ハリー・ポッターと金銀の少女(改)   作:Riena

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思い出と“私”の日記
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 もしも。

 

 

 

 

 何度繰り返しても、変えられない過去があるとしたら?

 

 

 何度間違えても、答えのない未来があるとしたら?

 

 

 何度創り替えても、護れない世界があるとしたら?

 

 

 

 

 それでも、君は──“君”は──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生き残った男の子、ハリー・ポッター。

 彼はイギリス魔法界にその名を知らぬ者はいないほどの、有名人…いや、英雄と呼ぶべきか。

 『例のあの人』とその名を呼ぶことも恐れられたヴォルデモートを僅か一歳という年齢で打ち倒したとされる少年だ。

 実際にはヴォルデモートを倒したのは“彼の力”ではなく、“母親の愛”なのだが。

 

 なにはともあれ、彼の生活は幸せとは程遠いものだった。

 従兄弟の家に預けられ、ろくな食事も与えられず、奴隷のような扱いを受ける毎日。

 ぼさぼさの黒髪に壊れた眼鏡、痩せ細った身体が彼の特徴だった。

 

 が、そんな生活を送るのはもう終わりだ。

 今日から彼は魔法界に入り、新しい家を、家族を見つける。

 そして“英雄”として、運命に足掻き続けなければならない。

 

 

 それだけじゃ、物足りないな。

 もう少し色をつけなきゃ。

 折角だから派手な色……そうだな…

 

 

 

 

 ──金と銀なんてどうだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 石造りの床に響く足音。

 人がごった返しているキングスクロス駅のプラットホームに彼女はいた。

 人と人の間をするりと交わし、一つの壁の前、9番線と10番線の間の壁の前に立つ。周りを見渡し誰も見ていないことを確認すると、彼女は…壁の中に消えた。

 

 辺り一面に広がる白い煙に視界が遮られた私は、杖を取り出して一振りした。煙が晴れると、紅い機関車が私を出迎えていた。

 

「本物だ……」

 

 機関車も駅のホームも周りで別れを告げ合う人々も。勿論──私も。分かってはいる。だが、証拠がない、答えがない。それが現実なのである。

 改めて意識したこの状況に、ほんの少しだけ恐怖の感情が芽生えた。

 私は頭を振った。それは考えても仕方がないことだ。いくら“私”がそれを恐れていても私が存在することに変わりはないのだから。

 

 振り切るようにして、歩き出した私はすぐに列車に乗り込み、誰もいないコパートメントへ入った。持っていたトランク型の鞄を膝に乗せて窓の外を眺める。

 

 それにして、すごい人混みだった。まだ発車まで20分以上あるというのに、壁からは次々と人が現れ、列車に荷物を載せていく。

 ふと、彼女の視界に一人の男の子が入った。ぼさぼさの髪に黒縁の眼鏡をかけた子だ。

 “私”は彼を知っている。だって彼は『この世界』の――

 

 カタン。

 

 その音ではっと我に返ると、膝から鞄が落ち、中身が出てしまっていた。

 慌ててそれを拾い上げると、手には一冊の本が握られていた。

 

 今までことが全て書かれた日記。

 覚えている限りの()()もここには書き留められている。

 

 

 

 

 もう既に“私”のいや、“私たち”の物語は始まっていた。

 そこには救済や生存という文字も勇気や力という文字もない。

 

 

 

 

 この世界に来た理由。“私”が存在する意味。

 

 

 

 

 これ以上の“過ち”を私は──“私”は──。

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