4月28日
鴨志田のパレスを破壊してから一週間が経った。時間は現在午後五時で、
俺はファミレスですみれに勉強を教えていた、
そして、一度休憩してポテトを食べている時に不意にすみれが話しかけてきた。
「....先輩」
「ん? どうかしたのか?」
「あれから、もう一週間が経ちましたよね」
「あぁ」
「なのにこの一週間、何も起きてないですよね」
「....そうだな」
すみれはおそらく、鴨志田が何もしていないことに不思議に思っているらしい。
「それにこの一週間の間に鴨志田先生、一度も学校に来ていないのは
知っていますよね?」
「あぁ。学校中でそんな事を言ってるやつも多かったな」
「あの、もしかしてなんですけど、鴨志田先生、自殺をしたんじゃ....」
「それは無いだろ。アイツが死んだら死んだで世間は大騒ぎだ。一応、
元オリンピック選手だったんだからな」
「そ、そうですよね....」
「にしても、何で急にそんな話を?」
俺は不思議に思ってすみれにそう聞いた。
「その、先輩のことが心配で....」
「俺の?」
「はい....先輩が屋上から飛び降りた女子生徒の先輩に暴力を振るったっていう
貼り紙があったじゃないですか。その時、鴨志田先生は先輩を理事会で
吊るすって言っていたのを思い出して....」
「そういえば、理事会は四日後だったな....」
俺は思い出しながらそう呟いた。すると、すみれはどんどん不安そうな表情に
変わっていった。
「....私、最近その事ばかり考えてしまっていて。このままだと、先輩は
退学にされるんじゃないかと思うと....」
すみれの目には涙が溜まっていた。
「....安心しろって。そんな事にはならねぇから」
俺はそう言いながらすみれの頭を撫でてやった。
「....信じて良いんですか?」
「あぁ。最悪裁判沙汰にでもしてでもこの学校に残ってやるよ」
「そ、それはどうかと....」
「いや急に素に戻るなよ....」はぁ
俺はすみれの切り替えの早さに呆れながらため息をついた。
「ま、とにかく安心しとけ。最悪にはならないようにするから」
「....分かりました。先輩がそこまで言うなら」
すみれは目に溜まった涙を拭きながら安心したようにそう言った。
「そうか。んじゃ、勉強再開するぞ」
「はい」
そう言って、俺とすみれは勉強を再開させた。
〜〜〜〜
一時間後
「あの、勉強を見てもらった上に奢ってもらってすみません....」
「気にすんなって。後輩に奢らせるわけにはいかねぇよ」
俺とすみれはファミレスを出て駅に向かって歩いていた。
「あ、そうだ」
すみれは何かを思い出したのか、急に立ち止まった。
「私、先輩に言っておかないといけない事があったんです」
「俺にか?」
「はい。私、五月から新体操の練習に復帰することになったんです」
「へぇ、良かったな」
「それでなんですけど....私、火曜日と金曜日と土曜日は学校を休む事があるんです。
だから、先輩にお弁当を作るっていうのが減ってしまうかもしれません。
....私から言っておいてなんですが、すみません先輩」
すみれはそう言って申し訳なさそうに俺に頭を下げてきた。
「べ、別に謝らなくて良いって! 最終的に頼んだのは俺だから!」
「でも....」
「弁当よりもすみれの体調の方が大切だ。疲れている時に弁当作って
体調崩したらすみれが大変だろ?」
「はい....」
「....なら、すみれが余裕のある時で良いから。その時にまた弁当を食わせてくれ」
「....分かりました。そこまで心配されたら何も言えませんね」
すみれはそう言うとさっきまでの調子に戻った。
「でもその代わり! お弁当は凄いものを作ってくるんで楽しみにしていてくださいね!」
すみれは楽しそうな表情でそう言った。
「あぁ。期待してるぞ」
そう話しながら俺達は再び駅に向かって歩き出した。