいたいの素案は各省庁で作ってきてくれて居るものの、日本国にとって利益が出るように、そして相手を不快にさせずに結果を出さなければならないのだから気を遣う。

本来補佐二人と数人の事務官でやる仕事量ではないのだ。多方面に外交使節団を派遣しておりブラック労働が常態化していた。そんな中、使いが来て首相カナタが会いに来てるというのだ。

 

「田中さんこんにちは」

「カナタ首相こんにちは。急にどうされました?」

「武器を譲っていただきたい」

「それはまた急に」

田中にはすでにギム近郊でのロウリア軍の集結状況などが伝えられていた。

「ロウリア王国との国境の町ギムのそばに何万もの軍が集結してきています。魔信で解散を呼び掛けてはいますが応答がありません。」

「ほう、でも武器を渡してもすぐに使えるようになるわけじゃありませんよ」

「無いよりましです」

「防衛協定の交渉が暗礁に乗り上げてますからね。こういうものは双方に利益がないと長続きはしません」

「で、譲っていただけますか」

「訓練していない人間使えるようなものではないですよ。それより暗礁に乗り上げている防衛協定を進めた方が直接介入ができます」

「負担が一方的であるというのが問題でしたね」

「武器を使うにしてもただではありませんから」

「何をお求めで?お金ですか」

「傭兵じゃないですからそれはありませんよ。本来は相互に戦線布告があった場合自動参加というのが定番なんですか、貴国にそれを求めるのは酷ですな。そうですね、食糧の輸出量の最低保証と、上限に達するまでの期間を決めるというところでどうでしょう」

「どの程度の水準をお望みで」

「最低年1000万トン 三年で3000万トン生産できるようにする でいかがです」

「技術協力はしていただけるのですかな」

「もちろん」

「それで手を打ちましょう」

「首相 大変です ギムの町が落ちました。暴行されてから解き放されたものが騒ぎを伝えてます」

「遅かったか」

「本国に自衛隊の出動を要請します」

 

少し時間はさかのぼる

クイラ王国から傭兵として出稼ぎに来ている。ソノラは魔信兵とペアを組んで日本製の双眼鏡で国境線を監視していた。食い物を食べさせるには出稼ぎは必須なのだ。しかも日本の買い付けが始まってから価格が高騰し始めている。もっと稼がねばと思いつつ監視をしていると、国境線ぎりぎりに終結したロウリア軍が動いた。

「ギムの町に緊急電。侵略を受けり」

直後にワイバーンからのブレスで絶命した。

 

合意に達したとの報告を受けた首相は自衛隊の緊急派遣を命じた。

国会でクワ・トイネ防衛特別措置法について審議する準備も命じた。

那覇軍港で補給を終えていた、第二護衛隊群は出撃した。

佐世保に集結していた、即応部隊の機械化一個大隊と砲兵大隊、攻撃ヘリ部隊も強襲揚陸艦とフェリーに分乗し第五護衛隊群とともにマイハーク港を目指す。

那覇空港からは直接偵察を行うRF15が離陸した

 

 




2020/02/07 改行位置 句点句読点修正
2020/02/08 日付挿入
2020/03/09 RORO船->フェリー

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